銀杏(ぎんなん)の高い栄養価とは! 枝豆や落花生と比較すると・・・?
秋の味覚、銀杏(ぎんなん)。もちもちとした独特の食感で、焼き銀杏、茶碗蒸し、炊き込みご飯、といろいろな料理に使えます。おいしいだけではなく、栄養価の高さも抜群。タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含み、隠れスーパーフードといわれることも。
「銀杏の主な栄養素」
- エネルギー :169kcal
- たんぱく質 :4.6g
- 脂質 :1.5g
- 炭水化物 :35.8g
- 灰分 :1.2g
※銀杏(ゆで)可食部100gあたりの含有量
※出典:文部科学省
銀杏の旬である10~11月は、寒さが増す秋から冬への季節の変わり目です。栄養豊富な銀杏を食べて、風邪の予防や体調管理に努めたいものですね。
銀杏は実も葉も含めて、古くから漢方薬や薬膳料理、民間療法で使われてきました。銀杏の実は咳を鎮め、痰を喉から吐き出しやすくするとされ、葉のエキスは末梢の血流を良くするとされています。
銀杏に含まれるビタミン・ミネラルを枝豆や落花生と比較!
硬い殻に包まれた銀杏ですが、焼いたり、揚げるだけで絶品のおつまみに。同じくおつまみとして人気の枝豆や落花生と栄養価がどう異なるのか、比べてみました。
※銀杏はイチョウ科で枝豆や落花生はマメ科なので、植物としての種類は異なります。
※落花生は生の状態を乾燥させてから炒ったものを食すことが多いのですが、銀杏や枝豆と合わせて「茹で落花生」の状態で比較しています。
銀杏に多く含まれるビタミンやミネラルは上の表の通りです。枝豆や落花生と比較すると、銀杏にはカリウムやパントテン酸、ビタミンCが多く含まれていますね。また、セレン、クロム、ビオチンなどは銀杏に含まれていますが、枝豆や落花生には含まれていません。他のおつまみと比べても、銀杏の栄養価は遜色ないことが分かります。それぞれの栄養素の主な働きは以下をご覧ください。
- カリウム:体内の過剰なナトリウムを排出させる働きがあります。
- セレン:抗酸化作用があります。
- クロム:食事から摂取した糖質を分解しエネルギーとして利用したり、余剰分を蓄える「糖代謝」の働きを助けます。
- ビタミンB1:エネルギーの代謝を助ける働きがあります。不足すると倦怠感や疲れやすさの原因につながります。
- パンテトン酸:脂質や糖質の代謝を助ける働きがあります。
- ビオチン:抗炎症物質を生成し、アレルギー症状を緩和する働きがあります。
- ビタミンC:皮膚や細胞のコラーゲンの合成を助けます。また抗酸化作用があります。
銀杏中毒とは? 銀杏の副作用や摂取可能な量を確認
栄養価の高い銀杏ですが、銀杏中毒のリスクがあり、食べ過ぎには注意が必要だといわれています。なぜ中毒になるのでしょうか。公益財団法人日本中毒情報センターのサイトには以下のように記載されています。
「銀杏(ギンナン)に含まれる 4ʼ-O-メチルピリドキシンはビタミンB6(ピリドキシン)と構造が類似しており、ビタミンB6の作⽤を競合的に阻害することで、ビタミンB6 の補酵素型であるピリドキサールリン酸の⽋乏症を起こすことが主な原因と考えられています。ピリドキサールリン酸が⽋乏すると、抑制性神経伝達物質である γ―アミノ酪酸(GABA)が⽣成されず、その結果、神経系の異常興奮(けいれん)が起こると考えられています」
生では食べられない銀杏ですが、加熱しても中毒のリスクは変わりません。小さな子どもに与えるのは避け、大人でも食べ過ぎには注意しましょう。
何個まで食べても問題ないのかが気になるところですが、公益財団法人日本中毒情報センターによると、数の断言はできないそうです。同センターのサイトでは、「6〜7個⾷べてけいれんが出現した5歳以下の⼩児の例」も記載されていました。数個でも症状が出た例もあるとは注意したいところですね。
出典:公益財団法人日本中毒情報センター
銀杏の下処理の方法とは?
イチョウの木の下に落ちてきた銀杏を見ると、柔らかい実のようですね。柔らかい実の果肉の部分を取り除いた種が銀杏だと思われている方も多いのではないでしょうか。
落ちてきた銀杏は実ではなく種で、ブヨブヨと柔らかい果肉のような部分は、種を包む皮の一部、表皮と呼ばれます。
銀杏として食卓に上るのは、種すべてではなく、種子の一部である「胚乳」部分です。胚乳とは発芽に際して成長に必要な養分を供給する部位。下処理では、胚乳の周りの薄皮(渋皮)、硬い殻、柔らかい外側の表皮と三層ある種皮をすべて取り除く必要があります。
銀杏は店頭では殻付きで市販されていることが多いですね。殻のまま焼いて割りながら食すのも良いですが、茶碗蒸しや炊き込みご飯など料理の食材として使う場合には、殻から取り出して下処理する必要があります。
また、銀杏拾いをした場合には、ブヨブヨとした種皮の表皮も取り除かなくてはなりません。そこで、銀杏の下処理について内山さんに詳しく伺いました。
銀杏の下処理の方法「外側の種皮の処理」
銀杏の外側の柔らかい皮には特有のニオイがありますね。この表皮には、ビロボールと呼ばれる、アレルギー性皮膚炎を引き起こす物質が含まれています。素手で触ると、かぶれやかゆみなどの症状を引き起こす場合があるので、ゴム手袋などをはめて作業をしてください。なお、この外側の種皮を他の二層の種皮と区別するため、記事内では表皮と称しています。
また、この表皮が発する特有の悪臭は、衣類や壁紙に付くとなかなか取れません。この作業をする時は、飛び散らないようにビニール袋の中で作業する、新聞紙を広げる、屋外で作業するなど工夫すると良いでしょう。
表皮が柔らかい場合には、そのまま表皮をむいて中の種を取り出します。表皮が硬い場合は、柔らかくなるまで水に浸けるとむきやすくなります。
表皮がむけたら、種同士をこすり合わせるようにして流水でよく洗い残っていた表皮を取り除きましょう。完全に表皮が取り除けたら、風通しの良い場所に広げて、完全に乾くまで乾燥させます。
銀杏の下処理の方法「殻の取り方」
タオルとトンカチを用意し、タオルの上に銀杏を置いて指で抑えながら、トンカチで軽く叩いて殻に割目を入れます。パカッと殻が開いたら、手で殻をむいて実を取り出しましょう。
トンカチで叩く時は、殻のつなぎ目部分を叩くようにすると割れやすくなります。トンカチの代わりにペンチや銀杏の殻割の専用器具を使用する方法も。
銀杏の下処理の方法「薄皮(渋皮)の処理」
銀杏には薄皮がついています。殻から取り出した銀杏の実を水に30分程度浸し、薄皮が柔らかくなったら、指の腹をこするようにしてむいていきましょう。
銀杏の保存方法【常温・冷蔵・冷凍】
銀杏はどのくらいの期間、保存できるのでしょうか。
常温保存の場合
旬の秋頃の涼しい時期なら風通しの良い場所で、常温で保存できます。保存期間の目安は殻付きの状態で1週間です。
冷蔵保存の場合
冷蔵の場合は、殻付きのまま紙袋に入れたり新聞紙で包んでビニール袋に入れたりして、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。2週間程度、保存できます。時間とともに実がしぼんで、実の色も緑色から黄色に変化するので、できるだけ早く食べきるのが良いでしょう。
冷凍保存の場合
食べきれない場合は、冷凍でも保存できます。殻から取り出し下処理をして、塩ゆでしておくと食べたい時にすぐに使用できて便利です。
ゆでた銀杏は、1食分ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。1カ月を目安に使い切りましょう。解凍せずにそのまま炒め物や茶碗蒸しに使用できます。
おわりに
真空パックでは通年で市販されている銀杏ですが、秋になると殻付きのまま生で購入することができます。手間はかかりますが、生の状態から調理した銀杏は格別の味わいです。また、イチョウは現生する植物の中でも歴史が古く、「生きた化石」といわれることも。歴史に思いをはせながら、日本酒片手につまむのも良いですね。
お家で食べたい! 銀杏レシピ
【レシピ・動画】蒸し器不要!「お鍋で簡単茶碗蒸し」
本格的な蒸し器がなくてもお鍋で茶碗蒸しを作れます。
【プロのレシピ】吉田勝彦さん「ギンナンと小エビの甘酒炒め」
強火で一気に炒めるイメージが強い中華料理。そんな概念をくつがえす、甘酒を使った料理です。
「ジーテン」オーナーシェフ吉田勝彦氏のレシピです。
他にもウチコトにはさまざまなレシピがあります。以下リンクをご覧ください。