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結露を防いで快適に! 知っておきたい部屋の湿気対策と乾燥対策

夏はムシムシ、冬は乾燥して喉がイガイガ・・・。お部屋の快適さは湿度のコントロールが鍵と言っても過言ではありません。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんによると、乾燥しすぎも問題ですが、近年加湿し過ぎの家が多いことが気になるといいます。加湿をし過ぎると結露やカビで住宅を老朽化させてしまう可能性もあるそうです。知っているようで知らない「湿気」の基本や湿気対策について詳しく伺いました。

最終更新日:2024.12.9

目 次

夏はムシムシ、冬は乾燥・・・快適な住まいには湿度のコントロールが不可欠!

温湿度計

PIXTA

今日はなんだかジメジメする、なんとなく乾燥している気がする・・・。感覚的に湿気を意識することはありますが、そもそも、湿度とは何なのでしょう。

住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに、まずは湿度について詳しく教えていただきました。

藤原千秋さん

藤原千秋さん

【湿度のギモン1】同じ湿度50%でも夏と冬では含まれる水分量が違う!?

湿度50%の図

uchicoto

「湿度とは空気中の水蒸気の量のことですが、私たちがよく耳にする”湿度〇%”というのは、相対湿度といわれるものですね」(藤原さん)

湿度には絶対湿度(g/m3)と相対湿度(%)の2種類があります。

絶対湿度は1kgの空気中に含まれる水蒸気量を示しますが、相対湿度は、その温度のときに空気が保持できる水の量(飽和水蒸気量)に対して、実際に溶け込んでいる水分の割合のことをいうのだそう。

「夏の”湿度50%”と冬の”湿度50%”では、含まれている水蒸気の絶対量が違うので『冬は乾燥している』といわれるわけです」(藤原さん)

●夏は気温(温度)が高く空気中に水分をたくさん保てる→ムシムシするけど洗濯物は乾きやすい
●冬は気温(温度)が低く空気中に水分をあまり保てない→乾燥しているけど洗濯物は乾きにくい

ちょっと難しいお話しですが、湿度を知るために大切なポイントなので、まずは頭に置いておきましょう。

【湿度のギモン2】湿度が高いとあたたかく感じ、湿度が低いと寒く感じる!?

寒がる人

PIXTA

湿度は体感温度とも深く関わっています。

「湿度が低いと、体感温度は下がり寒く感じます。逆に湿度が高いと、じめじめムシムシして暑く感じます」(藤原さん)

●湿度が高い→汗が蒸発しにくく体に熱がこもる→暑い
●湿度が低い→汗が蒸発しやすく体の熱が奪われる→寒い

体感温度は風や衣類などによっても変わりますが、湿度によっても左右されることを押さえておきましょう。

人にも部屋にもちょうどいい湿度は40~60%

温湿度計と家のフィギュア

PIXTA

湿度の基本を踏まえたうえで、私たちが目指す湿度は40~60%と、藤原さん。

「湿度が40%を下回ると喉が渇きやすくなったり、静電気が発生しやすくなったり、ウイルス感染のリスクが上がります。逆に60%を超えると、カビやダニの繁殖リスクが高まったり、家が傷みやすくなります」(藤原さん)

ちなみに日本の各都道府県の平均湿度は、60~80%。

太平洋側か日本海側か、住んでいる地域によっても違いはありますが、日本は適正湿度40~60%よりも平均の湿度が高い“湿った”国なのです。

「だから住まいは基本的に、乾燥させることを意識すべきなんですね。住宅は水分のあるところから傷みます。結露で窓枠にカビが生え、そこから壁や壁の内側が腐ってしまったり、水回りは寿命が短かったり・・・。とにかく高温多湿な夏を乗り超えることを、住まいや暮らしの目指す姿として置くべきです。“家の作りやうは、夏をむねとすべし”と、吉田兼好さんの時代から言われています(笑)」(藤原さん)

加湿しすぎにご用心! 室内の湿度は、人がいれば勝手に上がる!?

加湿器を使用する

PIXTA

湿度のコントロールと聞くと、まっさきに思い浮かぶのが加湿器です。

しかし、藤原さんによると、一般的な住宅で普通に暮らしていれば、人がいることで湿度は自然と上がっていくものなのだそうです。

「トイレに行ったり、洗面所で手を洗ったり、お風呂に入ったり、煮炊きをしたり・・・。家の中で水を使うと湿度は上がります。また、人の呼気も水蒸気を含んでいますので、基本的には人が家の中にいて生活をしていれば、湿度は勝手に上がっていきます」(藤原さん)

にもかかわらず、冬場は暖房などによる乾燥やウイルス感染が怖いからと、加湿に意識がいきがち。

「健康を気遣うなら、むしろ湿度が上がることによるカビ・ダニのリスクのほうを気にするべきです。カビやダニはアレルギー症状を引き起こす原因になります。暖房と加湿器を併用する人もいますが、これは暖房を消したあとに結露する原因にもなります」(藤原さん)

では、どんなことを実践すれば湿度対策ができるのでしょう。
具体的な方法を教えていただきます。

【すぐできる湿度対策1】温湿度計をそれぞれの部屋に置く

温湿度計

PIXTA

「暑い」「寒い」と感じることはあっても、温度や湿度はなかなか体感ではわからないもの。

「お肌の調子がイマイチなので乾燥しているのかな?と思って湿度をチェックすると、予想に反して60%を超えていたり、なんだか暑いなと感じて温度計を見ても20℃そこそこだったり・・・。温度や湿度はその日の自分のコンディションによってブレやすいものなのです」(藤原さん)

そこで藤原さんがすすめてくれたのは、家の中のそれぞれの部屋に温湿度計を置くこと。

「お部屋の湿度対策、空調管理の第一歩は、温湿度計を使うことです。価格が安いものでもそれほどの誤差はでませんので、ぜひ家のいろいろなところに置いてみてください。リビング、寝室、子ども部屋、脱衣所…。それぞれの場所で温度と湿度をチェックする癖をつけると、自分にとって快適な温度と湿度が数値で見えてきますよ」(藤原さん)

湿度は数値で「見える化」を徹底することが大事、という藤原さんの教えに従って、記者もさっそく家中に温湿度計を置いてみました。

温湿度計

uchicoto

同じ家の中でも、リビングは22℃・湿度58%。狭くて水があるため湿度が高い気がしていた脱衣所は、予想に反してリビングとほぼ同じ数値。逆に、特に意識もしていなかった玄関ドアのそばは20℃・湿度70%。なるほど、どうりで冬場になるとドアに結露が出るはずです。

場所によって数値にかなり差があること、そして、自分の体感とはかなりズレがあることが、温湿度計を置くことによって実感できました。

除湿機や加湿器などを使うのは、温湿度計をチェックしてから。体感に頼らないようにすることで、適切な湿度40〜60%を保ちやすくなりますよ。

温湿度計を持ち歩いて、数値をいつも意識の中に

ポータブル温湿度計

uchicoto

藤原さんは、過去に熱中症になったことをきっかけに、ポータブル温湿度計を常備するようになったそう。

「持ち運べるタイプの温湿度計は、カバンにつけても邪魔にならないサイズ感と軽さがいいですよ。こうして客観的な数字を持ち歩いていると、体感があまりあてにならないことを学べます」(藤原さん)

【すぐできる湿度対策2】最低でも1日2回、5~10分の換気をする

換気をする人

PIXTA

湿度対策は「換気に始まり換気に終わります」と、藤原さん。換気をするだけでかなり湿度は下がるそうです。

「朝起きたときや帰宅直後など、1日に少なくとも2回、5分から10分程度窓を開けて空気を入れ替えましょう。シンプルすぎて『なあんだ』と思うかもしれませんが、湿気を追い出すなら換気。これに尽きます」(藤原さん)

もちろん窓は2か所以上を開けて、風が通るように。どうしても窓が開けられない場合は、換気扇を回すだけでもOKです。湿度対策が重要な寝室や、普段使っていない和室なども、窓とドアを開け放って毎日風を通すのがベストです。

「基本的に家の中の空気は、家の外の空気よりも汚れていると思ってください。湿気はもちろん、カビ、ホコリ、煮炊きをしたあとの油を含んだ空気、悪臭、化学物質…。換気をしないと、これらの空気がぐるぐると家の中を巡ってしまいます。窓を開けて、屋外のフレッシュな空気と入れ替えましょう」(藤原さん)

24時間換気システムは切らないで

24時間換気システム

PIXTA

昨今では24時間換気システムが導入された住宅が増えています。

「24時間換気システムは2時間に1度、部屋中の空気がすべて入れ替わるようになっています。ですので、本来なら、換気もそれくらいの頻度で行うのがベスト。1日2回の換気は、本当に“最低限これだけは”という目安です」(藤原さん)

ちなみに電気代が気になって24時間換気システムの電源を消している人はいませんか?

気密性の高い現代の住宅は24時間換気システムが稼働していることを前提で設計されているので「絶対に切らないで!」と、藤原さんも注意喚起しています。

冬の雨の日も絶好の換気チャンス!

雨を心配する人

PIXTA

「雨の日は窓を開けられない」というのも、湿気や換気について誤解されていることの一つ。

「家の中まで雨が降り込んでくるときは難しいですが、ちょっとくらいの雨なら気にせず窓を開けましょう。空気が乾燥している冬などは、雨の日など絶好の換気日和です。自然の湿気で部屋の中がほどよく湿って、暖房効率も上がりますよ」(藤原さん)

【すぐできる湿度対策3】室内干しをするときは換気&除湿を心がける

室内干しする人

PIXTA

生活スタイルの変化により、室内干し派が増えています。

しかし室内干しは、住まいに大量の湿気をもたらす原因の一つ。洗濯物が乾くということは、洗濯物に含まれていた水分が部屋のどこかに吸収されたということなのです。

「室内干しをするときは、必ず換気をすること。換気に加え、エアコンの除湿機能や、衣類乾燥用の除湿器を使ったり、扇風機やサーキュレータで外に湿気を追い出す工夫も必要です」(藤原さん)

【やってはいけない室内干しとは?】寝室や和室はなるべく避けて

和室での室内干し

PIXTA

藤原さんが「絶対にやめましょう!」と声を大にして教えてくれたのが、寝室や和室に洗濯物を干すこと。

「日中はあまり使われることのない寝室や和室を、室内干しに利用している人も多いと思います。でも、寝室や和室には、湿気をよく吸う布団がありますから!!」(藤原さん)

毎日寝ている布団や、押入れにしまってあるお客さま用の布団は、洗濯物の湿気をたっぷりと吸ってしまいます。

寝室の湿度コントロールは健康への影響も大きい!?

寝室で寝る人

PIXTA

湿度と健康の関係を考えたとき、一番影響が大きいのは家の中のどこだと思いますか?

答えは、寝室です。

「水を使うキッチンやお風呂は家の中でも湿度が高い場所ですが、滞在時間はそれほど長くないですよね。寝室は1日の1/3を過ごす場所。寝ている間に汗もかくし、フケなども落ちやすいし、ベッドなど大型家具があってお掃除がしづらいこともありホコリがたまりがち。そこにさらに湿度が加わると、カビ・ダニが繁殖しやすい環境が整ってしまっています」(藤原さん)

洗濯物の水分が布団に移るところを想像すると・・・。寝室や和室に干すのはなるべく避け、どうしても干さざるを得ないときは、換気や除湿をより入念に行う必要がありそうですね。

浴室暖房乾燥機を上手に活用しよう

浴室暖房乾燥機使用のイメージ

TOKYO GAS

藤原さんも愛用しているという、浴室暖房乾燥機。

「私は室内干しするなら浴室暖房乾燥機を使います。洗濯物の湿気を部屋の中に拡散しないですみますし、乾燥までの時間がきちんと読めるのがありがたい。そして、浴室の場所は、洗濯機が置いてある脱衣所からすぐ! ランニングコストは多少かかりますが、動線が短く、家事の効率化ができるのでとても助かっています」(藤原さん)

浴室暖房乾燥機は電気式とガス式があります。東京ガスがおすすめするガス式浴室暖房乾燥機「ホットドライ」の情報は、以下でもご紹介していますのでご覧ください。

除湿アイテムは使う空間の広さに適したものを

炭

PIXTA

知っているようで知らなった「湿度」の世界。

湿気対策にはさまざまな誤解があることを藤原さんに教えていただきましたが、最後にお聞きしたのが除湿アイテムの使い方について。

「湿気を取る除湿アイテムはホームセンターなどで手軽に手に入りますが、基本的に、押入れやクローゼットなど、壁やドアで仕切られた狭い空間で使うものが多いようです。たまに除湿剤や除湿アイテムをお部屋に置いて湿気対策をしているという方を見かけますが、効果のほどはどうなのか・・・。使用する際には説明書をチェックすると良いですね。部屋のように広い空間は、とにかく換気をするのがベストです!」(藤原さん)

おわりに

藤原さんのお話しで印象深かったのは「やりすぎはなにごともよくない」ということ。加湿のしすぎが問題視されている昨今、お金をかけずに最も効果的に湿度を調整できる「換気」なくして、湿気対策は語れないということがよくわかるインタビューでした。

まずは温湿度計で数値を可視化すること。そして、こまめに換気をすること。温度と湿度の原理原則に沿った、シンプルにして効果の高い方法を、ぜひ今日からの生活に取り入れたいものですね。

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公開日:2017.5.22

最終更新日:2024.12.9

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