ランドセル置き場は、片付けや宿題を習慣づける鍵になる
ランドセルを手にすると、「いよいよ一年生!」と、子も親も気持ちが引き締まりますね。
でも、このランドセル、どこに置けばいいの・・・?
ランドセルや学用品が片付けやすい場所にあり、宿題をサッと取り出せてすぐに学習ができる環境にあると、子どもたちの帰宅後の生活はスムーズなものになります。
自分できちんと片付けができて、翌日の準備ができる子になるために、東京ガス都市生活研究所の調査レポート『家で子どもが過ごす部屋』及び『子どもに聞いた自分の部屋と家族に対する意識』から、ランドセル置き場のヒントを探ってみます。
意外! 子どもは自分の部屋へのテリトリー意識が薄い
ランドセル置き場といえば、まず思い浮かぶのが「子ども部屋」です。ところが、現代の子どもは「子ども部屋」に対するテリトリー意識が低いよう。
子ども部屋はあっても、過ごすことは少ない
自分だけの部屋、もしくは、きょうだいと一緒の子ども部屋を持っている子どもは、小学校低学年でも半数以上。
ところが、子ども部屋で過ごしている子どもはぐっと減り、小学校低学年では10%以下となっています。
部屋を勝手に掃除されても平気! 部屋のドアも開けたままで過ごす
自分の部屋を勝手に掃除されるのを嫌と感じる子は、小学生男子で5~7%、小学生女子で13%程度。家にいるときもいないときも、部屋のドアを開けておく子が多いという結果に。
年齢が低ければ低いほど、子どもにとって子ども部屋は「自分のテリトリーである」という意識が薄いことがわかりました。
子ども部屋より居心地が良いリビング
では、子どもたちはどこで過ごしているかというと、圧倒的にリビング。小学生低学年では8割以上の子どもが、リビングの方が居心地が良いと感じていました。
リビングの方が居心地が良いと感じる理由は「家族がいるから」「テレビがあるから」が多数でした。
宿題や勉強に集中できるのは、子ども部屋
子どもにとって1日の大半を過ごすリビングですが、勉強について聞いてみたところ「リビングの方が集中できる」と答えた子どもは、小学校低学年でおよそ半数。年齢が上がるにつれ、集中できる割合はどんどん減っています。
小学校低学年でも性別によって違いがあり、女子はリビングより子ども部屋の方が集中できるという回答でした。
「リビング学習」という言葉を聞くようになって久しいですが、食卓で勉強する場合、夕ご飯の時間にずれこんでしまうことも悩みの種に。消しゴムの消しカスなどが気になったり、テーブルの食べ残しでノートや教科書を汚してしまったりと、デメリットもあります。
リビングにはテレビやゲームなどの誘惑もあり、居心地が良すぎてリラックスするあまり勉強に集中できなくなるという可能性もありますね。
子ども部屋? リビング? ランドセルの置き場所はどっち?
ランドセルを子ども部屋に置くべきか、リビングに置くべきか・・・。
新入学の際に多くの家庭が頭を悩ませる問題ですが、調査によると住宅事情によって違いがあることがわかりました。
集合住宅は子ども部屋派、戸建てはリビング派!?
戸建て住宅と集合住宅で子ども部屋に置いてあるものを比較したところ、ランドセルや学習用品の置き場に違いが出ました。
ランドセルを子ども部屋に置いている人は、集合住宅だと8割を超えている一方、戸建て住宅では7割に満たない数字。10%以上の差が出る結果となりました。
戸建てで、子ども部屋があっても子ども部屋にランドセルや学習用品を置いていない人に、それらをどこに置いているか聞いたところ、リビングという声が圧倒的多数に。
これは戸建てが階層構造であることが多いのに比べ、集合住宅ではワンフロアの間取りが多いことも影響しているかもしれません。ワンフロアなら帰宅してランドセルを置きに行く手間が少なくて済みますね。
【ランドセルの置き場のポイント1】子どもの動線上に用意する
ランドセル置き場で最も大切なのは「動線」。
子どもが家に帰ってきてどんな動線をたどるのかを、親子でシミュレーションしてみましょう。
玄関を入ってリビングへの動線上に子ども部屋があるなら、ランドセルは子ども部屋でも◎。
帰宅後はすぐにリビングへ来て、カバンをソファや床にどさっと置き、冷蔵庫へ・・・。そんなイメージが湧くなら、ランドセル置き場はリビングか、リビングに接したオープンな子ども部屋などに配置するのが適切かもしれません。
戸建て住宅では、リビングと子ども部屋の「階」や「距離」が離れているかどうかがポイント。
子どもたちの多くは家庭での大半をリビングで過ごすします。帰宅してランドセルを子ども部屋に置いたとしても、その後、宿題や学校の準備をするために「離れた子ども部屋に行ったり2階や3階へ上がる」、「宿題を持ってリビングにくる」などの動線を考慮すると、リビング近くにランドセル置き場を用意しておく方がストレスがなさそうですね。
【ランドセル置き場のポイント2】教科書や学用品もしまえるスペースを確保する
子どもの荷物はランドセルだけではありませんね。
ランドセル置き場には、教科書や学習道具などランドセル以外の道具もまとめて収納しておけるのがベスト。そのための「机」や「棚」を置くスペースが、リビングや子ども部屋に確保できるかどうかがポイントとなります。
【ランドセル置き場のポイント3】置くだけでOKの高さにする
ランドセルは本体だけで1キロ~1.5キロ。教科書や学習道具を詰めると、5キロをゆうに超える重さになります。
5キロというと、スーパーでよく売られているお米の袋と同じくらい。大人でも「重い」と感じますね。
これほど重量のあるものですから、「しまう」という作業の負担もなるべく減らしてあげたいもの。
ランドセルをしまうときは、子どもの力でもムリのない高さに「置くだけでOK」という形にしてあげると、自然な流れでランドセルをしまえるようになります。
天板のある棚に「詰め込む」、フックに「引っ掛ける」など、さまざまなしまい方がありますが、子どもがあまり力や技術を使わずにランドセルを取り扱える環境がベストですね。
【ランドセル置き場のポイント4】子どもの性格・特性を考える
親と一緒に過ごしたい子の場合
リビングに机・棚を置くのがおすすめ。
親が居る場所で過ごすのが好きな子どもは、宿題もリビングでやりたがる傾向にあります。
リビングで宿題をする場合、毎回子ども部屋から勉強道具を持ち運ぶとなると、面倒で後回しにすることも。学習道具をまとめてリビング近くに置けるのなら、ランドセル置き場はリビングがベストです。
ランドセル置き場がリビングだと、保護者の目がよく届くため、翌日の学校の準備がきちんとできたか、整理整頓ができているかを確認しやすいというメリットも。片付けの習慣づけもできます。
一人で過ごせる子の場合
子ども部屋に机・棚を置くのがおすすめ。
子ども部屋での学習は集中力が高まります。親の目が届かない場所でも一人で過ごせる子は、子ども部屋での宿題を難なくこなせる可能性が高いため、ランドセル置き場は子ども部屋がベストな選択。
ランドセル置き場が子ども部屋にあると、子どもが遊びや勉強を中断したり、都度片付けることなく、じっくりと宿題や学習に取り組めるというメリットがあります。
調査についてもっと詳しく!
今回参考にした東京ガス都市生活研究所の調査レポート『家で子どもが過ごす部屋』(2014年3月発行)及び『子どもに聞いた自分の部屋と家族に対する意識』(2014年5月発行)は、以下よりご覧いただけます。
・東京ガス都市生活研究所「家で子どもが過ごす部屋~子どもの過ごし方と親子それぞれの意識」
・東京ガス都市生活研究所「子どもに聞いた自分の部屋と家族に対する意識」
ランドセル置き場のほかにも、子ども部屋の使われ方や親子関係についての興味深いデータが満載です。ぜひご覧ください。
おわりに
小学校低学年であっても半数以上の子は子ども部屋を持っていますが、その用途の多くは「学用品を置く」「友達と遊ぶ」「着替える」など。
親としては、せっかく用意した子ども部屋なのでもっと活用してほしい・・・というのが本音ですが、子ども部屋が活躍するのは小学校高学年や中学生以降など、もう少しあとになりそうだということが、今回の調査でわかりました。
ランドセル置き場は、宿題や片付けの習慣づけに関わってくる大切なポイント。親子でじっくりとシミュレーションをして、新年度をストレスなく過ごしたいものですね。