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防災リュック,中身

本当に役立つ防災リュックの中身を防災士が伝授! ~応用編(女性・子ども・高齢者・ペット)~

「防災リュック中身」の基本編では、本当に役立つ防災リュックにするために入れるべきものをご紹介しました。今回は、より個々の家族のニーズに合った防災リュックにするために、「女性用」「子ども用」「高齢者用」「ペット用」の防災リュックを作るときに入れたい中身について、防災士の「しほママ」こと柳原志保さんにお話を伺いました。

最終更新日:2025.3.26

目 次

防災リュック、なぜ必要?

地震対策と避難グッズ

PIXTA

地震が起きた直後の避難所では、支援物資はありません。そのため最低でも3日分の食料や必要物資を防災リュックに入れて避難する必要があります。
基本編では大人一人分の防災リュックに入れるべきもの、入れておくと助かるものなどをしほママさんの体験談とともにご紹介しました。
今回はさらに女性用、子ども用、高齢者用、ペット用など、それぞれの家族構成に合った防災リュックの中身についてご紹介します。

防災リュック 中身

本当に役立つ防災リュックの中身を防災士が伝授! ~基本編~

【女性用】防災リュックの中身

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女性用の防災リュックを作るときには、基本の防災リュックの中身に加えて、準備したいものがあります。
女性のからだに関するものや防犯にも役立つものの中には避難所では手に入りにくいものもあるので、平時からストックしておくとよいでしょう。

生理用品など

ナプキンのほか、使い慣れていればタンポンのほうが携帯性がよいでしょう。
おりもの・尿漏れ吸水が一体となっているパンティーライナーがあると、下着を清潔に保つことができて病気の予防にも有効です。また生理痛がひどい人は、痛み止め薬もあると安心です。

中身の見えないゴミ袋

使用済みの生理用品などを捨てる際や、下着などを入れるときに役立ちます。大判のゴミ袋を工夫すると、授乳ケープや着替え用の目隠しポンチョとしても活用できます。

スキンケア、ヘアケア用品

  • 化粧品

避難所で普段通りのメイクをすることは難しいですが、最低限、アイブロウだけでもあると過ごしやすくなります。

「メイクは心を元気にするという意味でも、女性には必要だと感じます。東日本大震災のときはメイクしたまま避難したので、メイク落としがあるとよかったと思いました。また、冬の避難所は乾燥しているので、オールインワンタイプのスキンケアや保湿性が高いものがあるとよいと思います。また、手鏡もあった方がよいでしょう」(しほママさん)

  • くし、ブラシ、ヘアゴムなど

避難時は安全面や髪の汚れを防ぐためにもヘアゴムなどで髪をまとめらておくとよいでしょう。

  • ハンドクリーム、リップクリーム

乾燥対策に役立ちます。

着がえポンチョ

着がえポンチョ

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避難所では常に人目があるため、着替えが困難なことも。そんなときに着がえポンチョがあると便利です。授乳する人にも役立ちます。

冷え対策

冬の避難では厳しい寒さにさらされることがあるので、スパッツや厚手のタイツ、靴下2枚履きなどで十分な冷え対策が必須です。

「特に女性は筋肉量が少なく脂肪が多いので、冷え性になりやすいです。東日本大震災で避難していたとき私はしもやけになってしまいました。冷え予防には、首、手首、足首、くびれの4つの『首』を温めるのがポイントです」(しほママさん)

重ね着のポイントについては、以下記事でもご紹介しています。参考にしてみてくださいね!

肌着

【防災×アウトドア】寒さ対策のための服装選び・重ね着のコツ

防犯ブザーやホイッスルなど

避難所では女性を狙った犯罪が起きています。防犯ブザーやホイッスルを常に首からさげておくことで防犯意識の高さを周囲にアピールすることができます。

「避難所では可能な限り、単独での行動は避けましょう。また、死角になるような場所にはできるだけ近づかないよう注意も必要です」(しほママさん)

【子ども用】防災リュックの中身

防災リュックの中身【子ども用】

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子どもは年齢によって、必要なものが異なります。わが子には今、何が必要か、平時からチェックしておきましょう。

乳児用(親の防災リュックに入れる)

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おむつ関連

  • おむつ

子どもの成長に応じてサイズが変わるので、定期的に入れ替えが必要です。

「応急処置として、レジ袋とタオルを使っておむつの代用品をつくることができることも覚えておきましょう。袋の持ち手の端と側面をハサミで切って、キッチンペーパーやタオルをのせたあとに、持ち手を赤ちゃんのおなかのところで結びます」(しほママさん)

  • おしりふき

おしりだけでなく手や体を拭くのにも使えるので、多めに用意しておきましょう。

  • 防臭袋

使用済みのおむつを入れる防臭袋は多めに用意を。

「避難所ではゴミ捨場が設置されるまでは各自でゴミを管理しないといけないので、ニオイを閉じ込める袋は必須です」(しほママさん)

授乳・離乳食関連

  • ミルクセット

スティックタイプのミルクや液体ミルク(賞味期限に注意)、使い捨て哺乳瓶が便利です。日本のメーカーの粉ミルクは軟水で調乳するようにできているので、必ず軟水を使用しましょう。ペットボトル入りのミネラルウオーターには硬水のものもあるため注意してください。哺乳瓶がない、もしくは洗えないときなどは、低月齢の子はスプーンで少しずつ与えます。

「スプーンを使う場合はキッチン用ラップを巻いて使うと清潔を保てます。月齢の大きい子の場合は、紙コップで少しずつ飲ませる方法もあります。ミルクの調乳は、感染症防止のため衛生管理が大事です。粉ミルクは70℃以上で調乳することで殺菌できます。『水で調乳してカイロで温めればよい』という不適切な情報が流布していたことがありますが、粉ミルクの中の雑菌が増えるリスクを伴うのでやめましょう」(しほママさん)

  • 授乳ケープ

避難所には授乳室がないところもあります。どこでも授乳ができるよう用意しておきましょう。

  • 授乳パッド


  • 離乳食(アレルギー対応食含む)

レトルトパックや瓶入りのもの、パウダー野菜などが持ち運びやすくおすすめです。アレルギーや偏食がある場合は食べられるものを用意しておきましょう。

  • ガーゼ

ミルクの吐き戻しやよだれを拭く、歯の汚れを落とすなど、いろいろ使えるので多めに用意するのがおすすめです。

着替え

ミルクこぼしやおむつ漏れがあっても、避難中はなかなか洗濯できないので乳児の着替えは多めに用意しましょう。

その他

  • だっこひも

「東日本大震災の時は、避難所で床の上に子どもを寝かせることができず、ずっと抱っこしたままだったママもいました。自分で歩ける幼児でも、ぐずったとき用に持参しておくとよいでしょう」(しほママさん)

  • 母子手帳

記録があると子どもがけがや病気をしたときに適切な処置を受けることができます。避難する際には貴重品と一緒に携帯します。

幼児~学童用(子ども用防災リュックを作り、一部または全部を入れる)

食事関連

  • 子どもの食べやすいもの(アレルギー対応食含む)

子どもは避難所で出される食事が食べにくい場合もあります。

  • 子ども用食器など

大人用食器での食事が難しい幼児がいる場合は、子ども用カトラリーや食べやすい器があると重宝します。

子ども共通

お菓子

子どもが好きなお菓子を用意しておくと気分転換にもなり、避難所でのストレスが軽減します。

おもちゃ 

お気に入りのおもちゃが一つでもあると、日常を取り戻しやすくなります。
周囲の迷惑にならないよう、音の出ないおもちゃを選びましょう。電気を使わない絵本やトランプ、折り紙や塗り絵などもおすすめです。

履物

靴をリュックに入れると荷物になるため、抱っこして避難するときもなるべく履かせましょう。
防災リュックに入れておく上履きはサイズが合っているか定期的な確認を忘れずに。

【高齢者用】防災リュックの中身

【高齢者用】防災リュックの中身

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高齢者用の防災リュックを作るときに入れておきたいものをご紹介します。普段使っていても意外と持って行くのを忘れがちなものもあるので注意が必要です。

入れ歯、洗浄剤、口腔ケアグッズ

入れ歯をはずして寝ている人などは忘れがちなので注意を。抵抗力が弱く肺炎にもかかりやすい高齢者は、特に口腔衛生に気を付けたいので入れ歯洗浄液や口腔ケアグッズも用意しておきましょう。

「同じ液体でパッケージも似ているので間違いやすいのですが、マウスウオッシュ(洗口液)と液体歯磨きは効果が違います。マウスウオッシュは商品によって、口臭予防や虫歯・歯周病予防などの効果はありますが、歯磨きの代わりにはならないので、防災用には液体歯磨きを準備しておきましょう」(しほママさん)

老眼鏡

防災リュック用に予備を作っておくのもおすすめです。

補聴器

日常使用している方の場合、予備電池や保管容器も忘れずに。

介護用品、介護食

大人用おむつ、リハビリパンツや尿パットなどは普段使い慣れたものを数日分用意します。非常用として吸収量が多いものもあると便利です。
避難所の食事や非常食が食べられない可能性がある場合は介護食などを準備しておきます。

その他

認知症状がある人の場合、避難時の服のほか、リュックに入れる着替えにも連絡先を明記しておきましょう。

【ペット用】防災リュックの中身

【ペット用】防災リュックの中身

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ペットと一緒に避難する場合、人間用の荷物に加えてペット用品も持っていくことになるため、全体のバランスを考えて防災リュックの中身を準備します。

「避難所へは同行避難(一緒に避難)はできても、同伴避難(一緒に過ごすこと)はできないところが多いので、まずはペットと一緒に避難できる避難所を確認しておきましょう。またケージやキャリーに慣れさせ、しつけもしておくことも大切です。東日本大震災のとき、私の飼い犬は逃げてしまいました。迷子札やマイクロチップ装着は必ずしておきましょう」(しほママさん)

ペットフードと食器

ペットの支援物資は人間のものより遅れて届くため、最低でも3日分程度は用意しましょう。ペットが食べ慣れているフードのほか缶詰なども用意しておくとよいでしょう。
ペット用食器は忘れがちなので注意が必要です。コンパクトにたためるものもおすすめです。

「フードは個包装されているものが衛生的でおすすめです。水も忘れないようにしましょう。わが家では食器はコンパクトに折りたためるものを用意しています」(しほママさん)

リード、ハーネス、キャリー、ケージ

避難所では安全と周囲への迷惑防止のためにリードやハーネスの装着が必須です。防災リュックに入れるものには普段から慣らしておきましょう。また避難所で過ごすときのために、キャリーやケージも持参しましょう。

「わが家では猫を飼っているので、ケースのドアが開かないよう養生テープで固定したり、安心させるために毛布などでくるんで暗くする工夫もしています」(しほママさん)

ペット用タオル、ブラシ、薬

動物病院にいつ行けるかわからないため、常用している薬がある場合は忘れずに。

トイレ用品

トイレシートや猫砂など、持って行ける量を考えて準備します。

「ウンチを入れる袋も忘れないようにしましょう」(しほママさん)

おもちゃ、おやつ

いつも遊んでいるおもちゃや、食べ慣れたおやつを。避難先でのペットのメンタルの安定に役立ちます。

ペットの写真

万が一、ペットが迷子になった場合に備えて用意します。

100円均一ショップでもそろえられる防災リュックの中身

100円均一ショップ

PIXTA

家族ひとりひとりのニーズに合わせて防災リュックを作るとなると、「中身をそろえるために費用がかさみそう」「防災グッズってどこで買えばいいの?」 と、ハードルが高く感じられるかもしれません。
それに対して、しほママさんは「防災グッズをそろえなければと考えなくても、実は身近な100円均一ショップでも手に入るものがたくさんあります。一度チェックしてみてはどうでしょうか」とのこと。

防災リュックの中身で、100円均一ショップで手に入りそうなものを教えてもらいました。

  • 災害用ホイッスル
  • 生理用品
  • ドライシャンプー
  • ボディーシート
  • 軽いタオル
  • 養生テープ
  • 防臭袋、中身が見えない袋
  • 圧縮袋
  • 保温アルミシート
  • アルミ緊急シェルター(テント)
  • 軍手
  • ロープ
  • ヘッドライト、懐中電灯、ランタン
  • 電池
  • ガーゼ、ばんそうこう、消毒液、マスクなど
  • ポケッタブルレインコート
  • その他日用品など

※100円均一ショップで販売されていても、100円ではない商品もあります。

「注意したいのは、100円均一ショップで売っていても、内容量や機能、効能、付属品などを考慮すると、必ずしも安価とは限らないことも。
例えば携帯トイレは1個では足りないので、複数用意する場合はまとめて買ったほうがお得だったりします。ネットショップやホームセンターなどと品質・価格を比較してみるといいかもしれません」(しほママさん)

防災リュックの中身は定期的に見直しを!

防災対策

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防災リュックは一度作ってしまえばそれで大丈夫というわけではありません。本当に役立つ防災リュックにするためには、定期的な見直しが必要です。できれば年2回、春と秋に飲料水や食料品の賞味期限チェックや季節に合わせた衣類の入れ替えを行いましょう。
特にお子さんの衣類やおむつ、履物は、すぐにサイズアウトしてしまう可能性もあるので、もう少し頻繁にチェックするのがおすすめです。

おわりに

実際に使える防災リュックを作るためにはどんな中身にするかが重要。基本の防災リュックに加えて、女性用、子ども用、高齢者用、ペット用の防災リュックを作るときのポイントをしほママさんに教えていただきました。

「避難所に行ったら物資がもらえて当たり前だと思っていると、結局困るのは自分や大切な家族、ペットです。私も東日本大震災のときは手ぶらで避難所に行ってしまい、後悔しました」(しほママさん)

災害時に困らないよう、防災リュックでしっかりと準備しておきたいですね。

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  • この記事取材先

    柳原志保(しほママ)

    防災・安心プランナー

    柳原志保(しほママ)

    宮城県多賀城市生まれ、熊本県和水町在住。2011年東日本大震災では自宅が大規模半壊し、2週間の避難所生活を送る。2014年に防災士の資格を取得後、2016年熊本地震、2020年熊本豪雨で自宅避難を経験。大災害の体験を『歌う防災士しほママ』の愛称で、エンターテイメントを用いてわかりやすく伝える講演やステージが人気。

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公開日:2025.3.18

最終更新日:2025.3.26

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