パン粉の特徴と種類とは?
揚げ物やハンバーグ作りに欠かせないパン粉。正しい保存方法や、生パン粉と乾燥パン粉の違いについてご存知ですか? パン粉について、フライスター株式会社 商品企画開発部の小柳さん(以下、小柳さん)に伺いました。
ーーーパン粉をフライ料理に使うと、どんな効果が得られるのでしょうか?
(小柳さん)パン粉はサクサクとした食感で、料理にアクセントを加えます。それだけではなく、中の具材の味わいや栄養素を閉じ込める効果もあるんですよ。
ーーー店頭では「生パン粉」と「乾燥パン粉」の2種類が販売されていますね。どのような違いがあるのでしょうか?
(小柳さん)一番の大きな違いは「水分量」です。乾燥パン粉は水分が14%以下、生パン粉はそれ以上の水分を含むのでしっとりとしています。乾燥パン粉の水分量は農林水産省が定めるJAS規格で決まっていますが、生パン粉は具体的には決まっていないのでメーカーによって差があります。
生パン粉と乾燥パン粉、それぞれ、特徴や保存方法が異なりますよ。
【生パン粉】の特徴と開封後の保存方法「冷凍保存がおすすめ」
生パン粉の特徴
小柳さんによると、生パン粉の特徴は水分が多く、パン粉の粒度が大きいこと。揚げる時にパン粉の水分が抜けて、そこに油が染み込むため、サクッと仕上がるそうです。また、パン粉の粒度が大きいため、見た目のボリュームが出て、口当たりは柔らかくフワッとした軽い食感に仕上がりやすいそうです。
なお、上記の理由から飲食店で使用するパン粉の8割は「生パン粉」なのだとか。お店の味を家庭で再現したいときにはピッタリですね。
■賞味期限:約3ヶ月(開封前)
小柳さんによると、生パン粉の賞味期限は約3ヶ月と短めです。ただし、製品にもよるため、商品パッケージにて賞味期限日確認すると良いですね。
生パン粉の保存方法
小柳さんによると、生パン粉の保存方法は開封前と後で異なるそうです。
・開封前の生パン粉:常温保存できるそうです。「保存場所は冷暗所が良いですよ」と小柳さん。直射日光が当たる場所は避けましょう。
・開封した生パン粉:冷凍で保存できるそうです。「余ってしまった生パン粉は、別の容器に移し替えるのではなく、購入時の袋のまま、空気を抜くように封をして、冷凍保存してください」とのことです。
冷凍した生パン粉はどう解凍すれば良い?
「冷凍庫から出し、室温で5分くらい置いて自然解凍してください。脱酸素剤※が入ったまま電子レンジで加熱すると発火することがあり、大変危険です」(小柳さん)。
多少冷えたままでも、ハンバーグのつなぎや揚げ物の衣として使えるそうですよ。保存状況によって異なりますが、開封後はなるべく早く使い切った方が良いそうです。
※冷凍する際にも「脱酸素剤を抜いてから冷凍庫に入れること」を推奨しているとのことです。
生パン粉での揚げ物、美味しく仕上げるには?
生パン粉を揚げ物の衣をつけようとすると上手くいかないという声もあります。小柳さんによると、生パン粉は粒度が荒いため、慣れるまで扱いが難しいところもあるようです。
「上手く衣をつけるには、おにぎりを握るように、『外はしっかり、中はふんわり』のイメージでパン粉付けをすると良いですよ」(小柳さん)。生パン粉は潰れにくいので、強めに握ってもフワッと元に戻るのだとか。
【乾燥パン粉】の保存と特徴「常温保存でもOK?」
乾燥パン粉の特徴
小柳さんによると、乾燥パン粉は、粒度が小さいので、「油切れが良く、小さめの具材や柔らかい具材にもつけやすい」のが特徴だそうです。また、揚げるとカリッとした食感に仕上がります。水分が少なめなので保存期間も生パン粉より長めなのだとか。その扱いやすさから、家庭用に最も流通しているのは乾燥パン粉なのだそうですよ。
■賞味期限:約10ヶ月(開封前)
乾燥パン粉の保存期間は約10ヶ月と生パン粉の倍以上だそうです。ただし、製品にもよるため、商品パッケージにて賞味期限を確認するのがオススメです。開封前と開封後の乾燥パン粉の保存方法についても小柳さんに伺いました。
乾燥パン粉の保存方法
開封前のパン粉:冷暗所で常温保存できるそうです。すぐに使わない場合は、密閉容器に入れてからの保存がオススメとのこと。
開封した乾燥パン粉:冷凍保存もできるものの、含まれている水分量が少ないので、常温保存や冷蔵保存で良いそうです。ただし、湿気や虫、ニオイ移りを防ぐため、必ず袋口を閉め、密閉容器に入れて、冷暗所か冷蔵庫での保存する必要があります。生パン粉同様、保存状況によって異なるものの、開封後はなるべく早く使い切った方が良いそうです。
パン粉を使った揚げ物を上手に仕上げるコツとは?
ーーーパン粉を使った揚げ物は難しいという声を聞きます。衣を焦がしてしまったり、生焼けになってしまったり。パン粉を使って上手に揚げるコツはありますか?
(小柳さん)パン粉を具材につける前にひと手間加えること、揚げ油の量を調整することで失敗しにくくなりますよ。
・パン粉を具材につける前の工夫
「具材に薄く小麦粉をつけ、溶き卵をよく絡めておくのがコツです。パン粉がしっかりつきやすくなりますよ」(小柳さん)。プロの多くは小麦粉と卵などを混ぜた「バッター液」を具材に絡めてからパン粉をつけているそうです。
・揚げ油は十分な量を用意する
「揚げ油が少ないと、具材を入れた時に鍋の温度が下がりやすくなります。そのため、十分な量の油を鍋に入れておきましょう」(小柳さん)。パン粉をつけた揚げ物は、180℃程度の高温の油で3~4分揚げ続けることで、具材にしっかり火が通り、衣が「きつね色」に変化するのだそうですよ。
余ったパン粉の活用方法
パン粉を使い切れず、余ってしまった場合どのような活用方法があるのか、小柳さんに伺いました。
(小柳さん)生のお肉など具材がついた部分は、衛生的に問題があるので、処分していただいた方が良いと思います。キレイな状態のパン粉でしたら、さまざまな活用方法がありますよ。
溶き卵と混ぜてスープに
溶き卵にパン粉を入れると、フワフワ食感の卵を簡単に作れます。スープと卵の水分でパン粉がふやけ、パン粉が入っていることに気づかないほど馴染みます。和食ならかき卵汁、洋食ならイタリア料理の「スープミルファンティ」がオススメですよ(小柳さん)。
フレンチトーストに
牛乳を加えてパン粉をふやかし、砂糖・卵を混ぜて卵焼き器で焼くとフレンチトースト風の仕上がりに。細かく粉砕されたパン粉は水分を吸収するのが早く、卵液が5〜10分で染み込みます。食パンを使うより短い時間で済みますよ(小柳さん)。
意外と知らない「パン粉」の作り方
ーーーそもそもパン粉はどのように作られているのでしょうか?
(小柳さん)簡単に言うと、パン粉専用のパンを焼いて、粉砕して作っています。生パン粉と乾燥パン粉の違いは、粉砕後にそのまま包装するか乾燥させてから包装するという差です。
ちなみに、メーカーの特徴が出るポイントは、パンの焼き方とパンに使う小麦粉の違いにあります。
【パン粉専用パンの焼き方】
・焙焼式・・・食用のパン作りと同様にオーブンでパンを焼く。
・電極式・・・電気を使ってパンを蒸し焼きにする。
電極式の場合は、パンの周囲が焦げることがないため、真っ白なパン粉を作ることができます。焙焼式の場合、いわゆる「パンのミミ」ができるため、パン粉にした際に茶色い部分が混ざります。
今では、全国どこでも焙焼式の方が主流となっていますが、西日本では電極式のパン粉の比率が高い時期がありました。これは、西日本では真っ白なパン粉が好まれていたためです。
【パン粉専用パンの材料の違い】
フライスター株式会社では、香りが引き立ちやすい強力粉をベースにパン粉用のパンを作っています。メーカーによっては、中力粉や薄力粉を混ぜたりする場合があります。パンの原材料に何を使うかによって風味が変わってきますよ。
揚げ上がりのサクッとした食感を維持しやすいよう、各社原材料の配合を工夫しています。
パン粉は粒の大きさでオススメの料理が分かれる?
ーーーパン粉は、粒の大きさ別に粗目・中目・細目が販売されていますよね。どう使い分けたら良いのでしょうか?
(小柳さん)基本的には自分の好みでお選びいただければと思います。
一般的には、
粗目・・・具材が大きいもの。トンカツなど
細目・・・具材が小さいもの。串カツ、野菜フライなど
が向いていると言われています。
中目はどんな具材にも合うので、便利ですよ。
パン粉がない時は食パンで代用できる?
ーーー市販のパン粉を使わず、食パンを削ってパン粉として使う方もいますね。
(小柳さん)食パンは水分が多く油をよく吸収するので、生パン粉のような仕上がりになります。
パン粉と食パンの違いは「糖の量」。食パンはそのまま食べて美味しくなるよう糖が多く含まれています。パン粉用のパンには糖がほとんど含まれていません。そのため、そのまま食べてもあまり味がないんです。
ただし、糖が多いと衣が焦げやすいため、食パンを削って使う場合は、調理時の温度管理に注意してください。
おわりに
パン粉はなるべく一度に使い切るのが一番。しかしパン粉が余ってしまった時は、適切な保存方法で管理し、なるべく早く使ってくださいね。パン粉を使ったアレンジ料理にもチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
参考:農林水産省「パン粉の日本農林規格」
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