収納スペースがない!? 来年小学校に入学する娘を育てる、シングルマザーのお悩みとは?
今回の依頼者は、来年小学校に入学する娘を育てるシングルマザーのAさん。2LDKのマンションに去年越したばかりで、ご自宅を仕事用のサロンとしても使われています。そのため、小学校にあがる娘さんのスペースとご自身の仕事スペースをどう確保するのかが課題のようです。
子どもが自主的に勉強&片付けできるお部屋づくりを知りたい
Aさんのお悩みは、大きく以下の2点。
・勉強スペースをどこに設けるか
・自分で片付ける習慣や勉強をする仕組みをどう作るか
就学後は勉強、習い事、おもちゃなどさまざまな物が散らかりがちなので、散らからない仕組み作りを今から準備しておきたいそうです。
絵本やおもちゃの収納スペースが、リビングのあちこちに点在
まず、お部屋のどこに何があるかを説明してもらいます。Aさんのリビングでは、テレビの周りを囲むように棚があり、メインの収納として使われています。
「ここは絵本とおもちゃの残骸」「ここもおもちゃ」と棚を開けながら説明するAさん。上の棚は空っぽの部分もあり、遊ばなくなったようなおもちゃも。パンパンのようですが、意外ともったいないスペースも見受けられます。
下段の扉のなかもおもちゃ、かるたなど。周辺もパズルなどが散乱。テレビの下は電化製品、ケーブル、その横に娘さんのDVDなどがごちゃっと収められています。
ソファ隣のカラーボックスにも、絵本や、学習テキストなどが。
「このへんも、もはや何かわからない娘のグッズが・・・」と、どんどん出てくるあれこれに、困惑気味のAさん。「出した後はしまうんだよ、っていうことは(娘に)言うんですけど、そうしたら娘が何をどこに入れたのか、私がわからなくなっていて(笑)。時々全部出して確認するのですが・・・・・・」と、整理整頓の習慣づけはなかなかうまくいかない様子。
収納場所を娘さんが簡単に憶えられるような仕組みづくりも課題のようです。
ソファ横の蓋つきボックスには、ぬいぐるみがどっさり。ホワイトボートのところにも幼稚園でつくったものなどが。「たまっていくんですよね」(Aさん)。
「容量を先に決め、それ以上は捨てる!」が大事。データ化も無理にしなくていい
カウンター下には、自分の本。「入らない分はどんどん捨てちゃうんです」というAさんに、
つちやしづなさんは「入れる容量を最初に決めておくと、これ以上は入れないという基準が明確になるので、そういうやり方はとてもいいと思います」とその方法を後押し。
さらにAさんは、データ化する作業が苦手とのこと。増え続ける書類などのために「新しい棚が必要かもしれない」と考えていたそうです。
これについても、つちやしづなさんは「そもそも残さないという方針であれば、今無理にデータ整理や棚を購入することもありません。どうしても棚が必要かどうかを見極めてからでいいと思います」とアドバイスしていました。
勉強にとりかかりやすい、リビング学習とは?
リビング全体の収納やモノの量を把握したうえで、次はレイアウトや雰囲気について要望をヒアリングします。
Aさんの要望は、
・リビング学習にしたい
・収納をリビングスペースに寄せたい
・家の重要書類などは、子どもが容易に開けられない場所にまとめたい
・モノはできるだけ隠したいけれど、整理さえされていれば、見えていても良い
の4点。
勉強部屋については、ご自身がリビング学習だったため「娘にもそれでいいかなって」と話すAさん。
それに対し、つちやしづなさんは「ダイニングテーブルに近いほうが、勉強にとりかかりやすくなるんです。ちょっと遠くなるだけで、子どもって、勉強めんどくさいなって思いがち。そうすると親子の関係も崩れてきますよね」とリビング学習レイアウトのコツを説明。
【リビング学習の収納のコツ1】「お仕度コーナー」はキッチンに近い場所が◎
さらに、つちやしづなさんによると、ランドセルやヘルメットなどの登校グッズもまずは玄関。玄関に余裕がない場合は「キッチンに近い場所」がおすすめ。
理由は「遊ぶスペース(リビング)にいく手前で片付けることで、学校からの“スイッチ”を切り替えられます。さらにキッチン・ダイニングはなんとなくお母さんがいるスペース。プリントなどを持って帰ってきたときに、お母さんとコミュニケーションを取りやすいんです」とのこと。
今回は、窓横にあったカラーボックスを「お仕度コーナー」として再利用することにしました。
【リビング学習の収納のコツ2】娘さんも一緒にゲーム感覚で。自分で片付ける意識を高める
いざ、お片付け開始です。「じゃあ、ぜーぶんだそう!!」というつちやしづなさんの声に、「いいの!?」と目を輝かせる娘さん。ゲームのように盛り上げて、自ら片づける意識を高めます。
続いて、大事なモノの優先順位を確認。「○○ちゃんのいちばーん大好きなおもちゃを教えてほしいんだ」というつちやしづなさんの質問に、「あのね、この宝箱とね・・・」と嬉しそうに教えてくれます。大切なモノはソファへ。
キャラクターグッズや、アクセサリー入れなど大切なものについてどんどん教えてくれる娘さん。「●●グッズは全部大事?じゃあ●●グッズを探そうか!」と、上手に棚卸ししていきます。
【リビング学習の収納のコツ3】優先的に「いるもの」を片付け。自らラベリングして責任感を
全部出し終え、ソファの上にのせられた「いるもの」を、今度は片づけていきます。
まずはぬいぐるみを蓋つきボックスに全部IN。自分からしまい始める娘さん。実は娘さんは、整理整頓をすること自体は「好き」なのだとか。Aさんいわく、保育園でも整理整頓を教え込まれているようです。今度はそれを、自宅でどうやって実践するかですね。
娘さん自ら大切にしまったぬいぐるみ。
「ノート類と鉛筆類だけは、近くの取り出しやすいところにあればいいかな。」(つちやしづなさん)
つづいて、大好きな●●のDVD。Aさんが「自分で引っ張り出して自分で見るんです。でも出しっぱなしのままで…」と気になる点を伝えると、つちやしづなさんはDVDを見やすいよう、立てて入れることを提案。娘さんと一緒に入れていきます。
「ブックエンドとかありますか? あるいは浅めの箱、紙袋とかあれば」という質問に、Aさんが持ってきた小さな紙袋を手に取り、つちやしづなさんは簡単な仕切りを作ります。整理するにあたり、新しくグッズを買うのではなく、家にあるものを工夫して整理収納するのが「カジタク」のポイントです。
紙袋で作った仕切り。薄いDVDなどをINし、倒れないように工夫。
アクセサリーボックスなどには、何が入っている箱なのか、自分でラベリングをしてもらうことに。嬉しそうに「○○のたからもの」と書いてくれました。
「自分でラベリングすると、愛着もわきますし、自分で責任感をもつようになります」(つちやしづなさん)
【リビング学習の収納のコツ4】一番使うスペースは、子ども用に確保。動線も確認
続いて、ケーブル類が入っているテレビ下の引き出しを整理。ここはもっとも使いやすい場所にある引き出しですが、実際に入っているのは、残念ながら使用頻度の少ないものばかり。確認しながら、空箱などを捨てていきます。
残ったケーブル類を空いていた箱に収納し、空間が余っていた上の棚に。ぴったり! 取り出しづらい上の棚は、使用頻度の少ないものを格納するのが鉄則です。
「絵本は全部ここにあったほうがいいですか?」
「お絵かきの次によく遊ぶものって何がありますか?」
など、使用頻度や動線を細かく確認しながら、それぞれの収納場所を考えていきます。
「(絵本は)寝るときに読むものは別に寝室にあるので」
「(遊ぶのは)塗り絵と、トランプとか?最近だと」などAさんの回答をもとに、テレビのまわりの棚を、絵本やおもちゃをそれぞれどこにするか決めていきます。
カラーボックスはランドセルにぴったり!
続いてはキッチンの近くに設置した、ランドセルなどの「お仕度コーナー」。ソファの端っこにあったカラーボックスを手前に移動。ランドセルをはめてみると…ぴったり!!これにはAさんも「すごーーーい!!」と大喜び。
「そうなんです。カラーボックスって、ランドセルにぴったりなんです」(つちやしづなさん)。娘さんも、その下に自分でリュックを持ってきました。
「今空いているその下の棚に、教科書とか入れられるようになりますね!!」と嬉しそうに確認するAさんに、つちやしづなさんも「二段目は上ばきとか。三段目に今入れている箱には、体操着とか、突っ込むだけのスタイルで片付けられるようになります」と説明。
さらには、「ボックスの上には持って帰ってきたプリント置き場を作っておくと良いと思います」とアドバイス。
完成したお部屋がこちら
テレビの周りのメイン収納は、使用頻度が高いものから下に置いています。
「テレビの下、一番使うところに使わないもの(ケーブル)が入っていたんです。だからそこにおもちゃを収めました。DVD類は立てて。途中に紙袋で仕切りをつくって、倒れないようにしています。」
左手のボックスには、いちばん下はゲーム類。
その上に絵本。その上におもちゃ。使用頻度が高いものを下に置き、娘さんが自分で取り出しやすいように工夫。
上の棚は、普段使わないもの。「右にはケーブル類のボックスと、もうひとつはストックとしてのクレヨン類です」(つちやしづなさん)
ソファ横の、キッチンに近い場所には「お仕度スペース」。ランドセルもぴったり。
【リビング学習の収納のコツ5】親ではなく、子どもの優先順位で捨てるもの・しまうものを決める
今回の娘さんとの片付けでは、処分するものもたくさん出ました。おもちゃなどは思い入れも強いだけに、なかなか捨てられないお家も多いようですが、つちやしづなさんによれば“捨てなきゃダメ“というお片付けはしないとのこと。あくまでも子どもの意見を優先するスタンスです。
「もちろん、ものが多すぎると、そもそも片付かないということもあります。ひとつも捨てたくないという場合、『じゃあ絶対に捨てないから、今使うものはどれ? 使っていないものは、大切にしまっておこう』というように話をして整理していきます」(つちやしづなさん)
片付けを終えた感想は・・・?
「小学校にあがるにあたって、荷物をどこに置いたらいいのか」「小学校になると、自分で選んだものじゃなくて、学校指定でものが増えていくので、どれくらいスペースをつくっておけばいいのかもわからなかった」と悩みを吐露していたAさん。新しい環境で不慣れだったこともあり、不安や心配が尽きなかったと言います。
特に参考になったのは、キッチンの近くに作った“お仕度スペース”。ランドセルのほか、学校から持ってきたプリントなども帰ってきてすぐに置いておくことができます。子どもの気持ちを優先したお片付けも好評でした。
「生活環境がガラッと変わって、コミュニケーションを密にとらないといけないときに、親が目を通さないといけないものが遠い場所にあると、目が届きにくくなると思っていました。子どもの動線を考えた整理整頓、収納が大事なんですね。
また家でサロンをしているので、お仕事モードとの切り替えとしての動線作りや、整った空間で、常に視界がひらけているっていうのはとても大切。子どもも落ち着くと思うんです。
あと、「●●グッズ、こうやってしまったんだね! すごい」とほめながら片付ける方法や、「『どれ捨てる?』ではなく『どれが好き?』っていう聞き方はありがたかったし、これからそうしようという学びになりました」(Aさん)
「カジタク」スタッフつちやしづなさんのアドバイス
お子様が自分の場所を自分で作るのは、大事なこと。“マイスペース”を作ってあげることで、自分でお片付けをするようになります。子どもさんと片付けをするコツは、女の子は「プリンセス」や「お姉さん」、男の子は「競争(ゲーム)」と言うキーワードを使って片付けを楽しめるようにするとうまくいきますよ。
おわりに
「新しい環境を迎えるにあたり、いっぱいいっぱいになりそうだった」というAさん。小学校入学は楽しみな半面、不安な面も多かったようですが、「カジタク」に依頼したことで、入学後の生活がシミュレーションできたようです。ほっとした表情で「心に余裕は大事ですね」と笑顔を見せてくれました。
プロフィール紹介
カジタク つちやしづなさん
プロの整理収納サービス「片付け名人プラン」で活躍するカジタクスタッフ。
整理収納アドバイザー1級や整理収納教育士の資格を所持し、その他様々な資格も保有している。
撮影/長谷英史 イラスト/ユータ