小学校入学準備のスケジュール
上の表は、小学校の入学準備で主にやることとその時期をまとめたもの。
ここからは、入学前年から入学直前までにやっておいた方がよいこと、するべきことをピックアップして紹介します。
それぞれのポイントについて石田先生にアドバイスをいただきました。
【前年5~8月】ランドセル購入のピーク
「ランドセルは早めに購入するご家庭が増えており、選択肢も増えています。受注生産の商品も多いということもありますね」(石田先生)
現在では、ランドセル購入のピークは前年の5~8月。人気のモデルは早く予約終了することもあるので、早くから下見などに動くご家庭も多いようです。
ランドセル選びのコツについて、石田先生は次のように教えてくれました。
「現在では、ランドセルはさまざまなカラーが発売されています。そのため、子どもに多くの選択肢から選ばせると、親と意見が異なることもあるでしょう。そこで、親があらかじめ5つくらい候補をしぼりこみ、その中から選ばせるのも手です。そうすると、子どもの選択を尊重しつつ、親も納得したものを購入できます」(石田先生)
【前年10月~11月】就学時健康診断
小学校や特別支援学校へ入学を予定している子どもを対象とする、法令で定められた健康診断です。多くの場合、子どもが入学を予定している公立小学校で行われます。検査項目は以下の通りです。
- 内科検診
- 眼科検診
- 耳鼻科健診
- 歯科検診
- 視力検査
- 聴力検査
- 個人面談
「健康診断で治療すべきことが見つかった場合、可能なら、入学前に治療しておきましょう。また、お子さまの病気やアレルギー、発達面での心配ごとなどがあれば、面談時に学校側に伝えておくことをおすすめします。そうすれば、学校はそれを踏まえて対応してくれるので安心です」(石田先生)
【前年11月中旬~1月】学童保育の手続き
地方自治体の学童保育に入れることを希望している場合は、定められた受付期間に申請書、就労証明書、児童票、健康カードなど、必要な書類一式を提出する必要があります。申請受付時期は各地方自治体で多少異なりますが、一般的に11月中旬~1月です。
「どの学童に入れるか選択肢がないことも多いでしょう。しかし、選択肢がある場合は、家庭の方針に合っているか、保育時間、宿題をみてくれるのか、役員の回り持ちなど親の負担がどのくらいあるかといったことを確認した上で検討するとよいでしょう」(石田先生)
【1~2月】学校説明会
公立小学校の学校説明会は、多くの場合1月~2月の平日に開催され、参加は基本、親のみです。学校生活についての細かな説明があり、学用品や身の回り品などで準備すべきものについても伝えられます。
【2~3月】学用品、制服、身の回り品などの準備
学校説明会で伝えられた必要品を用意します。学用品などは先に購入してしまうと指定されたものと違っていたということも起こるため、学校説明会後に準備しましょう。身の回り品も早く準備しすぎるとサイズが合わなくなってしまうこともあるので、ランドセル以外は、この時期に用意するほうがよいでしょう。
制服についても、基本的には学校説明会で説明があり、その後に準備することが多いです。公立小学校の場合は、12月頃から採寸を受けつけているケースもありますが、学校説明会後に注文を行っても問題はありません。
教育のプロがすすめる文具の選び方
石田先生によると、文具の選び方にはポイントがあるそうです。
「学校から指定されることもありますが、鉛筆などは子どもが使っていて疲れないものや、使いたくなるものがおすすめです。また、ノートなどは可能な限り紙の手ざわりがよいもの、持ち心地がよいものを選んでください。このような文具を使うことで、子どもの気持ちが上がり、勉強に向かいやすくなります。
逆に使っていて疲れてしまう文具を使うと、知らず知らずのうちに疲労が蓄積されるので集中力をそがれてしまいます。こうしたささいな感覚が実は大切なのです。文具を選ぶときは子どもに使わせてみて、疲れない、心地良く使えるものを選びましょう」(石田先生)
小学校入学準備 チェックしておきたい持ち物リスト
ランドセルの他に、小学校入学にあたってはさまざまなものを個人で準備する必要があります。一般的な公立小学校で必要になるものをリストアップしてみました。私立小学校では学校で指定された物を一括で購入することもあります。
学校から貸与や支給される物品にも違いがあるので、あくまで目安と考えてください。
学校説明会で伝えられた必要品と上のリストを照らし合わせてチェックしてみるとしょう。
学用品を購入する際の注意点
公立小学校でも指定された名札、通学帽子、体操着などの購入方法は、学区内にある文房具店や洋品店などで個々に購入したり、学校経由で一括注文して購入するなどさまざまです。これらの購入方法についても学校説明会で説明されます。
その他の学用品も、学校ごとに細かいルールが設けられているケースもあります。例えば、「鉛筆は2B」「筆箱は両面開きのもの」といった内容です。こういったことも学校説明会で詳しい説明があるので、学用品については、早くそろえなければと焦らず、説明会後に購入するようにしましょう。
持ち物に記名する際の注意点
学用品にはすべて記名が必要です。学校から特に指示がなければ低学年のうちはひらがなで記名しましょう。
細かい物の名前つけは大変なので、市販のお名前シールを使うのも手です。
名前を書く場所には注意が必要です。基本は所定の記名場所やわかりやすい場所に書くことになりますが、防犯上の観点から、ランドセル、通学服や帽子、外履きといった、校外で使用するものについては名前は目立ちにくいところに書いた方がよいでしょう。
入学式の準備
小学校の入学式は親子にとって一生の思い出になることも。当日の持ち物や服装についてもしっかり準備しておきたいですね。
入学式当日の持ち物リスト
子どもの持ち物、親の持ち物両方をチェックしておきましょう。
学校によっては入学式にはランドセルは不要という場合もありますが、ランドセルを背負った写真を撮影するなら必須です。
入学式当日に教科書が配布されることもあるので、その場合は、ランドセルか手提げ袋を持っていきましょう。
保護者宛てに市区町村より郵送されている「入学通知書」(就学通知書)は、入学式当日に持参してください。
校舎内や体育館内は土足禁止になっていることが多いので子ども用の上履きだけでなく、親用のスリッパと、靴を入れておく袋も忘れず持っていきましょう。
入学式の服装について
親子で出席することも多い小学校の入学式。どのような服装がふさわしいのでしょうか。親と子、それぞれの服装について解説します。
親の服装
保育園や幼稚園の入園式と同じで、男女ともにスーツが無難といえます。
男性はビジネススーツで問題ありませんが、黒、紺、グレーなど落ち着いた色を選びましょう。ネクタイは無地か目立たない柄のものがおすすめです。
女性の場合はスーツのほか、ワンピースや着物でもよいでしょう。いずれにしても、セミフォーマルが基本。カジュアルすぎる服装は避け、華やかにしたい場合は、上品なコサージュやアクセサリーなどを使うのもいいですね。
入学式の服装をネットで検索するとさまざまなコーディネートが見られますので、自分に合った物を探しておくのもおすすめです。
子どもの服装
制服のある学校の場合、入学式に制服着用が指示されることがあります。制服がない場合は、男の子は黒か紺かグレーのセレモニースーツが基本です。長ズボン、ハーフパンツ、どちらでもかまいません。ネクタイかちょうネクタイを合わせます。
女の子のほうは、基本はセレモニースーツかワンピースです。定番は紺か黒ですが、ベージュや薄いピンクなど春らしい明るく上品な色が選ばれることもあります。コサージュなどで華やかさを加えても良いですね。
また、女の子の場合、髪を編み上げにしたり、リボンやカチューシャをつけたりすることも多いです。
小学校生活にスムーズに移行するためにやっておきたいこと
小学校の入学準備は、物品を用意することだけではありません。肝心の子ども自身の入学準備ができているかどうかが大切です。
小学校生活にスムーズに移行するために、親が事前にサポートすべきことについて石田先生に伺いました。
生活リズムの変化への準備
小学校に入ると、急に長い時間座って勉強することになるなど、生活が大きく変わることもあり、子どもは9~10時間の睡眠をとることが理想だと石田先生は言います。
「睡眠時間を確保するには、まず朝早く起きることを意識しましょう。夜早く寝かせることからはじめる方がいますが、疲れていない場合、寝ることはできません。そのため、夜疲れているという状態にするために、朝早く起こしておくのがおすすめです」(石田先生)
早寝・早起きのリズムを作って習慣化することが重要なのですね。
「早寝早起きの習慣を身につける際には、徐々に整えていくということも大切です。例えば、元々8時に起きていたのを7時にしたいなら、初めは7時40分、次は7時20分と段階を踏むとよいでしょう。いきなり1時間早く起きるようにするのは子どもにとってはかなり大変なことですから」(石田先生)
お子さんの生活リズムの整え方については、以下の記事で詳しくご紹介しています。こちらも参考にしてみてくださいね。
子どもの生活リズムを整えたい! まずするべきことは?
給食に慣れる準備
給食自体は、幼稚園や保育園で慣れている子もいますが、小学校では配膳に時間がかかるため、実際に食べる時間はおおむね15~20分と短くなります。そのため時間を意識して食べる練習をしておきましょう。
通学路の確認
自宅から小学校までの距離にもよりますが、1~2回くらい親子で実際に通学路を歩いてみるとよいでしょう。
「親が通学路を実際に見て、子どもが寄り道しやすい場所、危険な場所などをチェックしてください」(石田先生)
通学路の注意すべきポイントは事前に子どもに伝えておくようにしましょう。
小学校の学習への準備
親御さんが一番気になるのが小学校の勉強についてかもしれません。
小学校のカリキュラムは、入学と同時に学習を始めることで問題ないように作られています。しかし、入学前に家庭でなんらかの学習準備を行っておきたいと思う方も多いでしょう。その場合の注意点を石田先生に伺いました。
「少しだけ先のことをやらせておくと、心に余裕をもって授業に挑めるのでよいでしょう。ただし、先取りをしすぎると、授業が簡単すぎてつまらないと感じてしまうことがあります。また、家庭では『完璧に覚えさせよう』『しっかり勉強させよう』とはしない方がよいです。忘れてしまってもかまいません。なぜなら、完璧を求めると、子どもが勉強嫌いになってしまう可能性があるからです。勉強好きにさせられなくても、勉強嫌いにはさせない。これが大切です」(石田先生)
親が過剰に心配して家庭学習をさせすぎてしまい、勉強嫌いになってしまっては元も子もありませんね。
「子どもが好きなのは、ゲーム、クイズ、なぞなぞです。小学校の勉強はゲームやクイズ、なぞなぞのようにして遊ぶように教えましょう。そうすると子どもは勉強を面白いと思うようになります」(石田先生)
子どもの不安への対応
幼稚園や保育園に通い始めるときも同じですが、子どもは集団の中に入ることに不安を感じます。特に幼稚園や保育園の段階で登園渋りがあった場合は、親も心配になりますね。
「子どもが小学校入学に不安を感じているなと思ったとき、親はつい気持ちを和らげようとして『大丈夫だよ。お友だちもいっぱいいるよ』などと声をかけたりします。それはやめてください。なぜなら、そうすることで、ますますそのことに意識が向かい、子どもはさらに不安になるからです。
学校に不安を感じている様子なら学校の話をしない、勉強に不安を感じている様子なら勉強の話はぎりぎりまで避けるようにしましょう。淡々と『明日学校だよ』と声をかけて、何事もなかったように登校させてください」(石田先生)
石田先生によると、不安を和らげようとして親が過剰に言葉をかけることで、逆に不安をあおってしまうことも少なくないそうです。入学の準備時期には学校に関係のない楽しいことを話すようにしましょう。
おわりに
小学校入学までのスケジュールや用意すべきもの、小学校生活にスムーズに移行するための準備について、教育家である石田勝紀先生に伺いました。過剰に心配しすぎず、準備も親子で楽しみながら。子どもの視点で小学校入学をサポートしていきましょう。