キャベツを再生させてみましょう!
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今回の連載のトリを飾るのは、これまで育ててきた野菜と比べて難易度の高い「キャベツ」です。食べることもできますが、食感が硬いため、廃棄してしまうことも多いキャベツの芯部分を使って再生栽培していきます。いろいろな野菜やフルーツをリボベジしてきたそらベジさんに、キャベツを上手に再生させるためのコツを教えていただきました。
準備するもの
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キャベツの再生野菜に必要なものは、4つだけです。
- キャベツ
- 育てる容器
- つまようじ
- 水
キャベツは芯の部分だけを使用します。
育てる容器は、芯の下部がすっぽり収まるサイズを選びます。ただし、大きすぎると日々の水替えが大変なので、芯の直径より2~3cm大きめくらいが扱いやすいでしょう。
「つまようじはキャベツの芯の真横から刺します。3本あればしっかり安定させることができますよ」(そらベジさん)
水は水道水をそのまま容器に入れます。
再生栽培のための下準備
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再生栽培は、調理で使用しなかった廃棄する部分を使います。ただし、再生栽培に使うためには、調理のときに注意しておきたいポイントがあります。
「栽培に必要なのはキャベツの芯の部分です。半玉のキャベツの芯でも大丈夫です。ただし、芯の上の方から新しい葉が伸びてくるので、そこをカットしてしまわないように注意してください」(そらベジさん)
1玉の場合も、包丁を刺し込んで芯を切り抜くようにします。ただし、芯を傷つけたり、芯の上部が欠けてしまうとあまり成長しなくなるため、包丁の角度などに注意が必要です。
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「芯の部分は乾燥して、すでに細胞が壊れています。薄くスライスするように表面を切り落として、みずみずしい面を出してあげると水の吸いが良くなりますよ」(そらベジさん)
キャベツの再生栽培にウチコト編集部が挑戦!
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ここからは、実際にウチコト編集部がキャベツの再生野菜に挑戦した様子をリポートしていきます!
準備
まずはキャベツを再生しやすい状態に整えていきます。
芯の部分をカットして切り出す

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今回使用したのは、半玉のキャベツ。大きく切り込みを入れるようにして、芯を傷つけないように切り出します。
そらベジさんのアドバイス通り、芯の上部分を切ってしまわないように注意しました。
ざっくり切り出した芯に残っている葉に栄養が回らないよう、丁寧にそぎ落とします。
「整ったら真横からつまようじを刺します。芯の中心から上に向かって葉が成長するので、あまり深く刺しすぎないようにしてください」(そらベジさん)
つまようじを刺したら、容器に設置して水を入れます。
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「芯にちょうど水が触れるくらいのギリギリにとどめるのがポイントです。
というのも、切り落とした芯の底部分からしかキャベツは水を吸いません。それ以上の水位で側面にあたっても吸水しないだけではなく、腐ってしまう原因になります。ギリギリの水位にするよう注意してください」(そらベジさん)
成長過程
準備ができたキャベツの再生。どのように成長していったのか、収穫できるまでをお伝えします。
7日目:底に近い部分が黒ずみ始める

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あまり変化は見られないものの、芯の底に近い部分が黒ずんできました。また芯の側面はどんどん乾燥していきました。
12日目:1番上にあった葉が少し大きくなる
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写真左のキャベツだけ、上にあった葉が大きくなってきました。はっきりと葉脈が見え、小さいながらも生命力を感じます。
水位に注意していたものの、ほんの少し底面よりも上になってしまうとヌルついてしまうことがありました。
「その場合は優しくこすりながら洗い落としてあげると良いですよ。放っておくとカビが出て腐ってしまいます」(そらベジさん)
18日目:念願の根が生える!

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ついに芯の部分から根が生えました。リボベジは水と野菜本体だけで育つため、根が生えるとさらに効率良く水を吸ってくれます。
水をどんどん吸ってくれると成長速度も上がるので、これまでに挑戦してきた野菜たち同様に、ここからの成長に期待が高まります。
24日目:2株とも根と葉が伸び始める

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先攻していた株(右)だけでなく、もう1つの株の葉も成長をはじめ、両方とも根が伸びてきました。先攻していた方からは3~4本、後から成長してきた方からは5~6本の根が生えています。
30日目:後攻のキャベツの成長が進む

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葉も根もあとから進んだキャベツ(右)の成長が著しくなってきました。上から伸びている2枚以外にも、既存の葉の隙間から新しい葉が顔を出そうとしています。
先攻していたキャベツ(左)は、底辺近くの黒ずみが進み、毎朝水替えをしていてもカビてしまっている日がありました。その際はティッシュで拭き取って処理をして、栽培を続けました。
35日目:葉が大きく成長

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後攻のキャベツ(左)の成長が止まりません。どんどん大きくなっている上の2枚の葉の間からさらに新芽も出てきました。また、側面からもぷっくりと新しい葉が生えようとしてきています。
先攻していたキャベツ(右)は、成長があまり進まなくなってきました。
同じ条件で育てていても、キャベツそれぞれの個性があるようです。
43日目:先攻のキャベツが枯れる

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先攻のキャベツ(右)は、すでに体力が落ちてしまっていたのか、2日ほどで一気に枯れてしまいました。
後攻のキャベツは相変わらずの元気さで、青々と葉を生やしています。
残念ですが、ここで先攻キャベツはリタイアとなりました。
「キャベツの再生栽培で結果が分かれた一番の要因は、『株の体力(鮮度)』かもしれません。
収穫から時間が経つと、その分だけ株の体力は落ちてしまいます。特に再生栽培では、切り口から根を出すという『かなりエネルギーを使うイベント』があるので、元々持っている体力が足りなかった可能性が考えられます。
また、茎の太さや水分量といった、株そのものの状態も影響していそうです。一般的に、太くてしっかりした茎の方が、再生力が強い傾向にあります」(そらベジさん)
49日目:成長スピードが落ちたので収穫
頑張っていた後攻キャベツも、葉が増えて大きくなってきたことで成長スピードが緩やかに。ここまでの再生栽培チャレンジの経験から、しおれたり枯れるときは一瞬だと学んでいたので、確実な収穫のためにここで上の2枚と新芽1枚を収穫しました。
再生したキャベツのおいしい食べ方
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キャベツは大量収穫とはいかなかったので、ほかの具材もたくさん入れてスープにしていただくことにしました。
缶詰で簡単「キャベツとあさりのミルクスープ」

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ウチコトのレシピにある、「キャベツとあさりのミルクスープ」を作ってみました。
キャベツとパプリカを切って、ごま油でしっかり炒めてからスープにするので、香りも良く、優しいミルクの風味が子どもにも好評でした。

【レシピ】缶詰で簡単「キャベツとあさりのミルクスープ」
キャベツの再生野菜に関するQ&A
キャベツの再生栽培に関する疑問をそらベジさんに答えていただきました。
Q:キャベツは再生栽培で何枚くらい収穫できますか?
「水だけで育てる再生野菜では、今回の記事でのチャレンジのように収穫までかなり時間がかかります。また、キャベツ自体の当たり外れも多少ありますが、6枚くらいは収穫できることが多いですよ!」(そらベジさん)
Q:キャベツの葉の成長がゆっくりです・・・
「栄養が足りなくて、成長が滞っているのかもしれません。収穫できる葉がある場合は、枯れる前に収穫するか、土に植え替えてみるというのも手です。土で育てる方が手間はかかりますが、栄養が増えるので収穫量もアップしますよ!
土で育てたい場合は、ホームセンターなどで購入した土をコップサイズ(3号、9cmくらい)の鉢に入れ、キャベツを浅く差し込みます。ぐらつかないくらいの深さが目安です。
鉢の下から水が出るまで水をあげて、風通しの良い日陰で育てます。まだ根が張っていない状態で水をあげると腐ってしまうので、10日間くらいは水やりは不要です」(そらベジさん)
Q:キャベツの芯につまようじを刺すときのコツはありますか?
「キャベツの芯が水面に対して水平になるように刺します。横から見ながらするとやりやすいです。茎の中心部分から成長していくので、奥まで差し込みすぎないようにしましょう。
そのほか、できるだけ下の方に刺すのもポイントです。それによって、キャベツが容器の外に出る部分が多くなるので風通しが良くなるからです」(そらベジさん)
おわりに
ウチコト編集部がキャベツの再生栽培にチャレンジしました。小さな容器で育てられるので、場所も取らず手軽に始められますが、ほかの野菜に比べて収穫までたどり着くのは難しかったです。その分、根が生えてきたときや収穫できたときの感動は大きいので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
最後に、この連載を読んでくださった皆さまへ、そらベジさんから一言!
「全7回にわたる連載、最後まで読んでくださってありがとうございました! 再生栽培を通じて、野菜や植物を少しでも身近に感じてもらえたらうれしいです。ちょっとしたお世話は必要ですが、部屋に緑があるだけで心が明るくなるし、育てた野菜が収穫できたときのうれしさって、格別ですよね。今回の連載が、家庭菜園や自然に目を向けるきっかけになってくれたら・・・。そんなふうに思いながらお届けしました。これからも、みなさんの暮らしに寄り添う『野菜のある毎日』が、なが〜く楽しめますように」(そらベジさん)