玉ねぎの「常温保存」基本をおさらい
古くから常温保存が基本とされてきた玉ねぎは、適切に保存すれば、常温で2カ月以上もおいしい状態をキープできるのだそう。常温保存の方法について小島さんに教えていただきました。
【保存期間の目安:2〜3カ月】カゴやネットを活用
- 玉ねぎの保存の適温は1〜15℃。適温を大きく上回る夏場は冷蔵保存を推奨
- 蒸れないように、空気がこもらないカゴなどを使い、光が直接当たらないところで保存。光が当たると芽が伸びてしまうので注意
- 光が当たらない場所ならば、ネットに入れて吊るして保存もOK
玉ねぎを常温保存する際の注意点は?
「常温保存は、カットしたり皮をむいていない状態の玉ねぎが推奨です。カットした残りを保存するなどの場合は、冷蔵や冷凍保存に切り替えてくださいね」(小島さん)
また、新玉ねぎの場合は、乾燥させれば常温保存も可能ですが、基本的には冷蔵保存がおすすめとのことです。
梅雨や夏場の玉ねぎは「冷蔵保存」にチェンジ
「玉ねぎの保存適温は1〜15℃ですから、たとえエアコンなどで室温を24時間コントロールしていても、夏場は冷蔵保存に切り替えることをおすすめします。ただし空気のこもりやすい冷蔵庫での保存は、適温での常温保存より保存期間は短めなので、買い足す量を調整するなどして上手に使い切ってくださいね」(小島さん)
【保存期間の目安:2週間】ペーパーに包んで野菜室に
玉ねぎを冷蔵保存する場合の手順は以下になります。
- 皮付きのまま新聞紙やキッチンペーパーに包む。数個ずつまとめて包んでOK
- 保存袋に入れて口を閉じ、野菜室で保存する
【保存期間の目安:1週間】新玉ねぎは冷蔵保存が基本
「新玉ねぎは1個ずつ新聞紙やキッチンペーパーに包むと良いでしょう。皮付きのままでOKです。それを保存袋やポリ袋に入れ、口を閉じて保存するのは通常の玉ねぎと同様です」(小島さん)
【保存期間の目安:2〜3日】使いかけの玉ねぎはラップをして冷蔵保存に
「使いかけの玉ねぎは、ラップでぴっちり包み、野菜室に保存してください。もし皮付きのまま半分にしたなら、皮はそのままにして、切り口にぴったりラップを密着させればOKですよ」(小島さん)
玉ねぎは「冷凍保存」すると時短調理にぴったりの食材に!
「玉ねぎは丸ごとでも、カットしてからでも、加熱調理後の状態でも冷凍が可能です。生から加熱するより冷凍してからの方が早く火が通ってトロトロになりますから、煮込みやスープに使うなら丸ごと冷凍するのが簡単でおすすめです」(小島さん)
【保存期間の目安:1カ月】玉ねぎを丸ごと冷凍する方法
玉ねぎを丸ごと冷凍保存する手順は以下になります。
- 皮をむく
- 写真のように6等分程度の切り込みを入れる
- ラップで包み保存袋に入れて冷凍
「丸ごと冷凍した玉ねぎをカットして調理したい場合は、包丁の刃が入る程度に解凍した後カットすれば大丈夫です。また、丸ごと冷凍した玉ねぎをそのまま電子レンジを使ってうまみたっぷりのスープにするとおいしいですよ!」(小島さん)
冷凍玉ねぎのスープ
【材料】約1人分
丸ごと冷凍玉ねぎ…1個
ベーコン…1枚
顆粒コンソメ…小さじ1/2
水…1/2カップ
塩…適量
パセリ…お好みで
【作り方】
- 材料すべてを深めの耐熱皿や耐熱ボウルに入れ、ラップをふわっとかぶせる
- 600Wのレンジで3分加熱する
- 玉ねぎの上下をひっくり返し、さらに3分 玉ねぎが柔らかくなるまで加熱する
- 玉ねぎを好みで崩して完成
【保存期間の目安:1カ月】カットした玉ねぎを冷凍する方法
玉ねぎをカットして冷凍保存する手順は以下になります。
- スライスやみじん切りなど使いやすい大きさに切る
- 使いやすい量で小分けにする
- 保存袋に入れて、薄く伸ばし空気を抜いてジッパーを閉じ、冷凍する
「使いかけの玉ねぎも、カットして冷凍すれば1カ月の長期保存ができます。炒め物から煮物、スープなどさまざまな加熱料理に使うことができますし、みじん切りにして冷凍した玉ねぎは自然解凍でサラダに使うのもおすすめです。冷凍すると生に比べて辛みが弱まるので、水にさらさなくてもそのまま具材として使用できます。半解凍の状態でほぐし、エビやブロッコリーなどに混ぜてサラダにするとおいしいですよ」(小島さん)
【保存期間の目安:1カ月】玉ねぎは炒めてから冷凍してもOK
玉ねぎを炒めてから冷凍保存する手順は以下になります。
- フライパンに油を熱し、たまねぎを炒める
- しっかり冷まし、ラップで包んで平らにのばす
- 保存袋に入れて冷凍する
「カレーやハンバーグの肉だねなどに入れるあめ色の玉ねぎは、一度にまとめてつくって冷凍しておくのも良いですね。しっかり冷ましてから冷凍庫に入れるようにしてください」(小島さん)
玉ねぎの栄養素や健康に役立つ効果は?
「玉ねぎ特有の辛みと香りは硫化アリルという成分によるもので、血液凝固を遅らせ、血液中の脂質を減らす働きがあるため、血液がサラサラになり、動脈硬化などの予防に効果が期待できます。また、ビタミンB1の吸収を高める働きがあることから、新陳代謝が促進され、疲労回復などにもつながります」(小島さん)
玉ねぎの皮にも注目の栄養素あり!
「実は、玉ねぎは捨てるところのない野菜なんです。最近、玉ねぎの皮に含まれるケルセチンという成分が、抗酸化作用が高く認知機能改善にも効果が期待できるという研究が進んでいます。玉ねぎの皮はよく洗ってお湯で5分ほど煮出せば、お茶として飲むことができます。また、皮のほかヘタも捨てずに、野菜出汁・ベジブロスとして活用できますよ」(小島さん)
【ベジブロスの作り方】
- よく洗った両手一杯分程度の野菜クズを用意する(玉ねぎの他、にんじん、ねぎやトマト、ナス、ピーマンなどで、ヘタや皮といった通常捨てる部分)
- 1に水1Lと酒小さじ1杯を加えて強火にかける
- 沸騰したら、野菜が泳ぐ程度の弱火にして20〜30分煮る
- ザルなどで野菜をこして完成
「ベジブロスはスープやカレーなどの煮込み料理、デミグラスソースやホワイトソースなどのベースとして使うことができます。またリゾットやパエリアなどのお米料理に使うのもおすすめですよ」(小島さん)
おいしい玉ねぎの見分け方
最後に、おいしい玉ねぎの見分け方を小島さんに伺いました。お店で購入する場合は、下記の3点をチェックして選ぶと良いそうです。
- 皮が乾いていてツヤがあるもの
- 芽の周辺に空洞がないもの
- 根や芽が伸びていないもの
「玉ねぎは皮に覆われているので中の状態がわかりにくい野菜ですが、触ることである程度鮮度を確かめることができます。芽の周辺に触れて、柔らかかったり空洞があるものは避けたほうが良いでしょう。また、玉ねぎは根や芽が出ないように処理をして保存されているのが一般的です。もし根や芽が伸びていたら、それまでの保存状態があまりよくなかった可能性が高いと考えられます」(小島さん)
芽がでている、一部が柔らかい、ススのような黒い汚れがある玉ねぎは食べられる?
保存しているうちに芽が出てきてしまったり、買った後に柔らかい部分があることに気づいたりしたことはありませんか? こんな玉ねぎは食べられるのか、小島さんに聞きました。
芽がでている
「玉ねぎは芽が出ても毒性はないので、通常通り食べることは可能です。ただし風味や食感は良くないので、緑色になった芯ごと取り除くと良いでしょう」(小島さん)
一部が柔らかい、ススのような黒い汚れがついている
「一部が柔らかくなっている玉ねぎは、その部分を切り取れば食べることができますが、その範囲が広い場合は避けるのがベターです。また皮や皮との間に黒いススのような汚れが付いた玉ねぎをよく見かけますが、あの汚れの正体はカビです。水でしっかりと洗い流せば食べることができます。ただし、どちらのケースも生食は避け、加熱料理に使うことをおすすめします」(小島さん)
玉ねぎを使ったおいしいレシピ
新玉ねぎの甘みを! 「新玉ねぎ」レシピまとめ
新玉ねぎは辛味が少なく、みずみずしいのが特長です。今すぐ試したい、玉ねぎを使ったおすすめレシピはこちらです!
飴色玉ねぎを短時間で仕上げる裏ワザを有名シェフが伝授!
さまざまなレシピに重宝な飴色玉ねぎ。しかし、つきっきりで炒めるのは手間と時間がかかるので、飴色玉ねぎ作りが面倒と感じている方も多いかもしれません。そこで、「レストラン大宮」の大宮勝雄シェフに、短時間で飴色玉ねぎを作る裏ワザやコツ・保存方法を伺いました。
おわりに
健康面でも大いに役立つ玉ねぎは、日頃から積極的に食べたい野菜です。冷凍保存を上手に活用すれば、鮮度を保ったままサラダから煮込み料理まで幅広く日常的に取り入れられそうです。また皮やヘタもお茶やベジブロスに活用すれば、捨てるところがほぼないという点も魅力的。ぜひ、生活にぴったりの玉ねぎ活用法を見つけてみてくださいね。