今年の自由研究テーマは『節電』で決まり!
コロナ禍や国際情勢の変化で光熱費が値上がりしています。また、地球温暖化による気候変動問題も深刻です。台風や大雨などの災害を、身近に感じている方もいらっしゃると思います。特に夏の暑さは危機感を覚えるほどです。しかし、電気は目に見えないですし、その都度お金を払うものではないので使っているという感覚が希薄になりがちですね。そこで、家庭で使っている電気について親子で考え、「節電」をテーマに自由研究に取り組んでみましょう。
さっそく自由研究に取り組んでみよう!
では早速、自由研究の進め方をご紹介していきます。ご家庭ごとに、使っている家電製品は異なるので、誰にもまねできない、オリジナルな自由研究を行うことができます。
また、夏休みの自由研究としてそのまま使えるワークシートもダウンロードできるようになっていますので、ぜひ活用してみてくださいね。
【チャレンジ方法】
- 家の中で使っている家電製品をリスト化する。
- 消費電力を測り記録する。それをもとに1回あたりの使用時間から1回あたりの電力使用量を計算する。
- 1回あたりの電力使用量に、電気料金をかけて、1回あたりの金額を算出する。
- 手回し式懐中電灯を使って、実際に電気をつくってみる。
- それぞれの機器の省エネの方法を知り、取り組むことでどれくらい節電できるか考え、実践する。
ワークシートをダウンロードしよう!
実験結果を記録するためのワークシート「節電チャレンジシート」は以下からダウンロードできます。家電製品をリスト化したり、消費電力を測定する実験の記録ができる上、まとめた結果から電気代を出したり、解決方法も記録できるようになっています。
まずは、家にある家電製品を探してみよう!
まずは、家電製品の探し方から確認していきましょう。リビングルーム、自分の部屋、洗面所やトイレ、台所など、場所ごとに探してみてください。
いつも使っていてコンセントがつなぎっぱなしのものは見つかりやすいですが、使うときだけプラグをコンセントに差すものもあります。一日の生活を思い出して、どんな機器があるか確認しましょう。
実験道具をそろえよう!
それでは早速実験を始めていきましょう。実験に必要な道具は以下になります。
【用意するもの】
- 消費電力計測器(*1)・・・1台
- 延長コード(*2)・・・1本
- ドライヤーなど測定したい家電製品・・・適宜
- 手回し式LED懐中電灯・・・1本
(*1)家電売り場や量販店で売られています。
(*2)安全のためにもオンオフが手元でできる延長コードを使いましょう。
消費電力を測定してみよう!
まずは、消費電力計測器の使い方を見ていきましょう。
【消費電力計測器の使い方】
接続方法
消費電力計測器を延長コードに差し込み、家電製品を消費電力計測器につなげて使用します。
測定モード
初期設定は「消費電力モード」のことが多いですが、説明書などで確認してください。他のモードになっている場合は、液晶表示が「消費電力」と表示されるまで何回かボタンを押してモードを変更してみてください。
≪参考≫モード例
ボタンを押すと次の順番でモードが切り替わります。
(1)消費電力 → (2)積算使用時間 → (3)積算電気料金 → (4)1時間あたりの料金 → (5)積算使用電力量 → (6)積算CO2排出量 (→(1)に戻る)
その他
液晶が満足に表示されない、ボタンを押しても切り替わらないなど不都合が発生したときは、「RESET(リセット)」ボタンを押すなどしてみてください。初期表示に戻ることが多いようです。
それでも復旧しない(「RESET」ボタンを押しても反応しない)場合は、計測器を一度コンセントから外し、30秒程度待ってから再度コンセントに差し込んでみてください。
【実験方法】
それでは、消費電力を測定していきましょう。今回は、ドライヤーを例に測り方を説明していきます。ドライヤーは温風と冷風の両方を測ることができます。
1. 延長コードをコンセントに差し込む。
2. ドライヤーを消費電力計測器に差し込む。延長コードのスイッチをオンにする。
3. ドライヤーの切り替えスイッチで「温風(HOT)」、「送風(COOL)」の消費電力(Wワット)の数字が安定したらワークシートの【A】欄に記録する。
4. ドライヤーのスイッチを切り、しばらくして消費電力計測器の数字が「0」になったら、延長コードのスイッチを切り、ドライヤーを消費電力計測器から取り外す。
【記録しよう】
ご家庭にある家電製品について、消費電力計測器で計測ができたら、消費電力をワークシートの【A】欄に、使用時間を【B】欄に記入していきます。
一回あたりの電力使用量は、以下の方法で算出することができます。
【1回あたりの電力使用量の計算方法】
1. 1回あたりの使用時間を「分」から「時間」に直す。
使用時間(分)÷60=使用時間(h)
2. 1回あたりの電力使用量(Wh:ワット時)を計算する。
消費電力(W)×使用時間(h)=1回あたりの電力使用量(Wh)
(例)消費電力:300W、使用時間:12分の場合
1. 12(分)÷60=0.2(h)
2. 300(W)×0.2(h)=60(Wh)
1回あたりの電気料金を計算してみよう!
1回あたりの電力使用量に電気料金をかけて、1回の使用あたりどれくらいの電気料金がかかるのか見ていきましょう。
【1回あたりの電気料金の計算方法】
1. 1回あたりの使用量を「Wh」から「kWh」に直す。
1回あたりの電力使用量(Wh)÷1000=1回あたりの電力使用量(kWh)
(1kWhは1000Whですので1000で割ります)
2. 1回あたりの電気料金を計算する。
1回あたりの電力使用量(kWh)×30(円/kWh)*=1回あたりの電気料金
*電気料金は自分の家の契約に合わせて変更してみましょう。分からない場合は1kWh=30円で計算してみましょう。
自分で電気をつくってみよう!
手回し式LED懐中電灯を使って、実際に自分で電気をつくってみましょう。自分で電気をつくるのはとても大変だということが分かります。確かめてみましょう。
【実験しよう】
1. 手回しLED懐中電灯の取っ手を1分間(120回)まわして電気をつける。
(機器によって異なる場合があります。)
どうしたら省エネができるか考えてみよう!
実験をしてみて、家の中で使っていた家電製品の内、消費電力が大きいものはどんなものだったか、また、長い時間使っているものはどんなものだったか気付くことができたのではないでしょうか?
それでは、自分が普段使っている家電製品を3つ選んで、それぞれの機器を使うときにどんな省エネの工夫ができるか考えてみましょう。さて、どんなアイデアが思い浮かびましたか? 親子で話し合ってみましょう。
待機時消費電力を減らそう!
省エネを実践するためには、いろいろな方法がありますが、すぐに実践できる省エネの3ステップをご紹介します。まずは、使用している機器に省エネモードがないか確認しましょう。使える場合には、省エネモードに設定するようにしましょう。省エネモードに設定しておけば、意識しなくてもいつでも省エネが実践できますよね。
次に、使わないときは機器本体の主電源スイッチを切るようにしましょう。最初はちょっと手間だと感じるかもしれませんが、習慣にしてしまえば、そんなに苦にならずに続けることができると思います。
そして、長く使用しない場合は、コンセントからプラグを抜くようにしましょう。皆さんは、待機時消費電力という言葉をご存じですか? これは、コンセントにつないでいるだけで消費してしまっている電力のことです。実はこの待機時消費電力の一家庭あたりの平均は年間228kWh、家で使う電力量の約5%にもなるのです。コンセントからプラグを抜くようにすれば、この無駄な電力消費を防ぐことができます。
以上の3つのステップを着実に行うことで、年間約3,000円以上の電気代を節約することができます。どれも簡単な行動ばかりですので、できることから実践していきたいですね。
おわりに
今回は、家にある家電製品の消費電力を測る実験を通して、節電について考えるアイデアをご紹介しました。
実際に自分たちの暮らしを見直してみると、たくさんの家電製品を使っているということに気付きます。また、家電製品を使う機会は一日の中で何回もあります。正しい使い方が身に付くと、意識しなくても無駄のない行動ができるようになります。未来のために、家族で暮らし方を見直すきっかけにできるといいですね。
文筆:東京ガス都市生活研究所 所長(博士)/エコ・クッキングナビゲーター/東京家政大学 非常勤講師/キッズデザイン協議会 理事 三神彩子