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富士山の絵が描かれた典型的な日本の銭湯

銭湯の歴史はお寺から始まった! 改めて見直したい銭湯の魅力とは?

家庭のお風呂では味わえない開放感が魅力の銭湯。手軽な料金で心身を癒やしてくれる街中のオアシスですね。銭湯の歴史は古く、その起源は奈良時代までさかのぼります。銭湯の歴史や魅力、おすすめの楽しみ方について東京都浴場組合の常務理事 伊東正博さんにお話を伺いました。

最終更新日:2024.11.1

目 次

銭湯の歴史の始まりは奈良時代に

法華寺の浴室

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今でも身近な銭湯ですが、その始まりは6世紀、奈良時代までさかのぼります。仏教の教えの中に「沐浴」と呼ばれる功徳があったことから、寺院で入浴施設を構え、庶民に入浴をふるまう「施浴」が行われたといいます。

当時の入浴スタイルは今でいうサウナ形式。薪でお湯を沸かし、浴室内にたまった蒸気を浴びます。奈良の法華寺など歴史ある寺院には今でも浴堂が残っているところがあります。

寺院が仏教の教えの1つとして始めた共同入浴の風習は、各地に広まり、平安時代の末には京都に湯屋が登場し、鎌倉時代、室町時代を通して、幕府や寺院による施浴の習慣は広まったそうです。裕福な家が近所の人にふるまう「風呂ふるまい」も行われていました。

江戸東京たてもの園の子宝湯

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江戸時代には、現代と同じ湯船につかるスタイルの「据風呂(すえふろ)」ができたのだそう。また、明治時代には、当時、一般的だった混浴が禁止になりました。また、各銭湯では洗い場が広くなったりと改良が進み、大正時代になると木造の浴槽からタイル張りになって、さらに近代化されていきます。

戦後、銭湯の再建が急速に進んだ東京

温泉マークのついた銭湯の煙突

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太平洋戦争で都内の銭湯の多くは全焼し、その数は約2,800軒から400軒へと減少しました。当時の銭湯は大人気でどこも長蛇の列だったそう。ニーズの高まりとともに新規参入が急増し、戦後から20年で2,200軒以上の銭湯がオープンしたのだそう。特に富山・新潟・石川の北陸三県からの参入が多く、1人のオーナーが複数の施設を経営するチェーン展開が進みました。

一方、戦後まもなく施行された「物価統制令」により、銭湯は地域住民の生活に必要な公衆衛生サービスとして、一定の保護を受けるとともに入浴料が規制されます。こうして「手頃な価格で入れる銭湯」が地域にとって欠かせない場になっていきました。

家庭風呂が普及し、銭湯は非日常のリラクセーションの場へと進化

富士山の絵が描かれた典型的な日本の銭湯

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一気に復興が進んだ銭湯ですが、その後、家庭風呂の普及により徐々にその数は淘汰されていくことになります。2024年現在、銭湯の数は430件までに減少しています。

銭湯は「日常にある生活の場」から、「非日常を味わえる特別な空間」へとその役割を変えていきつつあります。銭湯は進化し、サウナや水風呂、ハーブ風呂、電気風呂、ジェットバス風呂など多様な設備を備えるようになりました。

漫画

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また、施設内にカフェやバー、漫画スペースがあるなど、入浴を楽しむだけでなく、くつろぎの時間を過ごせる施設もあります。お湯に浸かってリフレッシュした後に、淹れたてのコーヒーを飲みながら漫画片手にゆっくりできるのは最高ですね。

改めて見直される、銭湯の持つ健康効果

湯船につかる女性

PIXTA

「大浴場」や「共同入浴」といった特徴を持つ銭湯独自の健康効果も注目されています。

北海道大学医学部の阿岸祐幸先生の研究によると、家庭用の浴槽と銭湯の広い浴槽にそれぞれ入浴した際の脳波の状況を比較すると、銭湯の浴槽の方が脳内で占めるアルファ波の量が増え、その差はなんと3〜6倍(※)になったといいます。アルファ波は心からリラックスしている時や、雑念のない状態の時に優勢になる脳波だそう。

大きな浴槽は水圧効果や温熱効果が高く、血行促進や疲労回復の効果も期待できます。

また、人と一緒に入る共同入浴や交流の場にも健康促進の効果があります。銭湯には常連さんがいたり、店主との会話があったりとコミュニケーションの機会があります。高齢者の中には、銭湯での会話がその日、初めての会話だという人もいるそう。こうしたことからも認知症予防などの効果も期待されています。

なお、東京都浴場組合の伊東さんのおすすめの入浴法は温冷交代浴。熱いお湯で温まって冷たい水で引き締めて、とお湯と冷水を交互に繰り返す入浴法です。血行促進効果や疲労回復、免疫力向上、リラックス、ストレス解消効果、自律神経の調整など、さまざまな効果が期待できるのだと言います。

※出典:東京銭湯「銭湯で元気!」

銭湯の新しい楽しみ方〜スタンプラリーやトレカも!〜

東京銭湯 スタンプラリー

東京銭湯

東京都浴場組合では、銭湯ファン向けのさまざまな取り組みをしています。こうしたイベントも銭湯の楽しみの1つです

銭湯ファンのSNS「銭湯サポーター」

Facebookのコミュニティです。現在、約13,500名のサポーターがいて、コミュニティ内に銭湯に関する情報を投稿できます。例年、銭湯の日(10/10)近くにオフ会を実施しています。オフ会は大人気でサポーターの中から抽選で選ばれると参加できます。

銭湯のスタンプラリー「銭湯お遍路

東京都浴場組合本部や一部の銭湯にて配布しているスタンプノートです。88施設の枠があり、うれしいことに期限はなし。自分のペースで都内の施設を回ることができます。「26浴場達成」などで認定証を受けることができます。

アプリ版「東京都浴場組合

東京都浴場組合「アプリ」

東京都浴場組合「アプリ」

デジタルスタンプを集めることもできます。銭湯の各施設でQRコードを読み込むとスタンプを入手できます。

銭湯トレカ

2024年12月にトレカが登場しました。各銭湯でオリジナルのトレーディングカードを購入できます。

銭湯ガイドブック「1010誌」

銭湯ガイドブック「1010誌」

東京銭湯

東京都浴場組合が毎月発行する小冊子です。都内の銭湯や都営地下鉄の一部で無料で配布されています。変わり湯の紹介やサウナ銭湯の楽しみ方、銭湯エッセイなど多様な特集があります。

おわりに

改めてその魅力が見直されている銭湯。日本の伝統文化として地域で守っていきたいですね。

  • この記事取材先

    東京都公衆浴場業生活衛生同業組合

    東京都公衆浴場業生活衛生同業組合

    常務理事 伊東正博

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公開日:2024.11.1

最終更新日:2024.11.1

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