「おうちキャンプ」ってなに?
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内舘さんによると、コロナ禍で外出が難しくなったとき、アウトドア好きでテントを持っている人たちが、自宅の部屋や庭でテントを張ってキャンプ気分を味わおうとしたことから生まれたのがおうちキャンプとのこと。
おうちキャンプがブームになる中で、自宅の庭にテントやタープを張る「庭キャンプ」、ベランダやバルコニーで手軽にキャンプを楽しむ「ベランピング」といった新たな言葉も生まれました。
おうちキャンプの楽しみ方
初めておうちキャンプをするならどのように楽しめばよいのでしょうか。
「アウトドアに慣れていないご家庭なら、まずはテントで過ごす感覚を味わってみてください。我が家でもコロナ禍のときに自宅にテントを張ったら子どもたちが飛び上がって喜んでくれました。家の中でおもちゃなどを広げると部屋中が散らかり後片付けも大変ですが、テントの中ならモノが溢れても気にならず、子どもたちも秘密基地だと楽しみ、お互いストレスなく過ごせました。大人もテントに入ると気分転換になりますし、昼寝したり、集中したい時にテントに籠るというのもいいですね」(内舘さん)
テントを持っていない場合や、テントを張るスペースがない、ひとりで組み立てる自信がないというときには、「自宅のキッチンコンロや電子レンジを使わず料理したり、キャンプ道具のガスバーナーや卓上コンロを使って料理を作ってみるのも、おうちキャンプを手軽に楽しむポイントですよ」と、内舘さん。
おうちキャンプで防災訓練?! 寝袋や防災グッズも使ってみよう
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内舘さんによると、おうちキャンプで楽しみながら防災意識を高めることも可能だそう。
「例えば、おうちキャンプで防災グッズを試すのもアリです。災害時に備えてポータブル電源を用意しているけれど一度も使ったことがないという人も少なくないはず。ポータブル電源は使用しないと放電されてしまっていざという時に電池残量が少なく充電できないということもあり得ます。災害時に慌てないためにも、普段使用していない防災グッズをおうちキャンプでぜひ使ってみてください」(内舘さん)
防災にも役立つ寝袋のメリットとは?
「寝袋もぜひおうちキャンプで試していただきたいアイテムの一つ。寝袋でお昼寝をするのも楽しいですよ」(内舘さん)
寝袋は屋内外問わず使える実用性があり、避難所で過ごす場合にも心強いアイテム。
秋冬はもちろん、春先でも朝晩は冷え込むこともありますし、避難所生活では見知らぬ人と過ごすストレスもあるので、自分の寝袋があるという安心感は心身を守ってくれそうです。
また、普段でも、コンパクトにたたんで持ち運びでき、車にも積んでおけるので、レジャーの時に車内で仮眠をとる場合などにも活用できます。
家族で使うための寝袋選び

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アウトドアやおうちキャンプのほか、災害時にも役立つ寝袋。
内舘さんに家族で使う寝袋選びについてアドバイスいただきました。
寝袋にはいろいろなタイプがある

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左側が封筒型、左から2番目がミックス型、右2つがマミー型
初めて寝袋を選ぶときにはどんな注意が必要なのでしょうか。
「寝袋は大きく分けて、マミー型、封筒型の2種類があります。マミー型は体をすっぽり包み込む1人用なので、フィット感も保温性も高いことが特長です。
一方の封筒型は広げることができるため掛け布団にしたり、別の封筒型の寝袋と連結して複数人で使用できるのがメリット。小さなお子さんと一緒に眠ることを想定するなら封筒型の方がおすすめです。もちろん、封筒型も一人で使えますので、子どもが一人で眠れるようになってからも継続して使用できますよ。
また、マミー型と封筒型のいいとこどりといえるミックス型(エッグ型や進化系とも呼ばれる)もあります。こちらは保温性も高く、広げられることが特徴です」(内舘さん)
中綿の素材もチェックを
「ダウンと化学繊維のものがあります。ダウンは羽毛で保温性が高いため冬キャンプの時などにもおすすめです。ダウンは化学繊維のものより軽くてコンパクトにまとまることから、価格は高い場合が多いです。
一方、化学繊維の寝袋は、結露や濡れなどにも強く、丸洗いも可能です。クッション性は高いですが、ダウンよりボリューム感があるため、価格は安い場合が多いです。
本格的なキャンプをする方はダウンを選ぶことが多いですが、小さいお子さんがいるご家庭では丸洗いできる化学繊維の方が扱いやすいでしょう」(内舘さん)
寝袋で快適に眠るために用意したいもの

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寝袋で快適に眠るためには用意しておきたいものがあると内舘さん。
アウトドアはもちろん、災害時に使うときにもあると良いものを教えていただきました。
マットは必須
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「寝袋だけだと背中が痛くなることもあるので、マットは必須アイテム。空気を入れて使うタイプや低反発素材などバリエーションも豊富です。値段は1,000円以下のものから高額なものまで多種多様。いろいろ試して家族が寝やすいマットを探してみてください。購入したマットが寝づらい場合は別のマットを重ねると改善されることもありますよ」(内舘さん)
上の写真の左にある緑色の袋には、空気を入れて膨らませるタイプのマットが入っています。中央の黄色いものは、「クローズドセルマット」と呼ばれる耐久性と防水性の高いマット。右のグレーのものが、低反発のウレタンが入っているマットです。
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上の写真は空気を入れるタイプのマット。
「足で踏んで空気を入れるタイプのマットは1分足らずで膨らませることができます。空気を抜けばほかのマットより小さく収納できるため、登山をする方に愛用者が多いです。私はこのタイプを避難用リュックに入れています」(内舘さん)
夏はマットだけを使っても!
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「我が家では、暑い日はシュラフを使わず、マットにブランケットをかけて寝ています」(内舘さん)
本格的な登山者は季節や行き先でシュラフを使い分けるそうですが、おうちキャンプ目的であれば気にしなくて大丈夫とのことです。
インナーシュラフがあるとより快適
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寝袋の中に入れて使う「インナーシュラフ」もおすすめのアイテムです。
「寝袋特有のシャカシャカという素材の音や肌触りが気になるという方はぜひ試してみてください。インナーシュラフを使うと寝袋に汗などの汚れが直接付着しないため寝袋の寿命も長くなります。小さい子どもが使う場合はよだれも気になるので、あった方がよいアイテムの一つですね」(内舘さん)
寝袋のお手入れや保管はどうする?
寝袋のお手入れや保管はどうすればよいのでしょうか? 内舘さんに教えていただきました。
寝袋のお手入れ方法

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寝袋の洗濯方法は、布団と同じようにネットに入れて洗濯機で洗う、手洗いのみ可能など製品によって異なるため、必ず洗濯表示をチェックするようにしましょう。
「使った後は、布団と同じように広げて乾燥させることも大切です。布団乾燥機を使うのも問題ありません。天日干しできるものもあれば、陰干しを推奨しているものもあるため、メーカーの表示を確認のうえ、乾燥させてください。素材によってはカビが生える場合もありますので、使った後は乾燥させる習慣をつけるとよいです」(内舘さん)
寝袋の保管方法
では保管方法はどうすればよいのでしょうか?
布団よりコンパクトに収納可能とはいえ、家族の人数分の寝袋を保管するとなるとそれなりのスペースが必要になりそうです。
そこで、内舘さんの画期的なアイデアを紹介していただきました。
「我が家ではクッションカバーに入れてソファに置いています」(内舘さん)

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インテリアに合わせたクッションカバーのファスナーを開けると、寝袋が出現。
「これなら、リビングに置いていても気にならないでしょう? しかも、クッションカバーに入れたまま車に積めるし、寝袋を使う時はクッションカバーに上着などを入れたら枕替わりにもなるので便利ですよ」(内舘さん)
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ウチコト編集部が寝袋を使ってみた感想は・・・
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内舘さんから寝袋のお話を聞いているうちに、実際に体験してみたくなり寝袋を使わせてもらいました。
下にはマットを2枚重ね、さらにインナーシュラフも入れた状態だと肌触りもよく、布団で寝るのとそれほど変わらない印象です。
袋型なので窮屈だろうと思っていましたが、ソフトな肌あたりのせいか、気になりませんでした。
すっかりウトウトモードになったところで、今回のリポートも終了します。
おわりに
おうちキャンプは、本格的なアウトドアキャンプよりハードルが低く、お子さんがいても気軽に楽しめます。しかも、寝袋や防災グッズを使うことで、災害対策もできてしまうところが大きな魅力です。災害時の睡眠環境の改善にも役立つ寝袋を使ったおうちキャンプを試してみませんか?