ボジョレー・ヌーヴォーとは? 2024年の解禁日は!?
ボジョレー・ヌーヴォーという名前は知っているものの、他のワインとの違いや、楽しみ方が分からない、といった理由で手にしたことがない方もいるのではないでしょうか?
そんな方に向けて、「そもそもボジョレー・ヌーヴォーとは?」「どんな味なの?」といったお話から、既に毎年ボジョレーヌーヴォーを楽しみにしていらっしゃる方にも知ってほしい「プロおすすめの楽しみ方」をご紹介します。
今回は、伊勢丹新宿店のワインソムリエ・秋本奈津江さんに専門家ならではのお話を伺いました。おすすめの素材を使ったおつまみレシピも公開しているので、今年はぜひお家でボジョレー・ヌーヴォーを味わってみてはいかがでしょうか。
気になる2024年の解禁日! そもそもなぜ解禁日があるの?
2024年の解禁日は11月21日(木)です。
解禁日は全世界共通で11月の第三木曜日と決まっています。最初は11月15日だったそうなのですが、年によっては休日が含まれてしまうので、第三木曜日になったとのこと。木曜日になった理由は諸説あり、商売がしやすいから、あるいは解禁日が11月15日と定められていた最後の年の曜日が木曜日だったからなど、様々です。
秋本さん「飲食店も含めて、休日はよくお酒が売れる傾向にあります。他のワインの販売量への影響も考えて、第三木曜日に設定しているようです」
あまり知られていませんが、日付が変わった瞬間から解禁されるため、本国フランスより日本のほうが先に飲めるそうです。なんだかちょっぴり得した気分になりますね。
そもそもボジョレー・ヌーヴォーとは?
ボジョレーとは、フランスのブルゴーニュ地方の南部に位置するボジョレー地区のこと。ヌーヴォーとは、フランス語で「新しい(Nouveau)」を意味しており、一般的には「フランスのボジョレー地区でその年に収穫されたブドウを使ったフレッシュな新酒ワイン」という意味です。
秋本さん「もともとは、地元ボジョレーでその年の収穫を祝うために飲んでいたものだそう。そこから広まり、日本には30年くらい前にその文化が入ってきました。日本でワインの消費量が増えるきっかけの一つにもなっていると思います」
ボジョレー・ヌーヴォーの日本の輸入量は、実は世界でもトップクラス。ボジョレーヌーヴォーを飲む文化が根付いたことで、日本のワイン市場もにぎわったのだとか。
【ソムリエおすすめ】ボジョレー・ヌーヴォ―の選び方や飲み方、保管方法も
ワインソムリエやワイン好きにとっては、ボジョレー・ヌーボーをお祭りの感覚で楽しむことが多いそう。その年のブドウの出来や昨年との違いを楽しむのもよいけれど、「年に一度のお祭りとして楽しむのがいいですよね」と秋本さんは言います。
秋本さん「ボジョレーは、普段ワインを飲まれない方にとっても飲みやすいので、お祭りとして楽しく飲んでほしいと思います」
1年に1回のボジョレー・ヌーヴォー、せっかくならおいしく楽しみたいですよね。ここからは、ボジョレー・ヌーヴォーの魅力や選び方、楽しみ方を秋本さんにたっぷりとご紹介いただきます。
ボジョレー・ヌーヴォーの選び方
一口にボジョレー・ヌーヴォーといっても、いざ買おうとするとさまざまな種類があって選ぶのに迷ってしまうのではないでしょうか。
秋本さん「ワインの楽しみ方は人それぞれで、毎年同じラベルのものを買って年による味の違いを楽しむ方もいれば、進物用に購入される方もいます」
価格の違いは、そのブドウが実った木の樹齢の違いや、ボジョレー地区の限定された村(ヴィラージュ)のブドウで作られたものか、などにより変わるそうです。
「伊勢丹新宿店では、30~40種類ご紹介しています。造り手ごとに味わいは異なりますので、初めての場合はぜひソムリエに相談してみてください」と秋本さん。普段のお食事や、合わせたいおつまみなどとぴったりのおすすめワインを教えてくれるそうです。
他のワインとは何が違うの? 白はない?
通常の赤ワインとボジョレー・ヌーヴォーの違いは、とお聞きすると、「全く別物です」と秋本さん。
秋本さん「通常のワインは、発酵させ、樽で2~3年ほど熟成させたものが一般的ですが、ボジョレー・ヌーヴォーは作り方から違います。9月中に収穫したブドウを2カ月程度でワインに仕上げたものなので、とてもフレッシュな味わいです」
通常のワインだと、熟成具合を楽しむものだそうですが、ボジョレー・ヌーヴォーの場合はフレッシュさが特長。「熟成していないからこその飲みやすさがあります」と、秋本さんは言います。
秋本さん「熟成したワインが好きな方にとっては、ブドウジュースのような味わいにも感じられると思います。そのくらい飲みやすいので、普段ワインを飲まれない方にもおすすめですね」
また、ボジョレー・ヌーヴォーといえば赤ワインですが、白ワインは見掛けませんよね。
秋本さん「ボジョレー地区で収穫された『ガメイ種』というブドウを使ったもので、ボジョレー・ヌーヴォーは、赤とロゼに限定されています。ただ、ボジョレー地区以外の白ワインの新酒自体は存在しますし、当店でも取り扱いがあります。もし、白ワインの新酒が飲みたい! と思ったら、お店でご相談くださいね」
常温で? 冷やして? おすすめの保管方法と飲み方とは
ボジョレー・ヌーヴォーを手に入れたら、おいしく楽しむための温度や保管方法を知っておきましょう。保管は常温でOKで、飲む前に冷やすのがおすすめだそうです。赤ワインは常温で飲むのが一般的ですが、ボジョレー・ヌーヴォーに関しては軽く冷やしてもおいしいとのこと。
秋本さん「通常の赤ワインは、冷やすことによりタンニンという成分が苦みに代わってしまいます。ですが、ボジョレー・ヌーヴォーは熟成させていないので、冷やしても苦みが出ないことが特徴です」
また、長期で保存する時の方法についても教えていただきました。
秋本さん「1~2カ月程度なら冷蔵庫で保管しても大丈夫ですが、それ以上入れっぱなしにしてしまうと、乾燥でコルクがやせてワインが酸化してしまうので要注意です」
【ソムリエおすすめ】ボジョレー・ヌーヴォーにぴったり! おすすめ食材とおつまみレシピをご紹介
ワインを楽しむ際に欠かせないのが、おいしいおつまみ。ボジョレー・ヌーヴォーには、どのようなおつまみが合うのでしょうか?「ご自分で好きな組み合わせを見つけるのを楽しむもので、決まりはないですよ」と話す秋本さんに、ご自身のおすすめを教えていただきました。
秋本さん「ボジョレー・ヌーヴォーはその季節にしか楽しめないものなので、秋が旬の食材はおすすめですね」
例えば、イチジクや梨、栗など、おつまみというと塩辛いものを想像しがちですが、ケーキやタルトも合うそうです。
「モンブランなんかも良いですね」(秋本さん)
秋本さん「通常のワインよりフレッシュで軽やかなので、お肉やお魚だとどちらかというとさっぱりとしている味付けのものが合います。チーズならカプレーゼやマスカルポーネあたりが良いでしょう。野菜だと、甘みのあるトマトやサツマイモなどもよく合いますよ」
ここだけの話ですが、と言って秋本さんがイチオシで紹介してくれたのは、意外なことに『梅干し』です。
秋本さん「梅干しの酸味がボジョレー・ヌーヴォーに合うので、よかったら試してみてください」
一方で、鹿肉やカレーのように、風味や臭み、苦みが強いものはボジョレー・ヌーヴォーのフレッシュさを損ねてしまうので避けたほうがよいそうです。
ここからは、秋本さんおすすめの食材を使ったおつまみレシピをご紹介!
ひと手間かけて、よりおいしくボジョレー・ヌーヴォーを楽しみましょう。
【ソムリエおすすめレシピ1】ラタトゥイユ
秋本さん「野菜なら、甘みのあるものが合うので、料理だとラタトゥイユもおすすめですよ」
甘いトマトを使ったラタトゥイユは、保存も効くのでパーティーの前日に作っておいてもよいですね。
【ソムリエおすすめレシピ2】ローストビーフ
秋本さん「お肉の味付けには、塩コショウや柑橘系のソースなどがおすすめ。お料理だと、ローストビーフがさっぱりしていていいですね」
おもてなしにもピッタリなローストビーフ。こちらのレシピは、分かりやすく動画でも解説しているので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【ソムリエおすすめレシピ3】カツオのたたき
秋本さん「お魚の中でもさっぱりしたカツオ。ボジョレー・ヌーヴォーにはたたきが合います」
出来上がったカツオのたたきを買ってきてもよいけれど、お刺身用のカツオを直火であぶると香ばしさが増して格別ですので、試してみてはいかがでしょうか。
おわりに
「飲み方や選び方に決まりはありません。自分がおいしいと思える飲み方で、楽しむことが一番ではないでしょうか」と秋本さん。
おすすめの飲み方やおつまみをご紹介しましたが、自分ならではのおいしいと思う楽しみ方を見つけたいですね。ぴったりのおつまみを用意して、ボジョレー・ヌーヴォーで幸せなひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。