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乾太くんのメリット・デメリット、買って後悔する人・しない人とは?

乾太くんのメリット・デメリット、買って後悔する人・しない人とは?

SNSで度々話題になる、ガス式衣類乾燥機「乾太くん」。「電気式の洗濯乾燥機と比べて乾燥時間が3分の1で済む」「タオルがふわふわになる」など、持っている人の好意的なコメントが多い反面、「実際にどれだけ使えるのか」と懐疑的な声もあります。「乾太くん」のメリットとデメリットについて、リンナイ株式会社 開発本部第一商品開発営業部の山本哲也さんにお話を伺い、実際に同社のショールームでどれくらい速く乾くのかを実験させていただきました。

最終更新日:2024.8.28

目 次

ガス式衣類乾燥機「乾太くん」、一体何がメリットなの? デメリットは?

乾燥機

uchicoto

「一度手にするともう手放せない・・・」と話題のガス式衣類乾燥機「乾太くん」。1992年の販売開始から30年を超えるロングセラー商品で、2023年には累計販売台数100万台を突破と販売は堅調ですが、世帯での普及率は1〜2%と高くありません。「身近に持っている人がいない・・・」「本当にメリットがあるの?」「デメリットはないの?」と疑問に思う人も。

山本哲也さん

uchicoto

乾太くんの開発に長年携わってきた、リンナイ株式会社 開発本部第一商品開発部の山本哲也さんに、乾太くんのメリットについて伺いつつ、そのデメリットについても少し踏み込んでお話を伺ってみました。

「乾太くん」のメリット1:洗濯乾燥の家事を時短できる

洗濯物

uchicoto

「乾太くんのメリットは何といっても圧倒的な乾燥スピード。忙しい人が多い中、家事を時短したい人のニーズに応えています」と山本さん。

電気式に比べて乾燥時間が3分の1ほどで済む乾太くん。6kgの洗濯物を約60分、9kgの洗濯物を約90分で乾燥させてくれます。

乾太くんの強みはガスのパワフルなパワー。80℃以上の温風を吹き付けて乾かします。また、電気式の乾燥機の場合、密閉した庫内で乾燥させますが、乾太くんの場合、排湿管を通して庫内の湿気を屋外に排出しながら乾かすため、より効率的に乾燥させることができます。

山本さん「電気式の場合、乾燥に数時間かかるため、寝ている間に乾燥させるライフスタイルになりがちです。一方、ガス式の乾太くんの場合、1時間で大抵の洗濯物は乾いてしまいます。洗濯機を2回運転しても、乾燥が終わるのに2時間半程度。朝の支度をしながら、洗濯と乾燥まで終わらせることが可能になります。時間を有効活用できるのがメリットです」

6kgの洗濯物を2回に分けて洗濯する場合、電気式の全自動で約7時間半かかるのが一般的です。タイムパフォーマンスを重視する現代において嬉しいメリットですね。

「乾太くん」のメリット2:洗濯物の生乾き臭を防ぐ

洗濯物のニオイを嗅ぐ女性

PIXTA

部屋干しや厚手の洗濯物で気になる、雑巾のような生乾き臭。乾太くんは洗濯物の生乾き臭の原因、「モラクセラ菌」を減らす効果が期待できます。実験の結果、乾太くん使用後のモラクセラ菌の減少率は99.9%に。雨の日でも洗濯物がカラッと乾いて嫌なニオイがしないのは嬉しいポイントです。

※試験機関:愛知学院大学薬学部 試験対象:モラクセラ・オスロエンシス。試験方法:菌付着布の生菌数測定。緩衝液中で菌を洗い出し、寒天平板にて培養。

「乾太くん」のメリット3:洗濯物のカビ臭さを防ぐ

洗濯機の汚れ

PIXTA

全自動洗濯乾燥機で時折気になると聞くカビ臭さ。洗濯槽そのものにカビが付着することや洗濯機から接続されている排水口からニオイが上がってくることが原因です。特に、洗濯物を機器の中に置きっぱなしにしておくと、ニオイを吸着してしまいます。

乾太くんの場合、水を使わないため、機器そのものにカビが付着しにくい仕組みです。また、洗濯乾燥機のように排水口とも接続されていないので、排水口から上がってくる嫌なニオイも付着することがありません。

「乾太くん」のメリット4:洗濯物から花粉やペットの毛を取り除く

ドラムが回転して強力な送風を吹きつけて、衣類に付着した花粉やペットの毛を取り除いてくれます。黄砂やPM2.5など大気汚染が気になる時期にも安心です。洗えない衣類にも花粉対策ができるのは嬉しいですね。

「乾太くん」のメリット5:ウイルス対策も

寝ている子どもと体温計

PIXTA

80℃以上の温風を吹きかけて衣類を乾かしてくれるので、ウイルスの除去効果も期待できます。ウイルスは「エンベロープ」という脂質やタンパク質等からできた膜をもつウイルスと「ノンエンベロープウィルス」と呼ばれる、そうした膜をもたないウイルスに分かれます。リンナイ株式会社の実証実験では、そのどちらでも99%以上のウイルス除去効果が出ています。

  • 名古屋市立大学の協力でリンナイ株式会社が行った実証実験では、乾太くんの使用により、エンベロープウイルスを99.9%除去する効果が実証されています。※1
  • 一般財団法人北里環境科学センターの協力で行った乾太くんの実証実験では、2種類のノンエンベロープウイルスのうち、60分以内に同ウイルス1は99・99%、同ウイルス2では99・6%の対象数からの減少を確認したとのこと。※2


山本さんによると、すべてのウイルスに効果があるとは言い切れないそうですが、それでも感染症対策が重視される時代には嬉しい機能ですね。

参考:名古屋市立大学・リンナイ株式会社「ガス衣類乾燥機による付着ウイルス除去効果の確認」

※1.試験機関:名古屋市立大学 大学院医学研究科■試験対象:試験紙に付着したエンベロープウイルスの1種■試験方法:乾燥重量約5kgの衣類を洗濯機で洗濯操作を行った後、試験紙とともに、ガス衣類乾燥機の運転を実施。運転終了後、試験紙を取り出し、PBS内で溶出(常温、180uLPBS、3分間)を行った溶液をウイルス感染価測定用試料の原液とした。対照として、試験紙に試験ウイルス液を播種後、室温に1時間静置して乾燥させた後、同様に溶出を行った。■試験結果:ウイルスの除去率:99.9%■試験品:ガス衣類乾燥機(型式:RDT-54S-SV、ガス種13A) ■すべての菌を除菌できるわけではありません。
※2.■ 試験機 ガス衣類乾燥機 RDT-54S-SV ■ 試験概要 乾燥重量約 5kg の衣類を洗濯機で洗濯操作を行った後、ノンエンベロープウイルス①および、②をそれぞれ付着させた試験布とともに、ガス衣類乾燥機の乾燥運転を行った。■ 試験結果 ノンエンベロープウイルス①を 99.99%ノンエンベロープウイルス②を 99.6%除去できることを確認した。■ 試験機関 一般財団法人 北里環境科学センター(北環発 2019_0300 号)
※ 本試験結果は、特定条件下における除去効果であり、実際の使用環境における実証結果ではありません。実際の除去効果は使用方法によって異なり、特定のウイルスや菌による疾病の予防効果を示すものではありません。

「乾太くん」のメリット6:機器自体が故障しにくい仕組み

乾燥機

Rinnai

電気式の場合、密閉した庫内で空気が循環し続けるため、糸くずフィルターで取りきれない細かいチリが熱交換器に詰まりやすいという性質があります。一方、乾太くんの場合、排湿管を通して庫内の空気を外に逃がしながら乾燥させます。そのため、機械の内部にチリやホコリが溜まりにくい仕組みです。

「乾太くん」のデメリットといえば、設置の問題が・・・!

乾燥機

Rinnai

これだけのメリットがある乾太くんですが、デメリットはあるのでしょうか。

「乾太くんのデメリットと言えば、設置の問題でしょうか」と山本さん。ガス機器の乾太くんはどこにでも設置できる訳ではないと言います。

(1)ガス栓の設置

乾太くんはガス機器ですが、モーター制御は電気を使うため、ガスと電気の両方を使って運転します。そのため、ガス栓やコンセントが近くに設置されている必要があります。コンセントは洗面所やランドリールームに設置されていても、ガス栓はないことも多いもの。

ガス栓がない場合には、ガス配管を天井裏などを通して持ってくる必要があるとのこと。新築であれば、乾太くんを設置することを前提に部屋を設計できますが、既築の場合には、リフォームが必要になります。またマンションなどでは構造上、ガス配管を通せないことも少なくありません。

(2)屋外への排湿管の設置

乾燥機

Rinnai

乾太くんは運転時に湿度の高い空気を屋外に排出しながら運転するため、乾太くんからの排湿管の先を屋外に出す形で設置する必要があります。排湿管を設置するには、壁に穴を開けたり、窓に窓パネルを取り付けて排湿管を通します。

ベランダや庭など屋外に設置することも可能ですが、その場合は、直接雨が機器にかからないようにしなければなりません。軒下に十分なスペースがあれば良いですが、難しい場合にはひさしなどを乾太くんの上に設置することに。

(3)設置スペース

排湿管

uchicoto

排湿管は乾太くんの上に設置されているので、乾太くんの上に一定のスペースを空けておく必要もあります。乾太くん本体の高さが60.9cm〜67.1cmで、空きスペースも含め80cm〜94.5cmの高さが必要です(機種により異なります)。また防火上、左右に3cmずつスペースを空けておかなくてはなりません。スペースの問題で設置できないケースもあるようです。

新築で家づくりから始めたり、乾太くんを設置するのを前提にした家を選べれば良いですが、そうでない場合、リフォームが必要になります。「乾太くんを設置するのにリフォームが必要」というデメリットが、需要は高いのに爆発的には普及しない一つのハードルになっているのかもしれません。

「乾太くん」が向く人・向かない人について知りたい

山盛りの洗濯物

PIXTA

乾太くんの導入に向き・不向きはあるのでしょうか。

乾太くんの購入層を見ると、子どもがいたり同居する親がいたりと家族の人数が多く、洗濯物が多い家庭が多いそう。また、小さな子どもがいる世帯や共働き世帯など、ある程度投資してでも家事の負担を減らしたいという人も増えていると言います。

逆に、乾太くんが向かない人はどのような人なのでしょうか。

山本さん「洗濯物の量が少ないご家庭でしょうか」

一人暮らしでかつ洗濯物が少ない人であれば、全自動のドラム式洗濯乾燥機で洗濯から乾燥まで一気に済ませられる方が楽かもしれません。また天日干しが好きで乾燥機を使いたくないというご家庭も導入するメリットが少ないでしょう。

ただし、一人暮らしでもスポーツをやっていたり、大きなバスタオルが好きな人など、洗濯物の量が多ければ、乾太くんの方が便利なこともありそうです。

なお、便利な全自動のドラム式洗濯乾燥機ですが、ドラムの中に入れっぱなしにしておくと洗濯物が湿気を吸ってシワシワになったり、排水口から上がってくる臭気が洗濯物に付着しやすいので、注意が必要です。またドラム式洗濯乾燥機は定期的なカビ対策も必要です。

実際にどれだけ速く乾くのかを「乾太くん」で実験

乾燥機

uchicoto

電気式に比べて乾燥時間が3分の1ほどで済むという乾太くんですが、実際、本当にそんなに短時間で乾くのでしょうか。

今回、リンナイ株式会社のショールームにて、電気式の洗濯乾燥機と乾太くんを使い、約5kgの洗濯物(バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、襟付きシャツ2枚、薄手の長袖Tシャツ1枚、厚手の裏起毛のパーカー1枚、厚手の裏起毛のジャージーパンツ1枚)を洗濯・脱水した後で乾燥させてみました。

脱水した洗濯物

uchicoto

洗濯して脱水した状態です。同じ洗濯物がそれぞれ入っています。この後、左のカゴの中身を乾太くん、右のカゴの中身を電気式の洗濯乾燥機で乾燥させていきます。

乾燥させた洗濯物

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左:乾太くんで乾燥させた洗濯物
右:電気式の洗濯乾燥機で乾燥させた洗濯物

運転ボタンを押してから1時間経って様子を見てみると、乾太くんは乾燥が終了しており、電気式の洗濯乾燥機では残り時間が2時間15分の状況でした。実際にこの時点で取り出してみたのが上の写真です。左のカゴの中身が乾太くん、右のカゴの中身が電気式の洗濯乾燥機になります。

乾太君の内部

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乾太くんで乾かした洗濯物はすべてしっかり乾いていました。電気式の洗濯乾燥機で乾かした方は薄手の長袖Tシャツや襟付きシャツは乾いていましたが、タオル類や厚手のパーカーやジャージーズボンはしっとりと水分を含んだ状態でした。

乾太君で乾かした洗濯物

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1時間で乾かすのが難しいように見えた裏起毛で厚手のパーカーも、乾太くんではふわふわに乾いていました。これだけ厚みのある素材でも1時間以内で乾かしてくれるとは驚きです。短時間で乾けば、衣類への摩擦も最小限で済むことから生地も長持ちしそうです。

上の通り、60分で一時停止して洗濯物を取り出し、乾燥状況を確認した後に、再度、濡れている洗濯物を電気式洗濯乾燥機に入れて乾くまで2時間強、運転しました。

乾燥仕上がり比較

uchicoto

乾太くんと電気式の洗濯乾燥機、仕上がりに違いはあるのでしょうか。

それぞれで乾かした洗濯物を比較してみると、一番違いが大きかったのはタオル。
上の写真は、タオルの起毛状況を間近で捉えたものです。

電気式の洗濯乾燥機で乾かしたタオルは、輪っか状のパイルがすべて寝ている状態です。一方、乾太くんで乾かしたタオルは、輪っか状のパイルが1本ずつふんわりと立ち上がっていました。乾太くんで乾かすとタオルがふわふわになるとSNSなどで話題ですが、写真で見ても一目瞭然でした。

乾燥仕上がり比較

uchicoto

乾太くん、電気式の洗濯乾燥機、天日干しのタオルをそれぞれ比較したものが上の写真です。天日干しは乾かしてから時間が経ってしまったこともありますが、かなりぺったりとパイルが寝てしまっています。電気式の洗濯乾燥機の方がよりふんわり感があり、乾太くんはさらにパイルが立った状態に。天日干し、電気式の洗濯乾燥機、乾太くんの順に厚みが増したという結果でした。

おわりに

ユーザーさまからは「もう乾太くんナシには暮らせない!」という熱い支持をいただいているという乾太くん。設置のハードルから戸建て中心にファンを広げてきましたが、ここ10年ほどでマンションに設置したいというニーズも増えてきたそうです。同社の関東支社リビング営業室の鳥海一洋さんによると、最近ではハウスメーカーなどと協力してランドリールームに乾太くんを備えた物件を提供しているとのこと。「憧れの乾太くん」が着々と身近になってきています。

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  • この記事取材先

    山本哲也

    リンナイ株式会社 開発本部第一商品開発部

    山本哲也

    浴室暖房乾燥機の開発を経て特許取得に携わった後、「乾太くん」の新規モデル開発に携わる。2018年のスタンダードモデルの新型のリリースを経て2023年にはデラックスモデルの新型をリリース。ガスのパワーで短時間で乾かす強みを活かしつつ、より便利で使いやすくする工夫を積み重ねている。

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公開日:2024.8.16

最終更新日:2024.8.28

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