大葉はポイントを押さえて保存すれば1カ月も長持ちする!
薬味や料理の彩りなどで活躍する大葉は、シソの一種で青じそと呼ばれるもの。昔から日本人に親しまれている食材です。家庭菜園などで育てる人も多いですが、「日持ちがしない食材」というイメージが強いのではないでしょうか。
ところが野菜ソムリエの小島さんによると「大葉は簡単に約1カ月保存することができる」とのこと。水気が抜けてしおれないよう注意すれば、フレッシュな生の状態で冷蔵保存することができるそう。
また大葉は冷凍や乾燥など、いろいろな保存法が可能だといいます。使い方や量に合わせてぴったりの保存方法を選べば、きっと「すぐに傷んでしまっていつも使いきれない」という悩みからは解放されるでしょう。
大葉の保存方法「冷蔵保存」
大葉はさまざまな形で料理に活用できますが、「できればフレッシュな状態で使いたい」と思う人が多いでしょう。特に盛り付けの彩りとして使う場合は、葉の形を生かして使いたいもの。
「それならば、簡単で、しかも保存期間が長くなっても傷みにくい冷蔵保存が断然おすすめ」と小島さん。
ここでは3つの冷蔵保存方法を紹介します。
【保存期間の目安:約1カ月】瓶に入れて冷蔵保存
「大葉は乾燥に弱く、収穫すると水分の供給がなくなるため、すぐシナシナになります。しかし、切花と同じように切り口を水につけて保存すると、茎が水を吸い上げるため長く保存することができます。
保存する際は、水を張ったボウルで優しくふり洗いをするのが良いでしょう。葉に傷がつくと香りも飛んでしまいますし、痛みやすくなります。
食べる前に洗う際も蛇口から出る水で直接洗うのではなく、溜めた水で優しく洗うのがコツです」(小島さん)
瓶で冷蔵保存する方法
【手順】
- 茎をキッチンバサミで切りそろえる
- 瓶に茎の切り口が浸かるだけの少量の水を入れる
- 大葉を瓶に入れて蓋を閉め、冷蔵庫の倒れにくい場所で保存する
瓶で冷蔵保存をする場合の注意点は?
「葉に水がつかないよう、瓶の内側の結露などにも注意すると良いでしょう。水は4〜5日ごとに取り替えてください」と小島さん。
本来、大葉を保存するには野菜室の方が適温ですが、開け閉めの際に瓶を倒したり葉に水がかかったりしやすいため、瓶は冷蔵室の棚に置くのがおすすめなのだそう。ドアポケットも同様の理由から避けた方が良いそうです。
「冷蔵室の棚でも奥にしまい込んでしまうと温度が低すぎて一部が凍ってしまう場合があるので、手前に置いておくことをおすすめします」(小島さん)
【保存期間の目安:約1カ月】コップや保存袋で冷蔵保存
大葉が入るちょうど良いサイズの瓶がなければ、手持ちのコップ+保存袋でも同様に冷蔵保存することができると小島さん。
保存袋はジッパーで簡単に口を閉じられるのがメリットですが、コップを入れるとかさばるデメリットもあります。そこで、ポリ袋など柔らかい袋を使うとコップに沿って形を整えやすいため、省スペースで保存ができるそうです。
「適当な大きさのコップが用意できなくても、保存袋の角を利用して同様に保存することも可能です。保存袋のみを使う場合は、ドアポケットなどでうまく角度を調整して、倒れないように工夫してみてください」(小島さん)
最近では100円ショップに大葉専用の保存容器が売られていることがSNSで話題になったことも。手軽に試せる身近な容器や袋を使って冷蔵保存を試してみてください。
【保存期間の目安:約1週間】保存容器とキッチンペーパーで冷蔵保存
「少量の水に茎を浸す保存方法なら1カ月もの長期間、簡単に保存できますが、容器に水を溜めて保存するのは避けたい場合、キッチンペーパーを活用する方法があります」(小島さん)
この方法は比較的すぐ使うとわかっている場合や、葉2〜3枚など少量の大葉を保存する場合に適しているそうです。
キッチンペーパーで冷蔵保存する方法
【手順】
- 水を張ったボウルでふり洗いをして軽く水気を切る
- 保存容器にキッチンペーパーを敷き大葉を入れ、ふんわりとキッチンペーパーを畳むように被せる
- 保存容器の蓋をして、野菜室で保存する
キッチンペーパーを使って冷蔵保存をする場合の注意点は?
「キッチンペーパーは大葉の乾燥を防ぐと共に、余計な水分を吸収する役割もあります。キッチンペーパーが乾いてきたら、少量の水で湿らせるのが、上手に保存するコツです」(小島さん)
大葉の保存方法「冷凍保存」
冷凍すると少し香りが弱まったり、色が濃くなったりしますが、薬味として少量ずつ使いたいときには便利な保存方法です。詳しく教えていただきました。
【保存期間の目安:約1カ月】薬味を作り置き!
「家庭菜園などで取れたたくさんの大葉を保存したい場合や、作り置き感覚ですぐに使える薬味として保存したい場合は冷凍保存しても良いでしょう」(小島さん)
冷凍保存する方法
【手順】
- 水を張ったボウルでふり洗いをした後、しっかりと水を切る
- 千切りにした大葉を写真のようにふんわりと保存容器に入れる
- 蓋をして冷凍庫で保存する
解凍せずにそのまま使うので、水洗いをしてから刻んで冷凍します。
冷凍保存をする場合の注意点は?
写真は冷凍後の様子。驚くことに見た目は冷凍前とほとんど変わりません。
「刻んだ大葉が傷つかないよう、ふんわりと容器に入れるのがコツです。小分けにしてラップに包んだり、ジップ付き保存袋を使うと葉が傷むので、保存容器を使うのがおすすめです」(小島さん)
大葉の保存方法「乾燥して保存」
たくさんの大葉を長く保存したい場合は、乾燥保存するのがおすすめです。詳しく教えていただきました。
【保存期間の目安:約1カ月】乾燥保存ならふりかけに!
「乾燥した大葉とごまや塩など好みの具を合わせて、ふりかけとして保存するのもおすすめです。乾燥保存する場合は、湿気などを避けるためにも冷蔵庫で保存するのがポイントです」(小島さん)
乾燥保存させる方法
【手順】
- 水を張ったボウルで大葉をふり洗いしたら、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る
- 耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、重ならないように大葉を並べる
- 600Wで3分加熱し、手で揉んで好みの大きさに砕く
- 保存瓶などに入れて冷蔵庫で保存する
「レンジで乾燥させる時間を600Wで3分としていますが、使用する電子レンジによっては乾燥具合が異なり、場所によってムラが出たりするので、1分半くらいから様子を見てください。状況によってはお皿の向きを変えたり、加熱時間を調整してみてください」(小島さん)
パリッとさせるためには、ラップをせずに加熱するのがポイントだそうです。
ほかの乾燥食材と合わせてふりかけに
【おすすめの材料】
大葉…5枚
ちりめんじゃこ…大さじ1
炒りごま…小さじ1
「乾燥させた大葉を好みの大きさに砕いたら、好みの具と混ぜ合わせると香り高いふりかけが簡単に完成します。ちりめんじゃこなどの乾燥食材と合わせると良いでしょう」(小島さん)
大葉の保存方法「漬けて保存」
大葉を大量消費したい時や、数枚の使い残しができた時の両方に使えて便利なのが、大葉を漬けて保存する方法です。詳しい保存方法を教えていただきました。
【保存期間の目安:漬けるものによる】ご飯のお供に!
「味噌漬けは葉が破れやすく扱いにくいので、醤油漬けがおすすめです。ごはんのお供にぴったりの副菜になりますよ。ただ醤油そのものに漬けると日持ちはしますが、辛すぎて食べにくいこともあるため、ここではおいしく食べられる漬け方を紹介します」(小島さん)
漬けてから1時間ほどで食べられるのもお手軽です。そのままご飯に載せるのもよし、刻んで冷奴やうどん、パスタなどにのせてもおいしいとのことです。
醤油などの液体に漬けるときのポイントは、「落としぶた」ならぬ「落としラップ」をして、漬けムラをふせぐことだそうです。
ニンニク香る大葉の万能醤油漬け
【おすすめの材料】
大葉…10枚
醤油…大さじ1
ごま油…大さじ1/2
おろしニンニク…小さじ1/2
炒りごま…小さじ2
※コチュジャンや一味唐辛子を好みで加えて、ピリ辛にすると大人の味に
※紹介した保存方法の中で一番保存期間が短いので(冷蔵庫で約4日間)、早めに食べること
【手順】
- 保存容器に調味料を入れ混ぜ合わせる
- 水を張ったボウルで大葉をふり洗いをして、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る
- 2の大葉を1枚ずつ保存容器に入れ、1時間ほど漬けて完成
「ムラなく漬けダレに浸すため、大葉を1枚ずつ入れたら、ラップを落としぶたのように被せるのが上手に漬けるコツです」(小島さん)
大葉の栄養素や健康に役立つ効果は?
手間なく簡単に長期保存ができると分かって、改めて大葉に興味を持った人も多いのではないでしょうか。薬味や彩りなど、料理の脇役として活躍する大葉ですが、実は豊富な栄養素を含んだ食材でもあります。
「大葉には、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウ、 鉄、カリウム 、食物繊維、α-リノレン酸、ロズマリン酸などが含まれます。ただしポリフェノールの一種であるロズマリン酸は赤じその方が多く含まれています。ペリルアルデヒドと呼ばれる大葉の香り成分は、食欲増進や消化促進作用に優れ、抗菌や殺菌作用などもあります」(小島さん)
刺身盛りに大葉が添えられているのも、彩りや香りを添えるだけでなく、生魚を傷めない効果があるのだそう。
おいしい大葉の見分け方
最後に、スーパーなどで購入する際に、おいしい大葉を見分ける方法を小島さんに教えてもらいました。
- 葉脈がはっきりしていて、左右対称のもの
- 緑が濃すぎない
- 葉の縁が茶色く焼けてない
「葉が大きすぎると筋っぽい可能性もありますので注意してみてくださいね」(小島さん)
大葉を使ったおいしいレシピ
主食でも副菜でも大活躍の大葉を使ったレシピをご紹介します。
おわりに
大葉は上手に冷蔵保存すると、1カ月を過ぎてもフレッシュな状態をキープできる食材です。薬味としてはもちろん、他にもさまざまな使い方ができます。今回は小島さんにふりかけなどご飯のお供となる保存法も教えてもらいました。手軽な保存法を知って常備したいと感じた方も多いのではないでしょうか。ぜひいろいろな保存法に挑戦してみてくださいね。