洗濯槽の裏側は黒カビがびっしり? 自分で掃除できる?
ーー洗濯機から嫌なニオイがする、洗濯物を干すときに汚れがついているといった問題は、洗濯槽の裏側に付着したカビが原因だといわれています。なぜカビが発生してしまうのでしょうか?
毎田:洗濯槽の裏側は「溶け残った洗剤」「石けんカス」「衣類に付着した垢や泥」などの汚れがこびりつきやすく、もともと湿度が高い場所ですから、カビが発生しやすいんです。最初は黄色から茶褐色、次第に黒くなり、さらに悪化すると洗濯槽の裏側に黒カビが張りつきます。この状態を「ぴろぴろワカメ」と呼ぶ人もいますね。
定期的に掃除をしないと、洗濯槽の裏側の汚れが膜のように固まり、それが剥がれて洗濯物に付着します。洗濯物を干すときに黒いポツポツがついていたら危険信号です。
ーーどうすればカビの発生を防げるのでしょうか?
毎田:「溶け残った洗剤」「石けんカス」「衣類に付着した垢や泥」はカビの栄養分になりますし、洗濯機の構造上、完全に防ぐことは難しいでしょう。ただし、次の3つを徹底することで予防はできます。
1.洗剤の使用量を守る
洗剤を入れすぎると、溶け残ってカビの栄養分になります。
2.週に1度は「槽乾燥」をする
ドラム式洗濯乾燥機・タテ型洗濯乾燥機は、週に1度乾燥運転をしましょう。洗濯槽の湿気を取り除き、裏側まで乾かしてカビの発生を防ぎます。
3.月に1度は「槽洗浄」をする
月に1度衣類を入れずに、市販の「酸素系漂白剤」で洗濯槽の洗浄をしましょう。洗濯槽の除菌・漂白・除臭をすることで黒カビの発生を防ぎます。
あとは、汚れた衣類は洗濯機に放り込まず、洗濯かごへ入れること。洗濯機に入れると、脱いだ衣類の湿気で洗濯槽の湿度が上がります。汚れた衣類は洗濯をするときに洗濯機に入れる習慣をつけましょう。
また、洗濯機のふたを開けっぱなしにすることで湿度の上昇を防げますが、幼児が閉じ込められる事故が発生しています。チャイルドロックをかけても閉じ込められてしまった事例がありますし、小さいお子さんがいる家庭は気をつけてください。
「酸素系漂白剤」で洗濯槽をクリーニング(掃除)
ーー「塩素系漂白剤」ではなく、「酸素系漂白剤」を使用する理由は?
漂白剤の液性は、「アルカリ性」「弱アルカリ性」「弱酸性」「弱アルカリ性」の4種類。アルカリ性の「塩素系漂白剤」は作用が強力なため、洗濯槽の金属のコーティングを剥がし、サビやすくする可能性があります。また、洗濯槽に漂白剤が残っていると、色柄ものが色落ちすることも。
「酸素系漂白剤」は粉末・液体など形状によって液性は異なりますが、そういった心配はありません。かといって作用が弱いわけではなく、「槽洗浄」で使うのであれば汚れは十分落ちます。
もちろん、専用の洗濯槽クリーナーを使用しても構いませんよ。ただ、市販の洗濯槽クリーナーの多くも主成分は酸素系漂白剤です。酸素系漂白剤として単品で市販されている商品の方がリーズナブルでおすすめですよ。
また洗濯機の機種によっては、「塩素系漂白剤」しか使えないケースもあります。あらかじめ取扱説明書を確認しておきましょう。
気をつけてほしいのは、「塩素系漂白剤」と「酸素系漂白剤」を混ぜないこと。体に害のある塩素ガスが発生します。
ーー「酸素系漂白剤」を使用した「槽洗浄」の方法を教えてください。
1.洗濯槽まわりの細かいゴミを取る
「酸素系漂白剤」を入れる前に、まずは使用済みの歯ブラシや雑巾などを使って洗濯槽まわりの細かいゴミを取りましょう。最初にやらないと、きれいになった洗濯槽にゴミが落ちてしまいます。
洗濯機のふたや内ぶた、洗剤投入口などもしっかりと。洗剤投入口は洗剤が残りやすく、洗濯槽の次にカビが発生しやすい場所です。
2,500mlの水に大さじ1杯の「酸素系漂白剤」を溶かす
「酸素系漂白剤」の使用量は、「槽洗浄」1回に大さじ1杯。500ml程度の水に溶かせばよいので、500ml入りペットボトルを使用するとわかりやすいでしょう。
3,洗濯槽にお湯と、水に溶かした「酸素系漂白剤」を入れる
洗濯槽に40〜50℃のお湯と、水に溶かした「酸素系漂白剤」を入れます。「酸素系漂白剤」はお湯のほうが活性化するんですよ。
4.お湯を洗濯槽に入れて3〜5分回す
ドラム式洗濯乾燥機はバケツ1杯程度、タテ型洗濯乾燥機は洗濯槽いっぱいまでお湯を入れます。あとは洗濯機を3〜5分ほど動かして「酸素系洗濯機」を拡散させます。
5.浮き上がったゴミ取りは徹底的に
3時間〜一晩ほど漬け置くと、洗濯槽の裏側に張りついた汚れが剥がれ、浮き上がります。浮いているゴミはゴミすくいネットですくって捨てましょう。このゴミ取りを徹底的にやらないと、洗濯物にゴミが付着してしまいます。
「ぴろぴろワカメ」状態になっている場合、一度ではゴミ取りができないこともあります。ゴミが浮かなくなるまで、何度かお湯を入れ替えて洗濯機を回してください。
6.洗濯槽の水滴や汚れを拭き取り乾燥させる
徹底的にゴミ取りをしたら、「洗い」「脱水」「乾燥」まで洗濯機を回します。仕上げは乾いたタオルや雑巾で洗濯槽の水滴、汚れを拭き取れば完了。洗濯機のふたを開け、しっかり乾燥させましょう!
おわりに
毎田さんによると、乾燥機能がついている洗濯機は洗濯槽の温度が上がるため、カビが発生しやすいのだとか。
最近は乾燥機能がない洗濯機とガス衣類乾燥機を併用する方が増えているそうです。もちろん設置工事は必要になりますが、電気式全自動洗濯乾燥機より乾燥時間が早く、料金が安い、ふんわり仕上がるなどのメリットがあります。
今回ご紹介した3つのポイント、洗剤の使用量を守る、週に1度は「槽乾燥」、月に1度は「槽洗浄」を徹底し、洗濯槽のカビの発生を予防しましょう。月に1度の「槽洗浄」は決してお手軽とはいえませんが、洗濯物の嫌なニオイ、汚れ付着を防ぐためには必須です! ぜひ試してみてくださいね。