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足元が冷える家、高齢者は要注意!? 寒い住まいの健康リスクを知ろう!【東京ガス都市生活研究所】

近年、寒い家は、健康を害するリスクが高いという調査結果が注目を集めています。これまであまり語られることのなかった「寒い家の健康リスク」について、国内外の最新知見を東京ガス都市生活研究所がまとめたレポートからご紹介します。

最終更新日:2024.11.8

目 次

住まいが高齢期の健康に影響するって本当!?

咳き込む人

PIXTA

人生100年時代といわれるいま、高齢期の住まいのあり方が注目され始めています。

退職後、高齢者の多くは自宅で過ごすことが増えていきます。多くの人は、住み慣れたわが家で悠々自適の第二の人生を・・・と願っていることでしょう。

昨今では、住まいが高齢期の健康に与える影響について、さまざまな研究が進んでいます。

国土交通省より2019年3月に策定された「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」では、高齢期に起こりやすくなる住宅内での「ヒートショック」やけが、病気などに注目。これらの健康リスクを下げるために、住宅改修で配慮すべき事項がまとめられています。

<ガイドラインの配慮項目>

  1. 温熱環境
  2. 外出のしやすさ
  3. トイレ・浴室の利用のしやすさ
  4. 日常生活空間の合理化
  5. 主要動線上のバリアフリー
  6. 設備の導入・更新
  7. 光・音・匂い・湿度など
  8. 余剰空間の活用

室温18℃未満の寒い住宅では、さまざまな健康リスクが

疾患・症状とリスク発症の可能性温度
冬の死亡増加の主な要因

冬場の快適な室内環境は、室温18~22℃、湿度55~65%程度といわれます。

室温により人体への健康リスクを示す指針として、2015年に出されたイングランド公衆衛生庁の指針によると、室温の最低推奨室温は18℃。18℃未満に至ると、徐々に循環器系疾患や呼吸器系疾患、低体温症などのリスクが生じると明記されています。

また、2018年11月には、WHO(世界保健機構)が「住まいと健康に関するガイドライン」を以下のように策定。

『室温は、寒さによる健康被害から居住者を守るために十分高くなければならず、寒い季節に安全な温度として18℃以上を提案する』

これは、1987年以来の策定で「強い勧告」と位置付けられています。

足元が寒いと、高血圧の通院リスクが1.5倍に!

住宅の暖かさと高血圧の通院リスク

寒い家が健康リスクを高める、とわかっていても、住まい全体を隅々まで暖めるのはなかなか大変なこと。日中ずっと家に居るとなると、光熱費の負担も高まります。

そこで住まいを暖めるポイントとして、「足元を暖める」という点を意識してみましょう。

「国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業調査」によると、室温と血圧・活動量・諸症状の分析をした結果、床付近の室温が低い家では、さまざまな疾病・症状を有する人が多いことがわかってきました。

上の図のように、床上1mと床付近室温の組み合わせで「暖かい家」「足元の寒い家」「全体が寒い家」の3群に分け、「暖かい家」の通院リスクを1としたときに、「足元が寒い家」「全体が寒い家」の通院リスクは1.5倍となることがわかっています。

先人の知恵で「頭寒足熱」といわれますが、足元を冷やすことは、高血圧など循環器系疾患にもつながっていることが調査でわかってきたのです。

断熱性を高めて床暖房にすると、血圧が下がる?

居間の断熱・床暖房改修による最高血圧の低下

試験条件:2011~2014年に実施 東京都内とその近郊の中古住宅(築20年以上)に住む高齢者42名(平均年収68.7歳)居間の床暖房設置を伴う改修前後比較

出典:高齢者の健康に及ぼす居間の床暖房設置を伴う断熱改修の効果 日生気誌 55(4),2019 野本、高橋らをもとに作成

足元が暖かいと、高血圧リスクを軽減できる可能性がある、という研究結果。

「足元を暖める」というと、パッと思い浮かぶのが床暖房ですね。

上のグラフは、築年数の経った低断熱住宅のリフォームとして、部分断熱と床暖房の改修を行うことで、最高血圧にどのような変化があったかを、健康長寿医療センターが調べたものです。

研究における住宅の改善方法

出典:高齢者の健康に及ぼす居間の暖房設置を伴う断熱改修の効果 日生気誌55(4),2019 野本、高橋らをもとに作成
N=42

研究では、リビングのすべての窓に内窓を付け、床の断熱材を充てんして気流を止め、外壁断熱をするという、低断熱住宅を高断熱住宅に変える改修を行っています。さらに床暖房も導入。その結果、最高血圧が4.7mmHgも低下しました。「家、特に足元を暖めると血圧が下がる」ということが期待できそうです。

エアコン使用者よりも床暖房使用者のほうが、高血圧の申告が少ない!?

高血圧の申告割合

ところで、いわゆる「高断熱の住まい」というのは、どんなものなのでしょうか。

省エネ住宅の断熱性能は「熱損失係数」というものが関係します。この基準は平成4年と平成11年に見直され、そのたびに厳しい断熱性能が求められるようになってきました。

現在「高断熱住宅」というと、平成11年度以降の基準を満たした断熱性能の良い住宅を指します。

この高断熱住宅の中でも、暖房の方式によって、高齢者の高血圧の申告割合に違いがあることが、研究によってわかってきています。

上のグラフは、エアコン使用者と床暖房使用者の、高血圧の申告者を比べたもの。なんと床暖房使用者のほうが、10ポイント以上も「高血圧の申告がない」という結果になりました。

高齢者が安心して過ごせる住まいは「高気密」「床暖房」

老後に向けてバリアフリー化などのリフォームをする世帯は、近年増えているようです。

ですが、寒さ対策が健康維持につながるということまでは、まだまだあまり知られていません。

寒い住宅の健康リスクは、国内外でもまだまだ認識されはじめている新しいトピック。
以下のレポートには「高齢者が安心して住める住宅のポイント」がまとめられています。

床暖房と高血圧の関係以外にも、寒い住宅が夜間頻尿などに及ぼす影響など、気になる調査データが網羅されていますので、ぜひ読んでみてくださいね!

おわりに

倹約世代の高齢者は、「暖房がもったいない」「古い家だからこんなもの」と、寒さを感じる家で過ごしてしまいがち。ですが、いまではよく知られるようになった浴室でのヒートショック問題のほかにも、日常を過ごすリビングや居室の温熱環境や暖房環境が、健康に影響することが徐々にわかってきました。この最新のトピックを、ぜひ大切なご家族に伝えてあげてくださいね。老後の住まいを、安心できるものへ整えていきたいですね。

冬はヒートショックにご用心。「ヒートショック予報」

冬の入浴事故を少しでも減らすために、東京ガスは日本気象協会と協力して、「ヒートショック予報」を開発しました。

日々変化する気象の予測情報に基づいたヒートショック予報は、全国の市区町村ごとの予報を日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」でご覧いただけます。
※毎年10月頃から3月頃まで提供しています。

ヒートショックについて楽しく学べる情報サイト「STOP! ヒートショックSTATION」!

ヒートショックSTATION

ヒートショックSTATION

東京ガスはヒートショック対策の啓発を目的とした企業協働の活動「STOP!ヒートショックプロジェクト」を幹事企業として推進しています。

このプロジェクトは、協賛企業が協働で行う社会貢献型啓発プロジェクトです。ヒートショックのリスクと対策の認知度をより高めるために、様々な啓発活動を実施しています。

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公開日:2020.8.4

最終更新日:2024.11.8

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