子ども部屋を持つことのメリット
子どもが小さいうちは、子ども部屋があっても使う機会は少ないかもしれません。しかし小学校に入学すると、本格的に勉強が始まることもあり、子ども部屋について改めて考える家庭も多くなるでしょう。
そもそも子ども部屋は本当に必要なのでしょうか。子どもが自分の部屋をもつことのメリットを荒居さんに伺いました。
荒居さん「子どもは必ずどこかで、自分のスペースを欲しがるタイミングがやってきます。そのときに子ども部屋があるといろいろなメリットがあります」
まず、子どもにとってのメリットとしては以下が挙げられます。
- 部屋を与えることで自立心が芽生え、自分のものは自分で管理するなどの自己管理能力が養われる
- 子ども部屋があることで思春期に親と適度な距離が保つことができる
- 勉強に集中できる
- 趣味など好きなことに没頭できる
また、親目線のメリットとしては、子ども部屋に子どもの物を収納できるのでリビングが散らからないといった点も挙げられます。
専門家が教える子ども部屋レイアウトのコツ
子どもの成長が進むにつれて、使いやすい家具の大きさや好むデザインも変化していきます。また学用品などが増えていくため、収納も重要になっていきます。子ども部屋のレイアウトのコツについて荒居さんに伺いました。
子ども部屋の家具選びのコツ
「子ども部屋の家具は、長く使えるものを選ぶよう意識しましょう。最近は日本のメーカーでも長く使うことを前提にした製品が多く作られています。特に、椅子や机などは高校生くらいになっても使えるシンプルなものを選ぶとよいでしょう」(荒居さん)
・家具などのデザイン
シンプルなデザインのものがおすすめ。子どもは好みが変わったり飽きてしまう可能性があるので、キャラクターものが欲しいと言っても親子でよく話し合うことが必要です。
・ベッド
成長を見据えて、スペースに余裕があれば大人サイズのものを選ぶのがおすすめ。
・二段ベッド
二段ベッドの導入を考える場合は、将来、分割して使えるものを選ぶことが必須。子どもたちがある程度成長してからも使えるようにするために押さえておきたいポイントです。
「例えば、子どもが小さいうちはベッドを使わないことも多いでしょう。そもそも小さい時期にベッドが必要かを家族で話し合うことが大切です。子どもが一人で寝られるようになってから購入してもよいのではないでしょうか」(荒居さん)
今の子どもの希望ではなく、数年先を見据えた家具選びが大切なのですね。
孤立しない子ども部屋にするコツ
子どもが思春期になると、自分の部屋にこもりがちになることもあるかもしれません。そんなときにも子どもが孤立しにくい子ども部屋づくりのコツはあるのでしょうか。
「子ども部屋の考え方は、そのご家族のライフスタイルや親御さんの教育方針によって異なりますが、戸建て住宅でもマンションでも部屋数は限られているのが実情です。ここがまさに、リフォームの出番になる部分かなと私は思っています」と荒居さんは話します。
ここからは、東京ガスリノベーション株式会社で実際に施工した子ども部屋のリフォーム事例をご紹介します!
リフォームができる場合
「リフォームが可能な場合におすすめしているのが、リビングに子ども部屋を隣接させることです。リビングに接するように子ども部屋を作ることで、学校から帰宅した時もリビングを通るので、親御さんが子どもの様子を伺うことができます」(荒居さん)
東京ガスリノベーション株式会社の実際のリフォーム事例として、リビングに隣接した8畳ほどの広さのある部屋を、家具で分割して2部屋の子ども部屋にしたお宅をご紹介します。
「こちらはお子さんが2人いるご家庭で、リビングと子ども部屋を引き戸で分けられるようリフォームしています。また、将来的に子ども部屋をきょうだいで区切るために、入り口は2つ設け、可動式の収納家具で仕切れる工夫をしています。
上の画像の2枚目にあるように、今は収納が壁についていますが、この収納は移動できるようになっており、将来的にきょうだい部屋の間仕切りとして利用できます」(荒居さん)
また、既に独立した子ども部屋がある場合でも、工夫できるポイントはあるのでしょうか。
「既に子ども部屋がある場合は、壁に室内窓をつくるという選択肢もあります。光の取り入れにもなりますし、子ども部屋の様子が廊下側から分かるようになります。
他には、きょうだいを同じ部屋にすることでこもりにくくするという方法もありますね。リフォームでそれぞれの子ども部屋の壁を取り除いて広い子ども部屋にするということも考えられます」(荒居さん)
上の画像は、4姉妹のお子さんがいるご家庭のリフォーム事例。戸建て住宅の小屋裏部分を高さを出すよう改装し、2階部分にロフトを作りました。ロフトでそれぞれのスペースを確保するように工夫しています。
また、異性のきょうだいがいるご家庭のレイアウト事例も荒居さんに紹介していただきました。
こちらのご家庭は8畳~9畳ほどのお部屋をリフォームし、ロフトを作って二部屋にしています。
このように、リフォームによって部屋を増やしたり空間を作ることができるので、子ども部屋のレイアウトを考える際にリフォームは有効な手段になるといえそうです。
リフォームができない場合
子ども部屋のレイアウトを変更するにはリフォームが有効ですが、ご自宅の間取りなどによってはリフォームが難しい場合もあります。
荒居さんによると、「子どもが部屋にこもらないようにするためには、スマホやゲームはリビングで使うなど、あらかじめ家族でルールを作っておくとよいでしょう。子ども部屋を作るタイミングで、家族で話し合う機会をつくることが大切です」とのこと。
物理的な工夫だけでなく、まずは家族間でルールをつくり、部屋にこもらないようコミュニケーションをとることを考えてみましょう。
広さ別レイアウトのポイント
限られた子ども部屋のスペースを有効活用するには、どんなレイアウトにしたらよいのでしょうか。子ども部屋の広さごとのポイントを、荒居さんに伺いました。
4畳半程度
「4畳半程度であれば、1人用の子ども部屋として充分な広さだと思います。狭さを感じさせないためには、圧迫感の少ない背の低い家具で揃えましょう。またこの広さの場合、洋服の収納場所が少ないケースが多いので、天井に取り付ける『アイアンパイプ』がおすすめです。服を掛けるなど、吊り下げ収納として使えるでしょう。
あとはロフトベッドが空間を有効活用できますね。フラットなベッドでも、下に収納できるタイプのものを選ぶとよいでしょう」(荒居さん)
一方で注意したい点もあるそうです。
「空間を有効活用できる壁面収納ですが、4畳半の広さの場合はよく検討してからがおすすめ。4畳半の広さで作ってしまうと、後々レイアウトを変えたいときに机やベッドの位置が固定されていまい、変えにくくなってしまいます」(荒居さん)
4畳半程度の広さでは、できることとしない方がよいことをしっかり確認した方がよさそうです。
6畳程度
6畳程度の広さがあれば、一人で使う場合は自由度が高いですが、きょうだいで使う時にはいくつかポイントがあるそうです。
「6畳を同性のきょうだい二人で仕切る場合なら、部屋の中央に目線くらいまでの高さの本棚などで仕切ってあげるとよいと思います。しかし子どもたちの仲のよさによっては仕切りを作らず一緒に勉強したい場合もあるでしょうし、子どもの年齢や希望によって変化させていくことが大切です。また、6畳の広さではがっちりした仕切りは狭く感じるので、ロールスクリーンを活用し、必要なときだけ仕切る、という使い方でもよいのではないでしょうか」(荒居さん)
また異性のきょうだいの場合には、小さいうちは同じ子ども部屋でもいいですが、分けられるのであれば分けた方がよく、あらかじめ仕切る前提で考えた方がよいとのことです。
8畳以上
8畳以上の広さを子ども一人で使う場合は自由にレイアウトできますが、きょうだいで使う場合、どんなポイントがあるのでしょうか。
「8畳以上の広さをきょうだいで分ける場合、市販のシステム家具を組み合わせたり、家具を仕切りとして使ったりして部屋を分けるとよいでしょう。
この広さの場合、天井くらいまで仕切りを作っても大丈夫だと思います。リフォームして部屋を二つにする場合は、入り口をふたつ作ってあげた方がよいですね。リフォームしないのであれば、部屋の出入りのアクセスを考えてレイアウトしてあげましょう」(荒居さん)
年齢別レイアウトのポイント
子どもの年齢によっても、子ども部屋の使い方は変化していきます。成長に伴うレイアウトのポイントを荒居さんに伺いました。
乳幼児期
乳幼児の時期から子ども部屋は必要なのでしょうか。
「子どもには幼児期から、独立した部屋でなくてもよいので自分のスペースをつくってあげることをおすすめします。おもちゃをまとめるスペースをつくってあげることで自分のものがある場所として子どもも覚えますし、お片付けもしやすくなります。お母さんもお片付けを誘導しやすくなるでしょう。リビングの一画でよいので、子どものスペースをつくってあげるといいですね」(荒居さん)
小学生
小学校中学年になると勉強も本格的に始まり、子ども部屋が必要だと考える親御さんも多いと思います。しかし荒居さんは、子ども部屋は勉強のために必要というわけではないといいます。
「小学生になったからといって、無理に子ども部屋で勉強させる必要はありません。リビングで勉強をする子どもはかなりの割合でいるようですし、リビング学習の方がはかどる場合は、無理やり子ども部屋に押し込めない方がいいでしょう。高校生になってもリビング学習をしている子もいるので、年齢というよりは、本人の希望に合わせましょう」(荒居さん)
リビングで勉強することで、親が見守りやすいというメリットもありますね。
一方で、リビングのテーブルが片付かないというデメリットがある場合も。どう対応すればよいでしょうか。
「リビングのテーブルが散らかることがストレスになるようであれば、スペースが許す範囲で、リビングの一画にデスクカウンターを設けてあげるとよいですね。1メートル50センチほどの長さがあれば、きょうだいで並んで勉強できます。子どもの様子も分かりますし、散らかりにくくおすすめです」(荒居さん)
普段はリビング学習であっても、小学生くらいになると子ども部屋は必要になると荒居さんは言います。
「子ども部屋を寝る場所として使用する場合も多いですし、勉強はリビングで行うとしても、自分のものは自分で管理するというためにも、子ども部屋はあった方がよいでしょう」(荒居さん)
子ども部屋=「勉強の部屋」ではないということですね。
中学生以上
中学生以上になると、個室を欲しがる子どもが多くなると荒居さんは言います。しかし居住スペースの関係で希望通りの部屋を与えることが難しい場合など、どうすればよいのでしょうか。
「子どもの希望通りの部屋を与えることができない場合は、家族で話し合うよい機会だと捉えましょう。『部屋は狭いかもしれないけれど、リビングは広いよ』、『寝るときや一人になりたいときは子ども部屋に行ってもいいけれど、ゲームなど遊ぶときはリビングで遊んだら?』など、住居全体を考えて子ども部屋を決めているということを説明すれば、子どもも理解してくれると思います」(荒居さん)
子どもの意見を尊重しつつも、できないことはしっかり説明するなど、親がポリシーを持つことが大事なのだと荒居さんは言います。
きょうだいで使う子ども部屋のレイアウト
きょうだいの性別によっても、部屋のレイアウトは異なります。同性と異性の場合のレイアウトを荒居さんに伺いました。
同性きょうだい
「同性のきょうだいで部屋を使う場合は、家具やロールスクリーンで仕切るくらいがよいのではないでしょうか。きょうだいの仲のよさなどにもよるので、子どもの要望を聞いてあげるのが一番です」と荒居さんは言います。
ただし、同性きょうだいでもそれぞれの部屋を欲しがることもあるので、可能であればその対応も想定しておくとよいでしょう。
異性きょうだい
「異性のきょうだいの場合は、部屋を分離する前提で考えましょう。分けてあげたいけれど部屋数がないという場合は、リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。リビングにある和室スペースなど使いきれていない場所を有効活用して、子ども部屋としてリフォームできることもあります」(荒居さん)
子ども部屋レイアウトQ&A
子ども部屋のレイアウトに関するよくある質問に、荒居さんに答えていただきました。
Q.部屋を広く見せるにはどうすればいい?
「狭い空間を広く見せるには、圧迫感を出さないことがポイントです。家具の高さを低いもので揃えることを意識しましょう。空間を有効活用する方法として、壁面利用もありますね。大きなマグネットボードや、穴が開いていてフックがかけられるものなど、いろいろな種類がありますよ。また広く見せる色に関しては、家具や壁紙は濃い色のものは避け、なるべく白に近い色にすると圧迫感が少ないでしょう」(荒居さん)
Q.勉強に集中できるレイアウトとは?
「子どもが勉強に集中できるようにするためには、勉強机のそばに遊ぶものを置かないことが必須です。気が散らないよう、デスクの周りを整えることが大切です。また、勉強机を置く位置は、窓側ではなく壁に向かって置いたほうが集中しやすいでしょう」(荒居さん)
Q.子ども部屋を作るスペースがなさそう。どうすれば?
「相談されることが多い内容としては、部屋数が足りない、使っていない部屋を有効活用したい、というものがあります。そんなときはリフォームをして、親子が快適に過ごせる子ども部屋づくりをご提案しています。先ほども紹介しましたが、リビングに隣接するように子ども部屋をつくることは、子どもの様子を見守ることができるのでおすすめです」(荒居さん)
子ども部屋を作りたいけれどスペースがないと困っているご家庭は、リフォームを検討してみるとよさそうです。
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おわりに
親にとってはさまざまな悩みがある子ども部屋のレイアウト。一級建築士である荒居伸子さんに、子ども部屋を作るメリットやケース別のレイアウトのポイントを伺いました。「子育ての時間はそんなに長くないからこそ、なるべく家族で一緒にいられる時間を作っていくことが大事だと思います」と荒居さん。子ども部屋について考えることをきっかけに、子どもと一緒に過ごす時間を大切にしていきたいですね。