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肌着

【防災×アウトドア】寒さ対策のための服装選び・重ね着のコツ

アウトドアを楽しむためのスキルは、災害時にも役に立つことをご存じですか? 日常と非日常の境をなくす、フェーズフリーな防災情報を発信するCAMMOC(キャンモック)のメンバーに家庭でも簡単に取り入れられるアウトドア×フェーズフリーのポイントを6回にわたって教えていただきます。初回は代表の三沢真実さんに、「より温かに過ごす重ね着のコツ」についてお話を伺いました。

最終更新日:2025.2.7

目 次

日常と非日常をフェーズフリーにする、アウトドア防災

MAMI MISAWA

MAMI MISAWA

「防災について考えることは、災害時にどう過ごすかを考えること。災害時にこそ、いつも食べている食事に近いものがよいし、日常的に袖を通している服を着ていたいのではないでしょうか」(三沢さん)

災害時の不安な時に、食べ慣れない非常食を食べ続けたり、着替えも洗濯もままならない状態が続いたら、どんどん気持ちがめいってしまいそう。
だからこそ、「日常」と被災した場合の「非日常」の境をなくすフェーズフリーな暮らし方を意識しておきたいですね。
では具体的にはどうすればよいのでしょうか。

「アウトドアの経験やアイテムを取り入れるのをおすすめします。インフラに頼る生活を離れ、自然を楽しむアウトドアは、電気や水、ガスなどが限られた状況下での活動なので、実は被災した場合と近い体験でもあります。また、アウトドアアイテムは機能性もデザイン性も高いので、日常生活でも活躍してくれますよ」(三沢さん)

非日常の備えが、日々の快適さにつながるのはうれしいですね。

提供:三沢真実

「たとえば、自宅のインテリアになじむデザインのランタン。上の写真のものは、持ち運びもたやすく、Bluetoothとつなげば音楽も楽しめる機能も。自宅のインテリアにしっくりくるアイテムを選べばわざわざ収納する必要もないので、日常生活のクオリティーをアップしながら、いざという時の安心も確保できます」(三沢さん)

災害時にはアウトドアと同様! 重ね着テクニックで温かさUP!

ニットの帽子と手袋とマフラー

PIXTA

災害時に身を守るポイントの一つが「寒さ対策」。
そのため、衣類の素材選び、重ね着の方法などで効率よく体を温めるアウトドアの防寒スキルは、災害時の防寒対策としても役立てることができます。

寒いからと、やみくもに重ね着をすればよいわけではありません。効果的な重ね着テクニックを理解すると、少ない枚数でも温かさを保てます。

コツは以下の2つです。

  • レイヤリングの考え方を活用する
  • 下半身を重点的に温める


以下で詳しく教えていただきましょう。

【重ね着のコツ1】より温かい重ね着のコツは「レイヤリング」

セーター シャツ

uchicoto

「レイヤリング」とは登山などの際に、防寒のため、ウエアの構成を「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」の3層の重ね着とすること。空気の層を作って重ねることで温かさをキープします。

「やみくもに重ねるのではなく、素材やサイズ感に注意しながら重ねることが大切です。下着はジャストサイズで速乾性の高いもの、その上からは保温性に優れたものを重ね、空気の層を作ることがポイント。肌着の上は季節に合わせ、薄手の長袖トップスを選んだり、もっと寒い時はモヘアを重ねたりと、厚みのある素材を重ねます」(三沢さん)

ここからは、ベースレイヤーから順に具体的な選び方のコツを教えていただきました。

ベースレイヤー(下着、肌着、靴下など)の選び方

三沢さんによると、ベースレイヤーは速乾性の高い素材を選ぶことがポイントなのだそう。

「冬でも屋内にいる場合は、下着の中は汗をかいていることがあります。その状態のまま寒い屋外に出ると、一気に身体が冷やされ、低体温になってしまうことも。そのため下着はできるだけ速乾性の高い素材を選ぶことが大切です」(三沢さん)

被災した場合、水が制限される可能性もあるので、十分な洗濯ができない可能性もあります。そうした環境でも速乾性の高い素材であれば、洗濯のハードルも下がる可能性もありますね。

下着は締め付けが強くないものがおすすめ

下着

uchicoto

下着

uchicoto

「さらに、避難所などでは着替えもままならず、長時間同じ下着を身に着けることも考えられます。長時間の着用にはノンワイヤのものや締め付けの強くないタイプの下着がおすすめです。また、サイズは自分にぴったりのものを選びましょう」(三沢さん)

用意する枚数は、「洗い替えの1枚は最低でも用意しておきたいです。災害用のリュックなどに入る枚数を目安に用意しましょう」とのこと。

具体的にどんな素材の下着を選べばよいのでしょうか。

「例えば、速乾性・伸縮性も高く、肌あたりもソフトなポリエステル・ナイロン・ポリウレタンのミックス素材のブラジャーとポリエステル・ポリウレタンのショーツなどを普段からそろえておくのもよいでしょう。ただ、肌の弱い方はいつも使用している素材の方が安心です。デザインは好みで良いですが、シンプルなものの方がトップスに響かないのでおすすめです」

下着の上に重ねる肌着も速乾性のある素材がベター

肌着

uchicoto

肌着の素材についても伺いました。

「肌着も下着と同じ理由で速乾性のある素材がおすすめ。メリノウールは保温性が高い上、速乾性も高く着心地もソフトなので肌着として重宝します。上の写真のように、内側が凹凸になっているものですと、肌に直接触れないのでより蒸れにくいです」(三沢さん)

靴下は速乾性の高い素材で、着圧タイプがおすすめ

靴下

uchicoto

靴下は汗を吸って蒸れやすく、しかも災害時には履き替えや洗濯ができないことも多いので、速乾性の高い素材がよいでしょう。

メリノウールと竹でできた繊維をミックスした素材を使って、速乾性だけでなく防臭効果を持たせたものなど、高機能のものもあります。


また、避難生活では長時間同じ姿勢でいることで血流が悪くなりがちです。着圧ソックスを着用すると足のスッキリ感が味わえます。 簡単にできるセルフケアなのでも日頃から着用することをおすすめします。


なお、靴下を重ねる場合は屋外の場合、重ねすぎると靴がはけなくなる可能性がありますが、屋内であれば靴下を重ねるとより温かくなります。メリノウールのような速乾性の高い素材を内側にして、上から厚手のものを重ねるとよいでしょう。

ミドルレイヤー(シャツやセーターなど)の選び方

フリースジャケット

PIXTA

シャツやセーターなどは、通気性ではなく保温性で選ぶのがポイント。

「着膨れしないものやシワになりにくいものがおすすめです。モヘアやフリースは特に軽くて暖かい素材です。着脱しやすいアイテムの方が体温調節しやすいので便利ですよ」(三沢さん)

アウターレイヤー(ブルゾンやウインドブレーカーなど)の選び方

ブルゾン

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「ミドルレイヤーまでの素材でどんなに保温しても雨に濡れてしまっては意味がありません。防災の観点では、雨天時の避難では傘をささずに両手を開けた状態で避難できるようにしておきたいため、アウターは防水素材を選びましょう」(三沢さん)


被災して辛い状況であれば、雨や雪などのダメージは最小限にしたいものです。


「アウターは防水機能があれば、ミドルレイヤーまでの重ね方次第で、それほど分厚いものを選ばなくても済む場合もあります。

しっかり防水機能のあるウィンドブレーカーの下にインナーダウンを着て温度調整するのもよいでしょう。

インナーダウンは手荷物に小さく収納できるので一枚持っておくと安心です」(三沢さん)

簡単に身体を温められる小物類も準備しよう

身体を温められる小物

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帽子をかぶった女性

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「首・手首・足首は特に温めておきたい部分です。マフラーやネックウォーマー、手袋、レギンスや靴下は強い味方です。ネックウォーマーはモコモコ素材だと肌あたりがソフトで心地よいです。帽子や耳あてもおすすめで、耳あて付きの帽子だと一つで済むので便利ですよ。防災リュックにもこれらの保温小物を入れておくとよいでしょう」(三沢さん)

貼るカイロを上手に使ってさらに温かさアップ!

 カイロを貼る女性

PIXTA

寒い時はカイロもプラスしたくなります。貼るポイントや注意点について伺いました。

「お腹・肩甲骨の間・腰に貼るのがおすすめ。体温が低いところはカイロが温まらないので体温のある部位に貼ります。インナーウエアの上に貼るとよいでしょう」(三沢さん)

【重ね着のコツ2】下半身を重点的に温めると効果的!

レギンス

uchicoto

寒さを防ぐ重ね着のもう一つのポイントは、下半身を重点的に温めること。下半身をしっかり温めることで、体全体が効率よく温まるので、上半身の着膨れを防ぐこともできます。特に女性は下半身を冷やさないようにしましょう。


三沢さんによると、ボトムスの下にレギンスをはき、それでも寒い場合はさらに毛糸のパンツを重ねることもあるそう。

「レギンスはヨガ用のものであれば、下着感がなくボトムスとして使用することもできるため、避難所などでリラックスウェアにもなります」(三沢さん)

おわりに

どんな気候のときに被災するかは分かりません。デザインも実用性もお気に入りの衣類とともに、効果的な重ね着テクニックを身につけていれば、突然やってくる事態にも心強いもの。アウトドアの知恵を生かして日常のクオリティーもアップさせつつ、もしもの時にも備えてみませんか。

  • この記事取材先

    CAMMOC 三沢真実

    CAMMOC合同代表/キャンプコーディネーター/空間コーディネーター/防災士

    CAMMOC 三沢真実

    CAMMOC
    関東地方を中心に活動中。アウトドアスタイルをメインに自然を生かした空間コーディネートやメディア向け撮影スタイリングを手がける。近年は「SDGs防災キャンプ~キャンプをしながら無理なく無駄なく楽しく防災~」を提唱。防災キャンプ講座や執筆、オリジナル商品の開発などに力を入れている。2024年8月には著書「ラクして備えるながら防災フェーズフリーな暮らし方」を発売。
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公開日:2025.2.4

最終更新日:2025.2.7

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