家庭菜園はプランターより自宅の庭を有効活用してみよう!
家庭菜園はプランターでもできますが、ご自宅に庭がある方は有効活用して家庭菜園を楽しみたいですよね。でも、庭や畑で家庭菜園を行うのは少し難しそう・・・と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、庭や畑で野菜を育てるメリットやうまく育てるコツ、おすすめの野菜を、種や苗の生産・販売を行うタキイ種苗株式会社 広報出版部の桐野さんに伺いました。
まずは、庭や畑で家庭菜園を行うメリットについて、ご紹介します。
【庭や畑での家庭菜園メリットその1】地植えなら野菜が丈夫に育つ
野菜が丈夫に育つために大切なのは、養分を吸収する「根」。
庭や畑での家庭菜園であれば、野菜はこの「根」を伸び伸びと張ることができ、たっぷりと栄養を吸収できるのだそう。
桐野さん「プランター栽培だと、どうしても根が張れる面積が限られてしまいます。一方、庭や畑ならば、広範囲に根を張ることができるため、養分の奪い合いも起こりにくく、一つ一つの野菜を大きく育てることができるんです。また、プランターだと育てる品種も限られてしまいます。でも庭や畑での家庭菜園では、スーパーで販売されている野菜のほとんどが栽培できますよ」
初心者の場合には、作りやすい野菜から始めて、慣れてきたらいろんな野菜に挑戦する、といったように、長く楽しめるのも庭や畑で家庭菜園を行う面白さの一つですね。
【庭や畑での家庭菜園メリットその2】日光が十分に確保できる
家庭菜園では、十分な日光があるのかも重要なポイントです。
桐野さん「ベランダにプランターを置いて育てる場合は、太陽がしっかり当たるかどうか、プランターを置く位置が重要になります。しかし、畑では遮るものがない場合も多く、庭では日当たりの良い場所を選ぶことで、野菜が育つために必要な日光は十分に確保できます。その点では、かなり大きなメリットがあると言えますね」
【庭や畑での家庭菜園メリットその3】水やりは適度でOK
家庭菜園といえば、水やり。「水やりは、毎日こまめにやらなきゃ・・・」と思っている方は多いのではないでしょうか。「実は、庭や畑での家庭菜園なら、毎日水やりをする必要はありません」と桐野さん。
桐野さん「こまめな水やりが重要なのは、発芽するまでの初期段階。発芽してしまえば、土から養分と水分を吸い上げるほか、雨からも水分を吸収するため、必ずしも毎日水やりをしなくても大丈夫です。プランター栽培だと、水のやりすぎで失敗することもありますが、庭や畑では余分な水分は土が吸収してくれます」
迷いがちな水の量や頻度ですが、土が調整機能を持っている点では、プランターより育てやすいという意外な一面もあるのですね。
ここを押さえればうまくいく! 庭や畑での家庭菜園のコツ
たくさんのメリットがある庭や畑での家庭菜園ですが、プランターでの家庭菜園と異なる大変さがあることも事実です。
桐野さん「庭や畑では、土づくりが非常に重要です。また、雑草や虫対策も必要になります」
ですが、コツを正しく押さえることで、初心者でも家庭菜園を楽しむことができるそうです。ここからは、庭や畑での家庭菜園で押さえておきたいポイントをご紹介します。
【庭や畑での家庭菜園のコツ1】土づくり
庭や畑での家庭菜園は、土づくりから始まります。桐野さんは、中でも肥料を混ぜるタイミングと、土をよく耕すことがポイントだと教えてくれました。
桐野さん「種や苗を植える直前に肥料をまいてしまうと、肥料焼け(肥料をやり過ぎることによって根が害を受けて植物に害を及ぼす症状)を起こしてしまうこともあります。1カ月~2週間前までには肥料を混ぜることで、土と肥料が中和されます。また、土をよく耕して、ふかふかな状態にすることも大事です。耕すことで、よく酸素を含み、植物がしっかり根を張りやすい状態をつくります」
土づくりについては、こちらの記事でより詳しく解説をしています。
あわせてチェックしてみてください。
【庭や畑での家庭菜園のコツ2】害虫対策
桐野さんに教えていただいた害虫対策のポイントは「種や苗を植えたらすぐにネットをかけて対策すること!」です。
桐野さん「野菜が未成熟な時ほど食べられやすい傾向にあります。また、蝶が飛んできて卵を植え付けてしまうことも。そうなったら、あとからネットをかけても、ネットの中で青虫が生まれて食べられてしまいます。ネットは、目の細かいものを選びましょう。野菜や植物も人間と同じで、大きくなるにつれて丈夫になります。もちろん品目にもよりますが、ある程度大きくなってきたら、野菜全体にネットをかける必要はないでしょう」
ただし、ナスやトマトなどの果菜類は実がなってくると、今度は鳥に狙われることもあるそうです。そんな時は透明なテグスやワイヤーを張ったり、果実一つ一つをカバーで覆うなどの対策が有効です。
【庭や畑での家庭菜園のコツ3】雑草対策
庭や畑での家庭菜園において、雑草は避けては通れない道。桐野さんも「雑草が生えてくるのは、庭や畑の宿命ですね」と苦笑しながら対策を教えてくれました。
桐野さん「雑草は、隣の畑から種が飛んでくることもあれば、人の靴裏に種がくっついて運ばれてくることもあります。雑草を生やさないために、土の表面に光を遮るマルチングシートを設置してもよいでしょう」
雑草自体を防ぐことはなかなか難しいようなので、対策としては育たないようにするのがよいそうです。
育てやすいおすすめ野菜~果菜類編~
庭や畑での家庭菜園のコツを押さえたところで、ここからは初心者でも比較的育てやすい野菜を桐野さんにご紹介いただきました。まずは、果菜類。
「初めての時は、種ではなく、苗からチャレンジしてみましょう」と桐野さんは言います。
農業や園芸では、『苗半作』という言葉があり、苗までで、出来上がりの半分は決まるというものなんだそう。
桐野さん「苗を選ぶときのポイントは、品目にもよりますが、基本的には苗がしっかりと丈夫であること。茎が強く、葉の色が薄くないものがおすすめです」
ちなみに、葉の多さは生育タイミングの差によるものがほとんどなので、上記の通り茎の丈夫さや葉の色で見分けるようにしましょう。
【おすすめの野菜】
トマトやナスなどが育てやすくおすすめです。
トマトは初めて栽培するならミニトマトがおすすめですが、初心者向けの、病気にかかりにくい中玉・大玉トマトもあります。品種によっては育てやすさが変わりますので、購入する時に確認するようにしましょう。
育てやすいおすすめ野菜~葉菜類編~
葉菜類の場合は、果菜類と違い、種から植えることが多いのだそう。
桐野さん「苗から育てることもできますが、コスト的にも種から育てるのがおすすめです。種まきから1カ月半~2カ月程度で収穫できる品目も多いので、初心者でも取り組みやすいと思います」
【おすすめの野菜】
幅広い温度で発芽するので、育てやすい小松菜やほうれん草がおすすめです。
特に小松菜は生育が早く、環境が良いと1カ月程度で収穫することができます。ただし、その分虫に食べられやすいので、早い時期から虫よけネットを張ることを忘れないようにしましょう。
育てやすいおすすめ野菜~根菜類編~
根菜類は土の中で成長する野菜です。プランターでも栽培は可能ですが、土の面積が限られてしまうため、庭や畑での家庭菜園のほうが大きく育ちやすいようです。また、根菜類は地面の中で成長していくため、土の軟らかさがポイントになるのだそう。
桐野さん「根菜類を育てる時には、土をしっかり耕しましょう。地面の中で成長する時に、硬い石や発酵しきれていない有機物(肥料)にぶつかると、そこから『また根』になり、真っ直ぐ成長しなくなってしまいます」
【おすすめの野菜】
じゃがいもや大根などがおすすめです。
じゃがいもは芽かきを、大根は間引きをしてあげることで、大きく育ちます。
おわりに
憧れの庭や畑での家庭菜園。初心者に難しいと思われがちですが、一つ一つのポイントを押さえればさまざまな野菜を育てることができます。ぜひ、おうち時間を有効活用して家庭菜園にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。