【保存期間の目安:約2〜3週間、春キャベツ=約1週間】まずは基本の「冷蔵保存」

提供:小島香住
キャベツはポイントを押さえれば冷蔵保存で2〜3週間もの間、鮮度を保てる長期保存向けの野菜だと小島さんは言います。
「キャベツの保存適温は0〜5℃。収穫したままの外葉がついた状態であれば、冬場は冷蔵庫に入れず、室温の低い場所で保存することができます。しかしスーパーなどで売られているキャベツはほとんどの場合、外葉が外されていると考えた方が良いため、冷蔵庫での保存が基本となります」(小島さん)
保存適温を考えると冷蔵室の方が適していますが、棚に収まらない場合は野菜室でOK。温度が比較的低い奥の方に入れるようにします。
キャベツは「成長点」をくりぬいて鮮度をキープ

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「キャベツの鮮度を保つには、保存の前に成長点をくりぬくのがポイントです。成長点とは、キャベツを半分に切ったときに見える三角の形をした芯の部分。くりぬいた部分に水でぬらしたキッチンペーパーを詰め、必ず冷蔵保存してください」(小島さん)
保存中に切断面が多少茶色くなることもありますが、気になる場合は調理時に変色した部分をスライスするなどして除去すればよいそうです。
また、春先に出回る春キャベツも、同様の手順で保存することができるとのこと。
「水分が多く乾燥に弱い春キャベツも同じ方法で1週間程度、冷蔵保存できます。冬キャベツも春キャベツも、食べる時は外側から順に葉を剥がして使ってください。使っていくうちに、最初に取りきれなかった芯の先端までくりぬけるようになるので、そこでもう一度芯を取り除くとよいでしょう。また、買ったときに外葉がついていた場合は、剥がしても捨てずに、それで本体を包むようにして、乾燥防止に活用するのがおすすめです」(小島さん)
【手順】
1.芯をくりぬく
2.水でぬらししっかり絞ったキッチンペーパーをくりぬいた部分に詰める
※水を与えるというより、乾燥を防ぐイメージ。キッチンペーパーが全体的に湿っていればOK。
3.2〜3枚くらい外葉を外して全体を包む。

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4.ラップまたは大きめのポリ袋に入れて冷蔵保存する
※外葉があまりない場合などはキッチンペーパーで包んでもOK。

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「くりぬいた部分に詰めたキッチンペーパーは3日おきくらいに新しいものに替えてください。くりぬいた芯も、薄くスライスしたり、千切りやみじん切りにするとおいしく食べられます。ミートソースやギョーザに入れるのもおすすめですよ」(小島さん)
【保存期間の目安:約1週間〜10日間】カットキャベツの保存方法
【手順】
1.芯をくりぬく
2.ぬらしてしっかり水気を絞ったキッチンペーパーを、くりぬいた部分にも貼り付けるようにして、全体を包む

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3.ポリ袋に入れて、冷蔵保存
「1玉丸ごとと比べると鮮度を保てる期間は短くなりますが、カットキャベツも同様に芯を取り除いて保存します。この場合もぬらしたキッチンペーパーは、3日程度で取り換えるようにしてください」(小島さん)
【保存期間の目安:約1カ月】刻んだ後のキャベツは「冷凍保存」を

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小島さんによると、刻んだキャベツを保存したい場合は、冷凍保存がおすすめとのこと。
「刻んだキャベツは、冷蔵保存してもあまり日持ちしません。冷凍するとシャキシャキ感がなくなるため加熱料理向きといえますが、生食も可能です。例えば、ざく切りにして冷凍した場合はみそ汁やスープ、焼きそばなどに。千切りして冷凍したものは、解凍後しっかりと水気を絞ると、塩もみしたキャベツのような食感になるので、コールスローやツナと合わせるサラダなどに使うとよいでしょう」(小島さん)
また、キャベツをくし切りにしてから冷凍したものは、温野菜やポトフなどの加熱調理に使うのがよいそうです。
【手順】

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- 千切り、みじん切り、ざく切り、くし切りなどにしてジッパー付きの冷凍保存袋に入れる
- 空気を抜いてジッパーを閉じ、冷凍する
中心に近い部分は冷凍保存を活用して使い切り!
「荒みじん切りにして、冷凍したキャベツをお好み焼きに使うのがわが家の定番! ぱぱっと作りたいのに、意外とキャベツを刻むのが面倒なお好み焼きですが、これがあると登場頻度が増えます。キャベツの中心に近い部分はまとめて刻んで冷凍することが多いですね。少し太めの千切りにすると解凍後に食感を生かしやすいです」(小島さん)
【保存期間の目安:発酵後冷蔵保存で約1カ月】発酵キャベツの作り方

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「キャベツは冷蔵保存が基本ですが、もともとキャベツに含まれている乳酸菌の力を活用して、常温で乳酸発酵させることで発酵キャベツ(ドイツではザワークラウト、フランスではシュークルートと呼ばれるもの)を作ることができます。発酵した状態なら冷蔵庫で1カ月程度保存ができますよ。
発酵キャベツはそのままサラダや料理の付け合わせとして、またソーセージや肉の煮込み料理に使うのもよいでしょう。塩味と発酵による酸味があるので、調味料代わりにもなります。お好みでタカノツメやクローブ、クミンのホールなどを加えてアレンジしてもおいしいですよ」(小島さん)

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【手順】
1.キャベツを粗めの千切りか短冊切りにし、塩もみする(塩の量はキャベツの重量の2%)
2.1の水気を絞ってから清潔な容器に入れ、上部分を埋めるようにラップを詰める
瓶の上部に空いた空間にラップを詰めることで、瓶内の空気を抜き、発酵中に上がってくる汁にキャベツ全体を浸すことができます。

提供:小島香住 仕込み時の状態
3.直射日光の当たらない場所に置き、常温で3日ほど発酵させる。発酵後は上部のラップを外して、冷蔵庫で保存する

提供:小島香住 発酵中の状態、キャベツから水が出て量が減ってくる
「発酵を見極める目安は、見た目と味をチェックしてみてください。水分が出てキャベツの量が半分程度に沈み、酸味が出てきたら出来上がりです。お好みで加えるスパイスは、発酵させる際に一緒に入れてもOKです」(小島さん)
ちなみに、清潔なジップ付きの保存袋でも作ることは可能だそう。その場合は袋の中の空気を抜いて、平らにならして発酵させると良いそうです。
キャベツを塩もみしておけば1週間程度「冷蔵保存」もOK
「塩もみしたキャベツは発酵キャベツにしなくても、冷蔵で1週間程度保存ができます。そのままコールスローなどのベースに活用できますよ」(小島さん)
キャベツの栄養素や健康に役立つ効果は?

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「キャベツにはビタミンCや食物繊維、胃腸の調子を整えるキャベジン(ビタミンU)など、多くの栄養素が含まれています。うまみ成分であるグルタミン酸が含まれているのも特徴です。また、通年で流通している冬キャベツより、春キャベツの方がビタミンCやカロテンが豊富に含まれています」(小島さん)
ビタミンCやビタミンUは水溶性で熱にも弱いため、千切りキャベツやサラダなど、生で食べる料理に使うと摂りやすいでしょう。また汁ごと食べるスープや煮込み料理でもOK。熱による損失を防ぐには長時間煮込まないようにするのがポイントです。
おいしいキャベツの見分け方

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おいしいキャベツは芯の切り口をチェックするのが良いと小島さん。「切り口がみずみずしく黒ずんでいないもので、小さめのもの」がおすすめなのだそう。さらに、冬キャベツと春キャベツでは選び方が異なるということで、小島さんにそれぞれの選び方を教えていただきました。
冬キャベツの選び方
- 外は薄緑色で中は白色の冬キャベツは、扁平(へんぺい)な形で巻きがぎゅっと強いものを選ぶ
- 上部が紫がかっているものだと甘みが強い
春キャベツの選び方
- 外側が濃い緑色で中は黄緑色の春キャベツは、縦長の円形で巻きがふんわりしているものがおすすめ
キャベツを使ったおいしいレシピ

今すぐ試したい、キャベツを使ったおすすめレシピはこちら!
おわりに
長期間鮮度を保てる冷蔵保存法のほか、冷凍、塩もみや発酵など、キャベツには思いのほかさまざまな保存方法があることがわかりました。臨機応変に保存方法を変えていけば、一玉を購入してもロスなく食べ切ることができそうです。キャベツは栄養も豊富なので、上手に保存して、食べる機会を減らさないようにしたいですね。