野菜にはどんな栄養があるの?
家族の健康を考えて、「食卓にはできるだけ野菜を多く」と心掛けている方は多いでしょう。しかし、野菜は出回る季節が限られているものもあり、天候によって価格も変動しがち。
家計に負担をかけず野菜たっぷりの食生活を送るためには、安くて栄養のある野菜はどんなものがあるのかを知っておくと便利です。
そもそも野菜にはどんな栄養が含まれているのでしょうか?
野菜の栄養で特に重要なのは、食物繊維、ビタミン、ミネラルです。
食物繊維
ほとんどの野菜に含まれていて、腸内環境を整える効果があります。日本人は食物繊維が不足しがちなので※、野菜を積極的に食べたいですね。
ビタミンC
細胞をダメージから守る抗酸化作用のあるビタミンで、コラーゲン生成にも必須です。免疫を正常に働かせる作用もあり、発がんリスクを下げるといわれています。
β-カロテン(ビタミンA)
野菜に含まれるオレンジ色の成分で、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、皮膚や粘膜を健やかに保つことや目の健康を守る働きがあります。
ビタミンK
緑黄色野菜に多く含まれるビタミンで血液を凝固させる働きがあります。丈夫な骨を作るためにも必要な栄養素です。
カリウム
体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあり、血圧を下げる効果も。身体全体を健やかに保つために重要なミネラルです。
※厚生労働省 食物繊維の必要性と健康
いつでも手に入る安くて栄養のある野菜
季節によって種類や価格が変動することが多い野菜ですが、「いつでも安い」ものもあります。特にもやし類や発芽野菜、菌床栽培のきのこは、安定した低価格。家計と健康の強い味方です。
もやし/豆もやし
安価な野菜の定番でもあるもやし類。豊富な食物繊維の他、カリウムや、妊婦さんに欠かせない栄養素である葉酸なども含まれています。注目したいのが、疲労回復効果やむくみ解消作用があるアスパラギン酸が、成分名の由来となったアスパラガスよりも多く含まれていること! お財布に優しく、しっかり栄養がとれるのがうれしいですね。
また、大豆を発芽させた豆もやしは、タンパク質や大豆イソフラボンも多く含んでいるので、より栄養価が高くなります。
ただし、もやし類は日持ちしないので、なるべく新鮮なものを購入して早めに使い切りましょう。もやしを長持ちさせる保存方法は以下の記事でチェックしてみてください。
いつもの脇役を主役に!「もやし」レシピまとめ
豆苗
豆苗はえんどう豆を発芽させたもので、芽(柔らかな茎と葉)の部分を食べる野菜です。ビタミンKやビタミンA、葉酸、ビタミンCを豊富に含んでいるだけでなく、低価格でボリュームがあるのも魅力。しかも、食べる部分を切り取った後の根元を水に浸しておくと、新しい芽が出てきて再収穫も可能なので、とてもリーズナブルです。
サラダから餃子、炒め物まで! お手軽「豆苗レシピ」まとめ
えのきたけ
えのきたけは、腸の働きを活発にし、有害物質を排出する働きのある不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。またビタミン、ミネラル類の他、抗がん作用があるβグルカンを摂取できることもポイント。きのこの中では低価格なので料理にふんだんに使えるのがうれしいですね。
おつまみから、スープ、おかずまで! たっぷり食べたい「えのきレシピ」まとめ
しめじ
しめじに含まれるカリウムの量はきのこ類の中でもトップクラス。さらに注目したいのが、肝臓の働きをサポートし、疲労回復にも効果があるといわれるアミノ酸「オルニチン」がシジミよりも多く含まれていること! 家族にお酒を飲む人がいるなら献立にぜひ取り入れたい野菜です。
しめじをはじめとするきのこのおいしい食べ方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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栄養があって多彩に使えるおなじみの野菜
さまざまな献立に活用できるおなじみの野菜にも、実はしっかり栄養が含まれています。特長的な成分と、どんなふうに料理すれば効果的なのかをご紹介します。
にんじん
「ビタミンカラー」といわれるにんじんの鮮やかな色はβ-カロテン由来。β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて、目や肌の健康を保つよう働くので、子どもも大人もしっかり食べたい野菜です。β-カロテンや食物繊維はにんじんの皮部分に多く含まれるので、皮ごと調理するのもおすすめ。油と一緒に調理するとより吸収が良くなりますよ。
にんじんが苦手な子どもは多いですが、調理法を変えればおいしく食べられることも。以下の記事も参考にしてみてください。
お弁当にも! 手軽にもう一品「にんじん」レシピまとめ
じゃがいも
実は生のじゃがいもには、みかんと同程度のビタミンCが含まれています。しかも、じゃがいものビタミンCは加熱調理しても壊れにくいのも特長。カリウムも豊富なので、生活習慣病予防効果も期待できます。最近はさまざまな品種のじゃがいもが手に入るので、味の違いを楽しみながら栄養をとってみませんか?
玉ねぎ
玉ねぎに含まれるケルセチンは、抗酸化作用や抗炎症作用があり、認知機能改善効果も期待されている注目の成分です。そして、玉ねぎを切ると涙が出る原因である硫化アリルには、血液をさらさらにする、疲労を回復する、神経を落ち着かせるといった作用があるので、忙しい日や風邪をひきそうなときには玉ねぎを生で味わうのがおすすめ!
保存性の良い黄玉ねぎ(一般的な玉ねぎ)のほか、収穫後乾燥せずに出荷するため水分が多く辛みが少ない早春が旬の新玉ねぎ、抗酸化作用があるアントシアニンが含まれる紫玉ねぎなどを料理によって使い分けましょう。
生でも加熱してもおいしい新玉ねぎのレシピはこちら!
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旬こそ狙い目! 安くて栄養のある野菜
最近では多くの野菜が季節を問わず手に入りますが、旬の時期の野菜は、おいしいだけでなく、栄養も増加することをご存じでしょうか。しかも収穫の最盛期にはお値段がぐっと下がるのが大きなメリット。
旬の時期にたっぷり食べたい栄養のある野菜をご紹介します。
ほうれん草・小松菜
葉野菜の代表ともいえるほうれん草と小松菜は同様の栄養を含んでいますが、β-カロテンや葉酸はほうれん草に多く、カルシウムや鉄分は小松菜の方が多いので、とりたい栄養によって使い分けるのもおすすめです。
ほうれん草と小松菜はどちらも秋~冬が旬。冬の寒さや霜の影響で、ぐっと甘味が増します。栄養量にも変化があって、ほうれん草の場合、ビタミンCは夏採りが20mg、冬採りが60mgと3倍もの差があります!
キャベツ
キャベツの栄養で重要なのがビタミンU。キャベツから発見されたため「キャベジン」という別称も持つビタミンUは、胃、十二指腸の潰瘍予防効果があり、治療にも用いられています。
また、キャベツには、消化酵素のジアスターゼも多く含まれているので、胃腸の健康が気になるときにおすすめの野菜です。
キャベツの旬は冬と春。しっかり巻いている冬キャベツの方が重量比でいうと安価になります。
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ブロッコリー
食物繊維やビタミンCなどの栄養を豊富に含むことから欧米では「Crown of Jewel Nutrition(栄養の宝石の王冠)」とも呼ばれるブロッコリー。最近では抗酸化作用などが期待できるファイトケミカルの一種、スルフォラファンを含む野菜としても注目されています。
ブロッコリーの本来の旬は冬ですが、ハウス栽培や輸入品も多いので通年安定して手に入ります。ただし、栄養をしっかりとるためにもできるだけ新鮮なものを選びましょう。鮮度が良いものは、花蕾の部分が濃い緑色で固く締まっていて、茎の切り口がみずみずしいことが特長。
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トマト
「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養豊富なトマト。トマトの赤い色のもとであり、強い抗酸化作用を持つリコピンが含まれているので、たっぷりとりたい野菜です。
夏野菜のイメージがあるトマトですが、実際は産地によって旬は異なります。また、一般的に盛夏のトマトより、ゆっくり糖度を上げて収穫する秋~初冬、春~初夏のものの方が味が良くなることが多いようです。
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大根
大根には、ビタミンCをはじめとするビタミン、カリウムなどのミネラル類が含まれています。また、白い部分には消化酵素が多く含まれているのもポイント。ただし、加熱すると効果がなくなるので、消化促進や胃もたれ予防のためには大根おろしやサラダなど、生で食べるのがおすすめです。
一年中手に入りますが、旬である冬にはみずみずしさと甘味が増します。また、大根の葉には、β-カロテンや鉄分、カルシウムなどがたっぷり。旬の時期に出回る葉付き大根を買えば、使い勝手がよい根菜と栄養豊富な緑黄色野菜の両方がとれるので、栄養的にもとってもおトクです。
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おわりに
ビタミンやミネラルなどの栄養を含む野菜は、健康のために重要な食材。しかし、普段から意識してとるようにしないと、どうしても野菜不足になりがちです。そんなとき、野菜の栄養について知っていれば、より効率的に野菜をとることができて家計にもよい影響が。おいしく栄養のある野菜で日々の食卓を豊かに彩りましょう!
参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)本食品標準成分表2020年版(八訂)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
参考:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜の機能性研究~たまねぎのケルセチンによる認知機能改善の可能性~