洗濯物が雨に濡れたら洗い直すのが正解!
ベランダや庭などで外干していた洗濯物が雨でずぶ濡れになってしまった場合は、多くの方が洗濯物を洗い直すのではないでしょうか。しかし、そのまま干しておけば乾く程度の濡れ方だった場合は、洗い直すべきか迷いますね。
それに対して平島さんは「洗濯物が雨に濡れてしまったら、それほどひどく濡れていなくても基本的には洗い直してください」といいます。
その理由を詳しく解説してもらいました。
理由1 雨は大気中の汚れを取り込んでいるため
「空で発生した雨粒は、地上に降り落ちてくる途中に大気中のホコリやチリ、排ガス、黄砂や花粉などを取り込んで汚れた水になっています。特に都会の雨は、汚染された大気の影響を強くうけます。洗濯物の汚れより、雨に濡れたことによる汚れのほうが不衛生という可能性があるのです」(平島さん)
また、雨に濡れた洗濯物をそのまま乾かしてしまうと、繊維の中にこうした「雨の汚れ」が残ってしまいます。
理由2 生乾き臭がつくため
「生乾き臭の原因は雑菌です。雨に濡れた洗濯物は雑菌が繁殖しやすくなるため、乾いても生乾き臭がつくことがあります」(平島さん)
理由3 酸性雨で繊維がダメージを受けているため
通常の雨よりも強い酸性を示す酸性雨による悪影響も懸念されます。
「洗濯物が酸性雨に濡れてしまうと 繊維が弱ったり、色落ちしたりする可能性があります」(平島さん)
理由4 泥はねなどが付着することがあるため
「洗濯物を干していた場所にもよりますが、豪雨の場合などは、泥が跳ねて洗濯物につくこともあるでしょう。こうした汚れに気づかずそのまま乾かしてしまうと、シミになる可能性があります」(平島さん)
雨に濡れた洗濯物の洗い直し方
先に書いたような理由から、洗濯物が雨に濡れてしまったら、濡れた程度に関わらず洗い直すのが基本と考えた方がよさそうです。
ここからは雨に濡れた洗濯物を洗い直すときのポイントを解説していきます。
基本は洗剤を使わず「すすぎ1回」でOK
「泥はねなどの強い汚れがなく、雨に濡れただけの状態なら、雨を洗い流せばよいだけなので、基本的には洗剤は使わず、すすぎ1回だけの時短のコースを使って洗濯しても大丈夫です。
洗い直した後も雨が降り続いているようなら再び外干しすることはできないので、乾燥機や浴室乾燥機を使って乾燥させるのがおすすめです。
コインランドリーを利用する場合も洗剤なしで『すすぎ』あるいは短時間洗いで大丈夫です」(平島さん)
雨に濡れた後に乾いてしまっていたら、しっかり洗い直す
雨で洗濯物が濡れても、その後天気が回復した場合や長い時間取り込めなかった場合は、そのまま乾いてしまうこともあります。
「濡れている状態ですぐに洗い直せば、洗剤なしのすすぎ1回で問題ありませんが、一度乾いてしまった場合は、そうはいきません。
乾いてしまうと、繊維の中に汚れが定着するため、中性洗剤でかまいませんので、洗剤を使い通常のコースで洗濯してください」(平島さん)
洗い直す時間がない時はとにかく早く乾かす
雨に含まれている成分を考えれば、濡れているうちに洗い直すのがベストですが、濡れてしまった衣服をすぐに着たいなど、どうしても洗い直して乾かす時間がない時もあるでしょう。
そのような場合は、できる限り早く乾かすことを考えましょう。ここからは洗濯物を早く乾かすための方法を紹介します。
乾燥機を使用する
「洗い直す時間がなく、とにかく早く乾かしたい場合は、やはり乾燥機を使うのが良いと思います。乾燥機で乾かすと除菌や殺菌もできて、生乾きの臭いも防げますし、洗濯物もふかふかになります」(平島さん)
また、雨で濡れた洗濯物を乾燥機で乾かす際の注意点は以下の通りです。
「基本的なことですが、まず洗濯表示を見て、乾燥機が使用可能かどうか確認してください。
ドラム式の場合、洗濯容量に対し、乾燥容量は半分ほどなので、一度に乾かす洗濯物の量に気を付けましょう。洗濯量が多い時は、2度に分けて乾燥してください。
乾燥が終わった後は、そのままにしておかず、できるだけ早く洗濯物を取り出します。乾燥ムラがある場合は、再度乾燥機にかけるなどして完全に乾かしてください」(平島さん)
ガス衣類乾燥機「乾太くん」でスピーディに乾燥!
衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!
ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。
だからガス式は短時間で乾くんですね。
さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。
衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。
浴室暖房乾燥機を使用する
「干す手間はかかりますが、乾燥機と同じく、浴室乾燥機も早く乾かす方法としておすすめです。
浴室乾燥を使用する際は、衣類同士の間隔をこぶし1つ分空けて干し、衣類が空気に触れる面積を増やしてください。
また、干す場所も工夫するとより効果的に乾燥できます。吹き出し口付近は、風が当たり最も乾きやすいので、乾きにくい衣類を干し、薄手の乾きやすい衣類は壁際に干すのがポイントです」(平島さん)
また、浴槽に湯や水が残っている場合は、湿気が広がらないように必ず蓋をしましょう。
浴室暖房乾燥機の「乾燥」機能を活用しよう!
浴室暖房乾燥機が付いている場合は、入浴後に2時間ほどの「乾燥」運転がおすすめです。
上の図は浴室のカビの生え方を比較実験したものです。
「何もしない」浴室にカビが生えるのは当然の事ですが、「換気だけ」していてもカビは生えてきます。それに比べて「浴室乾燥」をすると、すばやく湿気が取り除かれ、カビが生えにくくなることが分かります。
「浴室乾燥」は浴室をカラッと乾いた状態をキープできるので、カビの発生も抑えて浴室のお掃除の手間を減らすことができます。夜、洗濯と入浴をした場合、就寝中に洗濯物と浴室を一緒に乾燥するのも経済的でおすすめです。
換気扇をつけた浴室で、サーキュレーターを使用して乾かす
「乾燥機や浴室乾燥機がない場合におすすめなのは、換気扇をつけた浴室で、サーキュレーターを使用して乾かすことです。
換気扇がある浴室は家の中で最も乾燥する場所のひとつなので、扉を開いた状態にして浴室の中にサーキュレーターで風を送ると洗濯物が早く乾きます」(平島さん)
風があたる場所で部屋干しする
「室内干しをする場合は、風通しのよい場所やエアコンや扇風機などの風が直接当たる場所がおすすめです。ただし、窓の付近などは、湿気が多い場合もあるので注意が必要です」(平島さん)
室内干しのコツについては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、参考にしてください。
リビング? お風呂場? 「室内干し(部屋干し)」のコツとおすすめの干す場所【東京ガス都市生活研究所】
布団が雨に濡れてしまったら?
あってほしくないことですが、布団を干していて雨に濡れてしまう場合もあるでしょう。そんなときはどうすればよいのでしょうか。毎日使うものだけに、すぐに乾かさなければと焦ってしまいますが、平島さんは「布団が雨に濡れたらぜひ丸洗いしてください。素材にもよりますが、実は多くの布団は自分で洗うことができるんですよ」と言います。
しかし、洗う時間がとれないときや洗えない素材の布団で、乾燥のみ行いたいときは、布団乾燥機を使用するとよいとのことです。
うっかり雨に濡らしてしまった布団は乾かすだけにせず、洗える布団なら思い切って洗ってしまうのがよさそうです。平島さんが布団の洗い方のコツを教えてくれました。
「布団を丸洗いする際、ポイントとなるのは、布団の中の素材がよれてしまわないようにすることです。中の素材までキルティング加工されていない布団の場合は、そのまま洗濯するとよれてしまうため、布団をクルクル巻いて、麻ひもかゴムバンドでくくってから洗濯してください。
自宅の洗濯機に入れてみて、洗濯槽の8分目程度の量であればそのまま洗えます。それ以上のボリュームになる場合は、布団が洗えるコインランドリーを利用しましょう。早くふかふかに乾燥させるためには、乾燥機の使用がおすすめです」(平島さん)
また、平島さんによると、「布団は雨に濡れたときだけでなく、汗をかく時期なども不衛生になりがちなので、ぜひ洗濯していただきたいです。そのため、新しく購入するなら洗濯できる材質のものを選ぶとよいでしょう。例えば、最近人気のイブル(キルティング加工された韓国の布団)などは洗濯できるものが多いのでおすすめですよ」とのことです。
詳しい洗い方は平島さんが動画でも説明しているので、ご興味のある方はこちらもご覧ください。
おわりに
洗濯研究家の平島利恵さんに、洗濯物が雨に濡れたらどうすればよいかを教えてもらいました。雨は意外に汚染されているため、雨に濡れたまま乾いてしまうといろいろなリスクがあります。洗濯物が雨に濡れたら、基本、できるだけ時間をおかずに洗い直すのが正解と知っておきましょう。