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トースト 卵 朝食

朝ごはんは食べる派? 食べない派? 必要性やメリット、デメリットをプロに聞きました

「早寝早起き朝ごはん」と国民運動もあるほど重視されている朝ごはんですが、なぜ重要なのでしょうか。大人の中には食べない方が調子が良いという人もいますが、その弊害はあるのでしょうか。日本こども成育協会の隅弘子先生に、朝食の重要性や食べないことのデメリット、習慣化のコツなどについてお聞きしました。

最終更新日:2024.9.30

目 次

朝ごはんを食べないとどうなる?

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TOKYO GAS

厚生労働省の調査によると、朝ごはんを食べない割合は男性で約15%、女性では約10%で推移しており、その割合は男女ともに20代が最多です(※)。そうした人々の中には「朝、気持ち悪くて食べられない」「朝ごはんをとらずに1日2食にした方が体調が良い」という人もいるようです。そもそも、人間の身体にとって朝ごはんは必要なのでしょうか。

日本こども成育協会の隅弘子先生(以下、隅先生)は「基本的には朝ごはんを食べるのが正解です」と言います。

「大人の場合、ダイエット方法にも正解がないように、朝ごはんを食べるべきかそうではないかといったことに結論はつかないと思います。さまざまな生活習慣もあると思いますから、ライフスタイルにあわせた自己判断で整えていくのがよいでしょう。

とはいえ、やはり朝ごはんを食べた方が良いことに変わりはありません。みなさんの平熱はどのくらいですか? 36度以下という方も多いのではないでしょうか? 大人の平熱が低い傾向もさることながら、昨今、子どもの平熱も低体温化してきているように感じます。低体温だと免疫力が下がり、さまざまな病気にかかりやすくなります。朝食をしっかりととり、体温を上げるだけでも仕事のパフォーマンスは大きく変わりますよ」と隅先生。

食事の回数を減らす弊害は、他にもあると言います。1日3食から2食に減らす際、多くの人は1回ごとの食事量が増えてしまう傾向にあるそうです。

隅先生「1日2食にした場合、『1回分食事の回数を減らしたから、その分1回当たりの食事で少し多めに食べても大丈夫』となり、1回当たりのカロリーが高くなりがちです。お相撲さんの食事スタイルは1日2食だということは有名ですが、これは体重を増やすための食習慣です。1日2食にすることで身体が『この人間は1日2回しか食事をとらないから、1回の食事でできるだけ栄養分をため込もう』と太りやすい体質にもなります。適切な食事量を3食に分散して食べることで、余分に食べないようにすることができますね」

痩せたいから朝ごはんを抜いているという人もいますが、逆に太りやすくなってしまう可能性もあるんですね。健康的に痩せるためにも朝ごはんをしっかりとって、朝からパワーをチャージした方がよいようです。

※出典:厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査の結果」

子どもには、朝ごはんは不可欠

ファミリー 朝食を食べる女の子

PIXTA

大人の場合はライフスタイルや個々人の判断によるとはいえ、本来は朝ごはんを含めた1日3食がベストということでした。それでは子どもの場合はどうなのでしょうか。

最近は子どもの朝食抜きが問題となる中で、文部科学省が2006年4月に「早寝早起き朝ごはん」運動を開始しています。隅先生も、子どもに朝ごはんの習慣は不可欠と指摘します。なぜ子どもの朝ごはんは重要なのでしょうか。

子どもの朝ごはんが不可欠な理由(1) 食事が2回だと栄養バランスが崩れるため

フレンチトースト

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隅先生「大人と比べ、幼児は必要な摂取カロリーは半分くらいですし、食べる量も少なくてよいと思われがちです。しかし、栄養バランスについて考えた際、必要な栄養素のうち一部の栄養素、特に鉄分やカルシウムについては、幼児でも大人とほぼ同じ量を摂取する必要があるんです。朝1回分の食事を抜いてしまうと、残りの昼と夜の2回だけで十分な栄養をとるのは難しくなります」

また、子どもは胃が小さく消化機能も発達段階の途中で、食事の回数を分けてこまめに栄養を摂取することが重要と隅先生。鉄やカルシウムなどは、子どもの発育に必要な栄養素。欠かさずとらせてあげたいですね。

子どもの朝ごはんが不可欠な理由(2) 朝から体温を上げるため

サンドイッチを食べる女の子

PIXTA

なぜ、昼食や晩ごはんだけでなく、「朝食」を食べる習慣が重要なのでしょうか。

「まず、食べることで脳を目覚めさせるためです。寝起きはぼーっとしているというお子さんも多いかもしれませんが、手にスプーンやフォークを持って手と口を動かすことで徐々に目が覚めていきます。

子どもは大人よりも長い9~10時間程度の睡眠をとります。つまり、欠食時間が長いということは血糖値も下がった状態となります。ぼーっとしているというのは、まさに低血糖状態のサインといえます。おにぎりやパンなど主食に含まれる糖質を朝ごはんでしっかりとチャージしないと脳が働いてくれません。これは大人も同じで、午前中の活動パフォーマンスを上げるためにも朝食は重要です。

もう一つは体温を上げるためです。近年、子どもの体温が低くなっています。運動不足などさまざまな要因はあるものの、朝食で朝から摂ることは体温アップのベースとなるエネルギーを生み出し、体温を上がりやすくします。園や家庭で元気に過ごすためにも必要であり、本来もっている免疫機能をしっかり働かせます。風邪にもまけない、元気いっぱいな毎日のためには体温をしっかりあげる食習慣は欠かせません」(隅先生)

子どもの朝ごはんが不可欠な理由(3) 生活習慣を身に付ける

食事する子供とママ

PIXTA

朝ごはんを毎日食べるためには、子どもの頃からの習慣付けが重要だと隅先生は指摘します。

隅先生「私が教えている専門学校では、毎年新しく入学した学生に食履歴シートというものを提出してもらいますが、朝ごはんを食べる習慣のない学生が多く、幼児期から食べていなかったと回答しています。保護者が食べさせる習慣を付けてあげないと、大人になってからも朝ごはんを食べないクセがついてしまいます」

隅先生によると、子どもが朝ごはんをとる習慣がない家庭の多くは、大人も1日2食の傾向にあるそうです。

「子どもは大人のマネをします。多くのご家庭では“親が朝食を食べているのに子どもだけが食べない”ということはありません。大人が食べていれば、必然的に子どもも食べるようになります。そういった意味でも、大人も朝食を食べる習慣を持つことは大切です。あまり食べたがらない子どもの場合、無理に食べさせようとするのではなく、一緒に食べよう、と声掛けをして少しずつでも一緒に食べることで徐々に食べることができるようになりますよ」(隅先生)

これまで朝ごはんをとる習慣のなかった大人も、子育てを機に朝ごはんを習慣化してみるとよいとのことです。

朝ごはんを習慣化するには、まずハードルを下げるところから!

疲れている母親のイメージ

PIXTA

朝ごはんの重要性については理解できました。それでもなかなか習慣化が難しい・・・という場合にはどうすればいいのでしょうか。

隅先生「朝食をとることが難しい理由を、まずは考えてみましょう。朝は気持ちが悪くて何も食べられない、という方は多くの場合、夜寝る前の行動に要因があります。行動を見直してみましょう」

夜寝るのが遅かったり、大人の場合は寝る直前にお酒や高カロリーの食事をとると、朝起きても朝ごはんを食べる気にならないかもしれません。

「また、朝は時間が無くて朝ごはんの支度や食べさせることが難しいという方の多くは、朝ごはんに対してハードルを上げ過ぎています。まずは朝ごはんのハードルを下げてみましょう」と隅先生。

おにぎりを食べる赤ちゃん

PIXTA

朝ごはんというと、ごはんにみそ汁、副菜といった定食をイメージしがちですが、まずはフルーツだけ、おにぎりだけでもOKだそう。何でもいいから口に入れて食べることができたら褒めてあげましょう。食べたがらないお子さんの場合でも、褒めてあげることで食べる意欲が増していきます。

フルーツやおにぎりを口に入れていく習慣ができたら、糖質はOKなので次はたんぱく質を含む食事にトライ。子どもの成長にはたんぱく質を含む食事が不可欠です。隅先生のオススメは、炊き込みごはんで作ったおにぎりやチーズトーストなどワンハンドで食べられるもの。チーズやツナ、卵、かまぼこも手軽で使いやすい食材です。

隅先生「朝食の準備が面倒になってしまっては、大人も続きませんよね。重要なのは『一緒に朝食を食べる』ということです。どう手を抜けば、その目標を達成できるかを考えてみましょう。また、あまり気合を入れ過ぎないことも必要です。『せっかく作ったんだから』と、無理やり食べさせたり押し付けてしまったりしては子どもも気が滅入ってしまいます」

朝ごはんを習慣化するためには、健康的にという言葉にとらわれ過ぎずに、楽しく食事タイムを過ごせる工夫をしていきたいですね。

朝ご飯で本当に体温が変化するかを実験

朝食の写真を撮る女性

PIXTA

実際に、朝ごはんをとった場合とそうでない場合、そして朝食の内容によって体調がどのように変化するのかを実験してみました。

3日間の実験で、1日目は朝ごはんを抜き、昼まで何も口にしない。2日目はバナナのみ朝食でとる、3日目はたんぱく質を含む栄養バランスを意識した朝ごはんをとる、という3パターンを試しています。

以下のグラフは、3日間の起床後から3時間後までの体温の変化を表したものです。

朝ご飯で本当に体温が変化するかを実験

uchicoto

起床時の体温はバラバラで、上がったり下がったりもありますが、たんぱく質を含む朝食をとった日は一貫して体温が上がり続けているのが分かります。

【実験1日目】朝食を全くとらない

・起床時:36.1℃
・1時間後:35.9℃
・2時間後:35.5℃
・3時間後:36.0℃

起床直後は体温は高いものの、朝食を食べないと低体温状態が続きました。3時間後には起床時の体温に近づきましたが、フラフラして貧血のような状態で、やる気も出ず、昼が近づくにつれ徐々に気持ち悪くなってしまいました。

【実験2日目】朝食はバナナ2本のみ

バナナ

uchicoto

・起床時:36.5℃
・1時間後:35.3℃
・2時間後:36.4℃
・3時間後:36.0℃

バナナだけでも口にすると前日のようにフラフラすることはなく、また体温も一旦下がったものの2時間後には上昇しました。

【実験3日目】朝食はバナナに加え、たんぱく質を含む食事をしっかりとる

バナナやたんぱく質を含む食事

uchicoto

・起床時:36.0℃
・1時間後:36.3℃
・2時間後:36.4℃
・3時間後:36.6℃

朝ごはんにそぼろと炒り卵を載せたご飯や納豆、豆腐をいただきました。朝、たんぱく質を含むものをしっかりと食べると、その後、一貫して体温が上昇していきました。食べた後にやる気が出て頭が働く感じがあったのも驚きでした。

体温計

uchicoto

一般的に健康的な平熱は36.5℃以上と言われますが、朝ごはんの後、頭がすっきりとクリアになっていることを体感しました。栄養バランスを考えた朝ごはんは準備に手間がかかるのがネックかもしれませんが、あらかじめメニューを決めておいたり、前日までに用意しておけば朝の手間は減らせますよ。

おわりに

朝ごはんの重要性について隅先生にお聞きしました。大人も子どもも朝ごはんを食べることで、身体への好影響があることが分かりました。できる限り、朝ごはんを食べる習慣を身に付けたいですね。

子どもが喜ぶ朝ごはんのレシピ

トースト 卵 朝食

TOKYO GAS

たんぱく質も豊富に含む朝ごはんのアイデアをご紹介します。栄養たっぷりなのに作るのは簡単。子どもが大喜びしてくれるレシピです。

  • この記事取材先

    隅 弘子

    小児栄養/管理栄養士/一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター/母子栄養指導士/保育士養成校講師/教科担当:「子どもの食と栄養/食育実践」/一般社団法人母子栄養協会 妊産婦食・幼児食・学童食アドバイザー認定講師

    隅 弘子

    mamaful(子育てが楽しめる支援をいっぱいに)を屋号に乳幼児を育てる保護者支援を中心に活動。
    都内子育て支援施設内での食事相談・離乳食・幼児食教室の開催をはじめとして各種講座の講演や企画のほか取材記事協力など多数行っている。

    一般社団法人日本こども成育協会

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公開日:2023.3.15

最終更新日:2024.9.30

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