フレッシュバジルは「冷蔵保存」が基本!
あっという間に黒ずんでしまうイメージのフレッシュバジルですが、温度や水の付着に気をつければ長持ちさせることが可能だそう。簡単に葉を良い状態でキープできる2つの冷蔵保存の方法を小島さんに教えてもらいました。
【保存期間の目安:1週間〜10日】キッチンペーパーと保存容器で
1週間程度で使い切る予定なら、保存容器に入れて冷蔵保存するのが一番手軽だそう。保存袋やラップを使うよりも、保存容器の方が葉を傷めにくいのでおすすめです。
「バジルが黒ずむのは低温障害や、葉に水が付着したままになっていることが原因です。また新芽の部分が黒ずんでくるのは、成長を止めて、今ある大きな葉に栄養を送ろうとするため。できるだけ長く良い状態を保つには、乾燥を防ぎつつ、冷蔵庫の冷気が直接当たらない場所に保存することが大切です」(小島さん)
【手順】
- 軽く湿らせたキッチンペーパーを保存容器の底に敷く
- バジルを入れる
- 軽く湿らせたキッチンペーパーをバジルにかぶせて容器のふたを閉めて、野菜室で保存する
キッチンペーパーと保存容器で冷蔵保存をする場合の注意点は?
「バジルをぎっしり入れすぎないようにするのがコツ」と小島さん。葉が傷つくと黒ずみの原因になるので、余裕のあるサイズの保存容器を選ぶのがポイントだそう。
【保存期間の目安:約2週間〜1カ月】水をいれた瓶で長期保存も可能
「もう少し長くフレッシュな状態をキープしたいなら、瓶を活用するとさらに長もちさせることができますよ。この方法なら買ってきたままの状態とほぼ変わらず約2週間はもちます。保存しているうちに茎の先端から根が出てくる場合もありますが、葉の変色はほぼ抑えられます。それ以上保存期間が長くなると新芽の部分が黒くなってきますが、大きな葉は1カ月程度は新鮮な状態を保てるでしょう」(小島さん)
【手順】
- 瓶にバジルの茎の先端が軽く浸かる程度の水を入れる
- バジルを瓶に入れてふたを閉め、冷蔵庫の倒れにくい場所で保存する
- 瓶の水は4〜5日ごとに取り替える
「本来、バジルの保存には野菜室の方が適温ですが、野菜室のドアを開け閉めする際に瓶の中の水が葉にかかってしまうと黒ずみの原因になってしまいます。ドアポケットも同様の理由から避けて、瓶が揺れたり倒れたりしにくい冷蔵室の棚に置くのがおすすめです」(小島さん)
ただし、冷蔵庫の奥は温度が低いため、凍ってダメになってしまう可能性があるそう。バジルを入れた瓶はできるだけ庫内手前の取り出しやすいところに置きましょう。
すぐ使うなら「常温保存」も可能!
フレッシュバジルの場合、買ってきて比較的すぐに使用する場合は、常温保存も可能です。どのように保存したらよいのか小島さんに教えていただきました。
【保存期間の目安:2週間】コップにさして切り花感覚で
「バジルは切り花のようにコップの水にさして、常温保存することも可能です。冷蔵保存と同じように大きな葉の部分は2週間程度は保存可能ですが、茎の先端から根っこが出る量が増えたり、新芽の部分が黒ずんだりと、冷蔵保存したときより多少見た目の変化は大きいでしょう」(小島さん)
【手順】
- コップや瓶に水を入れる
- バジルの茎を水につける
この方法はすぐ使い切るとわかっているときや少しずつ頻繁に使用する場合に便利です。
ちなみに、根がでてきたら、液肥を与えて水耕栽培に移行したり、プランターなどに植え替えるとより大きく成長し、繰り返し収穫できる場合もあるそうです。
バジルを常温保存をする場合の注意点は?
「水は定期的に取り替えてください。また茎や根にぬめりが出てきたら指で優しく擦って洗うと良いでしょう」(小島さん)
バジルを洋風料理に使うなら「オイル漬け保存」もおすすめ
「バジルを洋風に使うことが決まっているなら、オイル漬けで保存するのもおすすめです。漬けた葉だけでなく、バジルの香りが移ったオイルもおいしく使えます。
バジルのオイル漬けは常温保存するほか、漬けたバジルを刻んで冷凍すれば約1カ月保存できます。またバジルとオイルを一緒にミキサーにかけてバジルペーストにするという方法もあります」(小島さん)
【保存期間の目安:2〜3週間】丸ごとオイル漬けは常温保存OK
「バジルをしばらく漬け込んでバジルの香りが移ったオイルは、サラダやパスタ、ピザなどによく合います。肉料理の香り付けに使うのも良いですね。漬けたバジルの葉もカプレーゼやピザなどに乗せてそのまま食べられますよ」(小島さん)
【手順】
- バジルを洗い、水をしっかり拭き取る
- 清潔な保存容器にバジルを入れ、オリーブオイルを注ぐ
- 常温で保存する
バジルをオイル漬けにして常温保存する場合の注意点は?
「キャニスターなどの保存容器は、煮沸やアルコールなどで消毒をした清潔なものを使用してください。手軽なのは、食品に使用できるアルコールを染み込ませたキッチンペーパーなどでよく拭いて消毒する方法です」(小島さん)
【保存期間の目安:1カ月】刻んでオイル漬けにしたものは冷凍保存で
「常温で保存したオイル漬けと同じように、ピザやパスタ、肉料理の香り付けに便利です。解凍ぜずそのまま使えますよ。袋を使うので場所をとらないのもメリットです」(小島さん)
【手順】
- 洗って水気を切ったバジルをみじん切りにする
- 保存袋に入れオリーブオイルを加える
- 平らに伸ばして冷凍する
刻みバジルのオイル漬けを冷凍保存する場合の注意点は?
「オリーブオイルは細かく刻んだバジルが全体に浸るぐらいまで入れ、空気をしっかりと抜いてください。平らにならした状態で冷凍します」(小島さん)
【保存期間の目安:冷凍1カ月、冷蔵3日】バジルペーストにする方法
「パスタやピザ、肉料理など、料理に合わせて味付けを変えたい場合は、シンプルにバジルとオリーブオイルをミキサーにかけた状態で保存することをおすすめします。使いたい料理が決まっている場合は塩やニンニク、ナッツなどを混ぜてジュノベーゼソースにするのも良いですね」(小島さん)
【手順】
- 洗ったバジルの葉を茎から外す
- オリーブオイルと一緒にミキサーやフードプロセッサーで撹拌する
- 冷凍できる清潔な保存容器に入れて冷凍する
「バジルペーストは冷蔵保存だと3日程度しかもたないので、冷凍保存がおすすめです。解凍せずそのまま料理に使うことができます」(小島さん)
【ジュノベーゼソースの材料】
バジル…80g
オリーブオイル…120ml
塩…小さじ1
にんにく…1片
粉チーズ…30g
松の実…30g
「乾燥保存」や「塩漬け保存」など、他にもまだあるバジルの保存方法
【保存期間の目安:1カ月】大量にバジルが手に入ったら「乾燥保存」を
家庭菜園などでバジルが大量に収穫できたら、乾燥して保存する方法もあるそう。
「天日干しすることもできますが、電子レンジでの乾燥がおすすめです。乾燥させる時に重ならないように並べる必要はありますが、天日干しに比べて鮮やかな緑色が残りやすいのが特徴です。乾燥することで量が減るので、大量のバジルも保存しやすくなります」(小島さん)
【手順】
- バジルを洗って葉を茎からはずして、水を拭き取る
- 耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、重ならないようにバジルを並べる
- 15〜20枚程度を目安に、レンジで600Wで2分加熱する
- ポリ袋に入れ細かく砕く
- 保存瓶などに入れて冷蔵庫で保存する
洗ったバジルは茎からはずし、キッチンペーパーの上に並べたら、上からさらにキッチンペーパーを重ね、押さえるようにして水気を取るのが効率的でおすすめだと小島さん。
「レンジで乾燥させる時間を600Wで2分としていますが、使用する電子レンジや葉の大きさ、量によっては乾燥具合が異なります。まだ水分が残っている場合は、30秒ずつ加熱を繰り返して様子を見てください。乾燥バジルは肉や魚の下味付けや、焼く時の香り付けにそのまま使えるほか、サラダなどのトッピングや揚げ物に使うパン粉に混ぜてもおいしいですよ」(小島さん)
【保存期間の目安:2〜3カ月】本気の長期保存なら「塩漬け」に!
「バジルを一番長く保存できる方法が塩漬けです。塩漬けに使った塩はハーブソルトとして使えますし、バジルは葉についた塩を払う程度で、塩抜きせずに料理に使えます。ただしこの場合は、塩分を考慮して、刻んだあと調味料に近い感覚で使います」(小島さん)
【手順】
- バジルをしっかりと洗い、水気を拭き取る
- 瓶などの清潔な保存容器に塩→バジル→塩の順で詰める
- 冷蔵庫で保存する
バジルの栄養素や健康に役立つ効果は?
バジルは独特の香りで、サラダやパスタ、ピザなどイタリア料理には欠かせないハーブです。
「日本で多く流通しているのはスイートバジルという種類。バジルには抗酸化作用のある-βカロテンやビタミンEが豊富で、マグネシウム・カルシウム・鉄などのミネラルも含まれています。バジル特有の香りはリナロールという精油成分で、食欲増進作用はもちろんのこと、リラックス効果や集中力を高める効果もありますよ」(小島さん)
おいしいバジルの見分け方
最後に、スーパーなどで購入する際に、おいしいバジルを見分ける方法を小島さんに伺いました。チェックポイントは次の2つだそう。
- 葉の色が濃く、みずみずしいもの
- 葉先までハリのあるもの
「大きな葉の間にある新芽が変色していないか、葉にしおれている部分がないかなど、注意してみてくださいね」(小島さん)
バジルを使ったおいしいレシピ
さわやかに香る「バジルのポタージュ」
フレッシュのバジルを使ったさわやかなポタージュです。温かくても冷たくしても美味しくいただけます。
目玉焼きと一緒に!「牛肉のタイ風バジル炒め」
ピリッと辛い炒め物に、目玉焼きをのせてジャスミンライスと共に頂きます。タイの方が最も好む炒め物といわれています。
おわりに
味や香りの決め手に、代わりのきかない食材といっても過言ではないバジル。
茎から根が生えたり、新芽が黒ずんでくることはあまり気にせず、実際に使う大きな葉の部分が長く新鮮な状態を保つことができればOKと考えると、普段づかいにバジルを買うハードルも下がりそうです。さまざまな方法で上手に保存して、無駄なく使い切れれば、ハーブをつかいこなす腕もあがりそうですね。