入浴剤を入れた後に追い焚きするのはNG? プロに聞く正しい使い方
ファミリー世帯に便利なのが、お風呂の「追い焚き機能」。湯船のお湯の温度が下がってきた時に、ボタン1つでお湯を温め直してくれます。家族が何人かで順番に湯船に浸かっていると、どうしてもお湯の温度が下がってしまいますが、追い焚き機能があれば、最後までちょうど良い温度で入浴できます。
ただし、入浴剤を使った後で追い焚き機能を使うと、入浴剤入りのお湯が配管内を循環してしまうことになります。入浴剤が原因で給湯器が故障してしまうことはあるのでしょうか。
リンナイ株式会社で給湯器開発に20年以上携わる森田さんに、給湯器の追い焚きの仕組みや入浴剤の使用についてお話を伺いました。
追い焚き機能の仕組み
追い焚き機能とは、どのような仕組みなのでしょうか。
森田さん「追い焚きは、浴槽にお湯をためてから時間がたって冷めたお湯を温め直す機能です。浴槽のお湯を吸い上げる方式には、『自然対流式』と『強制対流式』がありますが、どちらにしても、浴槽にたまったお湯を吸い上げ、給湯器内の熱交換器で温めてから浴槽に戻すことになります」
自然対流式
浴槽にはお湯を排出する口と浴槽のお湯を吸い上げる口の2つがあります。自然の原理として、浴槽内では冷たい水が下に、熱いお湯が上にたまるため、下の吸入口から冷たい水を吸い上げて、熱交換器で温め上の給湯口から排出する仕組みです。内部にポンプのような仕組みがないため、ゆっくりとお湯が循環していきます。そのため、内部に汚れがたまりやすくなります。
強制対流式
浴槽のお湯を浴槽のポンプで吸い上げ、熱交換器で温めた後に同じ給湯口から排出します。お湯を循環させる際にポンプを使うため、お湯の循環するスピードが速く、内部が汚れにくいという特徴があります。また、1つの口から吸入も排出もできるため、浴槽には1つしか給湯口がありません。
配管内を通るお湯が汚れていると・・・
浴槽内のお湯が給湯口を通る際、給湯口のフィルターがある程度の固形物は排除してくれますが、お湯に溶け込んだ汚れやパウダーなどは、そのまま配管内を流れていきます。
自然対流式に比べ、強制対流式はポンプを使って強制的にお湯を循環させるので、汚れたお湯が配管内を流れるのは短時間ですが、それでも全く影響がないとは言えないようです。
入浴剤を使用するなら、追い焚き機能は使えないってホント?
上述した通り、追い焚きをすると浴槽のお湯が配管を通って給湯器に流れます。そのため、配管や給湯器を傷める成分が含まれている入浴剤はリスクがあります。
森田さんによると、「入浴剤を使用した後に浴槽のお湯を抜く際、リモコンでたし湯やぬる湯を押して配管に残った入浴剤を流すと、故障につながるリスクが減ります」とのこと。
入浴剤を使うことはNGではないようですが、種類によっては注意が必要なものもあるのだそう。詳しく教えていただきました。
注意が必要な入浴剤(1)にごり湯やとろみ湯
入浴剤には、乳白色に濁るタイプやとろみが出るタイプがありますね。こうした入浴剤の場合、酸化チタンなどのパウダーを使用している可能性があります。パウダーはお湯に溶け切らず、配管や機械の内部に沈殿してしまうリスクがあります。入浴剤を選ぶ際には、にごりタイプより透明タイプ、とろみタイプよりサラサラタイプの方が安心です。
注意が必要な入浴剤(2)硫黄、酸、アルカリ、塩分を含む
温泉を模したタイプなど、入浴剤には硫黄や酸、アルカリ、塩を含む物も多くあります。こうした成分は配管の金属を腐食させてしまうリスクがあります。通常の入浴剤の使用量は濃度が大変低いため、問題にならないことがほとんどですが、多めに入れると故障につながるリスクがあります。用量を守ってご利用ください。
注意が必要な入浴剤(3)発泡する入浴剤
「お湯に入れると発泡するタイプの入浴剤は、炭酸ガスの効果で全身の血流をアップしてくれます。気泡が身体を包み込んでゆっくりと体を温めてくれる効果があり、入浴後も身体がぽかぽかした感じが持続します。
入浴剤を使用する際は、追い焚き中に浴槽の中の循環口アダプターの近くで入浴剤を使用しないよう注意が必要です。給湯器内部に泡が入って循環不良となり、機器の故障につながる可能性もあります」(森田さん)
どうしても心配な場合は、おけなどに入浴剤と少量のお湯を入れ発泡させ、完全に発泡が収まってからお湯ごと浴槽に戻す方法があります。
「リンナイでは、大手入浴剤メーカーの商品をいくつか試し、問題ないことを確認しています。心配な方はリンナイの下記サイトで入浴剤のメーカー名や商品名をご確認ください」(森田さん)
リンナイ株式会社「給湯器|お風呂に使用できる入浴剤は?」
入浴剤不要でリラックス効果抜群のマイクロバブルバスとは?
森田さんによると、最近ではお湯に微細な気泡を発生させ、白濁のお湯を楽しむことができる給湯システムがあると言います。
「リンナイから発売しているマイクロバブルバスユニットは、マイクロバブルと、ウルトラファインバブルが生み出すダブルの効果で、まるで温泉に入っているようなリラグゼーションと温泉上がりのようなうるおいをもたらします。
お風呂に入浴剤を入れる方は温浴効果やリラックス効果を求める方が多いと思いますが、入浴剤を使用するにあたり、ここまでのお話にもあるようにやはり給湯器への影響が気になる場合もあります。
マイクロバブルバスユニットを使用することで、入浴剤でもたらされるのと同様の温浴効果やリラックス効果があることが分かっているので、新しく給湯器の購入を検討される方や買い替える方はぜひ一度検討してみることをおすすめしています」(森田さん)
購入のお客さまからは「今までアロマや入浴剤を楽しんでいましたが、マイクロバブル入浴なら入浴剤なしでもリラックスできます。入浴剤を買わなくて済みそうです」というお声もいただいていると言います。
給湯器への影響を気にせずバスタイムを楽しむ選択肢として、マイクロバブルバスユニットも押さえておくといいですね。
リンナイ株式会社「マイクロバブルバスユニット」
リスクの低いタイプの入浴剤
それでは、どのような入浴剤であればリスクが少ないのでしょうか。
アロマオイルやバスオイルのように固形物が残りにくく、お風呂に溶け込む液体タイプの入浴剤は、追い焚き時のリスクは少なくなります。
柚子や菖蒲など、季節湯や薬湯を楽しみたい場合の注意点
柚子湯、菖蒲湯などの季節湯や生薬を使った薬湯を楽しみたい場合にも注意が必要です。植物の根や皮など固形物が配管に流れてしまうと、配管内に沈殿したり故障するリスクがあります。
柚子や菖蒲は丸のまま浮かべる
柚子や菖蒲など形のまま入れたいものは、土や柚子のヘタ、菖蒲の根などがお湯に落ちないように、よく洗って落としてから、そのままお湯に入れます。
みかん湯は皮を乾燥させ、お茶パックなどに入れる
みかん湯のように皮を乾燥させてお湯に入れたい場合には、白い筋や果皮が落ちやすいので注意が必要です。
お湯が汚れないように、皮をそのまま浮かべるのではなく不織布のポーチやお茶パックなど袋に入れてからお湯に浮かべましょう。
おわりに
種類が多様で選ぶのも楽しい入浴剤。選び方や使い方を間違えると、追い焚き機能に影響を与えてしまいます。商品裏のパッケージも確認し、用量を守ってお使いください。
快適なバスタイムは高効率な給湯器で!
高効率な給湯器なら、必要な時に必要なだけお湯を沸かす瞬間式なので湯切れすることがありません。また、キッチンや洗面などで同時使用が可能。勢いのよいシャワーが楽しむことができます。
エコジョーズは必要な時に必要な分だけのお湯を作れます。家族構成やライフスタイルの変化がこれから予測されるご家庭、人数が少ない家庭だったり、時間が不規則な家庭などにも向いています。
また、暖房機能付きエコジョーズであれば、1台で給湯も暖房もできます。お風呂や給湯に加えて、床暖房や浴室の衣類乾燥・ミストサウナなど、さまざまな付加機能があります。床暖房の設置やミストサウナの導入を検討している方はおすすめですので、ぜひご検討ください。