【保存期間の目安:1週間〜10日】なすは野菜室で「冷蔵保存」が基本
夏野菜とも呼ばれるなすは、インド原産で低温が苦手です。そのため常温保存がよいと思われがちですが「鮮度を保ったまま長持ちさせるなら冷蔵保存が基本」と小島さん。
しかし、なすを冷蔵庫にそのまま入れると低温障害でナスの中が茶色く変色したり、種が黒くなったりします。この状態でも食べることはできますが、えぐみが強くなりおいしくないと感じる人も多いでしょう。
なすを冷蔵保存するためには、なすが冷えすぎないように工夫するのがポイントです。小島さんに上手に冷蔵保存する手順を教えてもらいました。
【手順】
- なすの表面がぬれている場合は、水分を拭き取りラップで1本ずつ包む
- 保存袋に入れて野菜室に立てて保存する
「1本1本ラップに包むことで低温障害を避けることはできますが、さらに長持ちさせるならキッチンペーパーなどでくるんでから、ラップで包むのがおすすめです。ラップのみの冷蔵保存なら1週間程度、キッチンペーパーのひと手間をかけるなら10日程度は新鮮な状態で保存できるでしょう。立てるのは野菜保存の基本。育つ状態に近い環境にすることで、野菜にとってストレスの少ない状態にすることができますよ」(小島さん)
なすを冷蔵保存をする場合の注意点は?
「スーパーなどで買ってきたままの状態だと、販売用の袋の中でなす同士が擦れて傷になるので注意してください」と小島さん。
必ず1本ずつラップでくるんで、立てて保存するためにはケースなどを利用するのもおすすめとのことです。
【保存期間の目安:2日】室温が15℃以下なら「常温保存」もOK
「なすを保存する際の適温は15℃以下。冬場などで暖房を入れない場所なら常温保存もOKですが、15℃で人が過ごすのは結構寒いですよね。冬でも室温が15℃を超えることは多いでしょうから、あまり現実的ではないかもしれません」(小島さん)
常温で保存する場合、風が当たるような場所におくと水分が飛んで、なすがしわしわになってしまうことも。過度な乾燥を防ぐために新聞紙でまとめて包むのが良いそうです。
【手順】
- 新聞などで包む
- 風が直接当たらないところで保存する
【保存期間の目安:1カ月】なす保存の新常識!? 調理の時短にもなる「冷凍術」
冷蔵保存ではあまり保存期間が長く取れないなすですが、冷凍保存ならなんと1カ月もの長期保存が可能だと小島さんはいいます。
「なすは丸ごとでもカットした後でも冷凍できます。さらに先に炒めても、生のまま下味をつけて冷凍してもOK。調理をする段階で使いやすい状態、また保存時にどの程度手間をかけるのかも含めて、お好みに合わせて冷凍できますよ」(小島さん)
冷蔵保存で油断してなすを変色させがちな人は、ぜひ取り入れてほしい保存方法です。
保存時に手間をかけたくない人は生のまま丸ごと冷凍!
一番手間いらずなのは、上の写真のようにヘタもついたまま、丸ごとラップに包んで冷凍する方法です。
【手順】
- 水洗いしてしっかり水を拭き取る
- 1本ずつラップで包む
- 保存袋に入れて冷凍する
生のなすをカットしてから冷凍するのもOK
調理の時に極力時短を狙いたい人は、あらかじめなすをカットしてから冷凍する方法もあります。
【手順】
- 好みの大きさにカットする
- 好みに応じて水にさらしてアクを抜く
- 水分がある場合はキッチンペーパーなどで押さえて水気をとる
- 保存袋に平らに入れて冷凍する
冷凍した生のなすは煮込み料理やみそ汁に
「丸ごと冷凍したなすは、包丁の刃が入る程度に半解凍したら、料理に合わせて食べやすい大きさに切り、加熱調理をしてください。冷凍なすは火の通りが早いですが、生のまま冷凍したものを焼くと中の部分だけ早く火が通ってしまうため、皮までやわらかくなる頃には、中の部分がやわらかくなりすぎてしまうことがあります。食感を均一にするには、おみそ汁や煮込み料理に使うのがおすすめです」(小島さん)
調理時間を極力短くしたい人は加熱してから冷凍を
「一度加熱してから冷凍したなすは、炒めものなら最後に入れて温めるだけで食べられます。また、だし汁に漬けて解凍すればそのまま食卓に出せるので、時短調理に役立ちます」(小島さん)
冷凍前にフライパンなどで焼く・揚げる
【手順】
- 使いやすい大きさにカットして軽く素揚げにするか、焼く
- 粗熱をとり保存袋に入れて冷凍する
「調理する際は、冷凍状態のまま加熱できるので、温めるだけで食べられます。ほかの具材と一緒に調理する場合は、最後になすを投入すればOKです」(小島さん)
電子レンジ加熱したものは解凍と同時に煮びたしに
【電子レンジ加熱をして冷凍する手順】
- 洗ったなすのヘタを取り、丸ごとラップに包んで電子レンジで2〜3分加熱
- 全体に火が通ったら、水につけて冷ます
- 水気を拭き取ったら新しいラップに包んで冷凍(冷凍前にカットしてもOK)
【丸ごと冷凍したナスを煮浸しにする手順】
- 冷凍庫から出したなすを常温で半解凍する
- 1のなすをだし汁に漬ける
- 食べやすい大きさにカットして盛り付ける
「半解凍せずにだし汁に漬けることも可能ですが、解凍時間が長くなります。朝だし汁に漬けて冷蔵庫で解凍し、夕飯のおかずにするなどの場合はそのまま漬け込むのも良いでしょう。加熱したなすをカットしてから冷凍した場合は、解凍せずにそのままだし汁に漬けて常温で置いておけば、さほど時間もかからず解凍できますよ」(小島さん)
「冷凍調理」で簡単に作るなすの漬物
「自家製のなすの漬物は長期保存には向きません。それならば、調味液と一緒に冷凍する調理はいかがでしょう? これならほかの冷凍保存と同様、1カ月程度保存することができますし、自然解凍すればそのまま副菜になります」(小島さん)
【手順】
- なすを薄切りにする(その後、水にさらしてアクを抜いてもよい)
- 水分がある場合はクッキングペーパーなどを使って拭き取る
- 保存袋に調味料と一緒に平らに入れて冷凍する
【なすの醤油漬けにおすすめの材料と分量】
なす…2本
醤油…大さじ1
砂糖…小さじ1
酢…小さじ1
炒りごま…小さじ1/2
おろしにんにく…少量
【なすの昆布だし漬けにおすすめの材料と分量】
なす…2本
白だし…大さじ1
塩昆布…ひとつまみ
酢…小さじ1
炒りごま…小さじ1/2
なすの栄養素や健康に役立つ効果は?
一年中簡単に手に入り、日々のみそ汁はもちろん、和食・中華・イタリアンなど多くの家庭料理で重宝するなす。栄養はそれほどないと思われがちですが、実は高血圧の予防効果も期待されている野菜なのだと小島さんは言います。
「皮に含まれている色素成分・ナスニンや、切ると黒くなる成分・クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用が高いことでも注目されています。また神経伝達物質のアセチルコリンの一種、コリンエステルが豊富であることから、高血圧の予防にも効果が期待できる野菜。中でも高知県産でハウス促成栽培の冬春なす・高知なすは、このコリンエステルが豊富に含まれていることが実証され、生鮮なすで初めて機能性表示が認められました」(小島さん)
おいしいなすの見分け方
健康にも良いとわかったら、おいしいなすをたくさん食べたいもの。最後に、おいしいなすの見分け方を聞きました。ポイントは次の3点だそう。
- 皮にツヤとハリがあるもの
- ガクのしたが白いもの
- ヘタの切り口が変色し過ぎずきれいなもの
「常温で売り場に並ぶことの多いなすは、水分が抜けてしなびていないか、まず皮の表面に注目を! ヘタの切り口もパッと見て鮮度をチェックできるので覚えておくとよいですよ」(小島さん)
なすを使ったおいしいレシピ
いますぐ試したい、なすを使ったおすすめレシピはこちら!
おわりに
保存や解凍調理が簡単で手間いらずななすは、毎日忙しく過ごしている人にこそおすすめの食材。困った時の時短副菜としても大いに活躍してくれる心強い野菜の一つです。
そろそろダメになりそうななすが冷蔵庫に眠っていて、どうしても調理する時間が取れないようならそのまま冷凍庫に移動すれば、フードロスの削減にもなりますね。長持ちさせる保存方法のコツさえおさえておけば、使い切れるか心配せずに購入することができそうです。