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【有名料理人に聞く】たけのこのあく抜きのコツとは? 基本と裏ワザをご紹介

春先が旬のたけのこは、「あく抜き」に手間がかかるイメージがあります。 しかし、たけのこのあく抜きは、基本の知識があれば意外と簡単にできます。 今回は、数々の和食の名店で料理長を歴任した和食の匠、舘野雄二朗さんにあく抜きの基本の方法やコツを伺いました。たけのこのあく抜きをマスターし、たけのこ料理を堪能しましょう。

最終更新日:2024.9.27

目 次

たけのこに、あく抜きが必要な理由

たけのこ

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たけのこには、「あく」と呼ばれる独特の渋みがあります。和食の名店、「ポアソン六三郎」やみちば和食「たて野」で料理長を務めあげた舘野雄二朗さんによると、掘りたてのたけのこはあまりあくが感じられないそうです。たけのこは、採ったあと時間の経過とともに渋み、あくが強くなります。

また、そもそも「あくは、たけのこの個性」だと舘野さん。どんな方法を用いても、完全にあくを取り除くことはできず、あくを取り去ってしまったからといっておいしくなるわけでもないようです。濃い味付けの料理に使う場合には、あくが残っていても気にならない、反対にそれが旨みに感じられる場合もあるのだとか。

今回は舘野さんがおすすめする、たけのこのあく抜き方法を教えていただきました。保存環境や調理する方の生活状況、どのくらいあくが強いたけのこかによって、方法は異なります。その時々であった方法を試してみてください。

意外に簡単! たけのこのあく抜き方法の基本

たけのこ・ぬか

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難しいと思われがちなたけのこのあく抜きですが、基本が分かればそこまで手がかかりません。舘野さんおすすめの「ぬかを使ったあく抜きの方法」をご紹介します。

ぬかを使ってあく抜きをすると、たけのこがぬか臭くなる、という方もいらっしゃるようですが、舘野さんいわく、それもまた味わいの一つなのだそう。

たけのこのあく抜きに必要な材料

【用意するもの】
・大き目の鍋
・生ぬか・・・一握り

あく抜きの手順1. たけのこを切る

たけのこの切り方

uchicoto

たけのこは皮をむかずに、頭の反った部分を切り落とします。たけのこの先端には、あくが集中するためです。また、皮に縦の切り目を入れておくと、あくを抜いた後に皮をむきやすいのでおすすめです。

「たけのこは、皮をつけたままあく抜きする」ことを舘野さんは推奨されています。皮がついたままの方が、ぬかが直接たけのこに付着しづらいためです。さらに、茹であがり後のたけのこは、皮付きのまま保存すると風味が保たれるそうです。
ただし、皮をむいたほうが火の通りがよく、鍋も小さめで済むため、その時々の状況に合わせた方法をとるのがよいとのことです。

あく抜きの手順2. 鍋に入れてあく抜きをする

たけのこを鍋に入れてあく抜きをする

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大きめの鍋に、たけのこと一握り分程度の生ぬかを入れ、たけのこの頭がしっかり隠れるくらいたっぷり水を注ぎます。そのまま落とし蓋をして火にかけます。沸騰するまでは強火、沸騰後は中火から弱火で、約40~60分コトコト茹でます。

ちなみに、生ぬかに加えて鷹の爪も入れる、という方法を聞いたことがある方もいるかもしれません。 鷹の爪には抗菌作用がありますが、入れても入れなくても、たけのこのあく抜きへの効果には変わりはないそうです。

あく抜きの手順3. たけのこの粗熱を取る

あく抜きをしたたけのこは茹で汁ごと放置し、そのまま粗熱を取ります。あく抜き後のたけのこを保存したい場合には、粗熱が取れてからぬかを洗い流すようにしましょう。

たけのこのあく抜きの裏ワザ!

たけのこの炊き込みご飯と汁物

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たけのこのあく抜きにはさまざまな方法があります。舘野さんも、たけのこの状態や鮮度・調理方法によっては、他の方法であく抜きすることもあるそうです。

「大根おろしの汁」を使うあく抜き方法

鮮度の良いたけのこや、切り身のたけのこであれば、大根おろしの汁を使ってあく抜きすることもできます。ただし、舘野さんによると、たけのこに若干大根の香りがついたり、えぐみが残ったりする場合もあるそうなので、濃い味付けや中華料理にする場合などにおすすめの裏ワザとのこと。

1. 大根をおろします。大根はよく洗えば皮付きのまますりおろしてもOKです。普通の太さのものを1/3程度おろします。
2. 大根おろしをさらしなどで絞り、大根おろしの汁を抽出します。
3. おろし汁を同量の水で希釈し、塩小さじ1弱程度を加えます。
4. 表面の皮をむいて、先端を切り落としたたけのこを3に浸け、そのまま1~2時間放置します。

あく抜き後のたけのこの保存について

たけのこの断面

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舘野さんは生のたけのこの保存はあまりおすすめしないそうです。たけのこに限らず生の食材は傷みが早く、鮮度が落ちれば、その分おいしさも半減します。また、たけのこは時間の経過とともにあくが強くなるため、手にいれたら早めにあく抜きをして、一度火を通したほうがよいそうです。

あく抜きたけのこのおすすめ保存方法

あく抜き後にたけのこを保存する場合には、皮つきのまま、あく抜きを行いましょう。あく抜き後も皮をむかずにそのまま保存すると、風味が逃げにくいと言われています。舘野さんもこの方法をとっているそうです。

たけのこの旬である春には、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。館野さんによると、その場合たけのこのぬかは氷水で洗い流すのがよいそうです。何層もの皮で守られているたけのこの芯は、思いの外熱がとれないとのこと。
表面の粗熱は冷めていても、6~8℃程度の冷蔵庫内では、芯までは保存に適した温度までなかなか冷めないそうです。冷蔵庫内の他の食品に熱が伝導する可能性もあるので、ぬかを洗い流す段階でたけのこの芯までしっかり冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。
冬場であれば常温保存でも構いません。ただし、暖房が効いている部屋やコンロのそばに置くのを避けて、冷暗所で保存しましょう。

2~3日を目安に使い切る

あく抜きをしたたけのこは、2~3日くらいで使い切るようにしましょう。皮がついたままでも、時間が経てば経つほど風味が落ちます。おいしく食べるには、なるべく早く使い切ることが大切です。

冷凍することもできますが、たけのこ本来のおいしさを味わいたいのであれば、おすすめできません。たけのこのおいしさは、風味や香りにあるといってもよいですが、冷凍すると、風味や香りは落ちてしまいます。それでも冷凍保存が必要な場合には生の状態ではなく、あく抜きをして一度火を通してからにしましょう。

おいしいたけのこの見分け方

たけのこの先端

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最近は切り身や水煮のたけのこが多くなりましたが、旬の時期にはスーパーの店頭にも、収穫した状態の皮付きたけのこが並ぶことがあります。こうしたたけのこの方が、たけのこ本来の風味を存分に楽しむことができます。見かけたら、ぜひ手に入れて、あく抜きにチャレンジしてみましょう。

おいしいたけのこの見分け方のポイント

おいしいたけのこは、ずんぐりむっくりとした太めの姿をしています。縦に伸び切っていない、短めのものを選びましょう。
皮つきたけのこの本体はそこまで傷を気にする必要がありませんが、根元の部分はしっかりと傷をチェックすると、傷んだたけのこを避けることができます。根元に傷があったり、膿んだりしているものは、その部分から中身が傷み出すので要注意です。

また、たけのこを見分けるには、「慣れと学びが必要」と舘野さん。同じ日本の中でも九州と東北では気候が全く違うため、収穫された地域によってたけのこが一番おいしい時期は異なるのだそう。そのため、「なるべく目で見て、おいしそうなたけのこを選ぶ経験を積んでほしいです」とのことでした。

おわりに

「あくも、たけのこの個性であり良さなのです」と舘野さんは何度もおっしゃっていました。あく自体が悪いものだから取り除かなければならない、ということはなく、あく抜きはおいしく食べるための下ごしらえの手段の一つです。調理方法や状況によって方法を使い分けて、ぜひおいしい春の味覚を楽しんでみてくださいね。

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  • この記事取材先プロフィール

    舘野雄二朗

    舘野雄二朗

    1983年、道場六三郎氏の門下に入り料理界に。1997年に「ポワソン六三郎」料理長となる。2008年、「みちば和食 たて野」オープン。道場六三郎より受け継いだ柔軟な発想で創る「たて野」ならではの料理(道場和食)のコツを広く伝えたく、料理講習など活動の場を広げている。

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公開日:2017.1.22

最終更新日:2024.9.27

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