燻製を自宅で作ってみよう!
スモーキーな香りが食欲をそそる燻製は、アウトドアやお店で食べるイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
「燻製にもいくつか種類があります。作り方を押さえれば、自宅でも簡単に燻製を楽しむことができますよ」と教えてくれたのは、一般社団法人日本燻製協会の代表理事で、燻製ニストとしてもご活躍中の佐藤暁子さん。佐藤さんは、燻製のおいしさや魅力を一人でも多くの方に伝えたいという思いから日本燻製協会を設立され、誰でも自宅で燻製ができる「イエナカ燻製」を提唱されています。
燻製のプロである佐藤さんに、自宅でできる燻製「イエナカ燻製」の方法やおすすめの食材を教えていただきました。
燻製の種類を知ろう! 自宅でできる燻製はどれ?
一言に燻製と言っても、いくつか種類があることはご存じでしょうか。燻製する温度や時間によって、大きく「冷燻」「温燻」「熱燻」の3種類に分けられます。
まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
低温でじっくり燻製【冷燻】
冷燻は20℃以下の低温で1日~1カ月かけてじっくり燻煙する方法です。
温度調整が重要で、大型のスモーカーを使用し、スモーカーの庫内を20℃以下の状態にする必要があるなど、チャレンジできる時期や環境が限られています。
難易度が高いものの、低温での燻煙方法になるため、生ハムやスモークサーモンなどの火が通っていない燻製作りが可能です。
また、長時間の燻煙で食材の水分量が少なくなるため水分活性が低下し、煙に含まれる殺菌効果により、長期保存が可能になります。
燻製のスタンダード【温燻】
スモークウッドと呼ばれる木材の細片を固めたものに直接火をつけて、60~80℃の温度で3時間~半日程度かけて燻煙する方法です。
食材にもよりますが、水分量が半分程度になるため、数日の保存が可能です。
代表的な食材としては、ベーコン、ロースハム、ソーセージなどが挙げられます。半熟玉子やチーズなどの燻製を作ることも可能です。
自宅で調理できる【熱燻(ねつくん)】
80℃以上の高温で1~20分程度の短時間で燻煙する方法です。他の燻煙方法よりも調理時間が短く、燻製の風味を手軽に楽しむことができます。
佐藤さんによると、熱燻は温度管理が他に比べて難しくなく、チーズやナッツなどの一般的な食材に加え、ポテトチップスや調味料などの変わり種まで、幅広い食材の燻製を楽しむことができるのも魅力の一つなのだそう。佐藤さんが提唱されている「イエナカ燻製」も熱燻になります。
ただし、長期保存には向かないため、燻製にした食材はすぐに食べるようにしましょう。
「イエナカ燻製」にチャレンジ! 基本の作り方
佐藤さん直伝の「イエナカ燻製」は、文字通り家の中で行う燻製です。先述した通り熱燻という方法で燻煙するため保存には向きませんが、下ごしらえもほとんどなく、手軽でありながらしっかりと香りがつく方法です。
それでは、早速基本の作り方を見ていきましょう。
用意するもの
1.スモーカー
専用の燻製器は要りません。中華鍋が使いやすくおすすめですが、フライパンでも作ることができます。ふたも用意しましょう。
2.網
網はサイズがポイントで、スモーカーの直径より小さいものを選ぶとよいそうです。
3.アルミホイル
中華鍋やフライパンに敷いて使用します。
網が小さすぎて鍋の底に落ちてしまう場合には、丸めて台のようにして使用することもできるのだとか。
4.スモークチップ
燻製料理の香りづけに必要なスモークチップ。
最初は何を買ったらよいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。
佐藤さんによると、ホームセンターなどで販売しているそうですが、量が多いので、初めての時は100円ショップで売っているものでも十分楽しめるとのこと。
5.キッチンペーパー
食材の余分な水分を取るために使用します。
「イエナカ燻製」の準備が整ったところで、さっそく佐藤さんに基本の作り方を教えていただきました!
チーズの燻製で基本の作り方を知ろう
まずは基本になるチーズの燻製を作ってみましょう。チーズは、柔らかいものだと燻製にするときに溶けてしまうことがあるので、市販されているプロセスチーズがおすすめです。
1.スモーカーにアルミホイルを敷いて、スモークチップをひとつかみ(10~15g)載せる。
2. 網をセットして、網の上に食材を載せる。
チーズの場合は、網より小さめの大きさのクッキングシートを敷くと、くっつかずうまくできるそうです。
3. 換気扇の強さを最強にして、ふたをした後中火にかける。
4. ふたの横から白い煙が出てきたら弱火にして10分間燻す。
5. 10分たったら火を止めて、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開ける。
※使い終わったチップは、水をかけて完全に消化してから捨てるようにしましょう。
自宅で燻製をするときの注意点
自宅で燻製をするときの注意点は大きく2つあると、佐藤さんは言います。
●自宅で燻製をするときの注意点1【換気扇】
自宅で燻製作りを行うときに気になるのが、ニオイ。ニオイが強く残ってしまうのでは、と不安になる方も多いのでは?
しかし、「換気扇の強さを最強にしておけば、ニオイはほとんど気になりません」と佐藤さん。熱燻は短時間なので、換気扇を最強にしておけばキッチンの中にニオイが残ることはほとんどないそうです。
●自宅で燻製をするときの注意点2【火の取り扱い】
佐藤さん「燻煙中は、火元から離れないこと、強火にしないこと、この2つを守りましょう」
燻製作りは弱火で行います。火力が強すぎると出来上がった燻製も家の中も焦げ臭くなってしまうので気を付けましょう。
初心者にもおすすめ! 燻製にしたい食材
さまざまな食材を燻製することができる「イエナカ燻製」。
中でも、初心者におすすめの食材を佐藤さんに教えていただきました。
【初心者におすすめのイエナカ燻製1】ナッツの燻製
【材料】ミックスナッツ
【作り方】スモーカーにスモークチップと網をセットしたら、クッキングシートを敷いた上にナッツを載せて弱火で7分間燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
佐藤さんによると、ナッツは水分が少ないので、初心者でも失敗しにくいそうです。燻製にすると、普段のナッツがあっという間にリッチなおつまみになりそうですね。
【初心者におすすめのイエナカ燻製2】チーズアーモンドおかき
【材料】市販のチーズアーモンドおかき
【作り方】スモーカーにスモークチップと網をセットしたら、クッキングシートを敷いた上にチーズアーモンドおかきを載せて弱火で2~3分間燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
佐藤さんによると、作り方自体も2~3分と短時間ででき、個人的にお気に入りの食材の一つなのだそう。チーズもナッツも燻製にするとおいしいので、チーズアーモンドおかきも格別な味わいでしょう。ぜひ食べてみたいですね!
【初心者におすすめのイエナカ燻製3】燻製たまご
【材料】卵、めんつゆ
【作り方】ゆで卵をめんつゆに漬けて味付け卵にします。キッチンペーパーで水分を拭き、15~30分程度室温で乾燥させた後、スモーカーで7分間燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
佐藤さんによると、水分をきちんと拭き取ることがポイントとのこと。表面に水分がついていると、煙の酸性が水分にくっつき、酸っぱい燻製になってしまいます。
めんつゆだけではなく、味付けを工夫することでおいしい燻製たまごを作ることができるそうです。後述する日本燻製協会さんのHPや佐藤さんのレシピ本に紹介されているので、見てみてくださいね。
【初心者におすすめのイエナカ燻製4】塩干物
【材料】エイヒレ、さきいかなど
【作り方】スモーカーにスモークチップと網をセットしたら、クッキングシートを敷いた上に食材を載せて弱火で5分間燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
佐藤さんによると、エイヒレやさきいかは買ってきてすぐに燻製にできるので、初心者向きの食材なのだそう。また、エイヒレは食べる直前に炙るとさらにおいしくなるとのこと。お酒の肴にも良さそうですね。
【初心者におすすめのイエナカ燻製5】ポテトチップスの燻製
【材料】ポテトチップス
【作り方】スモーカーにスモークチップと網をセットしたら、クッキングシートを敷いた上にポテトチップスを載せて弱火で1~2分間燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
佐藤さんによると、すぐに焦げ臭くなってしまうので、くれぐれも2分以上燻煙しないように注意が必要とのことです。
【初心者におすすめのイエナカ燻製6】調味料の燻製
実は、調味料も燻製にすることができるのだそう。
佐藤さんによると、醤油や塩、胡椒などがおすすめとのこと。砂糖は焦げてしまうので、おすすめできないそうです。
ここでは、塩の燻製方法をご紹介します。
【材料】塩
【作り方】スモーカーにスモークチップと網をセットしたら、クッキングシートを敷いた上に塩を薄く広げて載せ、弱火で15分間程度燻煙したら火を止め、煙が落ち着くまで5~10分待ってからふたを開けます。
料理のアクセントに、いつもと違う風味の燻製調味料を使ってみるのはいかがでしょうか。
他にもさまざまなアレンジや工夫を知りたい方は、日本燻製協会の公式ホームページをぜひチェックしてみてください!
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おわりに
自宅でするにはなかなか難しそうなイメージがある燻製ですが、佐藤さんの「イエナカ燻製」なら、手軽に始めることができそうですよね。
自宅で燻製を行うときは、火の元や換気扇などに注意をすることをくれぐれも忘れずに、ぜひさまざまな食材にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。