【幼児の着替えはいつから?】自らやることの教育的効果とは
子どものお着替えのお手伝いって、毎日けっこう大変ですよね。
素直にやってくれればいいですが、嫌がったり、逃げ回ったりすると困ってしまいます。自分でお着替えしてくれたらいいのに・・・と思う方も多いと思います。
実は「お着替えを一人でする」というのは、子どもの発達にもとても役立ちます。幼児期の子どもは、手先をたくさん使うことを通して、身体を思い通りに動かすことを学んでいきます。
お着替えは、袖を通す・下ろす、頭を入れる・抜く、ボタンをつける・外す、といった、子どもにとっては難しい動作がたくさんあります。
全部大人がやってしまうのではなく、上手に助けてあげて少しずつ自分でできるようになっていくことで、子どもの体の発達や自立心をはぐくみます。
幼児が自分でお着替えできるようになるのはいつから?
赤ちゃんのときから、毎日繰り返す「お着替え」。お座りがしっかりでき、つかまり立ちを始める【10ヵ月~1歳】くらいになると、「お着替え」を学習して動き始めます。
例えば、服を脱がせようとするとバンザイしたり、ズボンを履かせようとすると片足を上げてくれたりします。
少しずつ一人で着替えができ始めるのは、【2~3歳頃】からだと言われています。
着せた服を自分で脱ぐことができるようになったり、服を着せられるのを嫌がって、「自分で! 」と着ようとします。
でも、まだ細かく手足をコントロールできないので、頭を袖に突っ込もうとしたり、ズボンの片足に両足を突っ込むなどの間違いも多く、かんしゃくを起こしたりします。
ある程度スムーズに着られるようになるのは、【4~5歳頃】からだと言われています。
4歳を過ぎると、衣服の前・後ろ、右左、裏表、上下をきちんと確認して着られるようになり、ある程度小さなボタンも上手にはめられるようになる子が増えてきます。
【幼児の着替えはいつから?】年齢別の教え方のポイント
2歳頃から着替えたがるようになるといっても、年齢・月齢・個人差によって、できることは異なります。
年齢別に、お着替えの教え方のポイントをご紹介します。
【幼児の着替えの教え方】2歳~3歳の着替えの教え方
2~3歳のうちは、自分で着替えたいという気持ちはあっても、前・後ろを正しく認識したり、頭や足を通す先を正しく認識することは、まだ難しい年齢です。
「正しく」着る方法を教えようとするよりも、「自分で着た」という達成感を持たせてあげるようにしましょう。年齢が上がれば、自然と正しく着る能力が付いてくるので、焦らなくても大丈夫です。
2~3歳の子どもへの着替えの教え方
まずは、親が実際に着替えている様子を、見せてあげましょう。
あまり興味を示さなければ、無理に見せる必要はありません。子どもが見える場所で自分も着替えるようにしていると、いつの間にか観察していたりします。
じっと見ているのに気づいたり、「どうやって着替えるの」と聞かれたら、手順を意識してゆっくり動いてあげるとよいでしょう。自分で着替えたいというときは、なるべく見守りつつ、さりげなく手伝ってあげましょう。
トップスの着替え方
1. 洋服の前を「下」にして置いてあげます
2. はじめに頭を入れ、首の穴から出します
3. 頭が出たら、袖から片方ずつ腕を出します
前後の確認や、頭や腕を出すときには、親が少し引っ張るなどサポートしてあげましょう。
ボトムスの着替え方(ズボンの場合)
1. ズボンの前を「上」にして置いてあげます
2. 床に座らせます
3. ウエストを持って、片足を入れます
4. もう片足を入れます
5. 引っ張って足の先を出します
6. 立ちます
7. 股につっかえるまで引っ張ります
やはり、前後の確認や、足を出すときなどにサポートしてあげましょう。
床に足がつく高さの小さな台や、子ども用の椅子を用意してあげると、はきやすくなるかもしれません。
2~3歳の子どもが着替えやすい服の選び方
トップス
前後を確認させることは難しいので、「前後どっちを前に着てもいい服」が理想です。
この年齢は、「自分でできた」という達成感が大切です。大きくなれば、ちゃんと分かるようになるので大丈夫!
たとえば、袖は肩の縫い目のないラグランスリーブ、襟はハイネックで、ボーダー柄などイラストの入らない服、といったもの。引っ張って頭を入れやすいように、伸縮性のあるジャージー素材の服だとベストです。
ボトムス
ズボンやスカートも、なるべくどっちが前でもいいような、シンプルなデザインだとスムーズです。ボタンやジッパーのない、ウエストがゴム製の伸縮するものだとよいですね。
トイレトレーニングが始まる時期でもあるので、自分でさっと着脱できるものにしてあげましょう。
【幼児の着替えの教え方】4歳~5歳頃の教え方のポイント
4~5歳になると、服の前・後ろ、右左、裏表、上下なども自分で確認して、正しく着替えることができるようになっていきます。
「ちゃんとできた」「正しくできた」ということに満足感を覚える年齢なので、正しい手順を教えてあげて、うまくサポートをしてあげましょう。
この頃になると、手順に従ってきちんと着替えることができるようになるので、分かりやすく手順を教えてあげましょう。多少手順が違ったり、服がくちゃくちゃになっても細かいことを言わないようにすると、子どもがやる気を出してくれやすいです。
【トップスの着替え方】前が開かない(かぶる服)の場合
1. 前・後ろを確認して、前を「下」にして置きます
2. はじめに頭を入れ、首の穴から出します
3. 頭が出たら、袖から片方ずつ腕を出します
【トップスの着替え方】前が開く服の場合
1. ボタンを全て外します
2. 服の前を「上」にして置きます
3. 左右一方ずつ袖を通します
4. ボタンをかけます
【ボトムスの着替え方】ズボンの場合
1. 前・後ろを確認して、前を「上」にして置きます
2. 床に座ります
3. ウエスト部分を持って、片足を入れます
4. もう片足を入れます
5. 引っ張って足の先を出します
6. 立ちあがり、股につっかえるまで引っ張り上げます
4~5歳の子どもが着替えやすい服の選び方
トップス
前後・左右の違いが分かってくるので、「確認してから着る」ということができるようになる年齢です。色や形などで、前と後ろの違いがはっきり分かる服が理想です。
もし分かりにくいようなら、ワッペンをつけてあげたり、パジャマならサインペンでマークを書いてあげてもよいかもしれません。
ボタンもつけられるようになってきます。なるべくボタンの数が少なく、ボタンが大きい物を用意してあげるとよいでしょう。
子供服作りをしてみたいという方は、スナップボタンやマジックテープを使った前開きの服にすると、自分で着替えやすくなります。
ボトムス
ボトムスも、前後の分かりやすいものを選びましょう。トップスと同じく、マークをつけるのもおすすめです。
オーバーオールや、ぴっちりしたスパッツなどは、自分で着脱しにくいので避けましょう。
男の子は、「立っておしっこ」ができる年齢です。前開きパンツも上手に使えるようになってくるので、少しずつ、前の開くズボンに切り替えていくとよいかもしれません。
その際、トイレで慌てなくてもいいように、子どもが開けやすい作りになっているかどうかチェックしましょう。
お着替えを教えるときにおすすめの絵本
絵本を読んであげることで、「自分でお着替えをする」というイメージや、してみようという意欲が湧くきっかけになります。
お着替えの「失敗」についても描かれている絵本は、「みんな失敗するんだ」と子どもが安心することもできます。
お着替えに親しんだり、お着替えの仕方の参考になる絵本をご紹介します。
【その1】「パンツの はきかた」
岸田今日子(著)、佐野洋子(絵)、福音館書店、発行:2011/1/20
「パンツはね、はじめに片足入れるでしょ(略)それからもう一度引っ張って・・・」と、ブタさんがパンツの履き方の手順をひとつひとつ教えてくれます。最後はクスッと笑えるオチも。
歌になっていて、最後のページには楽譜もあります。
親子で楽しく歌いながら、パンツ・ズボンの履き方を覚えることができますよ。
【その2】「どうすればいいのかな?」
わたなべ しげお (著)・おおとも やすお (絵)、福音館書店、発行:1980/6/1
くまくんが自分でお着替えしようとするけど、シャツを履いちゃったり、パンツを着ちゃったり、靴をかぶっちゃったりと、あべこべの失敗だらけ。
ユーモラスな格好になったくまくんに、子どもも大喜びです。
そして、「どうすればいいのかな?」という問いかけのあと、「そうそう、シャツは着るもの」と正解も教えてくれるので、「履く」「着る」「かぶる」など、お着替えに必要な言葉を正しく覚えることができます。
【その3】「おきがえあそび」
きむらゆういち(著)、偕成社、発行:2001/9/1
いろいろなキャラクターがお着替えに挑戦する、楽しい「しかけ絵本」です。
ミケ、コロ、怪獣さんが、片足に両足を入れたり袖から頭を出したりと、よくある幼児のお着替えの失敗をします。そこに「ゆうちゃん」がやってきて、さっと正しく着替えます。
みんな失敗もするんだよ、と安心させつつ、ゆうちゃんはすごいね、◯◯ちゃんもゆうちゃんみたいにできるようになるといいね、などとお話をしてみてもいいかもしれません。
おわりに
お着替えは一生やることです。今できなくても、だんだんできるようになるので、焦る必要はありません。
一人でできたら、褒めてあげましょう。
また、一度できるようになっても、「着替えさせて~」と言ってくることもあります。そういうときは、精神的に甘えが必要なときなので、「できるでしょ」突き放したりせず、着替えを手伝ってあげるとよいと思います。
子どものペースで、焦らずに、少しずつ身につけていけるといいですね。
参考:クライ・ムキ「モンテッソーリ教室から学んだ 自立を助ける子ども服」文化出版局、発行:1999/9/12