ダウンジャケットって、自宅で洗濯できるの?
冬に着る機会の多かったダウンジャケット。衣替えの前にきれいに洗っておきたいけれど、家族全員の分をクリーニングに出すとなるとそれなりの出費になります。そんなとき、「自宅でお手入れできたらなあ」と思うことはありませんか?
ダウンジャケットによっては、おうちできれいにお手入れできるものもあります。今回は国家資格であるクリーニング師の資格を保有し、「洗濯ハカセ」として多数メディアに出演されている神崎健輔さんに、自宅でダウンジャケットを洗うときのポイントや注意点を伺いました。
自宅でダウンジャケットを洗濯する際に、まずチェックすること
ダウンジャケットには、自宅で洗えるものと洗えないもの、さらに洗濯機で洗えるものと手洗いの必要があるものがあります。失敗を防ぐためにも、洗濯前にしっかりチェックしておきましょう。
チェックするポイントその1:洗濯表示
一番最初にチェックするべきは、洗濯表示。
「クリーニング屋さんなど洗濯のプロも、基本的には洗濯表示の内容に従って、洗濯の仕方を決めていきます。まずは洗濯表示を見ていただきたいです」と神崎さんは言います。
中でも洗濯桶のマークである“洗い方”をチェック。上の画像の右側にある、洗濯桶のマークにバツが入った「水洗い禁止」のマークが入っていないかどうかを確認します。
「水洗い禁止」のマークが付いているものは、水を使って洗濯をすることで、縮みやシワなどの型崩れや、色が出て移染してしまうなど、素材が痛んでしまう衣類に記載されているマークです。水洗いしかできない家庭で、無理に洗ってしまうと、ダウンジャケットの素材が傷んでしまうことにつながります。稀にドライマークがついた物が洗えますと謳った洗剤もありますが、水洗い禁止を超えて洗える洗剤ではありませんので注意が必要です。「水洗い禁止」のマークが付いているものは、クリーニング屋さんに依頼しましょう。
水洗いが禁止されていなければ、マークに従って洗濯機または手洗いの方法を選びましょう。
また、WやP、Fなど商業用クリーニング処理記号がある場合については、神崎さんは「基本的には家庭でチェックする必要はありません。家庭で洗う場合は、洗濯桶のマークの洗い方をしっかりチェックすればOKです」と言います。
チェックするポイントその2:素材
次に、素材をチェック。水の使用を避けた方がよい素材や、洗濯時に注意が必要な素材もあります。
「ダウンジャケットの中には、ウールや革などが使われているものもありますが、こうした動物由来の素材は水を嫌います。その場合には、洗い方にも『水洗い禁止』マークが使われていることが多いですが、洗濯可能な場合でも、そういった素材が使われていないか、念のためチェックしておきましょう」(神崎さん)
その他、注意が必要な素材は、レーヨン、ナイロン、防水・撥水加工されている生地のもの。
「ナイロンはシワが付きやすい素材でもあるため、シワが不安な方はクリーニング屋さんに任せた方がよいでしょう。また、近年増えている防水・撥水加工生地が使用されているものは、できるかぎり家庭での洗濯は避けた方がよいです。洗濯をしている最中にじわじわと水がダウンジャケット内部に入っていってしまうと、ダウンジャケットが水風船のようになります。その状態で脱水すると、洗濯機が暴れてしまい倒れる恐れも出てきます」(神崎さん)
また、ダウンジャケットの詰め物の多くはダウンとフェザーで100%を占めることがほとんどですが、中にはダウンやフェザーと一緒に綿わたが使われているものもあります。綿わたが入っているものを洗うときには注意が必要です。
「綿が入っているものだと、洗ったあと膨らみにくくなるため、洗濯機は避けて手洗いするか、クリーニング店に依頼するのがおすすめです。洗濯機で洗ってしまうと、綿わたがぎゅっと絡まって下の方へ落ちてしまい、ダウンジャケットの形が崩れてしまうことにつながります。綿が原因で絡まると元に戻すのも困難になります」(神崎さん)
洗い方だけではなく、素材もチェックした上で自宅でお手入れするかどうかを判断しましょう。
ダウンジャケットの洗い方【洗濯機編】
次に、洗濯機で洗う場合の手順とコツを紹介します。洗濯機で洗う場合でも、手洗いの場合でも、重要なのは予洗いと乾燥。この点を踏まえながら解説します。
【準備するもの】
- ダウンジャケットが入るサイズの洗濯ネット
- 中性の液体洗剤
- ハンガー
手順1.襟周りと袖口周りを予洗いする
「ダウンジャケットは頻繁に洗うことはないと思いますので、皮脂が襟周りと袖口周りに付いていることが多いです。そのため、食器用洗剤やせっけん、液体洗剤などの中性洗剤でもみ洗いをしてから、洗剤を塗り直して洗濯機へ入れるのがおすすめです。プロのクリーニングでも襟周りや袖口周りに前処理をしてから洗っています。ひと手間ですが綺麗にするためには重要な作業です」(神崎さん)
皮脂がこびり付いた状態でそのまま洗濯しても、1、2回の洗いだけでは落ちにくいのだとか。しっかり汚れを落とすためにも、予洗いをしましょう。
手順2.ダウンジャケットを裏返して、洗濯ネットに入れる
予洗いをしたあとは、ダウンジャケットを裏返し、たたんで洗濯ネットに入れます。チャック付きのものはチャックをしめた状態にしておきましょう。
「裏返して洗う理由としては、人の体から出る汚れや汗が衣類を通してダウンジャケットにも染み込んでおり、内側の方が汚れている可能性が多いためです。また、ダウンジャケットの装飾は外側に付いていることが多いです。そうした装飾の保護と、洗濯機や乾燥機の内部が装飾によって傷つくことを防ぐ意味もあります」(神崎さん)
手順3.洗濯機のモードを選択して洗う
ダウンジャケットの洗濯表示に従い、「標準コース」「デリケートコース」などを選んで洗います。また、水温の指示がある場合は、水温も調整しましょう。
水温に特に指定がない場合は、30度以下がおすすめという神崎さん。
「水温が高いとシワが付きやすくなるため、水温は低い方がよいでしょう」(神崎さん)
洗剤は、液体の中性洗剤がおすすめ。漂白剤を入れるのは避けましょう。
「漂白剤には酸素系と塩素系がありますが、タンパク質を刺激するなどの性質があるため、ダウンジャケットの洗濯では全ての漂白剤は避けた方がよいでしょう。粉洗剤は、元々酸素系漂白剤が入っているので避けましょう」(神崎さん)
手順4.3分以上脱水する
洗い、すすぎが完了したら脱水の工程に移ります。ここからの乾燥の工程が重要です。
「ダウンジャケットを洗濯するにあたって、失敗しやすいのは乾燥の工程です。ダウンは洗ったあと膨らみにくくなることが多いのですが、洗い方が悪くて羽毛を傷めたという訳ではなく、乾燥が不十分であることが多いのです」(神崎さん)
ダウンジャケットをふっくらと仕上げるためにも、3分以上しっかり脱水しましょう。
手順5.乾燥機にかける、または干して乾燥させる
脱水が完了したら、ダウンジャケットを洗濯ネットから取り出して乾燥させます。洗濯表示に従い、乾燥機にかけるか、乾燥機が使えないものは干して乾燥させます。
乾燥機が使えるかどうかは、洗濯表示にタンブル乾燥(タンブラー乾燥)マークがついているかどうかで判断できます。
×のものは乾燥機使用不可を表しています。点が1つのものは排気温度60℃の、低い温度でのタンブル乾燥が可能、2つのものは排気温度が80℃までのタンブル乾燥ができることを示しています。
「乾燥機を使った方が、空気が膨張することによってダウンジャケットの中の羽毛が開きやすくなります。また、ダウンジャケットの内部の空間が膨らみ、中の羽毛が広がりやすくなって、ふっくらと弾力がアップします。ご自宅の乾燥機であれば乾燥モードで40〜50分程度かかります。しっかり乾燥させないと後々の臭いの原因になるので、しっかり乾燥させましょう。
自宅に乾燥機がない場合は、コインランドリーでも大丈夫です。コインランドリーは熱源がガスであることが多いので、パワフルに短い時間でフワフワのダウンにすることができます。乾燥温度が指定できる場合は中温以下に設定するほうがよいでしょう」(神崎さん)
自然乾燥させる場合は、ダウンジャケットをハンガーにかけて乾燥させます。
「ダウンジャケットの場合は、温めた方がふっくらと仕上がります。褪色が気になるようであれば、ダウンジャケットを裏返したまま天日干ししてもよいでしょう。部屋干しする場合はファンヒーターなど熱源の近くに置いておくと、より良いと思います。ただ、衣類と熱源の距離が近すぎると火事になる恐れもあるので、ファンヒーターの近くで干す際は気をつけましょう」(神崎さん)
ダウンジャケットの洗い方【手洗い編】
次に、手洗いでダウンジャケットを洗う方法をご紹介します。洗濯機編と同様、手洗いの場合も、予洗いと乾燥が重要になります。
【準備するもの】
- ダウンジャケットが入るサイズの洗濯ネット
- 中性の液体洗剤
- プラスチック製の衣装ケースまたは浴槽
- ハンガー
手順1.襟周りと袖口周りを予洗いする
中性洗剤でダウンジャケットの襟周りと袖口周りをもみ洗いしたあと、洗剤を塗り直します。
手順2.押し洗い後、浸け置きしてすすぐ
プラスチック製の衣装ケースまたは浴槽にダウンジャケットが浸かるくらいの量の水を張ります。そこに裏返した状態のダウンジャケットと中性洗剤を入れ、やさしく押し洗いします。その後、10〜15分ほど浸け置きします。
すすぎは2〜3回行い、泡立ちがほとんどなくなったら完了です。
「すすぎの回数を減らしたければ、デリケート洗剤を使うのがおすすめです。一般的な洗剤に比べると汚れの分解力は弱くなりますが、泡切れがよくなり、すすぎの回数を減らすことができます」(神崎さん)
手順3.洗濯機で3分以上脱水する
ダウンジャケットを裏返した状態で洗濯ネットに入れ、3分以上しっかり脱水します。洗濯機に入れる前に軽く手押し脱水をしておくと、洗濯機での脱水がスムーズに進みます。
手順4.乾燥機にかける(または干して乾燥させる)
脱水が完了したら、ダウンジャケットを洗濯ネットから取り出して乾燥機にかけるか、乾燥機が使えないものは干して乾燥させます。
とっても重要! 乾燥具合の見極め方
プロでも気を使うというダウンジャケットの乾燥。洗濯後、乾燥させるときの注意点やしっかり乾燥できたかどうか見極めるコツを伺いました。
乾燥させる前にダマをほぐすのがコツ
脱水後、乾燥機に入れる前や干す前にダウンジャケットを触ってみて、羽毛のダマができていないかを確認します。もしダマがあれば軽くたたくなどして、ほぐしてから乾燥しましょう。ダマの有無によって、乾燥の進み具合に雲泥の差があると神崎さんは言います。
乾燥具合はダウンジャケットの重さで判断
乾燥できたかどうか見極めるための最も分かりやすい方法は、「洗濯前のダウンの重さを把握しておくこと」と神崎さん。
「可能なら、洗濯する前に重さを量っておくと分かりやすいです。乾燥できたように見えても洗濯前よりも重ければ、水分が含まれていることになります」(神崎さん)
とっても重要な乾燥の工程ですが、乾燥機が使えるダウンジャケットにはガス式の乾燥機がおすすめです。
「コインランドリーで使われている乾燥機はガス式ですし、ガス式は電気式よりも乾燥効率がいいので、乾燥機であればガス式推奨です」(神崎さん)
ガス衣類乾燥機「乾太くん」でスピーディに乾燥!
衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!
ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。
だからガス式は短時間で乾くんですね。
さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。
衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。
自宅洗濯で失敗した?! と思ったときの対処法
ダウンがぺちゃんこになってしまった、シミができてしまった、カビ臭くなってしまった・・・など、自宅でダウンジャケットを洗う際に起こりやすい問題の対処法を伺いました。
カビ臭い? 臭いが気になる
ダウンジャケットを家で洗濯したら、カビ臭くなったり、羽毛独特の臭いが出たりして臭いが気になる場合はどうすればよいでしょうか。
「乾燥時間が長すぎたことで、雑菌が繁殖してしまい臭いの原因につながっていると考えられます。この場合は、乾燥のスピードを上げる必要があります。もう一度洗い直してから、乾燥機を使うなどして、すばやくしっかり乾燥させましょう。あとはカビ臭くさせないためにも、できる限り晴天が続く時期に洗濯するのがおすすめです」(神崎さん)
ダウンがぺちゃんこになってしまった
せっかく洗ったのに、ダウンがぺちゃんこでふっくらしない。そんなときは、やはり乾燥機に入れてくださいと神崎さん。
「羽毛は水分が抜けると自然とふんわりと羽が広がるもの。ダマが残ってないかチェックし、羽毛をふんわりとさせるため、乾燥機が使えるものは乾燥機で乾燥させてふんわりとした状態に戻しましょう」(神崎さん)
洗ったあとにシミができてしまった
神崎さんによると、洗ったあとにシミができてしまうケースは、脱水がうまくいってないと考えられるのだそう。
そのため、再度洗い直し、脱水を長めに、10分を2セットほどやることで対処できるそうです。
「200〜300着に1着ぐらいの確率でこういったケースは発生するので、確率としては低いですが、起こり得ます。水分が抜けにくい生地で起こりやすいのですが、水分が抜けにくいと洗剤や汚れが生地から抜けにくいため、すすぎきれずに汚れとなってシミのように見えてしまうのです。脱水を強めにすると徐々に抜けて、乾燥したときにきれいな状態に戻ることが多いです」(神崎さん)
おわりに
ダウンジャケットの汚れを落とすことはもちろん、ふっくらさせて気持ち良く着るためにも、定期的なお手入れをしたいもの。家族全員分を自宅で洗濯できれば節約にもなります。神崎さんが教えてくれた自宅でのお手入れ方法をぜひ試してみてください。
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