スキレットのメリットや人気の理由
料理で特に難しいのは火加減。中まで火が通っていなかったり、火が通り過ぎて固くなってしまうことも・・・。でもスキレットは一度熱すると冷めにくく、保温性に優れています。食材を入れても温度が下がりにくいので、温度のムラが少なく、料理の初心者でも失敗しにくいのが魅力の一つです。
また、ふたをすると圧力がかかり、食材から出た水分やうまみを逃さず、中までジューシーな仕上がりに。圧力鍋や無水鍋のように、無水調理・無油調理もできますよ。
焼き物、揚げ物、蒸し料理にオーブン料理と広く活躍するスキレット。見た目もシンプルで洗練されたデザインなので、調理後にそのまま食卓に出せるのも魅力ですね。
スキレットの使用前にはお手入れ「シーズニング(ならし)」を!
スキレットは鋳鉄製なので、使い始める前には「シーズニング(ならし)」と呼ばれる作業が必要です。
購入時はサビ防止のため表面にワックス等のコーティングがあります。シーズニング(ならし)とは、それを落とし、油をなじませる作業のこと。メーカーによっては、最初のシーズニング(ならし)まで終えてから販売しています。その場合、温水でたわしなどを使い軽く洗ってすぐ使用開始できます。「シーズニング済み」かどうか、購入時に確認してくださいね。
最初は少し手間がかかりますが、使い込むうちに油がなじみ、お手入れが楽になりますよ。
【スキレットのお手入れ】使い始めの「シーズニング」の方法は?
スキレット使用準備の手順1. サビ止めを落とす
工場から出荷されたとき、スキレットには多くの場合、サビ止めが塗られています。洗剤をつけたスポンジでよく洗い流しましょう。洗い終わったら水で流し、水気を拭き取ります。
スキレット使用準備の手順2. 鍋を熱し油をなじませ、くず野菜を炒める
食用油を入れ、くず野菜を弱火で5分程度炒めてください。
スキレット使用準備の手順3. 鍋全体に油をなじませる
くず野菜を鍋から取り除き、食用油を全体的に薄く塗ります。
【スキレットのお手入れ】普段のお手入れの方法
スキレットのお手入れの手順1. 洗う
スキレットを適度に冷ましてから、たわしで擦って熱めのお湯で洗い流します。熱いスキレットに冷水をかけるとひびが入るかもしれませんので、必ずお湯で洗いましょう。また、スキレット自体も熱を持っている場合があります。ヤケドには注意してください。
焦げ付きやさびがある場合
レベル1. 簡単な焦げ付きや汚れの場合・・・お湯を沸かして汚れを浮かす。
レベル2. 頑固な焦げ付きや汚れの場合・・・スクレーパーでこそげ落としてから水を入れて火にかける。
レベル3. さびがひどい場合・・・金たわしを使ってこすり洗う。
スキレットのお手入れの手順2. 乾かす
洗ったら軽く拭いて空だきします。炎に当てて表面、裏、ハンドルやカバーまで乾かしていきます。表面の小さな穴に入った水分まですべて乾かすことで、さびにくくなりますよ。
IHを使用している場合は、炎に当てられないため、よく拭いて乾かしてから食用油を塗ってください。※IHで使用できないタイプのスキレットもあります。
スキレットのお手入れの手順3. 油を塗る
スキレットが熱いうちに食用油を塗ってください。おすすめはオリーブオイルかショートニングです。まだらにならないよう、満遍なく薄く塗ってください。キッチンペーパーを使うと薄く塗りやすいですよ。
スキレットのお手入れの手順4. 保管
薄く油を塗ったら、スキレットが十分に冷めてから湿気の少ない場所に保管します。長期間使う予定がないときは、湿気によるダメージを減らすため新聞紙などで包みましょう。
スキレットのお手入れ時はやけどに注意!
スキレットは鋳物製なので、取手も大変熱くなります。取手をつかむ際には素手ではなく、必ずキッチングローブなどを使用しましょう。シリコン製や革製のハンドルホルダーがあればさらに便利ですね。
実際にスキレットのさびを落としてみました
せっかく購入したスキレット、さびて使えなくなってしまっては残念ですね。実際にスキレットがさびてしまったらどうすれば良いのでしょうか。
水分をしっかり乾かさずに置いておいたら赤くさびてしまい、しばらく使っていなかったスキレットがあったので、どこまでキレイにできるか、手順に従ってやってみました。
まずは、スキレットでお湯を沸かし、たわしでこすりました。残念ながら赤さびが落ちる気配がないので、金たわしを使うことにしました。
金たわしにはスチール製(鉄製)のスチールウールやステンレス製のものがあります。スチールウールのパッケージには「さびやすいため、さびたら捨てるように」と使用時の注意書きがありました。一袋に複数個入っていたり、都度カットして使うタイプが多いようです。
スキレットを水でぬらし、ステンレス製のたわしで全体をこすると、全体的な赤いさびが薄くなってきました。それでも取れないさびはスチールウールでこすると、スルスルと取れていきます。
ステンレス製のたわしは丸い形状で力を入れやすいというメリットがありますが、スチールウールの方が柔らかく鍋肌になじむため、さび汚れが落ちやすいと感じました。スキレット内にたまった水が赤褐色に染まっていくので、さびが落ちていくのが分かります。
5分ほどスチールウールでこすると黒い鍋肌が見えてきました。上の写真は特に違いがハッキリと出たスキレットのふたの部分。左側がお手入れ前、右側がお手入れ後の写真です。
見違えるようにキレイになったスキレット。まるで新品のようです。ガスコンロで火にかけながら乾かしていきます。すっかり乾いたら、冷めないうちにオリーブオイルを塗布しました。
お手入れしたスキレットを使い、アヒージョを作ってみました。たっぷりのオリーブオイルに少量の塩を加え、食材を煮込むだけというシンプルなレシピですが、食材からうま味が引き出されていて絶品に。さすが、魔法のフライパンと言われるスキレットです。
レシピはこちらをご覧ください!
おうちでトライ! 簡単キャンプ飯【料理教室講師のコトコト小話第3回】
落としてはいけないさびも! 赤さびと黒さびの違い
今回落としたさびは赤褐色の赤さびです。赤さびは鉄のスキレットが酸素や水と化学反応を起こした状態。そのまま放置すると、鉄がどんどんボロボロになってしまいます。
一方、同じさびでも黒さびなら問題ありません。黒さびは鉄スキレットを熱した際に表面にできる酸化皮膜。スキレットを赤さびから守ってくれる役割があります。
食材をスキレットで調理していて、料理が黒く濁る場合はこの黒さびです。体への害はないそうですが、気になる方もいるかもしれません。その場合は調理前に軽く洗い流して使用することで、料理に色がつきにくくなります。
クレンザーや漂白剤、金たわしを使用できない鍋も
同じ鋳鉄製でもホーロー仕上げの鍋の場合には、金たわしを使用できません。クレンザーや漂白剤も使用できないのでご注意ください。
【スキレットのお手入れ】Q&A
Q1.洗剤は使っても良い?
A. なじんだ油が抜けてしまうため、なるべく洗剤を使うのは避けた方が良いです。ただ、焦げやニオイが気になる場合は、重曹か洗剤を使って洗ってください。鉄のニオイが気になる場合は、ネギやセロリなど香りの強い野菜を炒めてから使うと、ニオイが軽減します。
Q2. ひびや欠けた部分の修復方法は?
A. 鋳物なので修復できません。スキレットは冷却や落下などの急激な衝撃が苦手なので、取り扱いには注意してください。
動画でスキレットのお手入れを見てみよう!
おわりに
普段のハンバーグや餃子も格段においしくなると評判のスキレット。フッ素加工のフライパンに慣れていると、お手入れに手間がかかる印象ですが、油がなじんでいくほどコゲにくく使いやすくなりますよ。スキレットは丁寧に手入れすれば一生物。大事に使っていきたいですね。
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