夏休みの自由研究は、エコ・クッキングから始めてみよう!
せっかくの自由研究、ワクワク楽しい気持ちが大切です。そこで、「エコ」を初めてテーマにする場合、エコ・クッキングから始めることをおすすめします。エコ・クッキングとは、環境のことを考えながら、買い物、調理、食事、片づけをすることです。実際に自分で作った料理を食べることで、満足度が高いのが特徴です。
今回は、東京ガス都市生活研究所の研究調査結果から、エコ・クッキングをテーマに自由研究に役立つ情報をご紹介します。
エコ・クッキングとは?!
エコ・クッキングでは、
(1)エネルギーを大切にし、上手に使う
(2)食べ物を大切にし、ごみを減らす
(3)水を汚さず、大切に使う
ことがポイントです。
では、具体的にどんなことをしたらよいのでしょうか。どんな料理でもいくつかのポイントに気を付けると、エコ・クッキングになります。ここではすぐに取り入れられる調理の際の7か条を紹介します。
【エコ・クッキング調理の際の7か条】
1. 野菜はため水+流水で洗う
2. 野菜の次に肉や魚を切る
3. 野菜は丸ごと皮ごと使う
4. 火加減を調節する
5. 鍋にはふたをする
6. 洗う前に油汚れを拭き取る
7. 水をこまめに止める
ポイントを確認したら後は「百聞は一見に如かず」。まずは簡単なレシピでチャレンジしてみましょう。
エコ・クッキングで「カレーライス」
【材料(4人分)】
たまねぎ・・・1/2個
じゃがいも・・・1個
にんじん・・・1/2本
にんにく・・・1片
サラダ油・・・大さじ1
豚肉(こま切れ)・・・120g
水・・・600ml
カレールウ・・・70g
かくし味・・・適量*
ご飯・・・適量
*インスタントコーヒー小さじ1、チョコレート2片、ココア小さじ1、ジャム小さじ1などいずれかをお好みで。
【作り方】
1. たまねぎは茶色い皮の部分と根元を薄く切り取り、くし切りにする。じゃがいもは薄く皮をむき、芽を取り1cm幅のいちょう切りにする。
2. にんじんは皮ごと5mm幅のいちょう切りにする。にんにくは皮をむき、みじん切りにする。
3. フライパンにサラダ油、たまねぎ、じゃがいも、にんじん、にんにく、豚肉を入れ、肉の色が変わるまで中火で炒める。
4. 水を入れ、ふたをして中火から強火で野菜がやわらかくなるまで煮る(沸騰後約5分)。
5. 火を止めてカレールウを割り入れて溶かし、かくし味を加え、ときどき混ぜながら弱火でとろみがつくまで煮る(約3分)。
6. ご飯を器に盛り、カレーをかける。
【エコポイント】
・たまねぎは根元ぎりぎりの部分まで使う。
・じゃがいもは皮を薄くむく。
・にんじんは皮ごと使う。
・フライパンを使う(熱が当たる表面積が増える)。
・適切な火力を使う。
・煮るときはふたをする。
エコ・クッキングの効果
このカレーライス、普通に作った場合と、エコ・クッキングで作った場合とでは、ガス使用量、水使用量、ごみの量がこんなに変わってきます。
エコ・クッキングでオリジナルレシピを作ろう
エコ・クッキングのコツが分かってきたら、好きな料理でエコ・クッキングにチャレンジしてみましょう。「エコ・クッキングチャレンジシート」は以下からダウンロードできますので、ぜひこのシートを活用して、エコ・クッキングで夏休みの自由研究に挑戦してみてください。
シートには、自由研究テーマやそのテーマを選んだ理由が書き込めるだけでなく、自分で作ったレシピの材料や作り方、出来上がり写真、エコポイント、工夫した点や感想、家族からの一言が書き込めるようになっています。シートを活用してオリジナルレシピブックを作ってみるのもいいですね。
エコ・クッキングは片づけまでが大切!
楽しく作って、おいしく食べたら、最後の片づけまでエコ・クッキングで取り組むことが大切です。洗う前の工夫としてのポイントは3つあります。
1. 汚れた食器は重ねない
2. 洗う前に油汚れは古布などを使って拭き取る
3. 米のとぎ汁やゆで汁も捨てずに洗いおけにとって、下洗いに使う
そして洗うときにも洗剤を使いすぎないようにして、汚れの少ないものから順番に洗いおけを使いながら洗い、最後に流水ですすぎます。流水ですすぐ時も食器の表、裏、表の順ですすぐと無駄がありません。
節水実験で効果を確認
実際に汚れを拭き取ってから洗うとどれくらい節水できるのか、実験してまとめます。よくある方法とエコな方法を比べてみましょう。
【用意するもの】
食器(皿) 1枚
ティースプーン 1本
空ペットボトル(500mL)
じょうろ口
古布
食器洗浄用スポンジ
ごま油
計量カップ
洗いおけ(ボウル)
薄めた食器洗浄用洗剤 ワンプッシュ*
*食器用洗浄洗剤と水を1:1で薄めておく
【準備】
道具がそろったら、実験の準備をします。
1. ティースプーン1杯分のごま油を2皿に分け、スプーンで底面に広げ、汚れた食器を2枚作る。
2. 計量カップで水を500mlはかり、ペットボトルに入れる。
3. じょうろ口をペットボトルに取り付け、ペットボトルじょうろを作る。
4. 洗いおけに水を5cm程度の深さ(1L程度)まで入れる(エコな方法で使用する)。
【実験1】よくある方法で食器洗い
1. 食器の汚れを拭き取らない。
2. スポンジをペットボトルじょうろの水で湿らせ、希釈洗剤をワンプッシュつけ、洗剤のついたスポンジで食器を洗い、汚れを落とす。
3. 汚れと洗剤が落ちるまで流水ですすぎながら、食器の表面→裏面→表面の順に洗い流す。
4. 計量カップで残った水の量をはかり、使った水の量を計算する。
【実験2】エコな方法で食器洗い
1. 食器の汚れを古布で拭き取る。
2. スポンジを洗いおけの水にひたし、希釈洗剤をワンプッシュつけ、洗剤のついたスポンジで食器を洗い、汚れを落とす。
3. 洗いおけのため水に食器をくぐらせ、泡を落としてから流水で、食器の表面→裏面→表面の順に洗い流す。使用した水の量を比べる
4. 計量カップで残った水の量をはかり、使った水の量を計算する。
【結果を見てみよう】
データからも分かるように、よくある方法では、1枚の皿を洗うのに500mlも水を使ってしまっていますが、汚れを拭き取ってから洗ったエコな方法では、200mlしか水を使っていません。結果、使う水を60%も減らせることが分かります。
エコな方法では、洗いおけの分の水が必要となりますが、それでも皿を4枚以上洗う場合にはエコな方法の方が節水になります。ぜひ実験して確かめてみてください。
おわりに
今回は、自由研究のテーマとしてもおすすめのエコ・クッキングをテーマに、レシピや節水実験などをご紹介しました。調理や実験を通して、こんなに違うんだと体感できると、次のやる気にもつながりますね。
(1)エネルギーを大切にし、上手に使う、(2)食べ物を大切にし、ごみを減らす、(3)水を汚さず大切に使う、そして何よりも(4)楽しく作って、おいしく食べる。
ぜひ、夏休みの自由研究はエコ・クッキングにチャレンジしてみてください。
※エコ・クッキングは東京ガス株式会社の登録商標です。
参考:開隆堂「今日からはじめる省エネ教育」
参考:東京ガス「エコ・クッキング」
文筆:三神彩子(東京ガス都市生活研究所 統括研究員/博士(学術)/エコ・クッキングナビゲーター/東京家政大学 非常勤講師)