卵は賞味期限が過ぎても食べられる!? 意外にも日持ちが良い?
買った卵を賞味期限内に使いきれず、捨ててしまった経験がある方も多いのではないでしょうか?
意外にも、卵は日持ちが良い食品であることを知っていますか? 実は、無菌状態でしっかりと殻に包まれていたら、賞味期限が切れてしまっても、一定期間は食べることができるんです。
卵の賞味期限とは【生で食べられる期限】のことだった!?
卵のパックに記載されている賞味期限とは、何のことなのでしょうか?
平成11年、食品衛生法施行規則の改定によって義務化された卵の賞味期限表示は「生食できる期限」を示したものです。つまり加熱調理すればさらに長い間、食べることが可能だということです。
実際の卵の賞味期限はどれくらい?
実際の卵の賞味期限は、保存状態と時期(温度)などによって異なります。英国・ハンフリー博士の研究に基づいて算出された日数を参考にすると、7~9月は産卵後16日以内、4~6月・10~11月は産卵後25日以内、12~3月は産卵後57日以内とされているそう。
しかし実際には、GPセンター(※)や流通業者などの調整により、「パック詰めをしてから2週間程度」を賞味期限として表示しているケースが多いそうです。※生産農場で生まれた卵を洗卵・検卵・選別し、パック詰めした後に出荷する施設
つまり、市販の卵の賞味期限は、本来の日数よりも余裕を持って設定している場合が多く、きちんと適切な状態で保存されていれば1〜2日経過しても食べることができると言われています。ただし、不安な場合は、生ではなくしっかりと火を通してから食べた方が安心です。
また、見た目やニオイに違和感を感じた場合は、食べるのをやめましょう。
卵の食中毒の原因「サルモネラ菌」とは
サルモネラ菌は、川や湖などの自然界や動物の腸管に広く分布する菌で、特に鶏の生肉や卵を汚染することが多いそう。サルモネラ菌に汚染された卵を食べると、約8〜72時間の間に激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐を引き起こす危険性があります。
ただ、日本卵業協会さんによると汚染の割合は卵10万個に対し3個くらいと言われているそう。
万一卵内にサルモネラ菌が存在していたとしても、適切な保存期間内なら生食もできますし、サルモネラ菌は70℃ 1分で死滅します。加熱調理すればさらに安心ですね。
卵の賞味期限に関わらず、サルモネラ菌が増殖しないよう適切な保存方法を心がけることが一番ですが、万が一食中毒になってしまった場合は、すぐに病院に行き医師の診察を受けましょう。
「ヒビ」の入った卵の賞味期限は当日中
ヒビが入った状態のまま卵を保存すると、通常より早く傷むため、賞味期限内であってもサルモネラ菌の発生が懸念されます。
生食は避け、ゆで卵にした場合であっても、ヒビがあるゆで卵は当日中に食べましょう。また、いつヒビが入ったかわからない卵は廃棄した方が良いそうです。
卵の食品表示の見方とは?
市販の卵には、パック詰めを行った業者や賞味期限が書いてある「食品表示」が貼ってあります。一般的に表示されている項目について見てみましょう。
包装者及び所在地
生産農場で生まれた卵を洗卵・検卵・選別し、パック詰めした後に出荷する施設です。GPセンターとも言われています。
賞味期限
生食できると判断された期限です。
保存方法
10℃以下であれば、サルモネラ菌が増殖せず長期保存できるとされています。10℃以下を安定的に保つことが可能な冷蔵庫での保存が適しています。
使用方法
生食も加熱調理して食べる時も、安心して食べられるように配慮しています。
卵は賞味期限を過ぎてもしっかり加熱すれば大丈夫
万が一、賞味期限を過ぎたとしても、加熱処理をすればサルモネラ菌は死滅し安心して食べることができるそうです。この時、卵だけの場合は70℃で1分以上、他の食材と一緒に調理する場合は75℃で1分以上加熱しましょう。
ゆで卵にするには、古い卵の方が向いている!?
新しい卵の場合、白身に多くの炭酸ガスが含まれるため、茹でた後に殻をむきにくくなるそう。産卵から1週間程度経つと、卵から炭酸ガスが放出されるので、殻はむきやすくなりますし、食感も良くなるそうですよ。
卵の正しい保存方法とは?
ここまで、卵の賞味期限や賞味期限を過ぎても安全に食べられる調理方法をご紹介しました。ここでは、卵の正しい保存方法をご紹介します。
卵は冷蔵庫で保存し、頻繁に出し入れしない
食品表示にも記載のとおり、10℃以下であれば食中毒の主な原因となるサルモネラ菌の増殖を抑えることができます。そのため、長時間の常温での放置は避けたほうが無難です。購入した卵は、なるべく早く冷蔵庫に保存して、使う直前に取り出しましょう。
ドアポケットのような開け締めの多い場所は、卵に振動を与えて傷みやすくなってしまう原因に。できれば冷蔵庫の奥の安定した場所に保存しましょう。
卵は尖った方を下にして保存する
卵の丸い方には空気を含む気室があり、下にして保存すると卵黄と気室の距離が近くなります。その結果、気室内の空気が卵黄に触れやすくなって細菌が入り込む可能性があるので、尖った方を下にしての保存がオススメです。
また、「丸い方よりも尖った方が卵殻の強度があるので割れにくい」のも理由の1つです。
卵は拭いたり洗ったりしない
一般的にほとんどの卵は、GPセンターで殺菌洗浄してから出荷されます。卵を布などで拭いてしまうと、卵の表面の層が剥がれて菌が入りやすくなります。また水で洗うと、殻にある孔という微細な穴から水と一緒に雑菌が中に入り込んでしまう可能性も。目につくような汚れがある場合は、その部分だけ優しくふき取るようにしましょう。
卵は冷凍しないほうが良い
殻つきの卵は、中身が膨張して殻が割れるので冷凍はオススメできません。また、卵白は解凍後にある程度は元の状態に戻りますが、卵黄は固まったままなので生食には向かないそう。卵の殻を割って溶きほぐした後の冷凍は可能ですが、そもそも、卵は細菌が繁殖しやすいので家庭では冷凍しないほうが無難です。
調理した卵の賞味期限はどれくらい?
卵を加熱すれば賞味期限が伸びると考えて、ゆで卵などに調理してから保存するという人も多いようですが、注意が必要です。他の料理と同じく、常温での放置は菌が増殖し食中毒を起こすリスクがあります。
ゆで卵を冷蔵保存した場合の賞味期限
濡れた状態のまま卵を保存すると、賞味期限内であってもサルモネラ菌の発生が懸念され、通常より早く傷んでしまいます。
「半熟や殻をむいたゆで卵」は当日中、「ヒビがなくて冷蔵庫で保存しているゆで卵」は、3〜4日以内に食べた方が良いそうです。
卵料理の常温保存は2時間まで!
卵を使って調理した料理を、室温の中に長時間放置するのは避けてください。室内に置く場合は、2時間以内を目安にしましょう。また、冷たいままで出す料理は8℃以下で保存、温かいままで出す料理は60℃以上で保温してください。
半熟状態の卵料理は調理後すぐに食す
- 半熟の卵焼き
- 親子丼
- 温泉卵
- とろとろのオムレツ
加熱によって卵の殺菌は出来ますが、全てに火がきちんと通っていないと、菌が生き残ってしまう可能性があるそうです。半熟状態で食べたい場合は賞味期限内だと安心です。賞味期限が切れた後に卵が半熟状態の料理を作る時は、気をつけてくださいね。
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おわりに
卵で食中毒になると大変なことになるイメージが強いため、賞味期限が切れたらすぐに捨ててしまっている方は多いかもしれませんね。
安全第一なら捨てるという判断も間違いはありません。でもちゃんと加熱をすれば賞味期限を過ぎても食べられる期間があると覚えておくと良いですね。その場合には割って中身を目で確認するということもお忘れなく。
参考:内閣府 食品安全委員会「サルモネラ属菌による食中毒について」