ケンカするほど仲がいい!? 兄弟げんかの意味とは?
子どもが二人以上いると、必ず起こるのが「兄弟げんか」。特に、手や足が出たり、大声で乱暴なことを言っていたりすると、親として心配になることもありますよね。
そもそも、兄弟げんかはどうして起こるのでしょうか。
それは、お互いの距離が近いからです。
家の外では、子どもは子どもなりに我慢したり、遠慮したりしています。
でも、家の中で家族が相手だと、その我慢をしなくなります。
大人も、仕事の相手や友達に言われたことは、多少腹が立っても我慢できるのに、自分の親や夫・妻に言われたことには、つい言い返してしまう・・・ということはありませんか?
「ケンカするほど仲がいい」と言いますが、兄弟げんかには、それだけお互いの精神的な距離が近いという意味があります。
特に子どもの場合は、感情に手足の動きが伴いやすいので、ささいなことでもつい叩いたり蹴ったりしてしまって、ケンカに発展することもあります。
ちなみに、逆にケンカしないからといって問題があるわけではありません。どれくらいケンカをするかは、お互いの性格や、年齢差・性差にもよると言われています。
親はどうしたらいいの!? 兄弟げんかへの【年齢別】対応方法
では、親は兄弟げんかにどう対応したらいいのでしょうか?
基本的には、兄弟げんかには「親は立ち入らない」のが原則だと言われています。ただし、年齢や場合によって対応方法は異なります。
子どもの年齢別に対応方法をご紹介します。
上の子の年齢と下の子の年齢、両方の対応方法を見てみて下さいね。
○2~3歳の子どもの兄弟げんかへの対応
2~3歳の子どもは、まだ自分の衝動を抑えることができません。
その理由の一つは、脳の表層にある「前頭前野」と呼ばれる部分が、まだ機能し始めていないためだそうです。
前頭前野とは、目標達成のために衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢で、いわば理性です。この部分が未発達なうちは、本能的な欲求を抑えることができないそうです。
この時期の子どもは、まだ人との関わり方自体が分かっていません。その上、感情の動きに手足の動きが伴いやすいときでもあります。そのためちょっとしたことでも、叩く、蹴る、噛みつく、引っ掻く、突き飛ばす、物を投げるなどの、困った行為をしがちです。
上の子が2~3歳だと、下の子は0~1歳の赤ちゃんですから、親としては見ていられなくなりますよね。下の子に「うわ~ん」と泣きつかれると、つい上の子を叱りたくなることもあります。
でも、子どもは子どもなりに、理由や欲求があって行動しています。それ自体は、その子の成長の証でもあります。
そんなときは、「何か嫌だったんだね」と、子どもの気持ちは認めつつ、「でも叩くのはいけないよ」などと、物理的に行動を制限することがおすすめです。
言葉で「そんなことしたらダメ! 」と叱ったり、「やめようね」などと諭しても、まず言うことを聞いてはくれません。
親が「身体で止める」こと。つまり、抱き締めたり、両腕を掴んだり、抱えて違う場所へ連れて行ったりすることがおすすめです。「気持ちは認めるよ。理由もあるんだよね。でも、その行動はママとして止めるね」というスタンスです。
この時期は、下の子が産まれてヤキモチを焼いたり、構って欲しくて赤ちゃん返りをしやすいときでもあります。下の子に乱暴するのは、「自分にも構って欲しい」という気持ちの表れかもしれません。少し意識して、その子の欲求に応えてあげたり、スキンシップを増やしたり、褒めたりしてあげると、兄弟げんかも少しずつ減ってくるかもしれません。
○4~6歳の子どもの兄弟げんかへの対応
子どもが4~6歳になると、ある程度自分をコントロールできるようになってきます。手加減したり、言葉で話ができるようになる歳です。年齢差にもよりますが、お互いにやり合えるようになってきたら、原則として「親は立ち入らない」のが大切だと言われています。
我慢や遠慮なくケンカできるのは貴重な関係です。「手加減の仕方」や「ケンカの終わらせ方」を知る機会でもあります。多少怪我をしても、相手の親に気を遣う心配もありません。
兄弟げんかを通して、子どもは子どもなりに、コミュニケーションや人との関わり方を学んでいるのです。
ただ、あまりにエスカレートして、大きな怪我をしそうだったり、一方的な場合は止めに入った方がいいこともあります。そのときに気をつけたいのは、「下の子ばかりをかばわない」ということです。
「お兄ちゃん/お姉ちゃんでしょ! 」「弟/妹には優しくしてあげなさい! 」と言いたくなる気持ちもありますが、上の子も理由があってケンカをしているはずです。
特に下の子が女の子だと、「女の子を叩かないの! 」と叱りたくなりますが、まだ男女の体格差が少ない子どもにとっては、理不尽に感じるかもしれません。
兄弟・姉妹は、親の愛をもらう上でのライバル関係でもあります。
可哀想だからと下の子ばかりかばっていると、「どうせ弟/妹の方が好きなんだ」「どうせ自分なんか」と、上の子が傷ついてしまうこともあります。
上の子がいじけてしまったり、余計に下の子をいじめてしまう場合もあります。
「自分より小さい子に優しくする」「自分より弱い子を思いやる」といったことは、まず「自分自身が大切にされている」という感覚があって、初めてできるようになります。
下の子をいじめるようなときこそ、親はどちらの子も同じくらい大切にしている、愛している、ということを伝えるようにしてあげて下さい。
○小学生の子どもの兄弟げんかへの対応
小学生になっても、基本的には4~6歳の子どもとあまり変わりません。
特に男の子同士だと、ちょっとしたことで取っ組み合いになることもありますが、親が介入せず、ひとしきりケンカすると、けろっと仲直りしていることもよくあるようです。
もし、あまりに騒がしくて止めて欲しいときは、どっちが悪い、とジャッジして仲裁するのではなく、「うるさいからやめて! 」と無条件に止めさせたり、「お菓子食べる人~! 」と他のものでつって休止させる、という方法もあります。
大したことのない原因でケンカしている場合は、これであっさり収まることもあります。
また、ケンカが頻繁な場合は、「ケンカのルール」を作ってもよいと思います。
たとえば、「物を投げない、物で殴らない」「首を絞めない」「噛みつかない」「布団の上でする」「『本当に止めて』と言ったら止める」などなど。
ルールを破ったときだけ止めに入る、というようにしてもいいかもしれません。
ただ、あまりに一方的・暴力的な場合は、仲裁した方がよいときもあります。
その場合も、やられている子をかばって、攻撃している子(たいていは上の子)に対峙する、という形になると、よくないそうです。そういう時は、間に入って止めた上で、
1. まず、やられていた方の子を別の部屋に連れていく。
2. 攻撃した方の子に、ケンカになった理由を聞く。
3. 最後まで話を聞いてあげて、その子の気持ちに理解を示した上で、ケンカはよくないと
注意する。
4. 今度はやられていた方の子のところへ行き、またケンカになった理由を聞く。
5. その子の気持ちにも理解を示したうえで、ケンカはよくないと注意する。
こうして平等に対応すれば、後を引きにくいそうです。
お互いに謝ることを促してもよいですが、「ごめんなさいは!? 」と無理に謝らせる必要はありません。
この年齢になると、悪かったなと自分で反省して、自分から謝ることが大切です。
ただ、いつもよりも攻撃的だったりする場合は、学校のことや友達のことなど、別のストレスが原因の場合もあるかもしれません。
また、相手のコンプレックス(身体的なことや、苦手なこと、失敗したことなど)をあげつらって攻撃するような場合も、同じようなことを他の子にされていたり、見聞きしている可能性もあります。
子どもに別のストレスがあって八つ当たりしているようなときは、改めて時間をとってしっかり話を聞いてあげることが大切です。
嫌なことがあった、傷ついた、といった子どもの気持ちに共感して認めつつ、「だからといって、他の人を傷つけるのはよくないことだよ」ということを、きちんと伝えるとよいでしょう。八つ当たりされた方の子も、気にしているようであればフォローしてあげる必要があります。同様に話を聞いて、よくないことはきちんと伝えてあげましょう。
おわりに
兄弟げんかの意味や、年齢別の対応方法についてご紹介しました。
人との関わり方や、コミュニケーションを学ぶためにも大切な「兄弟げんか」。基本的には、大らかに見守ってあげられたらよいですね。
ただ、裏に子どものストレスが隠されていないかどうか注意して、ストレスがある場合はケアしてあげましょう。兄弟で思いっきり関わり合いながら、たくましく育ってくれるといいですね。