ペットのニオイの原因とは?
ペットと一緒に暮らしていると、避けては通れないのがニオイ問題。来客のときに「もしかするとうちって臭う?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
「やっかいなのは、同じニオイを長く嗅いでいると鼻が慣れて、自分では気づきにくくなること。長年かけて壁や床に染み付いたニオイは、なかなか消すことができません」と言うのは、掃除学研究所所長の植木照夫さん。「ペットのニオイは、ご近所トラブルや住宅の資産価値低下につながるケースもあり、侮ることはできないのです」と強調します。
ペットと暮らす家の主なニオイの発生源と原因には、次のようなものがあります。
「ペットのニオイ対策は時間との勝負。ニオイが壁や床に定着する前に、こまめなお手入れで原因を物理的に取り除きます。加えて、空気中に漂うニオイを外へ追い出すことも重要です」(植木さん)
ペットのニオイを予防する基本対策
ペット周りで、普段から習慣化したい基本的なニオイ予防策があるそうです。植木さんに3つのポイントを伺いました。
ニオイ予防策その1.ニオイをためないよう換気をする
現代の住まいの多くは高断熱・高気密。ペットのニオイをお部屋にためないためには、換気を意識することが重要です。
簡単で有効なのはお掃除前の「窓開け換気」。風向きに合わせてドアや窓など2カ所を開放します。その際、入り口よりも出口の開口部を大きく開けるのがポイントです。お掃除後もニオイが気になるときは、扇風機を入り口近くに置き、出口に向けて運転すると、風の通り道のスピードが上がり、すばやくニオイを外へ追い出すことができます。
効果的な換気のためには、空気の通り道であるレンジフードや換気扇、エアコンのフィルターをお掃除することも大切です。
「ホームセンターなどで購入できる外付けフィルターを使うと、毎回のお掃除が楽に。汚れが目に見えるため、こまめにお掃除したくなるという意味でもおすすめです」(植木さん)
ニオイ予防策その2.ペットの体を清潔に保つ
ペットの抜け毛をなるべく出さないことで、お部屋の汚れとニオイを軽減できます。まめにブラッシングをし、毛が抜け落ちる前に取り除くようにしましょう。
犬は体臭を抑えるため、月に1回程度シャンプーをしましょう。お散歩の後は足だけでなく、体全体を拭いてあげると、外の汚れを家に持ち込むことを防ぎます。シャンプーを嫌がる子は、ブラッシングの後に、濡らして固く絞ったタオルで拭いてあげるといいでしょう。
猫の場合はシャンプーを嫌う子が多いので、基本的にはタオルで体を拭くだけで十分。可能であれば数カ月に1回程度シャンプーをしてあげてもいいでしょう。
ニオイ予防策その3.ペットの行動範囲は掃除しやすい環境にする
室内でペットと暮らす場合、壁紙はビニール系、床はクッションフロアのように耐水性に優れた素材であれば、汚れても掃除がしやすく理想的といえます。
「ただ、簡単に内装は変えられないので、逆にペットの行動範囲をクッションフロアやフローリングの部屋に限定することも一案です。また、ペットのトイレの下に防水性のあるシートを敷いたり、ソファにカバーを掛けたりすることもおすすめ。カーペットを敷きたいなら、洗い替えができるラグマットや、一部だけ張り替えられるタイルカーペットが便利です」(植木さん)
ペットのニオイ対策に使える消臭剤の種類
植木さんによると、ペットのニオイ対策に使える消臭剤は大きく3タイプ。それぞれの特徴を知って使い分けましょう。
分解型タイプ
ニオイの原因となるアンモニアなどの成分を分解して消臭し、一度分解された部分は再び臭うことはありません。ペットが付けた汚れなど、ニオイの元に直接スプレーして使います。天然成分100%で、なるべく無臭のものがおすすめです。
マスキング型タイプ
空気中のニオイ成分を包み込んで空間消臭をするもので、香り付き商品が多いようです。ペットがトイレをした後の空気中のニオイや、急な来客時にお部屋のニオイを和らげるのにおすすめです。
芳香型タイプ
芳香成分で部屋全体を好みの香りにする、芳香剤やアロマポット、お香など。悪臭と混ざると不快なニオイになることがあるので、お手入れ後の仕上げに使うのがおすすめです。嗅覚が敏感なペットのために、天然成分で香りも穏やかなものを選ぶと良いでしょう。
ペットのニオイを定着させない、住まいのお手入れ法方法
ここからは実践編。特にニオイの発生源になりやすいトイレやベッド周り、ソファやカーペットの汚れのお手入れ方法について、植木さんに教えていただきました。
そろえておくと便利なお掃除道具
「基本の道具は次の通り。できれば(1)〜(6)はカゴなどに入れて、ペットの生活エリアに置いておきましょう。気づいたときにサッと使えて、日々のお手入れが楽になります」(植木さん)
ペットがいる家庭では、犬や猫があちらこちらをなめる可能性があるので、できるだけ洗剤を使用しないお掃除をしたいものです。
基本的には、マイクロファイバーやメラミンスポンジなど、洗剤なしでも除去力のある用具を使い、汚れが落ちない場合は、食器用中性洗剤の希釈液(40℃前後のぬるま湯200mlに対し、食器用中性洗剤を小さじ1杯(5ml)ほど混ぜたもの)を使用するのがおすすめです。
ペットのトイレのお掃除
「ペットのニオイ対策で最も重要なポイントがトイレのお掃除。こまめなお手入れと、お部屋にニオイを広げない工夫が大切です」(植木さん)
ペットシーツ
トイレのペットシーツは、排せつ物に分解型の消臭剤をスプレーし、折り畳んでフタ付きゴミ箱へ。ゴミ箱の中にもスプレーをしてからフタを閉めます。ニオイが気になる場合は、密閉できるビニール袋に入れて捨てると効果的です。
さらに新しいペットシーツを敷く前にも、トイレトレーに消臭剤をスプレーするといいでしょう。
猫砂トイレ
排せつ物をスコップで取り、密閉できるビニール袋に入れてフタ付きのゴミ箱へ捨て、ゴミ箱の中に分解型の消臭剤をスプレーしてフタを閉めます。ニオイのある猫砂が床に落ちないよう、トイレの下には防水シートを広めに敷いておきましょう。
「車の荷物入れ用のラゲッジトレイを敷くのもおすすめ。縁があるため猫砂が飛び散りにくく、お掃除が楽です」(植木さん)
ケージ周りのお手入れ
「ケージやサークルを使っている家庭では重要なお手入れポイント。主なニオイの原因は、フードやよだれによる汚れ、染み付いた体臭です」(植木さん)
(1)抜け毛やホコリを取り除く
敷きもの類を取り出し、柵や床に付着している抜け毛やホコリを除去します。ハケと掃除機のノズルを併用するとラク。静電気を帯びてホコリを吸着するハタキや、ミニほうきとちりとりも便利です。抜け毛やホコリは湿気を帯びると除去しにくいので、最初にしっかり取ることがポイント。
(2)敷きものを洗う
敷きものは粘着テープなどで抜け毛を除去した後に、赤ちゃん用洗剤を使って洗濯機で洗います。ニオイがある場合は、40℃のお湯に赤ちゃん用洗剤か酸素系漂白剤を溶かしてしばらく浸けおきし、洗剤成分を残さないよう、よくすすぎましょう。
(3)柵・床を拭く
柵は、マイクロファイバークロスかタオルを水で濡らしてよく絞ったものを2枚使い、内側と外側で挟んで拭き上げます。床も同様に拭きます。汚れが落ちない場合は、メラミンスポンジをぬらし、水滴が垂れない程度に絞ったもので優しく擦り落としましょう。
「フードなどの油性の汚れが落ちない場合は、マイクロファイバークロスに食器用中性洗剤の希釈液をスプレーして拭き、洗剤分が残らないようしっかり水拭しましょう」(植木さん)
(4)仕上げ
分解型の消臭剤を床面や柵にスプレーし、乾いたら新しい敷きものを敷いて完了です。
ペットの寝床のお手入れ
「寝床のベッドやクッションは、抜け毛や体臭が染み付き、湿気を帯びてダニやカビが発生することもあります。こまめなお手入れが肝心です」(植木さん)
(1)抜け毛やホコリを取り除く
掃除機やローラー式粘着テープで抜け毛やホコリを除去します。乾いた状態のときにしっかり取ることがポイント。
「隙間に詰まった汚れは、使い古した歯ブラシでかき出すと簡単。また、上の写真のように手のひらがゴム(ニトリル製)の軍手は、擦るだけで抜け毛がよく取れるので時短になります」(植木さん)
(2)スチームアイロンでダニ退治
水で濡らして絞ったタオルをベッドやクッションにかぶせ、スチームアイロンをかけると、高熱でダニなどの虫を駆除することができます。ただし、側地がスチームアイロンの温度に耐えられる素材であることを確認してから行いましょう。
(3)天日干しで乾燥させる
風通しの良い場所で天日干しし、最後にもう一度、粘着テープなどで表面に付いたホコリを除去します。ニオイが気になる場合は、分解型の消臭剤をスプレーして仕上げます。
カーペットやラグのシミ抜き
ペットが粗相をしたり吐いたりした場合、早く汚れを除去しないとニオイやシミの元になります。クッションフロアなど耐水性がある場所なら、汚れを拭き取って消臭剤をスプレーすればOKですが、カーペットや布製のイスではシミ抜きが必要です。
(1)吐いたときは固形物を取り除く
ペットが吐いたときは、薄くしなりのあるカードなどで、固形物をすくい取ります。毛足の長いカーペットなどの場合は、薄いコームで毛をとかすようにして、絡みついた固形物を除去します。
(2)シミ抜きのために準備するもの
- スプレーボトル2本(片方は洗剤、片方はすすぎ水用)
- 食器用中性洗剤(上述のように希釈して使用)
- ブラシ類(毛足が短めのナイロンブラシ)
- 汚れてもいいタオル2〜3枚
「天然素材(ウールやシルクなど)の敷きものは繊維を傷める可能性もあるため、洗剤の使用はおすすめできません。お湯を使用してシミ抜きをしましょう」(植木さん)
(3)シミ抜きをする
シミの外側から中心部に向かって洗剤をスプレーし、クルクルと巻いた乾いたタオルの端を乗せて、上からブラシを軽く当てて前後に動かします。カーペットからタオルにシミが移ったことを確認したら、タオルのきれいな部分を表に出して、再び同じ作業をシミが消えるまで繰り返します。
(4)すすぎをする
洗剤を使った場所に水をスプレーし、シミ抜きと同じようにタオルを乗せて上からブラシを前後に動かします。洗剤分がしっかり取れるまで、同じ作業を繰り返します。ニオイが気になる場合は、分解型の消臭剤をスプレーして終了です。
「洗剤分が残っていると素材が傷むだけでなく、ベタついて汚れが付着しやすくなるので、すすぎはしっかりと行いましょう」(植木さん)
頑固なシミ汚れはプロにおまかせ!
毎日使うことが多いソファ。ホコリや手アカ、シミ、皮脂汚れや食べこぼしで汚れが気になる・・・という方も多いのでは。
そんな時は、一度ハウスクリーニングの専門業者にお願いしてみるのもおススメです。
東京ガスのハウスクリーニングは、自社研修を受けたプロが専用の機材や洗剤を使い分け、自分では落としきれないシミや汚れを素材に合わせて徹底的にキレイにします。
利用した方の中には、せっかくお金をかけて綺麗にしてもらったのだから、綺麗な状態を維持しようと感じる方も多いそう。
ご自宅向けにはもちろん、ご両親へのプレゼントにも喜ばれること間違いなしです。
Webで簡単にお申し込みもできます。ぜひお試しください!
おわりに
ペットのニオイは時間を置くと、いつの間にかお部屋に染みついてしまいます。まずは汚れとニオイをためない環境をつくり、消臭が難しくなる前に、こまめなお手入れを心がけましょう!
あわせて読みたい
【獣医師に聞く】犬や猫の熱中症対策・上手なエアコン活用法