にんじんは「冷蔵保存」なら鮮度を保って長期保存できる!

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小島さんによると、にんじんは高温が苦手な野菜で、保存の適温は0〜5℃なのだそう。そのため、たとえ冬場でも暖房のきいたキッチンなどは、にんじんの保存場所としては適していないのだとか。
「にんじんは湿気にも弱いので、保存する際は湿気のこもりにくい環境を整えることも大切です。これらのことから、最も簡単に長期保存できる方法のは野菜室での冷蔵保存といえます」(小島さん)
にんじんの冷蔵保存について、小島さんに詳しく教えていただきました。
【保存期間の目安:約1カ月】丸ままのにんじんは立てて野菜室へ

提供:小島香住
にんじんを買ってきた袋に入れたままだと、ぬれている場合もあるので、洗わずに保存する場合も必ず水分を拭き取るようにしましょう。
にんじんを冷蔵保存する手順
- 洗って水気を拭き取る
- 1本ずつ乾いたキッチンペーパーで包む
- ポリ袋に入れて、立てて野菜室に保存
「にんじんを立てて保存するためにはカップやケースを使うとよいでしょう。冷蔵庫の中でもドアポケットなどの温度の変わりやすい場所や倒れやすい場所に置くことは避けてください」(小島さん)
【保存期間の目安:2〜3日】使いかけのにんじんを冷蔵保存する場合

提供:小島香住
「皮をむく前のにんじんをカットして保存するなら、切り口にぴったりとラップを貼り付けるように巻いて、野菜室で保存してください。
カット前のにんじんと違い、保存可能な期間は2〜3日と短いため、冷蔵しているからといって安心せず、早めに使い切るようにしてくださいね。同じ使い残しでも、スライスしてしまったにんじんを保存する場合は、下記で紹介する冷凍保存がおすすめです」(小島さん)
【保存期間の目安:約1カ月】土つきや葉つきのにんじんを保存するなら?
「土つきのにんじんは、洗わずに土がついたまま新聞紙などに包んで、野菜室に立てて保存しましょう。また、葉付きのにんじんが手に入った場合は、そのまま保存するのではなく、葉と根は切り離して別々に保存するのがポイントです。葉を切り落とす位置の目安は、スーパーで売られている葉なしにんじんを参考にしてください」(小島さん)
にんじんの葉の部分は、切り口に湿らせたキッチンペーパーを巻き、ラップやポリ袋で包んでから野菜室で保存してください。にんじんの葉の冷蔵保存期間は、にんじん本体より短く、3日程度が目安です。にんじんの葉はゆでて胡麻あえなどにするほか、炒め物やチヂミ、かき揚げなどで、にんじん本体と一緒に使うのもおすすめだそうです。
にんじんの「冷凍保存」は食感の変化に注意!
にんじんを冷凍保存する場合は、生のままスライスしたり、すりおろしたりして保存するのが小島さんのおすすめなのだそう。冷凍保存の方法を小島さんに詳しく教えていただきました。
【保存期間の目安:約1カ月】スライスして冷凍保存
提供:小島香住
にんじんを生のままスライスして、冷凍保存することもできます。ただし、おいしく食べるためには少し注意が必要だと小島さん。
「生のにんじんは冷凍すると食感が筋っぽく変化するので、切り方に注意しましょう。薄切りや千切りがおすすめですが、極力薄く切って冷凍するのがポイントです」(小島さん)
スライスしたにんじんを冷凍する手順
- にんじんを千切りや、薄いいちょう切りなどにする
- ジッパー付き保存袋に入れ、薄く平らにならして冷凍する
冷凍調理で作るキャロットラペ
「千切りにしたニンジンは、調味料と一緒に冷凍して、キャロットラペの作り置きをすることもできます。塩揉みをしてから冷凍することで、食感の劣化を防ぐメリットもありますよ」(小島さん)

提供:小島香住
【材料】
にんじん…1本
塩…小さじ1
オリーブオイル…大さじ2
レモン果汁…大さじ2
パセリやレーズン…お好みで
【手順】
- にんじんのは皮をむき、 むいて千切りにする(スライサーを使ってもOK)
- ボウルに、にんじんと塩を入れかるくもむ
- オリーブオイルとレモン果汁を加えて混ぜる
- 3を調味液ごとジッパー付き保存袋に入れ、薄く平らにならして冷凍する
- 自然解凍したら、パセリ、レーズンやナッツなどをお好みでトッピングする
【保存期間の目安:約1カ月】すりおろして冷凍保存も便利!

提供:小島香住
「にんじんをすりおろしてから冷凍保存にした後、デミグラスソースやドレッシングなどに使うのもおすすめです。また、にんじんドレッシングは冷凍することもできます」(小島さん)
すりおろしにんじんを冷凍する手順
- にんじんをすりおろす
- ジッパー付き保存袋に入れて、平らにならして冷凍する。
※分割して使いやすいように、箸を使って割りやすいように筋をつけておくのもおすすめ
冷凍OK! すりおろしにんじんのドレッシング
【材料】
にんじん…1本
玉ねぎ…1/2個
オリーブオイル…大さじ3
酢…大さじ3
塩…小さじ1/2
はちみつ…大さじ1
【手順】
- にんじんと玉ねぎをすりおろす
- 1と残りの材料を混ぜる
- 保存袋に平らにならして入れて、冷凍する
にんじんの栄養素や健康に役立つ効果は?

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栄養がある野菜というイメージが強いにんじんですが、実際はどうなのか小島さんに伺いました。
「緑黄色野菜の代表であるにんじんは、β-カロテンが豊富です。ちなみにカロテンの語源は、にんじんを意味する英語・キャロットだといわれています。β-カロテンの働きは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を維持すること。またβ-カロテンは脂溶性で、油と一緒に摂取すると吸収率が上がるため、にんじんは油を使った調理法がおすすめですよ」(小島さん)
おいしいにんじんの見分け方

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「にんじんは、本体の太さに対して葉の根元が細いものを選ぶと良いでしょう。にんじんの葉の根元を切った時、断面の色が薄い部分=芯と同じ太さです。色の薄い部分は、β-カロテンの量が少ないので、芯が細いほど、葉に栄養を持っていかれにくいという特徴があります。また、皮の色が鮮やかで黒ずみなどがないものを選びましょう」(小島さん)
現在、日本で流通しているにんじんはオレンジ色の西洋にんじんが主ですが、最近見かけることが増えた黄色、紫色などのカラフルなにんじんはサラダの彩りにもぴったりです。
日本で古くから栽培されてきた、赤い金時にんじん(京にんじん)はやわらかく、クセも少ないのでにんじんが苦手なお子さんでも食べやすいです。また、中心部まで赤いので飾り切りにも向いています。
そして、にんじんの味は、季節によって変わることを知っておくとよいと小島さんはいいます。
「秋~冬のにんじんは肉質が緻密で甘みが強いのが特徴、加熱しても煮崩れしにくいので、寒い季節にうれしい煮込み料理などに向いています。春にんじんはやわらかくみずみずしいのが特徴。ほんのり甘くクセが少ないので、こちらはサラダや野菜スティックなどの生食に向きます」(小島さん)
にんじんを使ったおいしいレシピ

TOKYO GAS
今すぐ試したい、にんじんを使ったおすすめレシピはこちら!
おわりに
料理に鮮やかな色味を添えてくれるだけでなく、栄養価も高いにんじんは、常に冷蔵庫でストックしておきたい野菜です。もし冷蔵保存期間が1カ月を超えそうになっても、冷凍保存に切り替えれば、無駄なく使い切ることができそうです。フードロスを防ぎながら、たっぷり食べたいですね。