八十八夜とは? 今年はいつ?
八十八夜とは、立春から数えて88日目にあたる日のことです。立春は日付が固定されていないため、八十八夜も毎年同じ日付ではありませんが、基本的に5月のはじめになります。
今年、2024年の八十八夜は、5月1日(水)です。
八十八夜は、季節の移り変わりを表す「雑節」の一つです。節分、彼岸、土用などもこの「雑節」で、暮らしと密接に結びつき、農作業の目安にもなってきました。
ところで、八十八「夜」と立春からの日数をなぜ「夜」で数えるのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。その理由は、かつて使用していた旧暦は月の満ち欠けを基に太陽の動きを組み合わせた「太陰太陽暦」だったため夜が重要視され、八十八「夜」と呼ぶようになったと考えられています。
八十八夜と気候の関係
立夏(2024年は5月5日)の少し前にある八十八夜は、古来、茶摘みや種まき、田植えなどの農作業を始める目安とされてきました。
それには理由があります。
晩春のこの時期、作物は大きく成長します。この時期に霜が降りると作物に大きな影響を及ぼすので、農作業には注意が必要でした。
「八十八夜の別れ霜(わかれじも)」「八十八夜の霜別れ(しもわかれ)」という言葉は、八十八夜の頃に降りる霜で、この霜が降ったらそれ以降は降らないといわれてきました。
八十八夜以降は遅霜が降りることは少なくなり、気候も安定していきます。そのため、八十八夜が農作業の目安とされてきたのです。
なお、「九十九夜の泣き霜(なきじも)」という言葉もあり、5月半ばに霜が降りると泣いても泣ききれないい言われてきました。こうした言葉から、遅霜がいかに警戒されてきたのかがわかりますね。
八十八夜といえばやっぱり「お茶」!
八十八夜と聞くと、そろそろ新茶の季節だなと感じる方も多いかもしれません。「夏も近づく八十八夜~」ではじまる『茶摘み』は、日本の歌百選にも選ばれていて、長く歌い継がれてきた唱歌です。八十八夜という言葉をこの歌で知ったという方も少なくないはず。
八十八夜とお茶にはどのような関係があるのでしょうか。
八十八夜から始まるお茶のシーズン
冬の間、冬眠状態にあったお茶の芽は、暖かくなるにつれてゆっくりと育っていきます。この新芽を収穫するのに最適な時期が八十八夜の頃なのです。
といっても、日本は南北に長いので、茶摘みが始まる時期は地域によって多少違ってきます。最も早く茶摘みが始まるのは鹿児島県の種子島で、3月下旬から4月上旬。関東付近では、5月下旬になります。このように茶摘みの適期が日本列島を北上していく様子は、「新茶前線」とも呼ばれています。
新茶はいつできるの? 他のお茶とどう違うの?
その年初めて収穫した新芽で作ったお茶を「一番茶」といいます。「新茶」も同様のお茶を指しています。
例えば、茶の大産地・静岡県では一番茶を摘むのは4月中旬から5月中旬。そのため、八十八夜が過ぎる頃には新茶が広く出回り、まさに「新茶の季節」となります。
新茶はとても葉が柔らかく、蓄えてきた栄養分と、新芽特有のフレッシュでさわやかな香りが特徴です。茶葉の摘み方には、大きく分けて手摘み、はさみ摘み、機械摘みがありますが、手摘みの中でも一芽ずつ丁寧に柔らかい部分を指でつまんで折り取る「折り摘み」は、芽の切り口の損傷が最も少ないため品質が高く、高級茶葉として知られています。
また、最近では茶葉の冷凍保存技術が進化して、一年中、新茶を楽しめるようにもなっています。冷凍保存された茶葉はゆっくり熟成するので、摘みたてとは違う旨味があります。飲み比べてみるのも楽しそうですね。
新茶の後に収穫できるお茶もある?
次に茶葉が収穫できるのは一番茶を摘んでから約45日~50日後。若葉が成長してくる6月中旬頃~7月上旬にかけてになります。この頃に摘まれたものを二番茶と呼びます。二番茶の頃には気温が高くなっているので成長スピードも早くなります。
その後、7月下旬から8月上旬にかけて収穫されるのが三番茶です。真夏の時期でもあり、紫外線を強く浴びて育つため、三番茶は健康に役立つ成分として注目されているポリフェノールの一種であるカテキンを多く含んでいるという特徴があります。
このほか、地域によっては、秋口の9〜10月頃に収穫する「秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)」を作るところや、翌年の新茶の質を高めるために、二番茶・三番茶を収穫しないところもあるそうです。
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八十八夜は夏支度をはじめる吉日
漢字の「八」は末広がりで縁起が良いといわれています。そのため「八」が2つも入っている八十八夜はとても縁起のいい日とされ、夏支度を始める吉日としても親しまれています。
八十八夜の頃は天候が安定して爽やかな気候。ゴールデンウイークも始まり、立夏を迎えると暦の上では夏となり、初夏を感じる季節です。部屋の模様替えや衣替えの準備など、夏支度をスタートさせるにも最適といえそうです。
おわりに
八十八夜とはどういうものなのか、また八十八夜と関係が深いお茶についても解説しました。今年も八十八夜が過ぎればいよいよ新茶のシーズン。香り高い新茶をお気に入りの和菓子とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。