この時期だけのお楽しみ「梅仕事」、始めてみませんか?
毎年5月から7月は新生姜の甘酢漬けや梅のシロップ漬け、実山椒の塩漬けなど仕込めるものが多く、手仕事が忙しくなる時期。旬の食材は、出番がやってきたとばかりに次々と店先に並びます。
中でも梅は、梅シロップ・梅酒・梅干しなどたくさんの手仕事があり、総称して梅仕事と言われ、目で、香りで季節を感じさせてくれます。香り良く瑞々しい梅が店頭に並び始めるこの季節、梅仕事ができるのは一年の中でもこの時期だけです。少しだけ手間は掛かりますが、「梅を選び、一つ一つ丁寧に下処理をして、出来上がっていく過程をゆっくりと楽しむ。またそれを食べる喜びを味わう・・・」そんな丁寧な暮らしを楽しむ梅仕事。おうち時間を楽しむ季節行事として、今年から挑戦してみませんか?
「青梅」と「完熟梅」の違いって? 選び方のポイントや使い分け
5月頃から6月中旬頃を中心に収穫される「青梅」は、"完全に熟す前"の梅を指します。梅酒や梅シロップに使われることの多い青梅ですが、旬は非常に短いため見つけたら逃さないよう購入しましょう。
店頭での選び方のポイントは、実が鮮やかな緑色で少し硬いくらいの物、表面に傷がない物を選ぶこと。傷や汚れは腐敗の原因にもなるので避けて、傷があるものはジャムなどに使うとよいでしょう。
また、粒の大きさがそろっているものを選んだ方が、梅から出るエキスが均等になります。
一方、木から自然に落ちるまで熟した梅が「完熟梅」。青梅に比べて黄色くなり、太陽が当たる部分は少し赤く色付きます。梅干しには完熟梅が使われることが多く、甘露煮などにすると芳醇な香りを楽しめます。
選ぶ際のポイントは、果肉が厚いもの、全体的に黄色がかった色の梅を選ぶとよいでしょう。熟し始めると熟すのが早く、皮が破けやすくなってしまうので、購入したらなるべく早く使うようにしましょう。
一般に若くて固い青梅は梅酒や梅シロップに、黄色く熟した完熟梅は梅干しや甘露煮、梅ジャムなどに使いますが、完熟梅は梅酒にすると大変まろやかに仕上がるので、好みで使い分けてもよいかもしれません。
また、出回るのが少し早い「小梅」は、漬かるのも早く、今すぐ梅仕事を楽しみたい方にはおすすめです。
栄養素として、梅に多く含まれるのがクエン酸です。酸っぱさのもとになるクエン酸は、疲労回復に効果があります。食欲増進の効果もありますので、これから迎える暑い季節にはぴったりです。
梅仕事の第一歩「梅シロップ」を作ろう!
それではさっそく梅仕事に挑戦してみましょう。
今回、梅仕事の第一歩におすすめしたいのは、お子さんから大人まで楽しめる梅シロップ作りです!
出来上がりまでの期間も約1週間ほどなので、すぐに手作りの味が楽しめるのもうれしいですね。
【材料】(出来上がり量約800ml)
青梅・・・1kg
砂糖(氷砂糖がおすすめですがグラニュー糖や上白糖など他の砂糖でもOK)・・・1kg
【用意するもの】
竹串、消毒した容器、鍋、ガーゼまたはキッチンペーパー
【作り方】
青梅はたっぷりの水で表面の汚れを洗い流します。竹串を使って、他の部分を傷つけないように、なり口のへたを取ります。
たっぷりの水に約5時間(南高梅は約2時間)漬けてアクを抜き、水気をしっかり拭きます。
2. 漬け込みます。
消毒した容器の底面に砂糖をまんべんなく振り入れ、梅を入れて梅が隠れるくらいの砂糖を振ります。これを数回繰り返し、分量の砂糖と梅を全て入れます。容器は冷暗所に置いておきましょう。
※最後は砂糖でふたをするように覆い、梅が砂糖で隠れるようにします。
※砂糖は上の層に行くほど多くなるとよいです。
漬けて3日目の様子。砂糖が溶け始め梅に色が付き始める。
漬けて7日目の様子。砂糖が徐々に溶け容器の下にたまる。
漬けて10~14日目の様子。砂糖が完全に溶け、梅の表面に皺が寄りシロップに色がついたら出来上がり。
3. 仕上げます。
出てきた梅の果汁を鍋に入れ、弱火にかけます。白いアクを丁寧に除きながら、ゆっくり加熱します。アクが出なくなったら火を止めて冷まし、消毒した清潔な保存容器にこし入れます。
梅シロップの保存容器について
保存容器は必ずふたがしっかり閉まるものを選びましょう。また、梅は強い酸を持っているので、酸に強い陶器や琺瑯(ホーロー)、ガラスやプラスチックの素材が向いています。
中性洗剤でしっかり洗った後、耐熱容器であれば煮沸消毒、熱に弱い容器ならばアルコール消毒を行います。煮沸消毒は、容器がすっぽり入る鍋に多めの水と容器、ふたを入れ、沸騰後5分以上は煮ます。アルコール消毒は、消毒用アルコール(食器に使用できるか必ずご確認ください)、もしくはアルコール度数35度以上のお酒を容器に行きわたらせ、清潔なガーゼやキッチンペーパーで拭き取ればOKです。
梅シロップの使い方アレコレ!
出来上がった梅シロップですが、定番は水で割る梅ジュース、炭酸水で割る梅サイダー、そして牛乳で割ると、なんと飲むヨーグルト風にとろりとします。その理由は、梅の酸で牛乳が凝固するから。梅シロップは、梅雨の蒸し暑さも吹き飛ばす元気の源になること間違いなしです。
ドリンクに飽きたら、料理やお菓子作りに取り入れるのもおすすめ。例えば、豚肉の梅シロップ煮。煮物の砂糖を梅シロップに変えて、シロップに使った後の梅の実も一緒に煮込めば、コクがありつつもさっぱりといただけるおかずに。梅の実も無駄なく使えます。
デザートはゼラチンを使って梅ゼリーはもちろんのこと、そのままかき氷のシロップにしても最高です!
では、梅シロップを使ったレシピを一つご紹介します。
夏におすすめ! 「翡翠茄子の梅肉だれ」
梅干しと手作り梅シロップを合わせた特製梅肉ダレは、翡翠色に揚げたナスと合わせて、夏らしい一品に。食欲のなくなりがちな夏でも、さっぱりといただけます。
【材料】4人分
ナス・・・4本
揚げ油・・・適量
[A]
青ジソ・・・4枚
ミョウガ・・・2本
長ネギ・・・1/4本
[梅肉だれ]
梅肉・・・20g
だし汁・・・大さじ3
酢・・・大さじ1
梅シロップ・・・大さじ1
うすくち醤油・・・小さじ1
水溶き片栗粉・・・適量
【作り方】
1. ナスはガクを取って竹串で全体に穴をあけ、揚げ油を180℃に設定して揚げます。
2. 冷水に取って皮をむきます。
水気を取ってキッチンペーパーで包んで冷蔵庫で冷やします。
3. Aは千切りにして水にさらし、水気を切ります。
4. 鍋に梅肉だれの材料を全て入れて火にかけ、水溶き片栗粉でとろみをつけます。
5. 器に2を盛って3をあしらい、4をかけます。
梅肉だれはナス以外にも合うので、多めに作って他の料理にも合わせてみてくださいね!
梅シロップの日持ちについて
日持ちは、しっかり保存ができていれば一年と言われていますが、保存状態によっても変わるので一カ月を目途に使い切るのをおすすめします。
おわりに
楽しみ方いろいろの梅シロップを、この機会に季節の手仕事デビューとして作ってみてはいかがでしょうか?
東京ガスや私たち料理教室スタッフはどんな時でも「食を通じて皆さまの幸せな生活」を応援します。次回もお楽しみに。