豚肉は部位ごとに料理で使い分ける必要があります!

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バラ、肩、肩ロース、ロース、ヒレなど多様な部位が市販されている豚肉。それぞれ適した調理法は異なります。料理研究家のしらいのりこさんに各部位の特徴や下ごしらえの方法、調理法についてお話を伺いました。
【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】肩(カタ)は煮込み料理に!

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肩(カタ)は、豚の肩の周りから背中にかけた部位です。他の部位に比べてお手頃な価格で市販されています。よく動かす部分のため、筋肉質で少し硬めです。色は濃く肉のキメは粗め。筋があるので、じっくり煮込むとコラーゲンがゼラチン化し、やわらかくなります。
しらいさん「肩は煮込まないとうまみが出ないんですが、煮込むとトロトロになります。カレーなど煮込みにおすすめです。硬いので煮込み以外の料理には向きません。煮込み料理以外で使いたい場合は、下ゆでして煮込んで牛すじみたいにやわらかくしてから、調理してください」
料理での使い分け
塊肉や厚切りの場合は、シチューやポトフなど煮込み料理に。薄切りにしたり、豚コマや豚ひき肉として、市販されていることも多い部位です。薄切りなら炒め物や豚汁などサッと煮込む料理にも使えます。

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】ロースは薄切りだと失敗しにくい!

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ロースとは肩の後ろから腰までの背骨の両側で、腰のあたりの大きな肉。ロースの語源は英語のロースト(あぶる)から来ており、古くから塊肉をあぶって食す部位だったようです。
キメが細かく肉質はやわらかで、赤みと脂身のバランスがよく、うまみが魅力の部位です。外縁の脂肪にうまみがあります。肩ロースと同じような汎用性を持ちますが、肩ロースより脂質が少なくあっさりした部位です。
しらいさん「肉のきめは細かく脂肪分がちょうどよく、うまみが強くて豚肉本来の良さを楽しめます。ロースハムやローストポークにもおすすめです。ただ、硬くなりやすい部位で煮込むと硬くなるので注意が必要です。調理の際には弱火でじわじわと火を通す必要があります」
初心者がロースの塊肉で調理するのは難しいので、薄切りにして、ポークソテーやとんかつ、生姜焼きにするのがおすすめだとしらいさん。生姜焼きにする場合は、下処理でおろし生姜と酒に漬け込んでから焼くとやわらかくおいしくできます。
料理での使い分け
味のバランスが良い部位なので多様な用途に使えます。薄切りはしゃぶしゃぶや生姜焼き、厚切りはとんかつ、ポークソテーに使えます。ブロック肉はじっくり火入れするのがポイント。チャーシュー、ハム、ローストポークなどに使われます。

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】肩ロースは万能選手

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肩ロースとは、首の後ろの肩肉と腰肉(ロース)の間の部位です。肩ロースは赤身の中に脂が霜降り状に広がっています。普通のロースより脂身が多いのでコクがある濃厚な味わいが楽しめます。下ごしらえで筋切りすると、焼き縮みを防ぐことができます。
しらいさん「肩ロースは一番使いやすい部位です。適度に脂のさしがありますが、バラほど脂っこくありません。ブロックなら煮込みやソテー、薄切りならしゃぶしゃぶや生姜焼きにも良いでしょう」
料理での使い分け
とんかつ、生姜焼き、カレー、シチュー、炒め物など、和洋中幅広く使いやすい部位です。焼く、煮る、揚げる、炒めるなど、どんな調理にも合います。調理法はロースと似ていますが、ロースよりこってりした仕上がりになります。

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】バラは脂のうまみを味わう料理に!

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胴体のあばら骨についている部位。赤身と脂肪が三層になっていることから、三枚肉ともいわれています。濃厚な脂身が特徴で、こってりとしてボリュームがあります。この部位の骨付きの状態はスペアリブとして市販されています。
しらいさん「脂が多いので脂がおいしい豚を選ぶのがポイントです。おいしい脂は見た目ではわからず、食べてみないとわからないので、お肉屋さんでいろいろなブランドを食べ比べてみてほしいです。肉質がやわらかく使いやすい部位ですが、脂が強すぎるので必要に応じて油抜きをしましょう。角煮などは下ゆででの油抜きが必須です」
また、豚バラは代替えが効かない部位だそう。「レシピに豚バラと記載があった場合には、絶対豚バラを使ってほしい」としらいさん。例えば、キャベツや白菜と一緒にくたくたに煮て、脂を吸わせる料理など、豚の脂身のおいしさを味わう料理には豚バラが最適とのことです。
料理での使い分け
焼き肉、角煮などに適しています。酢豚、チャーハン、チャーシューなど、中華風の料理にも使えます。
【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】ヒレはトンカツやソテーなど油を使った料理に!

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ヒレは背中のロースの内側にある部位。一頭あたり1kg程度しか取れないという希少な部位です。フランス語の『filet』が語源でフィレ肉とも呼ばれています。
動かすことが少ない部位のため、豚肉の中で最もキメが細かくジューシーでやわらかです。豚肉の中でも脂身が少なくヘルシーで、ビタミンB1も豊富です。
しらいさん「ヒレは高いけど一番使いやすい部位です。ヒレの代用で、ももを使うこともありますが、ヒレには圧倒的なやわらかさがあります。脂がないので、調理で油を足してあげるソテーやトンカツがおすすめです。ヒレの塊肉ならハムや茹で豚にしても。煮込むと硬くなるので、いったん沸騰させたら火を止めて予熱調理で仕上げましょう」
ももやヒレは煮込むと硬くなるので、煮込みはバラや肩ロースの方がおすすめだそう。バラや肩ロースなら、煮込んでもホロホロの食感になっておいしく仕上がります。
料理での使い分け
ヒレカツやソテー、串揚げ、唐揚げなど、油を使った料理に向いています。塊肉ならハムや茹で豚に。

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】ももは火の通しすぎに注意!

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ももは豚の尻の周囲の部位です。脂身が少なく赤身が中心で、高タンパク・低脂肪のあっさりとした味わいが特徴です。ビタミンB1も多く含まれています。切り身、角切り、薄切り、ひき肉とさまざまな形状で販売されているのも特徴です。
しらいさん「扱いは鶏むねと似ていて火を通しすぎると硬くなります。そのため、調理時間が短めの料理に向いています。薄切りならしゃぶしゃぶや肉巻きにしたり、片栗粉をまぶして青椒肉絲(チンジャオロース)が作れます。塊肉ならローストポークがおいしいですが、弱火でじわじわと長時間火入れしていく必要があるので、難易度は高めですね」
なお、脂質が少ないのでヘルシーでダイエットにもおすすめだそう。しゃぶしゃぶをする時も、もも肉にすることでよりヘルシーに。脂身が多いバラ肉に比べ、もも肉ならカロリーが1/3くらいで済みます。
料理での使い分け
薄切りならしゃぶしゃぶや肉巻き、青椒肉絲に。塊肉はハムなどに適しています。

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】ネック、タン、ハツ、レバーは焼き肉に!

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ネックは首周り、タンは舌、ハツは心臓、レバーは肝臓です。これらの部位は薄切りにして焼き肉にするのが良いそうです。
しらいさん「豚のレバーは鶏レバーほど市販されていないですが、豚レバーは弾力があって食感を楽しめますし、脂肪分が少なくヘルシーで注目の食材です。レバかつにしてもおいしいですし、沸騰した湯にニンニクを入れて下ゆでをすれば、クリーム煮など煮込みにも使えます」

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【豚肉の部位ごとの特徴と使い分け】豚コマ

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豚コマとは豚の細切れ肉(小間切れ肉)のこと。ももや肩、ウデなどさまざまな部位の切り落としが入っています。部位はいろいろで大きさも均一ではないものの、お手頃価格で市販され、使い勝手が良いのが特徴です。
しらいさん「豚コマは硬くなりやすいので、高温でサッと火を入れる料理がおすすめ。焼きそばや野菜炒めなど炒め物が良いですね。その他、たたいて丸めて酢豚にする方法もあります」
硬くなりやすい豚コマをおいしく調理するにはコツがあるそう。
「下味でほんの少し塩を振って5分ほど置いてから調理すると良いですよ。味がしっかりついて、他の食材とのメリハリがつきます」としらいさん。薄く片栗粉をまぶして炒めると肉のうまみを閉じ込め、ツルッとした食感にしてくれます。
豚肉のその他の部位【ミミ、トンソクなど】

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ミミ
その名の通り耳の部分です。皮と軟骨が主成分。コリコリとした食感が特徴です。
コラーゲンやカルシウムなどを含んでいるそう。ミミガーとも呼ばれ、沖縄料理に欠かせない存在です。酢の物やあえ物に向いています。
トンソク
豚の足の部分。ほとんどがゼラチン質で、長時間加熱するとトロリとした舌触りになります。こちらも沖縄料理でおなじみで、シンプルにゆでてからし酢味噌や酢醤油で食べたり、甘辛い煮物にするのも定番です。
洋風の煮込みにしてもおいしいです。
豚肉の部位ごとの栄養価・カロリー
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豚肉には体の形成に欠かせない良質なタンパク質やビタミンB1が多く含まれています。また、脂質にはコレステロール値を上昇させない一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が多く含まれているという特徴も。このように豚肉は、健康を保つには欠かせない栄養素がたくさん含まれているんです。
豚肉の脂身は牛肉よりも溶けやすく、冷しゃぶなどの冷菜にしても食べやすいお肉です。
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(可食部100gあたり)
出典:文部科学省「食品成分データベース」(かた/脂身つき/生, かたロース/脂身つき/生, ロース/脂身つき/生, ばら/脂身つき/生, もも/皮下脂肪なし/生, ヒレ/赤肉/生, 舌/生, 心臓/生, 肝臓/生)よりウチコト編集部にて作成
カロリーが高い順に並べると、バラ、ロース、肩ロース、肩の順になりました。逆に最もヘルシーなのは、肝臓、次にヘルシーなのがヒレ、ハツという順でした。

(可食部100gあたり)
出典:文部科学省「食品成分データベース」(かた/脂身つき/生, かたロース/脂身つき/生, ロース/脂身つき/生, ばら/脂身つき/生, もも/皮下脂肪なし/生, ヒレ/赤肉/生, 舌/生, 心臓/生, 肝臓/生)よりウチコト編集部にて作成
ビタミンが豊富な豚肉ですが、ビタミンB1が最も多いのはもも、ビタミンB2やビタミンB6が最も多いのはレバーという結果でした。疲労回復に効果があると言われるビタミンB群を豊富に含んでいることがわかります。

(可食部100gあたり)
出典:文部科学省「食品成分データベース」(かた/脂身つき/生, かたロース/脂身つき/生, ロース/脂身つき/生, ばら/脂身つき/生, もも/皮下脂肪なし/生, ヒレ/赤肉/生, 舌/生, 心臓/生, 肝臓/生)よりウチコト編集部にて作成
不足しやすい栄養素といわれる鉄や亜鉛を多く含むのはレバーでした。亜鉛が次に多いのは、肩、肩ロース、ヒレの順です(肩と肩ロースは同列2位)。鉄が多いのは、タン、ヒレ、ももの順でした。ヒレはここでも優秀な食材だということがわかりますね。
おわりに
豚肉の部位はそれぞれに適した調理法も違います。部位の特徴を生かして使い分けができると、料理の仕上がりも変わります。豚肉を選ぶ際も使い分けを意識して選んでみてくださいね。