米のとぎ汁を捨てるのはもったいない!

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「米のとぎ汁にはいろいろな成分が含まれています。もちろんお米に付着していたホコリなども含まれますが、米ぬかに含まれる成分も溶け出しています。だからこそ生活のさまざまなシーンで役に立てることができるんですよ」と和田さん。
毎日のように出る米のとぎ汁をただ流してしまわず、活用することは節約にもつながるとのこと。
米ぬか成分が一番濃いのは最初に出るとぎ汁
「もっとも米ぬかの成分が濃いのは、お米をとぐときに最初に出るとぎ汁です。米ぬかの成分が濃いとぎ汁にいつまでもお米を浸しておくと、ぬかの匂いがお米に移るともいいますから、さっとぬかを洗い落として、そのとぎ汁をキープしておくのがおすすめです。ボウルの上にザルや米とぎ用の穴あきボウルなどを置いて、とぎ汁をボウルにためておくと良いですよ」(和田さん)
米のとぎ汁をキッチンで手軽に有効活用するには?

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いくら節約に役立つと言われても、家事の手間が増えたり、準備に時間がかかったりする活用法はなかなか実践する気になれないもの。そこでまずはキープしたとぎ汁をそのままキッチンで使う、手軽な有効活用法を和田さんに聞きました。
食器や保存容器などの消臭やぬめり取りに

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「ニオイの強い食品を保存した容器の消臭にも、米のとぎ汁が役立ちます。食器や保存容器などを洗う前、とぎ汁につけておくとニオイがよく取れますよ。また、プラスチック容器は油で汚れるとぬめりがなかなか落ちないことも多いですが、米のとぎ汁につけておけば、ニオイと一緒にぬめりまでスッキリ落とせるのでおすすめです」(和田さん)
食器の予洗いや調理器具のつけ置き洗いに

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「米のとぎ汁や米ぬかは、実は江戸時代頃まで洗剤として活用されてきました。米ぬかには約20%もの油分が含まれているのですが、お米をといでもとぎ汁に油が浮くことはないですよね? あの乳白色は米ぬかに含まれる天然の界面活性剤成分が、油の分解に作用している証拠なんです。ということは、食器洗いの予洗いに活用できるということ。食洗機に入れる前にざっと食べカスなどを洗い流したり、こびり付きを取るご家庭なら、水道水の代わりにためておいたとぎ汁を使うだけなのでおすすめの節約方法ですね」(和田さん)
また、油で汚れたフライパンや魚焼きグリルなどの洗浄にも役立つと和田さん。
「手洗いされるご家庭では、米のとぎ汁だけで汚れを完璧に落とすのは難しいと思います。でも油汚れのひどいものをあらかじめとぎ汁につけておくと、洗う前にあらかたの油分を落とすことができます。そうすれば洗剤の量を減らすことができますし、洗剤の量が減るということは、それを流す水も減らすことができるということです」(和田さん)
魚焼きグリルの受け皿に入れる使い方も!

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水を入れて使うタイプの魚焼きグリルは、受け皿に入れる水を米のとぎ汁に代えても良いそう。油汚れが落としやすくなるほか、ニオイを軽減することもできるそうです。
野菜の下ゆでに米のとぎ汁を使っておいしく

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「春に出回る生のタケノコが米ぬかの小袋とセットで売られているのを見たことはありませんか? タケノコにかぎらず、野菜を下ゆでする際に米ぬかを使うことがありますが、米のとぎ汁でも代用することができます。タケノコ以外では山菜やさつまいもなど、いわゆるアクが多く含まれている野菜をゆでるときに使えます。とぎ汁に含まれるデンプンは、水に溶け出したアクの成分を吸着して戻さない性質があるので、えぐみの少ない味わいに仕上げることができますよ」(和田さん)
またあく抜きだけでなく、見た目や味わいをよくする効果もあるそう。
「さつまいもを切っておいておくと、あっという間に黒くなってしまいますよね。栗きんとんなどキレイな色で仕上げたい場合は、米のとぎ汁で下ゆでをするのがおすすめです。大根もおでんなどに使う場合、とぎ汁で下ゆでをすると味がしみこみやすくなりますよ」(和田さん)
ニオイやクセのある食材の下ごしらえに
「油分が多く、ニオイやクセがある食材の下ごしらえにも米のとぎ汁は重宝します。代表的なのは、モツ類や角煮用の豚バラ肉をとぎ汁で下ゆでしてから使う方法でしょうか。身欠きにしんを戻すときに使うのも昔ながらの活用法として知られていますね」(和田さん)
土鍋の目止めやひび割れの防止に

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「新しく買った土鍋の漏れを防ぐため、最初に目止めという作業をします。おかゆを炊くなどお米を活用しても良いのですが、米のとぎ汁を活用することもできますよ。土鍋にとぎ汁を入れ、20分ほど中火で煮立たせて、そのまま冷めるまで置いておくだけ。あとは土鍋をよく洗って乾燥させればOKです。ひび割れの修復レベルだとおかゆを炊いた方が良さそうですが、漏れ防止くらいならとぎ汁でも活用できそうですね」(和田さん)
使用方法に注意すれば米のとぎ汁はさらに活用が可能!

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「米のとぎ汁は、ほかにも日常生活の中で活用することができます。ただし、使い方に注意しないとカビが生えるなどの思わぬトラブルが発生する可能性もあるので、上級者編として注意しつつチャレンジしてみてくださいね」(和田さん)
植物の土に米のとぎ汁をかける
「米のとぎ汁は、土に混ぜると微生物が活性化し、土壌改良にも役立ちます。直接植物がその栄養素を吸収して元気になるというよりは、土を良くするというイメージです。鉢植えにかけすぎると土が硬くなるなど、植えている植物に悪影響が出る場合もあるのであげすぎないよう気をつけてください。またカビの発生につながるケースもあるので、室内の観葉植物などにあげる場合も、頻度に注意すると良いでしょう」(和田さん)
米のとぎ汁を使って拭き掃除
「とぎ汁に含まれる天然の界面活性剤成分は汚れを落とし、油分でツヤを出せるので、米のとぎ汁は拭き掃除にも役立ちます。ただしツヤを出せるのは、とぎ汁の成分が浸透するムク材限定です。最近主流になっている合板やコーティングされた床材などでは、ツヤを出すことはできないのでご注意を。また、とぎ汁の成分が木材に残りすぎるとカビが生える可能性があるので、とぎ汁を雑巾に含ませたら固く絞ってから使うのが鉄則です」(和田さん)
小さいお子さんやペットがいるご家庭では、米のとぎ汁を活用することで、天然成分で掃除ができるというメリットもあります。木材との相性もあるので、必ず目立たない場所でシミにならないことを確認してから使うのが良いでしょう。
おわりに
毎日、当たり前のように捨てていた米のとぎ汁。これほどいろいろな場面で役に立つと知れば、もったいなくて流してしまうことはできなくなりそうですね。その上、洗剤や水を使う量も減って、エコや節約につながるとなれば、気持ちも豊かになりそうです。手軽に活用できる方法ばかりなので、早速今日から米のとぎ汁を活用してみてはいかがでしょうか。