洗濯機はカビの巣窟になりやすい! 正しい掃除の方法は?
洗濯物に黒いごみが付いていたり、嫌なニオイがする場合、その原因は「洗濯機に付着したカビ」かもしれません。
クリーニングのプロとして全国で講師も務める横倉靖幸さんにお話を伺ったところ、衣類に付着したホコリや泥などの「不溶性の汚れ」と「洗剤の溶け残り」が洗濯機の中で混ざると、カビが繁殖しやすい環境となるそうです。
「洗剤の溶け残りの原因は、使用する洗剤の量が多すぎること。特に、粉末洗剤やジェルボールタイプの洗剤は溶け残りやすいので、洗剤を入れすぎないように注意が必要です」(横倉さん)
こうしたカビを防ぐには、洗濯機の定期的な掃除が重要です。
横倉さんに伺った掃除方法を以下にご紹介します。
なお、洗濯機は上から下に行くほど汚れが溜まりやすいので、上にある部品から順番に掃除するのがコツなのだそう。上から順番に掃除していくことで、使う軍手や雑巾類を洗う頻度が少なくて済み、洗濯機の掃除をラクに終わらせることができますよ。
※洗濯機の機種により掃除部位や掃除方法は異なる場合があります。詳細は取扱説明書にてご確認ください。
フィルターを掃除しないと故障の原因にも・・・
「定期的なフィルターの掃除は不可欠。掃除しないとカビや異臭の原因になるだけでなく、洗濯機の寿命に影響します」と横倉さん。
排水フィルターが詰まるとエラーが起こりやすくなり、乾燥フィルターが詰まると温度が上がりにくくなるそう。温度が上がりにくくなると、電気代が上がってしまい、放置するとヒーター部分が壊れることがあるようです。洗濯機の掃除をサボることが洗濯機の寿命を縮めてしまうとは・・・。定期的な掃除は忘れず実施したいところです。
フィルターを含め、洗剤投入ケースや排水口、洗濯槽など、洗濯機には掃除すべき箇所がたくさんあります。以下にて順にご紹介していきます。
【洗濯機の掃除方法1】洗剤投入ケース
(本文)用意するもの
・軍手
・バケツ
・食器用中性洗剤
洗剤投入ケースは取り外して水洗いします。洗剤が溶け残りやすい箇所で、カビや異臭の原因になります。汚れを放置せず定期的に手入れしましょう。
水を張ったバケツに食器用中性洗剤を1、2滴入れ、洗剤投入ケースを浸けて、汚れをこすり洗いします。
横倉さんによると、この時、軍手を使うことによって、指先で細かい部分まで汚れを落とせるとのこと。手荒れが気になる場合には、ゴム手袋をして雑巾やスポンジを使いましょう。手やスポンジが入らないような細かい部位は、楊枝や歯ブラシを使うとよいそうです。
柔軟剤がこびり付いていたら
柔軟剤がこびり付くとなかなか水では落ちません。横倉さんによると、固まった柔軟剤を落とすには、お湯が効果的だそうです。洗濯機の対応温度は機種ごとに異なりますので、お使いの機種の取扱説明書をご覧ください。
【洗濯機の掃除方法2】ごみ取りネット
(本文)用意するもの
・軍手
・バケツ
・食器用中性洗剤
まず、ごみ取りネットを取り外します。ごみ取りネットを裏返し、かたまりになっている汚れを取り除きます。ネットに付着している汚れは軍手でネットをなでるようにして拭き取ります。
【洗濯機の掃除方法3】乾燥フィルター
(本文)用意するもの
・軍手
・歯ブラシ
まず、乾燥フィルターを取り外します。乾いた軍手をはめて、フィルター部分をなでるようにして汚れを取ります。細かい部分のホコリは歯ブラシなどを使って落としましょう。
【洗濯機の掃除方法4】排水フィルター
(本文)用意するもの
・軍手
・バケツ
・食器用中性洗剤
食器用中性洗剤を1~2滴と水をバケツに溜めておきます。
排水フィルターを取り外し、バケツに溜めた水を使いながら、軍手をはめた手で排水フィルターをこすり洗いします。排水フィルターの細かい穴も軍手ならスルッと汚れが落ちていきます。
【洗濯機の掃除方法5】排水口
洗濯機の下に位置する排水口は、洗濯時に出る汚れた水を外に排出する役割があります。ただ、糸くずやホコリ、洗剤の溶け残りなど汚れが溜まりやすい場所でもあります。
排水口周りに汚れが蓄積すると詰まってしまい、悪臭の原因になったり、排水の逆流や排水エラーの原因になります。塩素系洗剤を使用した定期的な掃除が必要です。
横倉さんによると塩素系洗剤の中でも、パイプ・配管掃除用の洗剤がオススメだそう。粘性があるため汚れ部分にとどまって溶かす効果が期待できます。
用意するもの
・塩素系洗剤
・軍手
・歯ブラシ
・食器用中性洗剤
(1)排水ホースを外し、排水口の部品を外す
(2)排水口に塩素系洗剤を流し入れ、1時間ほど放置する
(3)放置している間に部品を洗う
バケツか洗面台に水を張り、その中に食器用の中性洗剤を入れておきます。軍手をはめて取り外した部品をこすり洗いします。汚れが落ちにくい時は楊枝や歯ブラシを使って汚れを落とします。
(4)排水口に水を入れてすすぐ
(5)部品を取り付ける
なお排水口の掃除の頻度は、排水口周りのニオイを目安にするとよいそう。一度掃除してもニオイが取れない場合は、一週間後に同じ手順で掃除をしてください。2、3回行えば十分きれいになるそうです。
排水口が詰まってしまったら・・・
「詰まりの原因が髪の毛などのタンパク質の汚れであれば、塩素系洗剤を使って汚れを溶かすことができます。それで解決しない場合は、専用の洗浄ブラシを使い、排水口内の汚れをかき出すとよいでしょう」(横倉さん)
塩素系洗剤を使用するときの注意点
塩素系洗剤と酸性洗剤が混ざると、人体に害のある塩素ガスが発生します。絶対に混ぜないようにし、以下の点に気を付けましょう。
・酸性洗剤と一緒に使用しない
・塩素系洗剤を注いだら表示時間通りに水で流し、必要以上に長時間放置しない
・換気をして行う
・塩素系洗剤が直接手に触れないようにする
・十分に水で洗い流してから、次の洗濯を行う
【洗濯機の掃除方法6】洗濯槽
洗濯槽の裏側は目には見えませんが、カビていることもあります。洗濯槽のお手入れ方法について、縦型洗濯機、ドラム式洗濯機の順にご紹介します。
「掃除頻度は月に1回が目安です。ただし、普段から洗濯の頻度が高く、1日に何度もするような場合は、週に1回にするなど、使用状況に合わせた掃除が重要です」(横倉さん)
縦型洗濯機の洗濯槽掃除
用意するもの ・粉末の酸素系漂白剤 (1)洗濯機の中に40~50℃のお湯(※)を注ぐ。洗濯槽全体がお湯に浸かるように、お湯を満杯まで入れる
※酸素系漂白剤の中に含まれる過炭酸ナトリウムは、40℃を超えるとアルカリ度がより高くなり、洗浄力が増す性質があります。ただし高すぎる温度は洗濯機の故障につながるため、40~50℃としています。火傷にはご注意ください。
(2)酸素系漂白剤をお湯の中に入れる(漂白剤の量は、お湯10Lに対して50g)
横倉さんによると、アルカリ度が高いクリーナーほど、洗浄力が上がるそうです。
「洗濯槽の見えない汚れをしっかり落とすには、液体ではなく粉末の酸素系漂白剤を使用しましょう。液体の漂白剤は酸性で、粉末の漂白剤は弱アルカリ性。アルカリ性の漂白剤の方が汚れを落とす効果が高いためです」(横倉さん)
酸素系漂白剤の代わりに重曹やセスキを使用する方法もありますが、酸素系漂白剤と比べるとpH(ペーハー)数が低いため、洗浄力が弱いそうです。
(3)自動コースで洗濯機を回し、数分経ったら停止する。そのままの状態で2〜3時間放置する
(横倉さん)「放置している間に、酸素系漂白剤の中に含まれる過炭素ナトリウムが汚れを落とします。放置する時間は長い方がよいので、一晩は置いても大丈夫です」
(4)自動コースで通し洗いする
使用した酸素系漂白剤は全て流れ切るので、次回からは普通に洗濯できます。
ドラム式洗濯機の洗濯槽掃除
ドラム式洗濯機は酸素系漂白剤が使用できず、専用クリーナーや塩素系漂白剤しか使えない機種も多くあります。取扱説明書を確認の上、作業を進めましょう。
「塩素系漂白剤は効果が非常に強い薬品です。もし、洗濯をする時に塩素系漂白剤が混ざると、衣類がもろくなったり、脱色してしまうことがあります。塩素系漂白剤を使用する際は、使用後に洗剤が残らないようにしっかりとすすいでください」(横倉さん)
用意するもの
・専用の漂白クリーナーや塩素系漂白剤など
(1)専用クリーナーを洗濯機に入れる※先にお湯を注いでからクリーナーを投入する機種もあります
(2)槽洗浄コース、もしくはつけおきコースで通し洗いする
洗濯機の掃除はプロにお願いする手も!
手間のかかる洗濯機の掃除はなかなか着手できない・・・。
そんなときは、掃除のプロに頼りましょう。
東京ガスのハウスクリーニングは、自社研修を受けたプロが部品を分解し、徹底洗浄します。
一度プロに依頼して徹底的な掃除をすると、その後の掃除は驚くほどラクに。日ごろのこまめな掃除に自信がない・・・という人は、定期的なクリーニングを頼むのも一つの手です。
おわりに
洗濯機の汚れは一旦溜まってしまうと落とすのも大変です。定期的なお手入れで、衣類の清潔を守りましょう。