瓶の蓋が開かなくなる原因
瓶の蓋が開かなくなるのは、瓶の中が真空状態になっていたり、内容物によって蓋と瓶が接着していたりすることが主な原因です。
未開栓の瓶と開栓済みの瓶とでは、蓋が開かない理由が異なることもあります。
未開栓の瓶の場合
井田さんによれば、内容物が食品などの場合は、カビや微生物が繁殖しないように品質管理を徹底して製造され、瓶の中の空気を抜いて真空状態にしてあることも多いのだそう。つまり、結果的に中が陰圧(外の空気より瓶の中の空気の気圧が低い状態)になっているため、蓋が下方に引っ張られて開けづらいという現象が起きてしまうということです。
開栓済みの瓶の場合
井田さんによると、一度開栓した瓶がまた開けにくくなるのは、瓶の口付近に内容物が付着して、それが冷蔵庫などで保管中に固まってしまったことが原因であることが多いそうです。
「瓶の蓋が開かない!」と焦らないためにも、内容物を取り出す時には瓶の口付近に付着しないように気をつけ、使いかけの瓶入り食品はいつも清潔に保管するようにしましょう。
瓶の蓋が開かない時の対処法
瓶の蓋が固くて開かない! そんなピンチのときはどうしたらいいのでしょうか? 対処法を井田さんに教えていただき、ウチコト編集部で試してみました。
【固い瓶の蓋の開け方1】お湯で蓋の部分を温める
瓶を逆さまにして蓋の部分を40~50℃のお湯につけます。瓶の中身と蓋の間の空気の体積を熱で膨張させることで、真空状態を緩めて開けやすくする方法です。
ウチコト編集部で試してみました!
1~2分程度お湯につけてから回したところ、蓋は簡単に開きました。一方で、お湯を沸かしたり、温度計やぬれた瓶を拭くためのタオルを用意したりと、準備がやや面倒に感じました。
【固い瓶の蓋の開け方2】輪ゴム・ゴム手袋を使う
ゴムを使うことで手と瓶の摩擦を大きくし、滑らないようにしながら回し開ける方法です。
ウチコト編集部で試してみました!
輪ゴムを使った場合
今回実験に使った瓶の蓋は、側面に凹凸がなく、高さは8ミリと薄め。そのため輪ゴムを蓋に巻きつけることはできませんでした。輪ゴムを使う場合は、側面の高さが大きい、あるいは刻みがついたタイプの蓋でないと難しいかもしれません。
ゴム手袋を使った場合
一方でゴム手袋を使う方法では楽に開けられました。こちらはどのような蓋でも対応できそうです。今回は蓋をひねる手にゴム手袋を装着して開けましたが、なかなか開かない場合は、両手にゴム手袋をした方が滑り止め効果がアップする印象です。ゴム手袋はキッチンに保管しているご家庭も多いと思うので、キッチンで食品の瓶を開ける場合にはよい方法だと感じました。
【固い瓶の蓋の開け方3】腕全体を使って開ける
前に伸ばした手で瓶を握り、手首を使わず、肘を大きく曲げ胸の前に瓶を運びながらねじり開けるという方法です。
- まず右手で蓋をしっかりつかむ。左手は瓶本体を握る。(右利きの方の場合)
- そのまま腕を前へ伸ばす。胸の前ぐらいの高さに。
- 両手にしっかり力を込めて「手首を動かさないよう」に意識しながら、肘を曲げて瓶を引き寄せる。
ウチコト編集部で試してみました!
今回試した中では、一番手順が複雑で、握力が必要な方法でした。手首を動かさないようにして、肘を曲げるのが難しかったです。
ただ、少々コツは必要ですが、道具なしで開けられるのは大きなメリットといえるでしょう。キャンプなどアウトドアでは最適な開栓方法かもしれません。
【固い瓶の蓋の開け方4】キャップオープナーを使う
蓋を開けるための器具にはいろいろなタイプがあります。今回は、上から蓋をはさみ「テコの原理」を応用して開けるタイプのオープナーを使いました。
ウチコト編集部で試してみました!
今回挑戦した方法の中で、一番簡単に開きました。さすが専用器具です。用途は限られますが、ひとつあると便利だと感じました。
瓶の蓋が開かないときにやってはいけないこと
瓶の蓋が開かなくて困ったときに、ついやってしまいがちだけれど、実はやってはいけないこともあるそうです。
なぜやってはいけないのかを井田さんのお話も交えて説明します。
【NGな開け方1】蓋をたたく
たたくことで蓋が変形してしまい、さらに開けにくくなってしまうことが考えられます。また、衝撃で瓶が割れてしまうことも考えられるため、蓋をたたいて開けようとするのはやめましょう。
【NGな開け方2】工具で蓋を外す
プライヤーなどの工具を使って蓋を瓶から外すアイデアもあります。しかし、工具で蓋の側面をつかんだときに圧力が局所的にかかり、瓶が割れてしまう恐れがあります。
【NGな開け方3】ライターなどの火で蓋をあぶる
蓋を火であぶると、瓶のフチ部分からガラスにも熱が伝わり、温度差に弱いガラス部分が破損する可能性があります。また熱くなった蓋に触れることでやけどをする危険もあるため、おすすめできない方法です。
【NGな開け方4】スプーンやヘラなどを蓋のねじ部分に差し込む
平たいものを瓶と蓋の間に差し込んでスキマを作り開けようとする方法は、多くの人が行っているのではないでしょうか。
井田さんによると「確かに、蓋と瓶の間になにかを差し込んで中に空気を送ると瓶は開けやすくなります。しかし、力任せに無理やり行うと蓋が変形したり瓶が破損する可能性があるため、おすすめはしません」とのことです。
時代とともに瓶は進化している!
井田さんによれば、実は瓶そのものはどんどん進化しており、瓶の蓋が開けにくい問題についても改善されてきているとのこと。
「瓶詰の蓋の裏側を見るとラバーが塗布されているのが分かります。これは蓋と瓶の口を密着させて密封性を保つためですが、ここにも蓋を開けやすくするためにひと工夫されています。滑りやすくする素材を含ませることで、わずかに蓋を回転させるだけで開栓できるように設計されているのです」(井田さん)
輸入品の瓶詰めの蓋が開けにくい印象があるのは、このような消費者のための工夫が十分でない製品が多いからなのかもしれません。
また、最近では瓶の軽量化も進んでいて環境負荷の軽減も図れているそうです。地球環境に優しいことはもちろん、保存性に優れた瓶詰め食品を買う際に荷物が少しでも軽くなるのはうれしいですね。
一方で、ジャムの瓶は移動中に瓶同士がぶつかった時の衝撃を軽減するために、側面をすべりやすくコーティングしてあるそうです。
ということは、蓋を開ける時には滑らないように注意して持つ必要がありそうですね。
ジャムのカビを防ぐ方法とは?
瓶は、ジャムの容器としてよく使われています。高い密閉性で湿気が入りにくく、中身の品質を維持しやすいからです。とはいえ、カビを発生させてしまったことがある方もいるかもしれません。井田さんによると、最近は低糖度のジャムが主流になっていることもあり、以前よりカビは生えやすくなっているそうです。そこで、ジャムのカビを防ぐ方法を井田さんに伺いました。
清潔なスプーンを使う
井田さんは「ジャムをすくったスプーンを直接口に運んで、そのスプーンを再び瓶に入れることは絶対にしないでください」と話します。
そして、食卓ではジャムの瓶ごとに別々のスプーンを使ってほしいとのこと。また、パンのかけらなどが瓶に入らないように注意することも必要だそう。
異物がジャムの瓶に入るとカビが生える可能性が高くなるそうです。
蓋をして冷蔵庫で保管する
低温で湿度が低い冷蔵庫で保管することがカビ防止には有効です。
「大切なことは、必ず蓋をして冷蔵庫に入れることです。種類は少ないものの、低温を好むカビもいます。庫内でのカビの侵入を防ぐため蓋をしてください」(井田さん)
早めに使い切る
ジャムの使い方として、トーストに塗ったりヨーグルトに混ぜたりしている方は多いでしょう。その他にアイスクリームにジャムをトッピングして食べるのもおいしいですよ。
「カレーの隠し味にジャムを使うのもおすすめです。味がマイルドになるので、辛みの強いカレーが苦手なお子さんでも食べやすくなります」(井田さん)
また、照り焼きのソースにジャムを加えると、より「照り」が輝くようになるとのこと。さらに井田さんは「残りわずかになったジャムを利用しておいしいドレッシングができるんですよ」と話します。
作り方は、ジャムが残った瓶に酢と油、コショウを加えて、シェイクするというもの。
とても簡単ですね! このドレッシングは、親子対象に開催された料理教室のイベントでも大好評だったそうです。
アイデア次第で、無駄なく使いきることができそうですね。
おわりに
いざ使おうとしたときに瓶の蓋が開かないと焦ってしまいますが、いくつかの方法を知っていれば、落ち着いて対処できそうです。今回はその中でも簡単な4つの方法と注意点を紹介しました。瓶を破損することがないよう、適切な方法で開栓にチャレンジしましょう!