トイレのつまりには自然になおるものとなおらないものがある
「トイレットペーパーやトイレ掃除用シートなど、水に溶けるモノが原因でつまった場合は、自然に溶けてなおることが稀にあります。ただし様子を見るのは最長でも半日程度が目安です」(加藤さん)
しかし、解決まで半日もの間トイレが使えなくなることがあるため、加藤さんは「2世帯住宅などでご自宅に2つトイレがあるケース以外は、何らかの処置を行うのが現実的です」と言います。
一方、水に溶けないモノが原因の場合は、自然になおることはほとんどありません。自分でなおすか、プロに修理を依頼しましょう。
つまりの原因や状況は、自分で確認できないことが多い
加藤さんによると、便器内の水位などから、つまりの原因を特定することはできないとのこと。トイレットペーパーと汚物以外に、誤って異物を流してしまっていないか記憶をたどったり、いつから流れていないのかなどを確認するしかなさそうです。
加藤さんは以前、数カ月前に落としたペンが原因でつまりが発生したお宅の修理をしたことがあるそう。トイレに落ちたペンが排水管に流れ込み、ペンに大量のトイレットペーパーなどが引っかかった結果、トイレがつまってしまったようで、ペンを落とした時期は、お客さまも思い出せないほど前だったそうです。
つまりの原因や状況を正確に確認する有効な手段はありません。また、落としてすぐにつまるとも限らないようです。誤ってモノを落とさないよう、注意が必要ですね。
また、古い便器を新しい便器に交換した際に、つまりが発生するケースもあるのだそう。
「最近のトイレは節水型になっています。一度に多くのトイレットペーパーを使う習慣のお客さまが、新しいトイレに交換後、いつも通りに流したところつまってしまったケースもありました」(加藤さん)
何度も水を流すのはNG
つまりを解消しようとして、あるいは解消されたか確認するために、何度も水を流したくなるかもしれません。しかし、加藤さんはこの方法をおすすめしません。
なぜなら、解消されていない場合、つまっているトイレに水を足すことで、便器から水があふれてしまう可能性があるからです。
トイレのつまりに気づいたら、次に流すのは何らかの処置を行ってからの方がよさそうです。
放置も可! 自然になおる可能性があるトイレのつまり
前述の通り、トイレットペーパーやトイレ用お掃除シート、便など「水に溶けるモノ」が原因のつまりは、放置しておくと自然になおるケースもあります。
加藤さんによると、早くつまりを解消したい場合は道具を使ってみるのもよいとのこと。それでもつまりが解消しない場合は、プロに速やかに依頼しましょう。
自分でトイレつまりをなおす時に使える道具
いざという時に慌てないためにも、つまりをなおす道具を備えておくと安心です。加藤さんに家庭で使える主な道具を教えていただきました。
ラバーカップ
トイレ修理用グッズと聞いて、最初に思い浮かべるのはラバーカップではないでしょうか? 加藤さんによると、ラバーカップは水を強く揺らす効果があり、それによってつまっているトイレットペーパーなどの塊をほぐしたり、砕いたりしてつまりを解消していくのだそう。
ラバーカップはお手頃価格からあるので、価格や性能を比較してみるのも良いかもしれません。
真空式パイプクリーナー
「真空式パイプクリーナーも、ラバーカップと同様、強い水流を発生させてつまりの原因を崩す道具です」(加藤さん)
先端についたカップが着脱可能な商品が多く、カップのサイズを替えることで、洗面所や風呂場の排水口でも使えるようです。
ワイヤークリーナー
便器の水たまりの穴からワイヤーを入れて、つまりの原因を崩して流せるようにする道具です。ワイヤーが入ることで、手が届かない場所での作業が可能です。上の写真のようなタイプのほか、持ち手がなくワイヤー部分のみのタイプがあります。
バケツなど
ラバーカップは便器内に一定の水量がないと使えません。
「水が足りない場合は『流す』レバーを調整しながら少量ずつ水を入れます。レバーの調整に自信がない場合は、バケツなどを使って水を足していく方法をおすすめします」(加藤さん)
レバーではなく「流すボタン」方式のトイレもありますが、ボタン方式の場合は水量の調整ができないので、バケツやペットボトルで水を入れることになります。
ゴム手袋など
トイレのつまりを自分でなおそうとする場合、必ずゴム手袋やビニール袋で手を保護してから作業しましょう。
「便器に落ちたモノなどを取り除く際にも衛生面に配慮してください」(加藤さん)
注意! 自然にはなおらないトイレのつまり
固形物を落とした場合は、基本、自然にはなおりません。
「スマートフォンや胸のポケットに差したボールペン、名刺入れが落ちるケースが多いです。また、芳香剤の詰め替え作業中にカートリッジを便器に落としてしまったケースもありました」と加藤さん。
固形物が便器を通過し、排水管の中でつまってしまうと、洗面所やキッチンなど、他の排水に影響を与えてしまうことがあります。
「特に戸建て住宅の2階から1階への排水管は流れる水量が少ないため、水に溶けない固形物が入り込んでしまうと押し流されることなく途中でつまってしまうケースがあります。こうなってしまうと少し大がかりな工事が必要になってしまいます」(加藤さん)
モノを落としてすぐの場合は直接取り出せることも
落としたモノが目視できる状態であれば、まずは手袋などで保護した手で取り出すことを考えましょう。落ちたモノが見えない場合はワイヤークリーナーを使うのも有効です。
「つまりの原因を奥に押し込んでしまいそう」とワイヤークリーナーに苦手意識を持っている方も多いかもしれません。しかし、加藤さん曰く「家庭用のワイヤーは短いので、仮に奥に押し込んでしまった場合でも、プロが修理する場合、押し込む前と後の作業はまったく同じです。料金も変わりません。不安にならずに、チャレンジしてみてください」とのこと。
ご自宅にワイヤークリーナーがある場合は使ってみるのが良さそうですね。
生理用品・尿パッド・おむつなどによるつまり
生理用品や尿パッド・おむつにはポリマーが入っています。時間が経つとポリマーが水を吸収し、膨張して取り出しにくくなってしまうことも。
「一度水を張った状態でラバーカップでチャレンジし、解消しない場合は速やかにプロに依頼するのが得策です」(加藤さん)
水に溶けない固形物によるつまり
携帯電話や芳香剤のカートリッジなど、落とした固形物が目視できる状態にある場合は、衛生面に配慮して取り出してしまうのが一番の解決策です。
一方で落としたことは分かっていてもモノが見えない場合は、プロに依頼したほうが良いとのこと。
「トイレは便器と排水管がつながった構造になっています。携帯電話サイズの固形物は便器を通過できません。我々プロが便器を取り外し、落とした固形物を取り出します」(加藤さん)
古いトイレで注意したい尿石のつまり
20~30年同じトイレを使っていると、流れが悪くなることがあります。前は1回で流せていたのに複数回流すことが必要になっているケースも。
「原因の1つとして尿石が排水管の側面に付着し、口径が狭くなり水が流れにくくなっていることが考えられます。尿石がつまりの原因だった場合、尿石は清掃などで除去できません。この場合は便器や排水管の取り替えが必要になります」(加藤さん)
トイレのつまり修理をプロに依頼するときのポイント
安全かつ確実に解決するには、プロに依頼するのが一番です。安心して依頼できる業者の見つけ方や見積もりのチェックポイントも加藤さんに教えていただきました。
修理依頼時の注意点
1.指定給水装置工事事業者であるかを確認する
指定業者ではない人が工事をすることは禁止されています。必ず指定給水装置工事事業者へ相談しましょう。指定給水装置工事事業者は各都道府県庁のホームページで確認できます。
(例)東京都の場合
東京都水道局:水道工事のお申込先一覧(東京都指定給水装置工事事業者一覧)
2.24時間365日対応の会社を選ぶ
夜中に不具合が発生した場合でも、24時間365日稼働している会社であれば対応してもらえます。「いつでも相談できる」ことは安心ですね。
3.インターネット上で料金体系が明示されている会社を選ぶ
料金体系が明示されていれば、受け取った見積もりと比較することで工事の費用感が把握できます。
4.高圧洗浄が可能な会社を選ぶ
つまりの原因が排水管にある場合は高圧洗浄作業が必要になります。
「すべての指定給水装置工事事業者が高圧洗浄対応可能であるとは限りません」(加藤さん)
あらかじめ高圧洗浄可能な会社に依頼しておけば、排水管清掃が必要になった場合でも別の会社を手配せずに済みます。
作業時間と費用の目安
加藤さんによると、プロがトイレのつまりを修理する場合の作業時間は、1時間以内であることが大半とのこと。また、部品交換などが不要の場合、修理費用は10,000円程度だそう。
「ただし、つまりの原因が排水管にある場合は、排水管の高圧洗浄が必要になります。広いお宅や2階にも水まわりがあるお宅の場合は、排水管も長いため作業時間も長くなります。従って修理費用も高くなる傾向です」(加藤さん)
排水管の高圧洗浄が必要になる場合、作業時間は2時間程度となります。
東京ガスの修理サービスでも高圧洗浄に対応しており、一カ所あたり29,700円(税込)です(2023年時点)。
※東京ガスの修理サービスによる高圧洗浄は戸建て住宅のみとしています。ご自宅がマンションなどの集合住宅の場合は、管理会社への確認が必須となるので注意しましょう。
見積もりのチェックポイント
見積もりを受け取ったら、費用総額だけでなく「出張費」「清掃費」など項目ごとの明細が入っているかを確認しましょう。費用に何が含まれるのかが明確になっていることで、作業後に思わぬ金額を請求をされる可能性が低くなるからです。
また、上述の通り、便器まわりの修理のみの場合と、排水管清掃が必要になった場合の費用は大きく異なります。
「最初から作業の種類別に複数枚の見積もりを提示してくれるプロを選んでおくと安心です」(加藤さん)
東京ガスの修理サービスでは、技術力のある修理スタッフがトラブルの原因や症状を確認し、診断結果をもとにお見積りを作成。
お見積りは修理基本料、技術料、部品費など全て含めた総額をご提示するので、事前のお知らせなく追加請求が発生することはありません。技術認定を受けた修理スタッフが丁寧に作業するので安心です。
ガス機器や電気設備だけじゃない! 東京ガスが水まわりもサポート
東京ガスでは、暮らしを快適で安心にするためのさまざまなサービスを提供しています。ガス機器や電気設備に関するサービスに加え、水まわりのトラブルには、以下のサービスをご用意しています。
東京ガスの水まわり修理
キッチンやお風呂、トイレなどの水もれ、つまりなど、水まわりのトラブルは24時間365日受付、当日の駆けつけも可能です。さらに、東京ガスグループの技術認定を受けた修理スタッフが、作業内容・価格を事前に丁寧にご説明し、ご了承いただいてから作業するので安心です。※
※修理サービスは、東京ガスグループ、もしくはプレミアアシスト社、提携するネットワーク企業のいずれかが対応いたします。(東京ガスグループとは、東京ガスライフバル、エネスタ、エネフィットのことです。)
東京ガスの「水とでんきの駆けつけサービス」で急なトラブルに備えませんか?
「水とでんきの駆けつけサービス」は、月額サービス料385円(税込み)で水まわりと電気設備(※1)の急なトラブル発生時に駆けつけ対応するサービスです。(※2)
トラブルに関する出張費・応急処置費が無料(※3)になり、追加費用が発生する場合は、作業前にお見積りをご提示するので安心してご利用いただけます。
※サービスの詳細は当社ホームページをご確認ください。
※1 水まわりとは、ガス機器、家電製品、雨水配管を除きます。また、住宅外設備(庭、屋上、駐車場、ベランダ等)は露出部分のみとします。電気設備とは、電気のご使用に必要な設備であり、家電製品・照明器具本体等を除きます。
※2 東京ガスのガスをお使いの方が加入できます。
※3 無料の範囲は、水まわりは不具合の原因調査及び応急処置における出張費及び30分以内の作業費(作業員1名)、電気設備は同60分以内の作業費(作業員1名)です。30分(60分)を超える場合の超過分の作業費、部品代、特殊作業費用、追加人員が発生した際の費用等は、お客さまのご負担となります。
「ガス機器スペシャルサポート」のオプション申し込みで、水まわりのトラブルにも備えませんか?
ガス機器の故障も、水まわりや電気設備のトラブルも、ある日突然やってくるもの。
定額でガス機器のもしもの故障に備えられる東京ガスの「ガス機器スペシャルサポート」※は、オプション申込みで水まわりのもしもにも備えることができます。ガス機器スペシャルサポートに加入されている方、もしくはこれから加入しようとお考えの方は、水まわりオプションも検討されてはいかがでしょうか。
※東京ガスのガス供給エリア(東彩ガス地区、東日本ガス地区、日本瓦斯(ニチガス)真岡地区は除く)にお住まいで、東京ガスがガス小売事業者となる家庭用のガス小売契約を締結し、かつ当該契約に基づくガスの供給を受けているお客さまが対象となります。
※ガス機器スペシャルサポートのサービス提供開始後1年間は解約できません。また、水まわりオプションのサービス提供開始後1年間は、水まわりオプション及びガス機器スペシャルサポートを解約できません。
※一部対象外機器、設備、サービス適用には条件等があります。
おわりに
トイレットペーパーやトイレ掃除用シートなど水に溶けるものが原因でつまった場合は、自然に解決するケースもあります。また、ラバーカップなどを使えば自然解消を待つより早く解決できることも。
どのようなつまりの場合も、速く確実に解決するにはプロに依頼するのがおすすめです。信頼できるプロと巡りあえれば、今後の水まわりトラブルの相談先にもなり、安心につながりますね。