ひき肉の消費期限の目安は?
食肉科学技術研究所のWebサイトによると、ひき肉の保存期間の目安は以下の通りだそう。
◆冷蔵庫(4℃)で保存した場合
牛ひき肉:3日
豚ひき肉:3日
鶏ひき肉:2日
◆冷蔵庫のチルド室(0℃)で保存した場合
牛ひき肉:5日
豚ひき肉:5日
鶏ひき肉:4日
出典:一般社団法人 食肉科学技術研究所「精肉の可食期間の目安」
上の消費期限のグラフを見て、意外に長いと思われた方も多いのでは? スーパーなどでひき肉の状態で市販されている商品の多くは、購入日の翌日が消費期限に指定されていることが多いですが、日数に余裕を持って指定しているのかもしれません。
ひき肉の正しい保存方法とは?
購入したひき肉をできるだけ新鮮な状態に保つには、どうすればよいのでしょうか?
食肉科学技術研究所の担当者によると、「冷蔵も冷凍も、とにかく保存温度が低いに越したことはないです」とのこと。スーパーで売られているものは温度管理が徹底されていますが、家庭では冷蔵庫や冷凍庫のドアの開け閉めなどにより、冷蔵庫内の温度が変化してしまうことがあります。こうした点も踏まえると、できるだけ低い温度で保存し、早めに食べることが大切だそうです。
一般的な冷蔵庫の温度は4℃くらいですが、チルド室は0℃と低めに設定されています。そのため、冷蔵庫の中でもチルド室に入れておけば、ひき肉はより長持ちします。
すぐに使用しないのなら冷凍保存、冷蔵の場合はチルド室に入れてできるだけ早く使用しましょう。
ひき肉の冷蔵保存はパーシャルやチルドが便利
冷蔵庫にパーシャル室があれば活用しましょう。パーシャルもチルドも「冷蔵室よりも低温で冷凍室(-18℃程度)よりも高温」という点は共通しています。それぞれの温度の違いは以下の通りです。
・パーシャル…日本工業規格(JIS)で「約-3℃」と規定
「半凍結・微凍結状態」まで冷却し保存が可能
・チルド…日本工業規格(JIS)で「約0℃」と規定
「凍結寸前」の温度に冷却し保存が可能
パーシャルの方がより温度が低いので長持ちします。冷凍と異なり、表面がわずかに凍る程度で、解凍に時間がかからないのが便利ですね。
パーシャルとチルドの違いについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
ひき肉の消費期限、切れてしまったら廃棄すべき?
パッケージに表示された消費期限や、前述の「精肉の可食期間の目安」を過ぎてしまった場合、食べてはいけないのでしょうか。
普段、消費期限の切れた食材について、「もったいないので見た目が問題なければ食べてしまう」「ニオイで問題がなさそうなら食べる」という方も多いかもしれません。ひき肉の状態を、ニオイや見た目で判断することは可能なのでしょうか。
食肉科学技術研究所のWebサイトによると、「消費期限」は生鮮食品など、食べることができる期間が短い食品に適用されており、定められた方法で保存した場合であれば、腐敗や品質の劣化などを起こさないとされる期間を表しているとのこと。ただし、これは「開封前の状態」で「定められた方法」で保存されていることが前提となっています。
そのため、パッケージの開封後あるいは消費期限を切れた後のひき肉については、加工者側で保証できないということになります。ひき肉を使い切れず、余らせたものをラップに包んで冷蔵保存する場合は、開封後という扱いになります。
パッケージの開封後や消費期限が切れた後のひき肉は、食べてよいか自己判断する必要がある訳ですが、食肉科学技術研究所の担当者によると、特に「こうなったら絶対に食べてはいけない」という目安があるわけではなく、「茶色くなってきて自然と食べたくなくなるはずです」とのことです。
出典:一般社団法人 食肉科学技術研究所「期限表示(消費期限と賞味期限)」
ひき肉は消費期限内でも傷んでしまうことも? 傷んだ場合の見分け方は?
消費期限内であれば食べても大丈夫! と思いがちですが、実は消費期限内であっても、適切な温度で保管できていなかったり、冷蔵庫内に入れていてもドアの開け閉めが頻繁に行われていた場合など、状況によっては傷んでしまっていることもあるそうです。
そこで今回は、傷んでしまったひき肉の目安を確認すべく、購入したひき肉が消費期限を切れてしまうとどうなるかを検証してみました。豚ひき肉と鶏ひき肉、牛豚合いひき肉をそれぞれ少量ずつラップにくるみ、冷蔵庫に保存しました。
購入当日のひき肉の様子
豚ひき肉と鶏ひき肉は見た目にツヤがあり、無臭です。牛豚ひき肉はツヤがなくマットな見た目で、鼻を近づけると牛肉特有のニオイがします。
ひき肉の購入翌日(消費期限当日)
見た目はほとんど変わりませんが、豚ひき肉と牛豚ひき肉は赤身が少し色あせたようです。さらに少しドリップのような水分が出て、ラップに付着しています。いずれも鼻を近づけると、少し肉っぽいニオイがするようになりました。
ひき肉の購入2日目(消費期限を過ぎて1日目)
ニオイは前日とほぼ変わらないものの、見た目に若干の変化があるように見えました。パッと見はそこまで変化がないようですが。
牛豚ひき肉の下にしていた面が、少し黒ずんでいるように見えます。空気に触れやすい面よりも下に面している方が傷みやすいのでしょうか。
ひき肉の購入3日目(消費期限を過ぎて2日目)
ニオイはやはり変化なしです。見た目もそこまで大きく変化があるようには見えませんが、よーく見ると鶏肉に少し水っぽさが出てきたようにも見えます。
ひき肉の購入4日目(消費期限を過ぎて3日目)
ニオイは前日よりもしなくなりました。見た目は大きくは変わらないものの、色鮮やかさがあせてきたように見えます。
前日との変化は、牛豚の下にしていた面が黒ずんできたことです。写真では分かりづらいですが、黒さが目立ちます。
ひき肉の購入5日目(消費期限を過ぎて4日目)
前日とは大きく変わりなく、ニオイはまったくしません。むしろ購入したての時のほうが鼻を近づけると「お肉らしい」ニオイがしていたのが、しなくなっています。見た目はどんどん色あせ、表面がマットになっています。
表面はマットになってきているものの、下に面している部分からはドリップのようなものがさらに出てきています。
ひき肉の購入6日目(消費期限を過ぎて5日目)
消費期限を過ぎて5日経った様子です。鼻を近づけると少しだけ酸っぱいようなニオイがします。鶏と豚では、それほど色味は変わっていないように見えます。牛豚はかなり色味が黒っぽく変化しています。
5日目の写真だけ見ると、ひどく傷んでいるように見えないかもしれませんが、購入初日と比較すると全体的に黒ずんでいるのが分かります。これでは食欲はそそられないでしょう。
ひき肉は冷蔵庫の温度変化の少ない場所で保存して、できるだけ早めに使い切り、すぐに使わない場合は冷凍保存をしたり、調理してから保存するのがよいですね。
生のひき肉は調理しておくと長く保存できる!
生のひき肉の場合、消費期限が短いので調理しておくと常備菜になりますよ。
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おわりに
手軽ではあるものの、傷みやすく、消費期限がすぐにきてしまうひき肉。すぐに使わない場合には、できるだけ冷凍しておくこと、そしてできるだけ早く使い切ることが大切です。最も安心できるのは、使う時に購入することでしょうか。意識しておいしく安全に使いたいですね。