家庭にある身近な調理機器、その違いって?
みなさんのキッチンには、調理機器がいくつありますか?
コンロのグリル、トースター、オーブン、電子レンジなど、身近にある調理機器について、意外とその違いが知られていないのではないでしょうか。
今回は、コンロのグリル、トースター、オーブン、電子レンジの4つについて、それぞれの違いと特徴をご紹介します。
【違いその1】加熱の仕組み
食品への熱の伝わり方には「伝導」「対流」「放射」の3つがあります。食品の温度上昇に深く関係しているのが「対流による伝熱」で食品の焼き色に深く関係するのが「放射による伝熱」です。
グリルの特徴とは?
両面焼きタイプと片面焼きタイプがありますが、両面焼きタイプは、直火とグリル庫内の対流熱の両方で同時に加熱します。
直火で表面をこんがりと焼きながら放射熱で包み込むように加熱するので、表面はパリッと中はジューシーに。
トースターの特徴とは?
伝熱線からの放射熱で焦げ色を作り直接食品を温めます。焼き色をつけたいトーストなどに適していますが、食品に厚みがあると中まで熱が通りきらない場合があります。
オーブンの特徴とは?
四方からの対流熱で、熱した空気を庫内に対流させて食品の温度を上げます。食品全体をムラなくじっくり加熱したい大きな塊肉などを焼くのに適しています。
電子レンジの特徴とは?
電子レンジはマイクロ波(電磁波)を食材の水分子に当てて振動させて発熱させています。そのため、食品の内部が先に次第に外側へ温まっていくという特長があります。
焼き色はつかず、ムラが出ないように気をつけて加熱する必要があります。
【違いその2】庫内温度
食材を入れずに、最大火力(出力)で加熱したときの各調理機器の庫内温度を測定しました。
コンロ、オーブンについてはガス式・電気式で特性が違うため、グリルについてはガス・IH、オーブンについてはガス・電気で分けてみてみます。
なお電子レンジは、庫内を温めるものではないので、ここでは対象外とします。
グリル(ガス・IH)、オーブン(ガス・電気)、トースターの、計5つの測定値をグラフにしたものがこちらです。
ガスのグリルは点火後約20秒で300℃を超えており、温度上昇が最も速いことが分かりました。次に温度上昇が速いのはガスオーブンとトースターで、2分で約200℃に達しました。
電気オーブンとIHグリルは温度上昇が緩やかで、2分経過後の温度は、電気オーブンが約70℃、IHグリルが約90℃でした。
【グリル、トースター、オーブン、電子レンジ】それぞれの特徴・得意料理はこれ!
上記を踏まえて、それぞれの特徴、得意料理はこちらです。
グリル(ガスの場合):香ばしさを与えるのが得意!
対流が大きく庫内を短時間で高温にすることが可能なうえ、適度な放射によって食品表面が加熱され、食材に香ばしさを与えることに向いています。
【おすすめ料理】焼き魚、肉のグリル、ピザ、ナンなど
トースター:短時間できれいな焼き色を付けるのが得意!
放射の割合が高く立ち上がりが速いため、短時間で焼き色を付ける調理に向いています。
【おすすめ料理】トースト、グラタンなど
オーブン(ガスの場合):表面を焦がさずしっかり加熱するのが得意!
ほとんどが対流なので、表面を焦がさずに加熱することができます。ガス式なら温度の立ち上がりもスピーディーです。
【おすすめ料理】ケーキ、パン、塊肉のグリルなど
こちらの記事ではガスオーブンについて詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
ガスオーブンのメリット4選! オーブントースターや電気オーブンとの違いは?
電子レンジ:食品内部を温めるのが得意!
対流、放射による加熱ではないため、表面を乾かすことなく内側からスピーディーに加熱できます。
【おすすめ料理】ご飯の温め直し、冷凍食品の加熱など
この料理にはどっち? 使い分けのコツ
「ローストビーフ」にはグリル? オーブン?
例えば、フライパンで焼き色をつけてからオーブンで中まで火を通すローストビーフ。フライパンを洗ったり、オーブンをあらかじめ予熱しておいたりちょっと億劫な場合も。
ところがグリルなら、直火が表面を焼き固め、庫内の対流熱が中まで火を通してくれます。たった10分ちょっとの焼き時間とあとは保温しながら放置するだけで、きれいに焼き色がついたローストビーフが完成します。
手軽にローストビーフを作るなら【グリル】がおすすめ!
【レシピ・動画】おもてなしにも簡単「グリルでローストビーフ」
「お肉をヘルシーにこんがり焼きたい」なら、フライパン? グリル?
フライパンで焼くことの多い肉料理。代わりにグリルを使えば、油をひく必要もなく、余分な脂も落として焼けるため、フライパンを使った時に比べて油脂分をカットできます。
また、グリルは短時間に高温で焼き上げるので、お肉や魚の旨みを逃さずジューシーな仕上がりに。
お肉をヘルシーにこんがり焼きたいなら【グリル】がおすすめ!
【レシピ】同時に2品「簡単鶏モモ肉のジューシーグリル」
「食パンのトースト」には、トースター? グリル?
パンを焼くときは、高温で短時間で焼いたほうが、水分の蒸発が少なく美味しく焼きあがります。コンロの両面グリルで焼くと、表面は直火で焼くのでカリッと香ばしく、高温・短時間で焼くので水分の蒸発が少なく、中はふっくらしっとり食感に。
グリルを活用すると、トースターより美味しく焼ける上に、節電にもなるんです。物が多いキッチンでトースターを置く場所も必要なくなりますよ。
美味しく、省エネにトーストしたいなら【グリル】がおすすめ!
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「揚げ物の温めなおし」には、電子レンジ? グリル?
揚げ物の温めなおし、電子レンジでチンして、べチャッとなってしまった経験はありませんか?
「魚を焼く」イメージの強いガスコンロのグリルですが、オーブンの代わりになったり、トースターとしてパンを焼いたり、レンジのかわりに揚げ物の温めなおしにも使えたり、実はとっても万能な調理機器です。
グリルは直火で表面を焼きながら衣の余分な水分を蒸発させ飛ばし、放射熱で包み込むように加熱するので、表面はパリッと中はジューシーに。揚げたてのサクサク感がよみがえります。
揚げ物だけでなく、餃子や焼き鳥、カレーパンなども美味しく再加熱できます。
加熱時間は1~2分が目安。焦げ目が気になる場合は、アルミホイルをかぶせるなどで調整してください。
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おわりに
それぞれの加熱方法の違いを理解して、ぜひお料理によって使い分けをしてみましょう。おススメなのはガスのグリル。「魚を焼く」イメージの強いグリルですが、例えばトースターとしてパンが焼けたり、電子レンジのかわりに揚げものの温め直しに使えば「カラッとジューシー」仕上がったり、実はとっても万能な調理機器なんです。一気に表面を焼き、食材の旨みをギュッと閉じ込めることができるので、いつものお料理がもっと簡単&スピーディーになります。
オーブン顔負けのグリルを搭載したガスコンロなら、調理グッズをたくさん買い揃えるよりも、時短&上手に料理ができますよ!
最新のガスコンロについても、ぜひチェックしてみてくださいね。