「カツオ」ってどんな魚?
二人以上の世帯の魚の購入金額(2016~2018年平均)
古くから親しまれてきたカツオ。家庭での消費量も多く、マグロ・サケ・ブリに続く第4位です(上表)。刺し身やたたき、煮付けなどの家庭料理だけでなく、ツナ缶や鰹節の原料としても使われています。
カツオの基本情報
分類:スズキ目 サバ科マグロ族カツオ属
大きさ:40~60cmのものが多く出回る。中には全長1mを超える場合も。
見た目の特徴:腹側に複数の縞が入っている。
カツオは太平洋に広く分布し、潮の流れに合わせて回遊します。南方水域にいることが多く、その周辺では一年中カツオが釣れます。
カツオの旬は年に2回! 味に違いはあるの?
カツオの旬は、春と秋。春は潮の流れに合わせて日本近海に北上し、秋に産卵活動に入るために南下します。それぞれの時期によって、呼び方や味わいが異なります。
カツオの旬 1. 春
呼び方:「初鰹」・「上りガツオ」
旬の時期:3月~5月
特徴:脂が少なめでさっぱりとした旨味。身が引き締まっているのでぷりっとした食感。
カツオの旬 2. 秋
呼び方:「戻り鰹」・「下りガツオ」・「トロカツオ」
旬の時期:9月~11月
特徴:脂が乗っていて濃厚な味わい。産卵に向け肥えているのでこってりとした食感。
カツオの栄養は時期によって変わる?
カツオの可食部100gあたりの栄養価の違い
春と秋のカツオでは、栄養価にも差があります。秋のカツオの脂質は春に比べて12倍以上! こってりと濃厚な味わいになります。
カツオの漁獲量ナンバーワンはどこ? 釣り方は?
カツオ漁の方法とは?
カツオ漁は主に2種類の方法があります。
【カツオの釣り方 1】竿釣り(一本釣り)
カツオの主な釣り方は竿釣り(一本釣り)。近年は人材不足を補うために「一本釣りロボット」など自動化も進んでいます。
【カツオの釣り方 2】まき網
カツオの群れに向かって大きな網で包んで、釣り上げます。漁獲量が多い方法ですが、乱獲を防ぐため、禁止している地域もあります。
網に引っかかるカツオは、大小様々なのでカツオの質にバラつきがあります。また、大量のカツオを一度に冷凍処理できず、一本釣りよりも鮮度が落ちやすいという側面もあります。
日本で1番カツオの漁獲量が多いのは、どこ?
2018年の都道府県別カツオの漁獲量上位
静岡県の焼津港が、カツオの漁獲量国内ナンバー1。水揚げしたカツオは、刺身やタタキなどの生食用の他、鰹節やツナ缶などの加工食品の原料にもなっています。
生で食べるなら新鮮なカツオを! 選び方のコツとは?
スーパーの鮮魚コーナーで新鮮なカツオを選ぶには、どんなポイントをチェックすれば良いのでしょう?
カツオの選び方 1. 短冊や刺し身の場合
- 血を含んだ水気(ドリップ)が出ていない。
- 身が鮮やかな赤色をしている。
血合いが黒っぽくなっているものは鮮度が落ちているので、加熱して味わうのがオススメです。
カツオの選び方 2. 1尾まるごと買う場合
- 太っていて、身が締まっている。
- 目が澄んでいる。
- 縞模様のコントラストがくっきりとしている。
カツオの刺し身は何故「タタキ」にして食べるの?
代表的なカツオの食べ方と言えば「カツオのタタキ」。そのまま刺し身では食べずに表面をさっと炙って薄く切り、薬味と一緒に食します。
カツオのタタキの発祥には諸説ありますが、一説には「食中毒を防ぐために表面を炙り、調味料を手でたたいてまぶしていた」といわれています。
カツオは縄文時代から食されてきた!? カツオの歴史とは?
古来よりカツオは貴重なタンパク源として食されてきました。縄文時代の遺跡にその形跡がみられ、『古事記』には「堅魚」ということばで登場しています。当時は、足の早いカツオを干すことで日持ちさせていたそう。これが、鰹節の原型といわれています。今のような鰹節の形になったのは室町時代。干したカツオを焙煎し、薄く削る技術が誕生しました。
カツオの刺身が人気になったのは鎌倉時代末期。『徒然草』の中で、最近もてはやされるようになった魚だと書かれています。
鰹節の用途が広がったのは江戸時代。煮物・汁物料理が盛んになった影響で、そのまま食べるだけではなく、出汁をとるために使われるようになりました。とくに紀州(今の和歌山県と三重県の南部)で作られた鰹節は「熊野節」と呼ばれ、人気があったそうです。
鰹節は海外でも馴染みのある食べ物?!
鰹節は海外でも食されているのをご存じですか? たとえば、島国・モルディブでは、削った鰹節をそのまま料理に加えて食べるのが一般的で、土産物としても人気だそう。
鰹節以外にも節はある?
魚などをいぶして乾燥させたものを「節」と言います。鰹節以外にも、マグロやサバ、アジで作った節もありますよ。特徴は以下の通りです。
マグロ節
原材料:キハダマグロの幼魚
味の特徴:優しい甘味のある上品な味わい
サバ節
原材料:小型のゴマサバ
味の特徴:甘味とコクがある
アジ節
原材料:ムロアジ
味の特徴:あっさりとした風味
カツオはツナ缶の原料にも!?
ツナ缶の原材料はマグロだけだと思っていませんか? 実はツナ缶にはカツオが多く使われています。
ツナ缶の原材料は主に4つで、ビンナガマグロ・キハダマグロ・カツオ・メバチマグロです。ツナとは、スズキ目サバ科マグロ族に分類される魚の総称で、カツオも含まれています。
種類としてはマグロの方が多く使われていますが、マグロ自体の価格が高いのでツナ缶の値段にも差があります。特にビンナガマグロはマグロ自体が高値なので、「ホワイトツナ」と呼ばれる高級ツナ缶として流通しています。
生で、焼いて、煮ても美味しい! カツオを家で楽しもう!
春と秋、それぞれのカツオの良さを活かすレシピをまとめてご紹介します。ぜひいろいろなレシピで味わってくださいね。
定番のたたきからアレンジまで!「初ガツオ」レシピまとめ
秋の戻り鰹は濃厚な味わい!「鰹のごちそうレシピ」まとめ
おわりに
カツオの旬は2回あり、それぞれ味の特徴が違うのですね! カツオは日本人にとって古くから馴染みのある魚。ぜひいろいろな食べ方で楽しんでくださいね。
参考:農林水産「特集2 食材まるかじり(1)日本料理の原点 だし」
参考:国立研究開発法人 水産研究・教育機構 第17回成果発表会「次世代型かつお自動釣り機の開発~ロボットで魚を釣る~」
参考:水産庁「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について」
参考:国立研究開発法人 水産研究・教育機構「令和5年度常磐・三陸沖カツオ長期来遊動向予測(6月~11月)」
参考:文部科学省 食品成分データベース「魚介類 かつお」
参考:e-Stat「海面漁業生産統計調査 大海区都道府県振興局別統計 魚種別漁獲量」
参考:農林水産省「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2016年~2018年平均)」