メロンの食べ頃は1週間以内に! おしり部分を触って見分ける!
硬い皮に包まれ、食べ頃を見分けるのが難しいメロン。カットしてみたものの、硬すぎたり熟しすぎたりで、がっかりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
メロンの場合、買ってきてすぐ食べることはできず、数日追熟させる必要があります。メロンの実が完熟すると種族保存のため、自らパカッと割れてしまう習性があります。そのため、早めに収穫し店頭に並べているのです。
北海道でメロン農家を営む寺坂祐一さんによると、ひと昔前のメロンは熟すのが早く、収穫後3~5日が食べ頃のものが多かったものの、近年では品種改良が進み、収穫から1週間~10日ほどで食べ頃になるものが多いと言います。一般的に店頭に並ぶのは収穫してから3~4日ほどなので、購入してから数日追熟させて1週間以内に食べるのが適切とのこと。
「ただ、流通状況やお店にもよるので、実際に収穫からどれくらい経った状態なのかは分かりません。そのため、おすすめなのはメロンを触って食べ頃を見極めること。メロンのおしり部分を軽く押してみて、3~4ミリほど凹むタイミングがベストです」(寺坂さん)
押す場所はメロンの裏側にあるおへその周り。優しく押して軽く凹むタイミングを待ちます。
ただし、これは一般的に好まれる食べ頃。メロンは固めが好きな方、柔らかめが好きな方と、好みが分かれると寺坂さん。
「地方によっても食べ頃の好みが分かれます。関東地方より北では比較的硬め、大阪より南の地域では柔らかめを好む方が多い傾向があります」(寺坂さん)
柔らかめが好きな方はおへその1cmほど周辺まで柔らかくなる時が食べ頃です。
柔らかく熟して傷む寸前、アルコール臭が出てきた頃が好きという方もいらっしゃるのだとか。ただし、熟しすぎるとメロンに含まれる糖がアルコールに転化して甘みが減ってしまいます。寺坂さんのおすすめは購入から1週間以内だそうです。
寺坂農園さんではメロンのお尻を触って食べ頃を確認する様子を動画で公開しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
ネットメロン(網目あり)とノーネットメロン(網目なし)で、食べ頃は違う?
メロンと言えば、果皮にある美しい網目模様の印象が強いのですが、網目模様のないメロンもあります。網目模様があるメロンを「ネットメロン」、網目模様がないメロンを「ノーネットメロン」といいます。
※上の写真では左側がネットメロン、右側がノーネットメロンです。
以前は、ノーネットメロンは「お手頃だけど甘みや香りが薄い」というイメージがありましたが、寺坂さんによると、最近のノーネットメロンは改良されおいしくなったそう。ただし、ノーネットメロンは食べ頃になるのも早め。採って3~4日で食べ頃のものが多いと言います。追熟し過ぎないように注意したいですね。
メロンを食べたら苦い! 喉がイガイガする! 傷んでいるかどうかの見分け方
メロンを食べて喉がイガイガしたり、苦味を感じたことはありませんか?
「食べて喉がイガイガするのは、メロンの皮の近くに多く含まれる『ククルビタシン』と呼ばれる成分で、ウリ科の植物などに含まれるもの。害虫から身を守るために皮の近くに存在しますが、身体への害はありません」(寺坂さん)
さらに、メロンが熟し過ぎると、メロンに含まれる糖分がアルコールに転化されます。食べるとアルコール臭が出てピリピリとした味わいになります。「電気メロン」と呼ばれ、好む人もいるのだとか。小さなお子さんやアルコールを避けた方が良い方を別として、身体に害はないそうです。
一方、傷んでしまって食べない方が良いのは、どんな時なのでしょうか。
「メロンを食べた時に苦味があったり、メロンを割った時にどろっと液体が出たら食べるのをやめておきましょう。熟しすぎて味が変わっているのはもちろん、細菌に感染してしまっている恐れもあります」(寺坂さん)
熟した柔らかいメロンや電気メロンを好む場合でも、購入してから14日間を過ぎたら傷むリスクが高くなると寺坂さん。メロンの食べ頃には好みがあるものの、あまり熟し過ぎた場合には注意した方が良いようです。
自宅でのメロンの保存方法とは?
メロンは1玉丸のままとカットした状態では、保存方法を変える必要があります。それぞれの保存方法をご紹介します。
メロン1玉の場合
1玉で購入したメロンは、食べる直前まで冷蔵庫には入れないのがポイントです。冷蔵庫に入れてしまうと追熟が進まず、しかも乾燥してしまいます。
「収穫後にメロンが自ら発するエチレンガスにより追熟が進みます。エチレンガスが発生するためには生育環境と同じ25度前後を保つことが重要です。冷蔵庫に入れるのは食べる3時間前くらいがおすすめ。その際もポリ袋にメロンを入れ、乾燥しないようにしっかりと密閉するようにしましょう」(寺坂さん)
追熟を早める方法はあるのでしょうか。「どうしてもこの日にお客さんが来るから食べ頃にしたい・・・!」と、早く食べ頃にしたい場合もありますよね。
寺坂さんによると、「追熟を確実に進める方法はありません」とのこと。ただし、メロンを乾燥しないようにポリ袋でくるみ、30~33度と高めの温度で保存しておくことで、2~3日早く追熟させることができる場合もあるのだそう。購入してすぐに食べたい場合には、店舗で相談してから選ぶと良いですね。
カットメロンの場合
カットしたメロンは酸素に触れてしまうため、数時間で傷んでしまいます。
「あっという間に味が劣化してしまいますので、食べる直前まで切るのはやめたほうがいいでしょう。すでにカットされたものを購入した場合にはできるだけ早め、半日以内に食べるようにしてくださいね」(寺坂さん)
カットメロンのパッケージには大抵、賞味期限が当日中と記載されています。パッケージの記載を参考にしつつ、なるべく早めにいただくのが良さそうです。
メロンとスイカを一緒に冷蔵庫に入れる場合の注意点
夏はメロンもスイカもおいしい季節ですね。 冷蔵庫にメロンとスイカを一緒に入れる時は、別の保存袋に入れたり、適度な距離を取って保存するのがオススメ。メロンから出たエチレンガスが、スイカの熟成を早めてしまうためです。
網目模様ができる理由やおいしいメロンの選び方
ネットメロンとノーネットメロンについて上述しましたが、なぜネットメロンには網目模様ができるのでしょうか?
寺坂さんによると、ネットメロンでも実ったばかりの頃は網目がないのだそう。メロンは、果皮より果肉の方が成長が早い果実。果肉の成長に果皮が追いつかず、成長とともに表面がひび割れていきます。このひび割れが網目模様の元になります。
上の写真は寺坂農園でのメロンの発育の様子。メロンの実がつき、表面が硬くなり始めた時期だと言います。この時期に枯れた花びらを落とし、メロンの下にメロン専用の皿を敷くと形の良いメロンに仕上がるのだそうです。手間暇かけて作っているんですね。
上の写真はメロンにひびが入り始めた様子。ひび割れたところから害虫や病気が侵入しないように、ひびの周囲が「かさぶた」のように盛り上がっていきます。このかさぶたのような膨らみが美しい網目になっていきます。メロンの網目模様は果実を守る役割があったんですね。
なお、寺坂さんによるとこの網目は粗いよりも細かい方が良く、細かい網目を入れるのは高度な技術が必要なのだそう。
「網目が細かい方がおいしいメロンになります」(寺坂さん)
メロンを選ぶ際には網目の細かさもチェックしてみたいところです。
メロンの旬はいつ?
メロンの旬は産地によって異なります。関東周辺までは暖かくなってから梅雨に入る前くらいまでの5~6月、北海道では7~8月が旬になります。
「温度差がメロンをおいしくしてくれるので、日中の気温が25~30℃で、夜間の気温が15℃程度であることが重要です」(寺坂さん)
温室栽培のメロンであれば、静岡などを中心に1年中収穫することができますが、やはり気温差が大きい5月頃と11月頃のものがおいしいのだそうです。
メロンと言えば青肉? 赤肉? 白肉? メロンの種類と違い
メロンを果肉の色で分けると、青肉・赤肉・白肉の3種類に分けられます。メロンの種類について詳しくご紹介します。
【メロン果肉の種類】青肉種
店頭で多く出回るのが青肉系のメロン。淡いグリーンと爽やかな香り、強い甘みが特徴です。アンデスメロン、マスクメロン、クレセントなど多様な品種があります。
【メロン果肉の種類】赤肉種
赤肉系メロンは鮮やかなオレンジ色の果肉と芳香な香りが特徴で北海道産のものが有名です。クレンシーメロン、夕張メロンなどがあります。
【メロン果肉の種類】白肉種
よりメロンを楽しんでもらおうと、白肉系のメロンも新種の研究が進んでいます。ホームランメロン、ハニーデューメロンなどがあります。
寺坂さんによると、メロン農家の間では赤肉メロンと比べて、青肉メロンや白肉メロンの方がおいしいと感じる人が多いのだそう。糖度は同じくらいですが、青肉系や白肉系は香りの爽やかさや、えぐみのなさが際立っていると言います。
「特にクレセントメロンは爽やかな香りを持ちつつも、しっかりした甘みとコクがあります。品種改良もどんどん進んでるので、多様なメロンを試してみていただきたいです」(寺坂さん)
赤肉系メロンは綺麗なオレンジ色が際立ちますし、βカロテンが入っているメリットも。用途によって使い分けたり、食べ比べてみるのも楽しそうですね。
赤肉と青肉で栄養価は違う? メロンの栄養成分は?
赤肉系や青肉系など色々なメロンがありますが、栄養価に違いはあるのでしょうか?
上の表のように、カロリーや主な栄養素に関してはほぼ変わらないようです。水分が多い果物なのでカロリーは想定していたより低いと思われるかもしれませんね。露地のメロンで青肉系と赤肉系を比較すると、赤肉系はβカロテンが多い傾向にありますが、その他のビタミンやミネラルはほぼ同じです。
メロンの栽培方法の違い(ガラス温室・ビニール温室・露地)
栽培方法は大きく分けて、ガラス温室・ビニール温室・露地の3種類があります。
ガラス温室
ガラス温室はヨーロッパで始まった栽培方法です。手間もコストもかかるため、高級メロンの栽培に使われています。
ビニール温室(ハウス栽培)
ビニール温室で温度や湿度を調節してメロンを栽培する方法です。ガラス温室よりリーズナブルに設置できます。
露地栽培
昭和中期までの日本では、露地栽培で作れたのはノーネット系の甘みが少ないメロンのみでした。
品種改良が進んだ現在は、甘みのしっかりしたネット系のメロンも作れるようになっています。
露地栽培の旬は春〜夏。リーズナブルに甘いメロンを味わうことができます。
意外と知らない!? メロンの豆知識
ここからは、意外に知らないメロンの豆知識についてご紹介します。
メロンは国産と輸入、どちらが多い?
メロンは国産比率の高い食品です。2018年のデータによると、世界から輸入されたメロンの量が27,206トンに対し、国産のメロンの出荷量は138,700トンでした。
メロンの輸入国ランキング(2018年度)
メロンの輸入は2005年に始まったばかり。主な輸入先は、メキシコです。
都道府県別メロン出荷量ランキング(2018年度)
2018年の都道府県別のメロン出荷量1位は茨城県。2位は熊本県で、僅差で3位が北海道でした。
茨城県は21年連続でメロンの出荷量日本一を獲得しています(2020年時点)。茨城県独自のブランドメロンだけではなく、さまざまな種類のメロンを生産しており、4月から11月と長い期間出荷し続けています。
メロンという名前の由来は? 英語ではなかった!?
メロンは、キュウリなどと同じ、ウリ科の植物です。一年草なので、種まきから1年以内に芽を出して開花し、果実が実ります。メロンの品種は多く、日本で販売されているだけでも数十種類に及びます。
メロンという名前はギリシャ語の「melopepon(メロンペポン)」に由来します。melonはリンゴ、peponはウリ状果という意味で、「リンゴのようなウリ科植物」となります。丸い形がリンゴのように見えたのかも知れませんね。
メロンは野菜? 果物?
メロンは果物なのでしょうか? それとも野菜なのでしょうか?
農林水産省では、およそ2年以上栽培する草本植物及び木本植物に実ったものを果物と定義しています。
メロンは1年生の草本植物なので、果物ではなく、野菜に分類されます。いちごやスイカも同じ理由で野菜とされています。意外ですね。
そのままでもおいしいメロンにひと工夫! 簡単レシピをご紹介!
美しい「銀耳(シロキクラゲ)のフルーツポンチ」のレシピです。
なめらかな舌触りが特徴の白キクラゲを季節のフルーツとともに美しいデザートに仕立てます。
【レシピ】美しい「銀耳(シロキクラゲ)のフルーツポンチ」
おわりに
メロンの網目模様ができる理由やおいしい保存方法、そして旬の時期など、実はあまり知らなかったことも多くあったのではないでしょうか。せっかくメロンを食べるのであれば、一番おいしい状態で食べたいですよね。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考:農林水産省「平成30年産野菜生産出荷統計 メロン」
参考:農林水産省「農林水産物輸出入統計 メロン(生鮮) (2018年)」
参考:文部科学省「食品成分データベース メロン」
参考:茨城県営業戦略部販売流通課「茨城をたべよう いばらきの農林水産物 メロン」