【幼稚園の選び方】入園までの流れと時期は?
幼稚園は義務教育ではないため、自治体からの案内や連絡等が特にありません。
そのため、親が自分で調べて動く必要があります。
入園までの流れと時期は、園にもよりますが、おおよそ以下のようになっています。
- 9月頃~ 幼稚園見学会、オープンイベントなど
- 10月頃~ 入園説明会、願書の配布
- 11月頃~ 願書の提出、面接・面談、合否の連絡
- 12月頃~ 入園手続き
- 2月頃~ 入園準備の説明会、制服や教材の準備など
- 3月頃~ プレクラスや体験入園日など
2歳までに知っておきたい! 「プレクラス」にご注意
ただ、特に都市部で人気の園は、2歳頃からの「プレクラス」に入っていないと、実質的に入園が難しい・・・という場合もあるようです。
入園の審査には、プレクラスの園児や、在園児の兄弟姉妹が優先されることが多いため、その分でほぼ枠が埋まってしまうことがあるためです。
実質2歳の時点で園を選ばないといけないというのは、大人にも子どもにも大変だという声を聞くこともあります。
一方、プレクラスがあることによって、その園の保育を体験できたり、慣れておくことができるというメリットもあります。
【幼稚園の選び方】幼稚園にはどんな種類がある?
一般的に「幼稚園」というと、国や地方自治体が運営する公立の幼稚園、又は、文科省が認めた学校法人等が運営する、私立の幼稚園を指します。
でも、「3歳からの幼児教育」という意味では、他にも色々な形態のものがあります。
現代は、多くの子どもが毎日幼稚園や保育園に通っていますが、もともと幼児教育は「義務教育」ではありません。
だからこそ色々な形態が可能であり、子どもの性格や自分の考え方、家族のライフスタイルに合わせて選ぶことがおすすめです。
1. 公立・私立の幼稚園
国や自治体が運営する公立の幼稚園と、学校法人等が運営する私立の幼稚園があります。
私立の割合は61.5%で、私立の方が数が多くなっています。
公立の幼稚園の特徴は、費用が安いことや、先生が公務員で、園ごとの教育方針の違いが少ないこと。
私立幼稚園の特徴は、入園者を増やすために、園バスや給食や延長保育など、保護者がメリットを感じるサービスが多いこと、教育方針やプログラムが園によって大きく異なることです。費用については、「私立幼稚園就園奨励費補助金」という自治体の補助が利用できます。
私立幼稚園は、お寺や教会などの宗教法人が運営していることもあります。
日本では信者でなくても入園でき、保護者も宗教より立地や教育方針などを基準に入園させる場合が多いようです。
また、学校法人が運営の場合や、私立の大学や小学校に付属して一貫教育を行っているパターンもあります。その場合、必ずしも付属の学校に進学しなければいけないとは限らず、内部進学率は園によっても異なっています。
2. 認定こども園
認定こども園とは、公立・私立の幼稚園が、「保育園」の機能を併設した新しいタイプの幼稚園(保育園)です。
様々なタイプがありますが、同じ施設の中に幼稚園の子どもと保育園の子どもが共存し、施設やプログラムやクラスを共有しているといったイメージです。
(幼稚園と保育園の違いについては、下記の章で解説します)
サービスの内容は園によって様々ですが、保育園併設なので給食があったり、延長保育のときに保育園の子と一緒に過ごせたりと、保育園のようなサービスを受けられる場合もあります。
3. 認可以外の幼児教育施設
「認可外」というと、あまりいいイメージがないかもしれませんが、こだわりの教育方針があったり、少人数での保育が方針の場合は、あえて認可(私立)ではない園も多くあります。
その場合、「幼稚園」という名称ではなく、「子ども園/幼児園」や「○○園(例:おひさま園、たんぽぽ園など)」、あるいは「スクール」「クラブ」「幼児教室」などの名前が多いです。クラブや幼児教室という名称でも、毎日通う全日制の幼児教育施設です。
幼稚園(学校法人)として認可を取るには、規定の人数や広さなどの条件を満たさなければいけませんが、認可外の場合は、少人数保育・小規模保育でアットホームな教育が可能です。
4. 自主保育
自主保育とは、先生や保育士の代わりに、お母さん達が交代・当番で子どもを見守るという形態の保育です。「○○の会」といった名称が多く、サークルのようなグループを作って、毎日あるいは週○日という形態でどこかに集まって子ども達を遊ばせたり、親や子どもが企画した活動を行います。
お母さん同士で子どもを見るので、比較的マイペースに通うことが可能です。野外活動が多かったり、お母さん同士で子育ての相談ができるのも特徴です。
各地域にあるので、お近くの地域の自主保育を探してみると、見つかるかもしれません。
5. その他
その他にも、ちょっと珍しい形態の幼児教育をご紹介します。
■友の会 幼児生活団
「友の会 幼児生活団」は、大正・昭和時代に活躍した女性、羽仁もと子さんの実践から始まった、歴史の長い教育活動です。
週に1~2日だけ「集合日」があり、皆で集まって活動をしたり、生活技術を学んだり、遊んだりし、残りの日はおうちなどでそれぞれ過ごします。
現在、全国に12ヵ所の拠点があり、関東では世田谷と横浜にあります。
お母さんたちは、給食や掃除などを手伝ったり、子育てについて話し合ったりできる、アットホームなコミュニティになっています。
毎日通うわけではないので、少し遠くても通えることや、転居などがあっても各地で参加できるという、珍しい幼児教育の形態です。
(他の日も、音楽の日・飼育の日・縦割りで遊ぶ日など、短時間や任意の集まりもあります)
■幼児生活団 通信グループ
上記の幼児生活団でやっていることを、「通信教育」でできる仕組みがあります。
東京都久留米市の「自由学園幼児生活団」という幼稚園で行っていることを中心に、2週間に1回手作りの教材やお便りなどが届きます。
教材やお便りは、子どもの年齢に合わせて今の時期に取り組むべき「生活」のテーマ(手洗い、早寝早起きなど)をサポートしてくれるものです。お便りでは、幼稚園の様子や通信グループの会員の声などを伝えてくれ、皆で一緒に取り組んでいる気持ちになれます。
おうちを中心に過ごしたいという方の他、地方に住む方や、海外在住の方などの利用も多いそうです。
参考:幼児生活団 通信グループ
【幼稚園の選び方】3歳から「保育園」に入ることはできる?
幼稚園と保育園の違いが分からない・・・ということも多いですよね。
「保育園」は、親が働いているなど「保育に欠ける子ども」をサポートするための「児童福祉施設」。「幼稚園」は、「幼児の心身の発達」をサポートするための「教育施設」です。
管轄も異なり、保育園は児童福祉法に基づき、厚生労働省が管轄。
幼稚園は、学校教育法に基づき、文部科学省が管轄しています。
分かりやすく言うと、保育園は、保育士が親の代わりに子どもを保育してくれる「大きなおうち」。幼稚園は、幼稚園教諭が先生となって子どもを教育してくれる「小さな学校」、という表現もあります。
もし、3歳から子どもを預けて働きたいという場合は、もちろん保育園を希望することもできます。ただ、待機児童問題と言われる通り、希望の時期に保育園に入れるかは、自治体と園の状況によります。
一昔前までは、3歳からなら空きが出やすいと言われていましたが、現在は働く母親の数が急増しているので、厳しい場合もあるようです。
法律も管轄省が違うため、保育園と幼稚園の入る仕組みは全く異なります。しっかり下調べをして、情報収集することが大切です。
【幼稚園の選び方】自分たちに合った幼稚園を選ぶ、後悔しないための重要ポイントとは?
様々な形態の幼稚園があることをご紹介してきました。
実際に幼稚園を選ぶときは、色々と考えるポイントがありますよね。立地はどうか、バスか送迎か、お弁当か給食か、延長保育はあるかなど、子どもやその家庭に合った幼稚園を選ぶためのポイントをご紹介します。
幼稚園を選ぶためのポイント
幼稚園を選ぶためにチェックしておきたい項目として、以下の点があります。
- 通園の方法: 園バスか、親が送迎(徒歩・自転車・車)か
- 昼食: 給食か、お弁当か
- 教育方針: 教育目標、プログラムはどんなものか
- 延長保育など: 延長保育はあるか、延長保育の内容はどんなものか
- 保育料: 願書提出、入園料、月謝、購入備品(制服や鞄など)、延長保育などの費用は
- 行事・イベント: どんな行事があるか、保護者の役割はどんなものか
これらの情報を、パンフレットや説明会等から入手しておくことはもちろん重要です。ただ、情報として知っていても、何となく選ぶと後になって「思っていたのと違った・・・」ということになりかねません。
後悔しない幼稚園選びのために考えておきたい、重要なポイントをご紹介します。
1. 夫婦の「教育観」を共有する
幼稚園の教育方針を知っても、自分自身の教育方針は、意外とはっきり分かっていない、ということがあります。まずは、自分自身の「教育観」を、改めて知る必要があります。
そして次に、夫婦でお互いの「教育観」を共有することが、長い目で子どもの教育を考える上で重要です。といっても、夫婦の教育観がまったく同じである必要はありません。共通点がどんなことで、逆に違うところが何なのかを認識していくことが大切です。そして、それを踏まえて幼稚園の教育方針等を調べ、自分たちに合っているかを考えることが大切です。
教育観を共有する・・・というと、何だか難しそうに感じるかもしれませんね。私たちのNPOのワークショップやコーチングで使っている、シンプルでおすすめの方法をご紹介します。
それは、「過去にどんな経験をしたか」という事実と、「今それはどんな考え方、行動に影響しているか」ということを話し合うことです。
たとえば、こんなシンプルな質問から考えてみてはいかがでしょうか。
■これまで、自分の人生に影響を受けた人やモノは何ですか?
母親・父親・先生・親友・先輩・本・プレゼントなど、色々あると思います。
数はいくつでも構いませんので、幼稚園・小学校・中学校・高校・大学・社会人・結婚後・・・と、ひとつひとつ振り返って、誰(何)と、どんなエピソードがあったかを思い出してみて下さい。
■それを踏まえて、お子さんに一貫して伝えていきたいことは何ですか?
自分が影響を受けたと思うエピソードを踏まえて、「お子さんに伝えていきたいこと」について考えてみて下さい。できれば、言葉で書き出してみましょう。
夫婦でそれぞれ自分の教育観を振り返った上で、それをお互い共有してみて下さい。
「ああ、相手がこういう言動をするのは、こういうことがあったからなのか」「相手はこういうことを大事にしていたのか」という発見があるかもしれません。
その中で、こんな質問について一緒に考えてみて下さい。
■子育てにおいて、夫婦で、それぞれ大切にしていることは何ですか?
■お互いに大切にしていることの中で、共通していることはなんですか?
■お互いに大切にしていることの中で、違うところはどこですか?
こんな形で、夫婦がお互いの考え方の「根っこ」から理解し合うことは、幼稚園選びだけでなく、今度長い人生をともにする上で役に立ちます。
もしかすると、教育に対する考え方が違う部分があるかもしれません。でも、それを「対立」関係にするのではなく、うまく「補完」関係にできれば問題ありません。
そのために、どんなとき、どのぐらいの割合でお互いの教育方法を実践するかなど、一緒に考えられたら理想ですね。
2. ライフプランを考える
園バスか送迎か、延長保育は・・・など、物理的・制度的な条件面を考える上で、大切なのは、長い目で見た「ライフプラン」を考えることです。
特に重要なのは、兄弟・姉妹のことや、仕事について考えることです。
たとえば、今は自転車送迎でよくても、二人目・三人目を妊娠・出産したらどうなるか? さらに雨の日はどうするのか? あるいは、仕事をしたくなったらどうするのか? 引っ越しや住み替えの可能性はないか? 費用に無理はないか? など。
先の見えない部分もあるとは思いますが、「今」だけでなく、先々のこともこの機会にできるだけ考え、夫婦で話し合った上で決めておくと、後で後悔することも少なくなります。
3. コミュニケーション方法について考える
園バス、給食、延長保育などのサービスは便利ですが、とても大切なことが一つあります。
それは、先生や他の保護者の方との「コミュニケーション」です。
3年という短いようで長い幼稚園生活で、園でトラブルがあったり、家庭でトラブルがあったり、あるいは子ども同士の喧嘩で怪我をするなど、色々なことが起こります。そんなとき、先生や他の保護者の方と十分なコミュニケーションを取れれば、ストレスが減ったり問題が大きくならなくて済みます。
特に園バスの場合、先生や他の保護者の方と顔を合わせて話す機会がどうしても少なくなりがちです。その代わりに、どんなコミュニケーションの手段や機会があるのか確認しておくと安心できます。
連絡ノートや面談、保護者会や交流会など、園によって方針や方法は様々です。
バザーや運動会の準備などに保護者が関わる園も多くあります。面倒・苦手という方もいるかもしれませんが、コミュニケーションの機会として大切な場合もあります。
大きなトラブルがなくても、日頃のちょっとした子育ての悩みを先生や他の保護者の方に相談できる機会があれば、子育ても園生活もぐっとスムーズになります。幼稚園を、ただ子どもを預ける場ではなく、子育てで助け合える「コミュニティ」にしていけたら理想ですね。
3. コミュニケーション方法について考える
教育方針や理念については、パンフレットや説明会等で情報を得ることもできます。
でも、実際にその方針がどう実現されているのか、現場の見学・体験をして「体感すること」がとても大切です。
設備や教材、建物の様子も大切ですが、教育現場で一番大切なのはやっぱり「人」です。
方針や理念やメソッドがどのようなものでも、それを現場の一人一人の先生がどう捉えているか、どんな気持ちで子どもに日々接しているかが大切です。
できるだけ、現場の見学や体験の機会に参加してみましょう。先生や在園の保護者の方の子どもへの接し方、表情、言葉や声かけなどを見ることで、実際の雰囲気を感じてみましょう。
【幼稚園の選び方】もし、選んだ幼稚園が合わなかったら?
これまで全国の様々な園を取材してきましたが、親の方によく聞かれるのが、「子どもに合った園をどう選ぶか」です。
そんなとき、基本的には、子どもは適応能力が大人よりも高いので、むしろ親自身がしっくりくるところをいかに選ぶかが大切だとお伝えしています。
親が本当にその園を信頼しているかということを、子どもは敏感に感じ取るからです。
ただ、様々な園の現場でお話を聞くと、中には「どうしても合わない子」もいるのは確かなようです。教育方針が合わない、現場の人に合わない他、そもそも毎日幼稚園に行くことが合わない・・・など様々なケースがあるようです。
でも、これを入園前に見分けるのは難しいもの。どんなに事前に調べても、実際に経験してみないと分からないことは多々あります。大切なのは、入園した後に子どもが「行きたくない」と言い出したり、様子がおかしいときに「子どもの心の声」を聞いて対応することです。
いわゆる「登園拒否」は、一時的なことだったり、解決できる場合も多いと思います。
でも、「もしかしたら、どうしてもこの子には合わないのかも」という可能性があること。
そして、幼稚園や家庭、子ども自身に問題がなくても、相性の問題でそういうことが起こりうるということを知っておきましょう。
そもそも、幼稚園は義務教育ではありません。一昔前までは、年少さんをパスして年中さんから入る「二年保育」も、今より一般的でした。子どもの発達のペースは個人差が大きい中、同じ時期に一斉入園して、毎日通園するのを負担に感じてしまう子どももいます。
この記事では、いわゆる私立・公立の幼稚園だけでなく、様々な形態の園をご紹介しました。色々な選択肢や考え方があることを知って、自分と子どもに合う方法を見つけられると良いですね。
おわりに
入園までの流れと時期、幼稚園の種類やタイプなどの基本から、後悔しない園選びのためのポイントについてお伝えしました。
近さや便利さなども大切ですが、長い目で見れば、価値観やコミュニケーションもとても重要です。後悔しない園選びで、子どもにとっても親にとっても楽しい3年間を過ごせたらいいですね。