精米した白米の賞味期限は1カ月。未開封でも変わらない!
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米袋を見ると賞味期限の記載はなく、精米日や精米時期が記載されています。白米や玄米は野菜などと同じく、農産物の扱いとなるため、JAS法(※)の定めにより、賞味期限や消費期限は表示されず、精米年月日が表示されています。
※JAS法:農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律
精米日からどれくらいの期間、お米はおいしく食べられるのでしょうか。管理栄養士の中村りえさんによると、精米した後の白米の賞味期限は、1カ月くらいだと言います。また、米袋が未開封でも、その期限は変わりません。
中村さん「米袋でそのまま保存するのは推奨されていません。ポリ袋でも紙製でも同様で、米袋の通気口からニオイや酸素が入って来るため、中のお米が酸化したり劣化していきます。米袋から密閉容器に移し替え、冷暗所で保存するのがおすすめです」
積み上げた時に袋が破裂しないよう、米袋には通気口があります。未開封でも賞味期限が変わらないのは、これが理由です。通気口は空気を逃すだけでなく、湿気やニオイも入ってくるため、ペットボトルや米びつなど密閉容器に移してから保存する必要があります。
精米した白米は低温低湿の冷暗所で保存を!

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精米した白米の適切な保存温度は、10~15℃。湿気が少なく、直射日光をさけた場所で保存する必要があります。

出典:気象庁「過去の気象データ検索」https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/monthly_s3.php?prec_no=44&block_no=47662
ここ数年の気温の推移を見ると、1年の中で15℃を超えやすいのは4月〜10月までの期間。11月から3月までは直射日光が当たらず、湿気が少ない場所であれば、常温で保存できます。それ以外の気温の高い時期は、冷蔵庫や米専用の保冷庫で保存するのが良いでしょう。
中村さん「白米は空気に触れて酸化し、味が落ちていきます。また水分を吸うと、品質が落ちるだけでなく、カビや虫の原因になります。密閉容器に入れて常温保存しておくと、暑い時期は中に水蒸気がたまってしまいます。すぐに消費しない分は、できるだけ冷蔵保存しましょう」

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上の写真のような、お米専用の保冷庫は、10~15℃の米保存に最適な温度で保存することができます。大量にまとめ買いされる場合には、導入するのも選択肢の1つです。
JIS規格で冷蔵の目標温度は 4℃、冷凍は -18℃となっており、一般的には冷蔵室が2~5℃程度、チルド室が0℃程度、野菜室が3~7℃程度、冷凍室が-20~-18℃程度に設定されています。
冷凍庫ではお米の水分が凍結し、ひび割れや食感の劣化につながるため、保存には適していません。野菜室やドアポケットなど、冷蔵庫の中で温度が高めの場所に保存すると良いでしょう。
桐など木製の米びつは、湿気の調整機能があり、古くから使用されてきましたが、冷蔵保存ができない商品が多いため、冷蔵したい場合には事前に冷蔵可能か確認が必要です。
カビや虫・・・! 気をつけたいお米のトラブル

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暑い時期には、カビや虫などお米のトラブルが起きやすくなります。
お米を食べるコクゾウムシは、米粒に穴を開けて卵を産み付ける性質があり、温度が高くなるとふ化して繁殖が始まります。虫が米袋の中で飛んでいる場合は、繁殖がかなり進んでいると考えられます。そこまででなくても、米粒の中が空洞になっていたら、虫が食べた可能性があります。

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中村さん「以前は、1カ月程度は米袋のまま保存していましたが、夏に虫が湧いてしまったことがありました。最近の夏の暑さでは、冷蔵保存が安心です」
お米のカビは、生えかけは目立たないことが多いですが、塊があったり、カビ臭がしたら、カビの可能性があります。また、炊いた時に酸っぱいニオイがした場合も、注意が必要です。
玄米は、ぬか層で包まれていて硬く虫が繁殖しにくいですが、白米や分付き米など精米したお米は、やわらかいため、より虫の被害を受けやすくなります。冷蔵保存することで、こうしたトラブルを防ぐことができます。
玄米の賞味期限はどれくらい?

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玄米の場合には、「調製年月日」や「調製時期」が記載されています。これは、玄米を袋詰めした日や、時期を指します。原料玄米を調製した年月日など、と記載されていることもありますが、同じ意味です。精米した白米と同様に、農産物の扱いとなるため、賞味期限や消費期限の記載はありません。
玄米とは、もみ殻を外した状態のお米です。ぬか(糠)で覆われていて、ぬかを取り除くことで白米になります。ぬかも層状になっていて、一番外側は果皮、次に種皮、内側は薄い糊粉層(こふんそう)で覆われています。
中村さん「玄米の場合、周囲のぬかが、白米を酸化から守るバリアーのような役割を果たしてくれるため、白米より長持ちします。保冷庫などを使って良い状態で保存すれば、1年以上日持ちします」
ぬかは油分が多く、酸化しやすい性質があるため、ぬかを取り除かず、玄米を玄米のまま炊いて食べる場合には、夏であれば袋詰めしてから3カ月〜半年以内に食べた方がおいしくいただけます。なお、精米した後の白米の賞味期限は、上述した通り約1カ月です。
お米をまとめ買いしたい場合には、玄米で購入し、保冷庫や冷蔵庫で保存しておいて、食べるタイミングで精米するのがおすすめとのこと。
中村さん「精米して時間がたつと、水分が飛んで酸化が進みます。精米してすぐの白米は、新鮮な状態なので、おいしくいただけます」
古いお米をおいしく炊く方法

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最近は、古米が市販されていることもあります。古いお米は、どうすればおいしく炊けるのでしょうか。
中村さん「古いお米は、水分が蒸発しているので、炊いた時にパサパサしたり、硬めの食感になります。割れやすいので優しく洗い、浸水時間を長くするのが大切です。1時間以上浸水させましょう」
浸水後は水が減るので一度、米の水気を切って、新たに水を計量して入れます。大さじ1程度水を減らして、同量の料理酒を加えたり、もち米やもち麦を大さじ1〜2程度加えて炊くのもおすすめです。
おわりに
精米されたお米は、やわらかいため、酸化しやすくニオイがつきやすい傾向があります。暑い時期は、温度に注意して保存したいですね。